平子真子に好感度100のクリティカルな彼女ができたら   作:架鍵キー

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Don't say Yes/No. 1 (デート篇)

これは苦労人で貧乏くじを引きがちな平子真子に素直で可愛い恋人ができるお話です。

二人はお互いを好きになって結ばれ、喧嘩をして別れ話になるようなことも一切なく、二男二女に恵まれます。

結婚のことで親と悶着があったり、滅却師侵攻の際に棗が体を上下に分断されたり、子供全員に虚の影響が出たりと、多少アクシデントやトラブルはありますが……

 

そう、これは三文あれば終わってしまう最初からハッピーエンドの物語。

 

さて、平子真子が恋人と幸せに過ごす時間を覗き見する趣味はありますか?

 

 

 

 

 

 

 明日檜棗は貴族です。

 よく手入れされた波打つ金髪と温度を感じさせない銀の眼、着物の着こなし、指先の動きまで優雅に見える仕草など、今ここに存在するまでに莫大な金がかかっていると、ひと目で判る上級貴族です。

 仕事中真剣な顔をしているといかにも上級貴族らしくお高く止まって見え、親しくする人間が不幸になるという噂もあり、あまり関わりたくない人物だと隊内では少々孤立気味です。

 

 しかし、喋ってみると愛想と情熱のある愉快な娘なので、誰に話しかけるのにも躊躇のない気さくな者や、世話焼きな者には好かれていました。

 

 鳳橋楼十郎、通称ローズは前者です。

 三番隊隊長に再び就任してから、吉良イヅルを始め、部下と交流をすることは多いです。

 そこで四席にある明日檜棗が、旧友平子真子に百年も想いを募らせていることを知りました。

 本人は想いの端切れを僅かに口にしただけでしたが、その隣にいた棗の友人が補足──というか、ほぼ全容をローズに語って聞かせたのです。

 

「真子を? 百年も? 生きてるかもわからないのに?」

 驚くのも当然です。

 怪我の手当をして四番隊隊舎に送るまでしか交流がないんですよ。それで百年ですよ。尋常じゃありませんよ。

 

 棗は可愛らしく微笑んで頷きました。

「はい。好きになってしまいましたので」

 頬を染める赤には照れも恥ずかしさも含まれていません。ただ平子のことを想うとこうなります。

 誰に憚る想いではありません。ただ平子が好きです。

 百年色褪せませんでした。これからも色褪せることはないでしょう。

 

 ローズは驚いた後、唇に笑みを浮かべました。

 棗は何というか──

 

 幸せになれなさそうです。

 

 そう感じます。

 そして、彼女を取り巻く誰もがそう感じていました。

 貴族として不自由のない身分で、死神として自分の力で身を立ててもいて、別にそのままでも生きていくのに何の支障もないというのはわかるのですが、何かいやちょっとこいつ誰か何とかできないの? という気持ちを催します。

 

 こういうの、平子がマジで放っておけないタイプです。

 

 平子は長年独り身で、ローズの知る限り想いを寄せる誰かもいません。

 このあたりで真子に春がくるのもいいじゃないの、とローズは思いました。

 なので、お借りしているタイをいつかお返したいと言う彼女に提案します。

 

「なら、今度真子を誘って食事しようか。そのときに持ってきなよ」

 

 明日檜棗は二秒後、隣の友人にしがみつき夢ではないことを何度も確認しました。

 

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