「嵐みてえだったな……」
「凄まじい勢いでしたね」
何だったんだあの副店長(自称)。さんざんかき回すだけかき回してシレッと商品置いていなくなりやがって。
「しかしずん子さんの言ってた通りですね……本当に大きい」
「串刺さってるタイプのハンバーガーって実在してたんだな」
でかい皿にオニオンリングとフライドポテト、そして中心にチーズバーガー。
チーズバーガー自体もずいぶんサイズがでかいし――
「ナイフとフォークまでついてくるとは」
「こんだけでけえとかぶりつくにも厳しい人もいるだろうしな」
いやまあ俺はいける……と思うが。下手に食いついたら反対側からこぼれそうでちょっと不安ではある。
「サラダも結構な量ですね」
「食い切れるか?」
「たぶんダメです」
「あいよ」
サラダの方も結構でかい皿に盛られてやがる。……失敗したか。
「マスターと分けっこ出来ますから気にしないでいいですよ」
「……何も言ってねえが?」
「……ふふっ、そうですね?」
何だこいつ。『自分は全部お見通しです』みたいな顔しやがって。心底ムカつくがここで変に言い返してもこいつの表情は変わらないだろう。
「というわけでマスター」
「あん?」
「あーん」
スプーンでサラダを掬ってこちらに突きつける結月。何してんだこいつ。バカか?
「バカか?」
「何ですかその対応!美少女にあーんされるとか感涙にむせび泣くところでしょう!!」
「何言ってんだお前」
つーかスプーンでサラダ食うの結構面倒じゃねえかな。箸欲しくなってくる。
喚く結月の相手を適当にしつつハンバーガーを切り分ける。細かくしすぎると崩れそうだし厄介だなこういうの。慣れねえからなおさら。
「ほら好きに取って食え」
「マスターがあーんしてくれたら食べます」
「じゃあお前の取り分はなしだな」
「ぐぬぬマスターのワガママさんめ」
「俺が悪いような言い方すんじゃねえよ」
「チーズバーガーのオニポテセットにアイスコーヒー、ハウスサラダとずんだシェイクでお会計二千六百円になりまーす」
「会計バラバラでお願いします」
「御主人様っていうなら奢る甲斐性くらい見せてみろー」
「そうだそうだー!」
「ぶっ飛ばすぞてめえら」
美味かった。美味かったのだがこの副店長(自称)がうぜえ。
結月もどさくさに紛れて奢らせようとすんな。
「えー……だいたいゆかりさんの注文したサラダだって半分くらいマスターが食べちゃったじゃないですか」
「お前が食わせてきたんだろうがよ」
どっちもサイズがデカかったから、案の定半分くらい(とハンバーガー一口)で結月がギブアップ。残りを俺が食うことになった。
次来る時は結月以外の奴を連れてこよう……。腹一杯でちょっときつい。