騎士王国ルート   作:ツルギ剣

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激突③

 

 

《___あれだけで本当に、良かったのかな?》

 

 『契約』によってガゼフに渡した戦力、かの『デキるデスナイト君』と、アイテムボックスに放置してあったブルークリスタル製の長剣だ。

 どちらも、この異世界では伝説級だろう代物で、一つあれば十分なところ二つも与えた。これでダメなら、使い手が悪いだけとも言える。

 ただし、相手は下級とはいえ天使を使役できる集団、くわしくは分からないが国の『特殊部隊』。賭け事は好きではない/だいたい外す自分にとって、確実と言い切れない状況は好ましくない。

 なので、いざとなれば自分が代わりに出る。自分が戦えば確実に倒せる。そのためのアイテムももちろん渡したけど、

 

《『切り札』の存在も考慮すれば、とても素晴らしい差配です。互いに死力を尽くしながらも、殺しきることができない》

 

 ___ゆえに、あやつ等の奥で操っている者どもも、出てこざるを得なくなりましょう。

 ソレが俺の目的だ。奴らを取っ掛りにして、どんどん首謀者を引きずり出していく。誰が相手だろうとも容赦しないし、する必要もない。

 その先に『先行プレイヤー』がいたとしたら、少しだけ厄介なことになるけど、まぁ何とかなる。あの手の理不尽を許容してしまっている段階で、心が人間離れしすぎている。負け癖がついてるのにソレを認められない精神状態では、たとえレベルがカンストしてようが三流ゲーマーだ。必ず隙だらけだし、自分から墓穴を掘りにも来る。……とは、我がギルドの偉大なる諸葛孔明の受け売りだ。

 

《そいつらが出てきた時、俺がやるべきことは?》

 

 捕まえることだ。逃げられないように/自殺されないように、その次の操り主を引っ張り上げるためにも。……ナザリックに攻め入らせるような形に持っていけば、勝ったも同然だ。

 その際、この異世界中の勢力を大団結されるのはマズいけど、そのための『正義』だ。悪行の確たる証拠を握ってしまえば、まとまろうとにも脛に傷ある者同士だ。協力し合うどころか互いに足を引っ張り合ってくれるはずだ。

 

《確か、情報系魔法に対する攻性防壁の追撃には、【爆裂(エクスプロージョン)】を設定してたよな……?》

 

 覗き屋や漁夫の利を得ようとする奴らには、分かりやすい威嚇だ。カンストのプレイヤー相手にはあまり効果はないけど、いきなり爆発したらビビるのが人間の性。沸騰したヤカンに触れると手を引っ込めてしまう反射と同じだ、分かっていても踏み込みづらくなる。

 ただし、この異世界ではどうか? 30レベルにも満たない相手に、カウンターで【爆裂】を使ったら……威嚇では済まなくなる。

 

《覗き屋を逆にスパイに変える【精神支配(ゴーストハック)】か【トロイの霊馬(マインドウイルスα)】は、定石ではあります。対策は取られているでしょうが、悟様のお力ならモノともしないでしょう》

《でも、あまりオススメじゃない?》

《……未知数の敵地に、悟様を単身で飛び込ませることになりかねないからです》

 

 さすがにそんな無謀は、しない……はず。……たぶん。

 普段と比べて少々『ハイ』になってるだろう今、大胆に行動してしまうかもしれない。行けるとこまで追求していきたい気持ちが、確かにある。……自粛せねば。

 

《……魔力の消費量と成功率が怪しいけど、【強制転移(アデプション)】で拉致るのはどうだ? 覗き屋がアイツ等程度の雑魚だったら、かなりいけると思う》

《大変すばらしい選択です》

 

 あとは拉致したそいつに【影武者作成(チェンジリング)】を施して、スパイを送り込めれば最高だけど……、さすがにそこまで甘くないか。バレたらバレたでコチラの弱みになりかねない。

 

 

「___ゴウン殿、よろしいか?」

 

 

