ボイロ高校のマスターくん   作:楠瀬ハジメ

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おうちデート ①

 次の日の朝。薄っすらと雨の降る、中途半端な天気。天気予報じゃ雷に注意、なんて事を聞いていたのだが。

 

「おいこら」

 

「おはようございますマスター!」

 

 結月は俺の家で朝飯を食っていた。……相変わらず食う量少ねえなコイツ。小学生の時の俺でももう少し食うぞ。

 

「朝っぱらから何しに来やがった」

 

「そりゃもうマスターにくっついて深呼吸をあいたーっ!」

 

 馬鹿が。無理にテンション高くしてんじゃねえ。

 

「今日はバイトも無いお休みの日だってお義母さまからも聞きましたからね!さあマスター、ゆかりさんを構ってください!!」

 

「何で教えちまったんだよお袋……」

 

 とはいえ。結月は雷がめちゃくちゃに苦手だ。何なら雨も嫌いだ。俺も好きじゃねえが。

 ……そうなった理由も知ってる以上、来ちまったもんは仕方がねえ。叩き返す訳にもいかねえし。

 茶碗に米をよそっていると、結月が立ち上がって近づいてきた。

 

「どうした」

 

「お味噌汁よそってあげますよマスター!」

 

「本音は」

 

「こうしてると夫婦みたいに見えあーっ!!」

 

 学べバカ野郎。

 チョップをかまして振り向けば親父もお袋も生ぬるい目で。クソが。

 茶碗だけ持って椅子に座る。味噌汁は案の定結月が持ってきてくれた。

 

「ありがとな」

 

「そこでお礼を言えるマスターにはゆかりさんポイント百万点です」

 

「多すぎるわ」

 

 いつからカウントしてんだ。少なくとも俺は今初めて聞いたぞ。……このアホの事だ、どうせ勢い任せだろうがよ。

 で。結月が持ってきた味噌汁はいつもの朝飯とは違う味で。

 ………………………だけど、俺好みで。

 

「どうですかどうですかどうでしょうかマスター!ゆかりさんは花嫁修行も欠かしてないんですよ!!」

 

「うるせえ飯食ってる時に騒ぐなうるせえ」

 

「ツンデレマスターにはゆかりさんポイント三万点です」

 

「減ることあんのかそれ」

 

「ゆかりさんを怒らせると減点です」

 

「ならこないだの時にガッツリ減点されてんだろうな」

 

 ふと眼をやれば、自慢気に髪留めを見せびらかす結月。俺に見せびらかしてどうすんだ……おいやめろだからって親父とお袋に見せびらかさなくたっていいだろうが俺のセンスの無さを広めるなバカ。

 髪留めの件は伊織や弦巻、東北どころか高橋や鈴木にもさんざん言われたからな……。話が広まりすぎてんだろどうなってやがる。

 

「デリカシーが無かったので三十点減点でしたがその後の対応で一億点追加です」

 

「バカか?」

 

「ちなみに百点でゆかりさんとハグが、千点でゆかりさんと……キスができます」

 

「馬鹿か?」

 

 インフレ極まりすぎだろうが。

 親父もお袋もにまついてんじゃねえよクソ。気持ち悪い表情しやがって……顔面の筋肉思いっきり攣っちまえ。

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