Treasure Hunt! 〜晶竜と闇神と解けない呪い〜 作:青い灰
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あと本編は全読破を推奨しています。
100年クエスト面白いですね………(一気読み
「うぉおおおおおお………」
フィオーレ王国、ハルジオン港。
連絡船の船着き場に、青年と少女が二人。
片方が膝をついて悶え、片方はその背を撫でる。
えずいているのは、青年の方であった。
それを見かねた船員の一人が、苦い顔で寄ってくる。
「お、おいおい大丈夫か兄ちゃん? 船酔いか?」
「うぷ」
「あ、お構い無く。すぐに回復するので」
「ほんとか……?」
「お、お構い…無く……うぶっ!?」
「今にも吐きそうなんだが!?」
「問題ありませんよ。ご迷惑おかけします」
そう言い、少女は彼の背を撫でながら溜め息をつく。
その様子は、まるで兄を介護する妹だ。
青年の髪色は青白く、少女の髪は漆黒そのものだが。
「テネア……渦……」
「えー………嫌なんですけど……」
「お願い……うぶ」
「……………はぁ、分かりましたよ。
ほんっと難儀ですね、滅竜魔導士って」
「!?」
「すまん………」
滅竜魔導士、という言葉に船員は驚きを露にするが、それに二人は気付いていない。
テネア、と呼ばれた黒髪黒瞳の少女は嫌な顔をしながらも、青年の言われてその口元に手を添える。
「えっ、おい嬢ちゃん!?」
「あー……大丈夫です。ほんとご迷惑を」
「うぶ、おぉおお───────ぇ」
「うわっ……」
船員はそれに驚くが、少女は気まずそうな顔で青年の口元に、黒い『何か』を発生させる。
小さなそれは渦を巻き、その場に留まる。
そして、その中に。
「いぃっ!?」
青年の胃から逆流してきたモノが、流れていく。
船員は驚くばかり。
それに少女は再び溜め息をつき、嘔吐が収まると、渦を握り潰すように消失させた。
………勿論、魔法だ。
「あ、ありがと……う……」
「最高にだらしないですね」
かくん、と崩れ落ちた青年を少女が支える。
それに船員は、恐る恐る聞くことにした。
「あ、あんたら……
「ラス……彼はそうですね。私は違います。
あぁ、そういえば一つ聞きたいことが」
「……あ、あぁ! なんだ?」
呆然とする船員に、少女は青年を引きずって聞く。
「
■■■■■
「案外すぐに見つかりましたね。
流石はイシュガル一のギルドです」
「めっちゃ背中が痛ぇ」
魔導士ギルド、妖精の尻尾『フェアリーテイル』。
その門前で、二人はそのギルドを見上げていた。
ラスは苦い顔で背中を擦り、テネアは息をつく。
「………さぁて、行くかあ。
長い旅路だったが、成果が出るかどうか」
「やっとここまで来ましたから、
情報の一つくらいは欲しいところですが。
………無駄足は嫌ですね、ほんと」
そしてラスはギルドの扉に手をかける。
扉を開けると、すぐさま。
「「うわっ……」」
とんでもないくらいの、喧騒。
滅茶苦茶なギルドだと二人も聞いてはいたが、流石にそう言われるだけのことはある。そう思ったからか、そんな声が漏れてしまっていた。
喧嘩。酒。怒声。罵声。
だが同じように、笑い声。
楽しいギルドなのだろう、そう二人は感じ取る。
そして。
「あら、お客さん?」
「あ゛っ!!?」
「うぉっ!? どした!?」
現れた銀髪の女性に、突如としてテネアが叫ぶ。
それに驚きながらラスが見下ろすと、彼女は彼を更に越える驚愕の表情を浮かべている。
そして、震える口を開いた。
「み、ミラジェーン・ストラウス!?
本物!? ねぇ本物かな!?」
「誰!?」
「超有名グラビアモデルですよ!!?