 背後からのガゼフの声で、現実に呼び戻された。……いかん、またやっちまった。

 

 隙だらけになる、てなわけではなく、ちゃんと五感は機能していてすぐにアラームのように気づかせてくれる。ただ、実感が伴わない情報としてだけ記録してる状態。[オーバーロード]の骸骨顔でしかも仮面を被ってもなければ、意識がどこかに『トんでる』表情になっていたはずだ。

 どうにかしなければならない大問題だけど、今はその都度にごまかすしていくしかない。良い案が浮かんでこない……。

 

「そろそろ出陣させてもらう。村のことは……お任せてしてもよろしいな?」

 

 疑いというより念押し。それも、俺に対してじゃなくて自分に向けての。

 『先の一幕』からほぼ一時間も経たず、俺に話しかけてこれるのはかなりメンタル強者だ。しかもヤケっぱちではなく、ちゃんと飲み込んでみせたかのようにも見える。瞳にも迷いの揺らぎが無くなってる……。意外な立ち直りの速さだ。

 

 そのまま頷き返して、黙って見送ってもよかった。もうコチラの準備は整っている。勝てれば御の字で、負けてもすぐにカバーしてやれる。どう奮闘しようがどうでも良い。

 けど……、その変化は気になる。

 

「籠城はしないのですか? 打って出るにしても、闇夜に紛れたほうが無難でしょうに」

 

 よせばいいのに、尋ねてしまった。

 

「相手が魔法詠唱者ならば【暗視(ダークビジョン)】を使われ、むしろコチラが不利になる。籠城して待ち構えないのは……、これ以上村には被害を出したくない」

「アレら以上、私の力は借りたくないですか?」

 

 言いよどみから晒し上げるかのように/皮肉も混じえて言うと、ピクと眉が動いたのが見えた。……ありゃ、図星だったのか。

 しかし大人のスルー力で、ガゼフは続けてくれる。

 

「貸してくれるのなら大いに歓迎するが、あいにく私にはもう……、支払えるモノが無い」

「部下たちの命と魂、なんてものは論外なのですね」

 

 今度は自虐を混じえて晒してみると、はっきりと顔をしかめられた。……けど何故かすぐ、恥じ入ったかのように小さく顔を伏せた。

 スルーはしきれなかったけど、グッと飲み込んでみせると、

 

「何よりこれは、私とこの国の問題だ。自分たちの力で解決せねばならない。……部外者である貴殿に、これ以上世話になるわけにはいかない」

「ましてアンデッドに、ですな」

「……貴殿は本当に、痛いところを突いてくるな」

 

 そういうや、観念したかのように肩を落とした。……俺、なにかやっちゃいましたか?

 ただよくは分からないものの、妙な強張りが抜けたのは分かった。近接戦闘は不得手ではあるものの、瞬発力と反射神経が大事なのは分かる。……コレで少しは、勝率が上がったのかもしれない。

 

 コチラが話しかけてしまった/呼び止めてる形である以上、なにか益のあることを言ってやらねばならない。先までのでも足しにはなるはずだけど、必然なモノでなければ[絶対の支配者]的にマズい。……メンツを守るてのは、思ったよりも大変だ。

 しばし考える。ガゼフたちに足りないものは? 『自力』を犯さない程度の助力/助言とは? 自然な形で受け入れさせれるのは―――……、閃いた!

 直後、【伝言】にて伝えた。すぐに良い返事がきてくれて、思いつきは形を成せた。

 

 最後にこちらに来るよう伝えると、通話終了。

 訝しんでたガゼフに向き直ると、説明なしにいきなり、

 

「___かの天使たちの体は、魔力を凝縮して編まれたもの。通常の武器だけでは、ダメージが通りにくい作りとなっているはずです。失礼ながら、皆様がた持ち合わせてきた程度の武器では、倒すのは至難なこととなるでしょう。

 ソレに対して、何か対抗策がおありですか?」

 

