ボイロ高校のマスターくん   作:楠瀬ハジメ

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花見 ②

 焼きそば三つ。フランクフルト四本。唐揚げと肉巻きおにぎり。

 紲星は焼きそばとだけ言っていたが、念のためちょっと多めに買うことにした。俺も正直食い足りないし。

 そう思って戻ってきたら案の定である。

 

「唐揚げ!」

 

「ああもうあかりさんちょっと落ち着いてください」

 

「焼きそば欲しかったんじゃねえのかお前」

 

 目ぇキラキラさせやがって……揚げ物の匂いは確かにテンション上がるけどよ。

 とりあえず紲星の前に焼きそばを差し出し、座り込んで肉巻きおにぎりに手を伸ば「おかわりください!」

 

「掃除機か何かか?」

 

「凄い勢いだったねー」

 

 多めに買ってきといて正解だったなこれ……。自分の分の肉巻きおにぎりとフランクフルト一つを確保し、残りを袋ごと紲星の前に置く。

 

「わーい!」

 

「サンドイッチの量をもう少し増やすべきでしたか」

 

ふはひへんはいほ(ゆかり先輩の)はんほひっひは(サンドイッチが)ほいひはっはへふほへ(美味しかったですので)!」

 

「何言ってるか分かんねえよ」

 

 リスみてえに口に詰め込みやがって。もう少し味わって食ってもいいと思うんだがな。

 一息ついて、ふと上を見上げればはらはらと花弁が舞っている。

 

「どうぞマスター」

 

「あんがとな」

 

 結月が入れてくれた緑茶を一口飲んで、肉巻きおにぎりにかぶりついていたら弦巻がなにか言いたげな顔でこっちを見ていた。

 

「んだよ」

 

「あたし達には毎回律儀に『マスターはやめろー』って言うのに、ゆかりんにはあんまり言わないんだねー?」

 

「言っても言っても聞かねえんだよこのアホがよぉ」

 

 それこそ小学生くらいからずーっと言ってんのに止めやしねえこの女。そして何で若干自慢げな顔してんだアホ。

 

「マスターをマスターと呼べるのはゆかりさんの特権というわけです!」

 

「違ぇよ」

 

 俺は誰にだってマスターなんてふざけた呼び方をされたくねえんだ。お願いだから伊織を見習ってくれお前ら。 

 

「ふぅ……ごちそうさまでしたマスター先輩!焼きそばとか全部でいくらでしたか!」

 

「えっ嘘あかりちゃんもう食べ終わったの」

 

 …………俺まだフランクフルト食い始めたばっかなんだが。まじでどうなってんだコイツの食事ペース。

 

「マスターはやめろ紲星。確か……三千円ちょいだったかな」

 

「えーっとじゃあ二千五百円くらいでいいですかね」

 

「細かいのは面倒だし二千円で構わねえよ」

 

 紲星から千円札二枚を受け取って財布に放り込む。コイツの食った量を考えれば、もう少し取っても良かったかもしれないが……せっかく来てくれた後輩には、多少良いところは見せておきたい。

 

「ほらやっぱりツンデレじゃないですかマスターってばいったぁ!!」

 

「悪いな結月、手が滑ったわ」

 

「手が滑ってデコピン飛んでくるってなんですかー!」

 

「悪いな結月、今から手が滑るわ」

 

「二発目ー!!」

 

 

「イチャイチャしてないで食後のコーヒー如何ですかー」

 

「ブラックでくださいマキ先輩」

 

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