さて、週末の突発散りかけ花見大会に集まったメンバーは4人。
俺。結月。弦巻。そして……。
「はじめまして、紲星あかりです!ゆかり先輩と同じ放送部です!よろしくお願いします!!」
「あたしは弦巻マキ!よろしくねあかりちゃん!」
「斗田一だ、よろしく」
一年下の後輩、紲星。結月が声をかけると言っていた後輩だろう。……結月しか知り合いがいない状況でよく乗り込もうと思ったな。俺なら参加すんの諦めてたぞ。
「本当ならもうちょっと盛大に歓迎したかったんですけどねぇ」
「ちょっとばかし急すぎたな……」
他の連中にも声はかけたのだが、だいたい既に用事が入っていた。
伊織は塾。高橋は他の友人達と買い物。吉田は
「んー、あかりちゃんちょっと固いぞー?」
「わひゃああああ」
弦巻は紲星の緊張をほぐそうとしたのか紲星のほっぺを引っ張って遊んでいた。めっちゃ伸びるな。
「マスター?初対面の女の子に色目を使うのはどうかと思うんですが?」
「違ぇよボケ。紲星のほっぺめっちゃ伸びてんなって思っただけだ」
俺をそんなナンパ野郎に仕立て上げようとするんじゃねえ。
憂さ晴らしに結月のほっぺを弄り回していると、何やら紲星からの視線を感じた。
仲のいい先輩をいじめてるようにも見えるし、向こうからすればあまりいい気分にはならねえか。そう考えて、結月の顔から手を離す。
「えー、もうおしまいなんですかマスター?」
「アイアンクローしてほしいんならそう言え」
「マスターからされるんならご褒美です!」
「バカかお前……」
付き合ってられねえ。ため息をつき、構えていた腕を下ろす。
「なあ紲星、こいつは部活でもこうなのか?」
「……いえ、もっとしっかりしたクールビューティーでした」
「クールビューティー?こいつが?どう考えたってフールビューティーだろうに」
まあ、黙ってりゃアホ度合いも薄れるからな――なんて考えは、次の紲星の発言で吹き飛んでしまった。
「でもゆかり先輩から聞いてた通りです。マスター先輩、ツンデレなんですね!」
――は?
「ゆかり先輩の事が大好きだけど照れ屋さんで素直になれない人だっ、て……聞いてたんです、けど……」
少しづつ紲星の声が小さくなっていく。俺が一度下ろした腕を構えなおしたのが原因だろうか。まぁそっちはいい。今やるべきは……。
「結月?」
「……お慈悲を」
「却下だアホ!」
お望み通り結月にアイアンクローをかけてやることだ!後輩にろくでもねえ嘘吹き込んでんじゃねえよこのアホはよぉ!!
「いいか紲星、このアホが俺のことを話し始めたら話十分の一くらいで聞いておけ」
アホの悲鳴をバックに紲星へと語りかける。何度も頷いてくれたから、これから妄言を真に受ける事もないだろう。