 あの天使型のシモベたちだ。

 ガゼフやその部下たちの様子から、何の対策も無いことはすぐに伺えた。そのような訓練や実戦すらも、積んできたことが無いことも。……気合だけで乗り切るつもりだとも。

 果たしてソレは―――、正解だった。

 

「……無い。あのような天使たちと戦うのも、私も含めて初めての経験だ」

「そうですか……。

 とこで、アレが[天使]だという知識は、()()()()()してもらったのですか?」

 

 戦った経験はないのに、知っている。

 見たままの脳筋ビルドの純近接戦闘要員。今は戦士長の肩書きをもっているも平民出身、それも剣の腕前一本でここまで上り詰めた男が、そんな知識をどこで知った? ……ガゼフだけでは、補えないはずの知識だ。

 

 その疑念は正しく、ガゼフは息を飲まされていた。

 言うべきか黙るべきか迷い……、しかし白状するように、

 

「……私の師匠だ。まだ青二才だった時に偶然見込まれて、天使の知識も含めて色々と鍛えてもらった。だが、今は行方知れずだ」

「ありがとうございます。書物からだと言われたら、()()()()()()()()()なっていたところでした」

 

 そうニヤリと言ってやると、しばし目を丸くされて……、『失敗』に気づいて顔をしかめた。

 

「……貴殿は凄腕の魔法詠唱者だと思っていたが、どうやら商人の才能もありそうだな」

「世界は不公平が当たり前、だがせめて結末は平等であるべきだ、というのが私の信念です」

 

 と賢人ぶってみたけど……、コチラも失敗だったのは変わらない。

 カマかけに引っかからず、「書物からだ」とか言ってくれたら、ソレを報酬にすんなり渡せたのに……。回りくどすぎたのが、仇になってしまったか。

 

「実に共感したい信念だが、苦痛が伴うものでもある。私にはとても……難しい」

 

 また言いよどみの奥が見えてしまったけど、『らしくない』ことに首をかしげた。……ただの印象と直感だけのプロファイリングなので、らしくないもないけど。

 ただ、ソレに自虐の暗さはない。『前進した』かのような、意気込みが感じられた。

 

 その直感を信じてみると、自然と襟がただされる。次はどんな手でいくのかプランは全て棄却し、すんなりと真正面から、

 

「___天使対策について、私から提案できることがありますが、よろしいですか?」

 

 お節介な助力を、申し込んでいた。

 

「先も言ったが、今の私に支払えるモノは無いぞ?」

「私固有のモノであるのなら、代価を受け取らざるを得ないのですが、この村の方々に所有権があるモノでしたら、どうでしょうか?」

「……まさかだが、『囮』になれと言うつもりではないな?」

 

 視線に険しさを込めらると、『囮』の意味を察して……、苦笑を返す。

 

「ご安心を、ソレは私の求める平等ではありません。

 ご提案したいモノは、もっと安全で安上がりな、言うなれば『ゴミ処理』を兼ねたものですが―――おぉ、来たか!」

 

 視線の先、ボストンバッグほどのズタ袋を担いでやってきたのは、メガネ特盛美女メイドだ。……急いで来てくれたのか、家々の屋根を飛び駆けながらで、女忍者みたいにもみえた。

 俺の声に反応してすぐ、振り返っていたガゼフは、屋根の上の彼女を仰ぎ見て……呆然としてしまっていた。

 そんな彼には構わず/眼中にもないかのように、シュタリと音もたてずに着地し、「お待たせしました」と優雅に挨拶を。

 

 一連の動き/振る舞いのカッコ良さと、美女でメイドで特盛でもあるスクウェアパンチに、奥にしまっていたはずの厨二心がまた騒ぎ出してきた。そのまま声にも出しそうだったけど……、喉元で堪えてみせた。

 そして急加速で、支配者ロールをフル回転させると、

 

「___やはりまだ、全てを『調理』しえ終えるのは難しかったか?」

「申し訳ありません、不出来な者共です……。

 ですが、ご要望された最低限の『廃棄物』は、用意することができました」

 