なんで知ら……ラスは興味ありませんか!!」
「あらあら、もしかしてファンかしら?」
「はい!!!」
「初めてだよそんなテンション上がったお前見るの」
ドン引きしながら、ラスはとんでもなくテンションの上がったテネアを見下ろす。
彼女お得意の溜め息はどこかへすっ飛び、目を輝かせ暗い雰囲気は眩しく感じるほど。
彼女の言う通り、ミラジェーンはかなり有名な雑誌のグラビアモデル、なのだが、ラスはそういったものに全く興味がないのだ。
「サインとか頂けませんでしょうか!?」
「ふふ、いいわよ~」
「やったー!」
「子供か。お前年齢考え、うぐぅ!!?」
「ちょっと黙ってて下さいクソ野郎……」
「酷すぎる……」
邪悪なオーラと共に放たれた脛蹴りと罵倒に、ラスは涙目で抗議する。
対するテネアは上機嫌でミラジェーンについていく。
そしてラスはテネアの代わりに溜め息を吐いて。
「………おっ、
それに、気付く。
そして慌てて、テネアとミラジェーンの後を追う。
「はい、どうぞ」
「わーい!」
「…………………はぁ、不服極まりない」
サインを貰い子供のようにはしゃぐテネアを横目に、ラスはギルドのカウンターに座ってジュースを煽る。
そこに、車椅子の小さな老人がやってくる。
「ほっほほ、まぁ大目に見てやりなされ。
まだあのくらいの歳なら仕方ない」
「………あのくらいの歳、ねぇ……」
「?」
「あぁいや、何でも……」
首を傾げる老人に、ラスは苦い顔をする。
こんな老人からもかなりの魔力を感じるのも、流石は妖精の尻尾、と言うべきなのだろうか。
「して、このギルドには何用で?」
「んー……ちょっと依頼を。
俺たち旅人で、出し方も分からないので」
「ふむぅ、本来は評議院を通すべきなんじゃが……
まぁ、困っておるのなら力になりましょうや」
「それは助かります……」
「どのような依頼か、聞いても?」
「あぁ……それは」
「アクノロギアを倒した者たちと、手合わせを」
不敵な笑みと放たれた言葉に、ギルドが静まり返る。
それにラスは笑みを崩さないまま、言葉を続けた。
「そして、新たな依頼を受けて頂きたく。
勿論、俺たちが敗北したなら、の話ですが」
何者も恐れない言葉は、更にギルドを凍てつかせる。
あの戦いから半年、だとしても当然だった。
アクノロギアへの恐怖は、殆どの者が覚えている。
ミラジェーンすらも言葉を失ったその前で。
テネアも、表情を微笑みに変えている。
「お主………」
「報酬は、2つの依頼を受けてから。
ざっと『1000万ジュエル』ほど」
「「「ひゃっ、1000万!!!?」」」
その報酬額に、ギルド中から声があがる。
だが。
「ただし!!!」
「「「っ!!?」」」
ラス、ではなく。その言葉はテネアのものだ。
驚きから歓声になりかけた声は一斉に止まり、誰もが彼女へ視線を向けた。
「依頼を受けて、私たちに敗北したなら。
勝手ながら、相応の処置を取らせて頂きます」
「「「…………」」」
ゾッとするような寒気が、少女から放たれる。
その『相応の処置』という言葉を誰もが聞けない中、あの老人が最初に問いかけた。
「相応の処置、ってぇのは……」
その問いに、二人は笑みを浮かべる。
そして、同時に回答を口にした。
「「このギルドを、跡形もなく消す」」
瞬間、ギルド中から罵声が飛んだ。
「ふざけんな」だの、「馬鹿にするな」だの。
だが二人は笑みと余裕を崩さずに、黙るだけ。
ギルドの強者からの、凄まじい殺気を受けて尚、だ。
それに、二人は答える。
「依頼を受けない、というのなら何もしない。
大人しく
自分勝手な依頼なのは理解してるけどな」
「そちらで敗北なら同じくギルドを消します。
無論、消すというのは建物の話です。
メンバーの帰る場所、なのでしょう?」
煽るような二人の言葉に、罵声は更に酷くなる。
そして。
「鎮まれぇい!!!」
老人の、マスター・マカロフの声が、響き渡る。
「こんだけギルドを馬鹿にされちゃあ、
黙ってられねぇのは分かる。
だが報酬の数字にも、このガキどもの調子にも
踊らされちゃいけねぇだろうが……
それを踏まえたうえで、言おう!!」
「かかって、来いや」
妖精の尻尾を代表したマカロフが、二人を睨む。
ビリ、と肌が震えるような気迫。
そして、ギルド中からの巨大な歓声。
二人はそれに、更に笑みを深めた。
「流石のギルドだな、マスターさん?」
「当然じゃ小僧っ子、妖精の尻尾を舐めるな」
「小僧っ子なんて呼ばれるのもいつぶりかなぁ。
ともかく、やる気が出てくれたらしくて助かる」
「完全に乗せられておるがのォ……
まぁよいわ、受けて立とうではないか」
マカロフはニヤリと笑い、ラスも笑みを返す。
そして、ラスとテネアは顔を見合せて頷く。
「勝負は俺と彼女の二人が相手する!
そっちは滅竜魔導士を三人出してもらおうか!」
「場所の指定はしませんが、
可能な限り広い場所でお願いしたいです」
その言葉に、ギルドの者たちから三人が前に出る。
「私、ですか。頑張ります!」
「ギヒ。面白ぇじゃねぇか」
「燃えてきたぞー!!」
ラスにとって、覚えのある臭い。
三人全員だが、特に、拳を炎を纏って振り回す男。
「成程、お前がイグニールの子か」
「! お前、イグニールを知ってんのか!?」
桜色の髪に、白いマフラー。
彼、ナツはラスに驚いた顔で問い掛ける。
そして、同じく驚きの表情を浮かべる二人にも。
「知ってるとも。どうなったかも、な。
そっちはメタリカーナ、グランディーネか」
「えっ!?」「あァ!?」
「ま、その話は後にしようか」
「はァ!? 今しろよ!」
ナツが怒ったように食ってかかる、が。
ラスはその額を片手で押さえ、押し退ける。
「駄目だ。が……そうなれば報酬を追加しようか」
そして懐から、小さな紅の水晶を取り出した。
それに、ナツはびくりと身体を震わせる。
「………!!?」
「分かるよな?」
「ア? おい
「イグ、ニール………!?」
にぃっ、と笑みを浮かべるラスに、ナツが呟く。
そしてそれに飛びかかろうとし────────
「うごぉ!?」
「言ったろ、報酬だ。前払いは出来ねぇよ」
「ナツさん!? どうしたんですか!?」
するり、とそれを避け、ラスはそれを懐に仕舞う。
慌てて青髪の少女、ウェンディがナツに駆け寄る。
「んな……ワケがねぇ……あれは………」
そして、ナツは驚きの言葉を口にした。
「イグニールの、