平子真子に好感度100のクリティカルな彼女ができたら   作:架鍵キー

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Don't say Yes/No. 3

 デート前日。

 平子は額を押さえていました。

 棗にどこへ行きたいか尋ねたら「現世」と言われたのです。

 

 彼女は真央霊術院時代と研修中の少しの期間しか現世に行ったことがありません。

 それは現世の文明が今ほど発達するよりずっと前のことです。

 文明度が高くなった現世で遊びたい気持ちはわかります。尸魂界より娯楽の数は比べ物になりません。

 平子と一緒なら安全だという信頼もあるのでしょう。

 

 一応平子もしっかり現世でのデートプランを練って準備をしました。が、心配です。相手は由緒正しき歴史ある貴族のおうちのお嬢様です。

 隊首室で精神的にハゲ散らかしていると雛森が様子を見に来ました。

 

「そんなに悩まなくても。棗さん、平子隊長と一緒に出かけられるだけで嬉しいはずですよ」

「そらわかってるわ。ちゃうねん桃は分かってへんやろうけど貴族のお嬢さんには漏れなく家がついてくるんやで」

 

 棗がよほど内気でなければ告白イベントが起きることもあり得ます。

 それをどうするか、シュミレーションはいくらしてもし足りません。

 貴族にとって令嬢の評判は家と本人の未来を大きく左右します。

 そこらの馬の骨にキズモノにされたなどと悪い噂が立ったら大変です。

 うまいこといい感じにデートを終わらせないといけません。そう、いい感じに。

 

 平子は理解しがたいといった調子で呟きます。

「男と二人で丸一日過ごすて、下手したら変な噂たって将来に響きかねへんのにエエんやろかアイツ。万一俺と付き合うても得するもんなんかイッコもないで」

 

 雛森はいつも飄々としていて女性にも気安い平子でも女の子の扱いで悩むことがあるのだなぁと思いました。

 好きな人と付き合い、特別な存在として傍にいられるのはそれだけで得るものは無限でしょう。普段の平子ならわかりそうなものですが。

 でも本当に悩んでいるみたいですし、余計なことを言うのはやめましょう。

 うまくいくよう祈るばかりです。

 

 

 

 

 一方そのころ棗は実家で使用人の中で唯一彼女を叱ることができる乳母に怒られていました。

 

「お嬢様ッ! そんな、お付きも連れずに殿方と二人きりで遠出するなんて!」

 

 家督相続権を持った年頃のお嬢様が、命の恩人とはいえ男性と二人きりで出かけるなんでとんでもないことですからね。

 乳母の立場からすれば何かあったら取り返しがつかないと思うのは当然の心配です。

 

 棗はそんな乳母に負けず言い返します。

「私は! 平子隊長が好きなの! 一緒に出かけていただけるなんて二度と無い機会なの!

 何をどう言われようとも絶対に行きます!」

 

 どれだけ怒られても止められても引くつもりはありません。

 デートすることで今後の人生が崩壊するならそれでも全然構いません。上等ですよ。

 普段ならこんな言い争いなどせず、許してくれるようやんわりおねだりの形をとりますが、この手の話を乳母が許すことは決してないので棗も頑張ります。

 

 怒られながらもコーディネートに急遽必要になったアクセサリーを宝石箱から持ち出すとすぐ『華紗波』を使って脱出します。

 このまま監禁されるわけにはいきません。

 

 





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