 持ってきてくれたズタ袋をチラリと、首尾は上々とも。

 主従二人で意味深な会話をしていると、ようやくか我を取り戻したガゼフが、

 

「ゴウン殿、そちらの……ご令嬢は?」

「私の専属のメイドの一人です」

「[ユリ・アルファ]と申します。以後お見知りおきを、ガゼフ・ストロノーフ様」

 

 スカートをつまんでの簡略メイド礼に、その名前通りの花が一面に咲き乱れそうな微笑み。……ガゼフはまた、呆気にとられていた。

 その様子、君も男ならしょうがないよと、ユリへの無言の賞賛が我が事のように微笑ましくなる。

 

「……本当にただのメイド、なのか?」

「本当によくできた子です。私にはもったいないぐらいに」

「そ、そのような過分すぎるお言葉、私などにはあまりにも、あまりにも……勿体のうございます!」

 

 恐縮しすぎて土下座までしそうな頭の下げっぷりに、慌てて「客人の前だ、そう畏まり過ぎるな」(やめてくれよぉ、俺めちゃくちゃ嫌な主人に見えるじゃん!)止めた。

 それでも、なかなかに顔を上げられないでいるユリに、もうラチがあかないと話を進めることにした。

 

「ご提案したいものはコレです。……ユリ、ガゼフ殿におみせしろ」

「は、はい!」

 

 ___コチラでございます。

 持ってきたズタ袋を前に、ガゼフに中が見えるように開けた。

 

 ガゼフは、その中に詰まっているモノをみて―――

 

「___ぅおッ!?

 こ、これは―――……、誰の人骨だ?」

「この村を襲ってきた輩たちです」

 

 持ってきてもらったのは、奴隷たちに解体作業させていた、『廃棄物』だ。

 

「殺さず奴隷にした者達に、殺した仲間の死骸を解体させ、その血と肉と内臓を取りました。今後のエサにするために」

 

 感情は込めず淡々と、ガゼフたちが追いかけてきた不快な輩たちの末路を教えた。

 

「すべて余さず使い切れば、それだけ村の方々の負担を減らすことができた。のですが、さすがに骨は処理がむずかしい。かといって、ここの土に埋めて大地に帰してやるなど、奴らのような人でなしには分不相応なこと。なので、どう処理すべきか思案していたところだったのです」

 

 説明し終え、改めてズタ袋の中身を確認すると、その『キレイさ』には感嘆するしかない。血肉は全てこそげ取られた骨だけ、まさに残りカスだ。臭気すらもう微かにしかなくなっている。……ユリは本当に良い仕事をしてくれた。

 またユリのことを褒めたくなっていると、そんな俺を複雑そうなにみつめるガゼフ、

 

「…………貴殿がアンデッドだという意味を、改めて痛感させてもらえたよ。

 ソレと天使たちに何の因果があるのだ?」

「コレはとても効くのですよ、天使たちには」

 

 知らなかったのか? ……教えてもらえなかった?

 ただ、そうであっても不思議はない。たとえ戦さを生業としても、人が知るべきこととも思えない知識だ。

 

「[聖性]に満ちた天界に住まう天使たちが最も嫌うのが、地上の亡者たちが撒き散らす[邪性]。ソレは亡者を亡者たらしめる、生命の理を曲げる力の魂源でもあります―――」

 

 かつて読み込んで暗記もした、とあるアイテムのフレーバーテキストたち。ギルド内でリーダーに選出され、ゆえにも最終ボスとなり、だったらと魔王なロールを押し付けられた。その役作りの一環として集めては読み込んだ『闇』の知識群。

 ソレらはただの『設定』でしかなかったけど、ゲームが丸ごと現実世界化してしまったら話は変わる。……『設定』は世界の法則に通じる。

 

「亡者の素体になるのは、死骸。ソレも他殺体、悲憤が強ければ強いほど良い亡者になりえます。血と肉にもソレは宿るのですが、大地や虫たちに喰われて大半は消されてしまう。

 しかし骨には残る、ゆえにも凝縮されていく」

 

 そしてこの人骨の主たちは、極限の恐怖を抱きながら死んでいった……。おそらくたっぷりと[邪性]が染み込んでる。

 自分でも確信には至ってはいないけど、死体がアンデッド化するのは常識な異世界だ。この人骨に天使たちの弱点属性が濃縮されているのは、ソレに比べれば簡単な歪みだ。

 

「……理屈はおよそ分かったが、一概には信じられんぞ? このような脆い……人骨が、硬い金属の武器よりも有効などとは」

「そのような常識に対しての脅威こそ、魔法の本質です」

 

 魔術師っぽいセリフで、締めた/はぐらかした。……証明用の試し打ち、用意するの忘れてた。

 なので当然、訝しられてしまったけど……、ユリがナイスサポートしてくれた。

 

「よろしければ、コチラの『矢』をお使いください」

 

 数本しか作れませんでしたが……。

 手渡された矢、その先端の『白い矢先』をみて、ガゼフはまた顔を険しくしながら、

 

「この白い鏃は……、人骨なんだな」

「もっとも邪性が収束される仙骨を、加工したモノです」

 

 ___えッ!? ……そ、そうなんだぁ。

 なぜユリがそんな知識を持っているのか、後でそれとなく/悟られないように聞き出さないといけないけど、今は話を合わせるしかない。

 

「戦端を切る一射にて、ソレが天使を見事に射抜きましたら、部下の方々にも信じてもらえることでしょう」

 

 当然知ってました/用意させていたものです……的な雰囲気をふんだんに見せつけながら、他にも不満がでてボロが出る前にはんば押し付ける形へ。

 

 ガゼフは投げ捨てはしなかったけど、手に持った矢やズタ袋の中身を見返しては……、顔をしかめながら瞑目。そして天を仰ぐと、苦渋をにじませながら、

 

「…………コレらはあまりにも、人道に悖る気がしてならない」

 

 受け取りを拒否……するのかどうかを、俺に問いかけてきた。ソレを受け取り使うに足る理由を、自分の中からは見いだせないのだと。……有り体に言えば弱音だ。

 でも、気持ちは大いに理解できることだ。例え最悪な犯罪者とはいえ、その死骸に鞭打つどころか武器にする行為は許されるのか? 神や宗教を信仰していなくとも、人の形をした死骸や人骨には物質を超えた『何か』を見いだせるのは、人間の本能と言ってもいいはず。そしてガゼフの本能は迷った、例え生存のためだとしても、割り切ることができないと。

 

 真面目すぎる苦悩に、自分の小物めいた慌てぶりが際立たされて……辛い。そして、ソレを見せられもできない、たぶん一生誰にも……。

 気分が急激に落ち込むと、逆に冷静になれた。

 ゆえにかスラスラと、自分でありながら自分でないかのようなセリフが口から出てきた。

 

「___あやつらは天使を気取っておりますが、その行いは人道に悖る外道の数々。腐臭に塗れた亡者と何も変わりはしないのに、白く輝き尊大にまで振舞っている。

 そうやって『清らか』になった奴らの鼻っ面に、己が撒き散らした汚物を帰してやる。……そのようにお考え下さい」

 

 そう断じ切ると、呆然と見つめてくるガゼフと相対した。

 

 ガゼフは何かを言おうと口を開き……、しかし出せず。戸惑いを露わに、必死で相応しき言葉を探す。……しかしやはり、見つからなかった。

 やがて諦め、肩の強張りを落とした。そして代わりに出てきたのは、、

 

「___貴殿は本当に、何者なのだ?」

 

 疲れ果てて出たため息のような問い。……当然、答えを探りだす気勢などこもってない。

 なので当然、俺は不敵に笑いながら、

 

 

「こたびの修羅場を生きて帰って来れたのなら、お教えすることができましょう」

 

 

 見送りの決めセリフを贈ることにした。

 

 

_




長々とご視聴、ありがとうございました。

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