辺りには血の海が広がっている。人や動物、妖怪達が無残な姿で死んでいた。中には里の人や友人もおり、その人達も息絶えていた。だがたった一人の子供が生き残っており、泣いていた。
その子供が見上げた先にはアマツ《自分》が浮いている。まるで理性などなく本能のままに力を振るう姿は災厄そのもの。空高く舞い強風を呼び、大雨を降らし大木や建物を薙ぎ倒す。泣いていた子供に気付いたのか近づくアマツ《自分》、子供を見つめていたが興味を失ったのか空へと戻っていく。
空から子供に向かって弾丸のような水流が降ってくる。抵抗できる訳なくそこにいたのはさっきまで子供だった物。
(はっ…また同じ夢…)
あの日以来俺は理性を失い里を滅ぼす悪夢を見ていた。周りをさけるように逃げ込んだ山奥、誰も来ない場所に俺はいる。
(俺は…なんて事を…)
今でも鮮明に覚えている。体をふたつに裂かれ息絶えた天狗達、そしてその光景を見て俺は怖くなり逃げた。今まで能力を制御できてると思っていた、だが今考えれば浅はかな考えだった。自分でもみた事がない力がある、そんな自分が恐ろしくて堪らなかった。
「いつまでそうしている?」
さっきまで誰もいなかった、しかし確かに男の声が聞こえてきた。辺りを見渡すとそこに声の主であろう人が立っていた。まるで一切の光を通さないような黒衣を纏い、なんとも言えない威圧を放つ男。そして頭から伸びている左右対称の角、それがこの者を人間では無いことを証明している。
「何を怖がっているのだ?貴様は勝った、それだけの事だろう」
まるで俺の考えている事など分かっているようだった。
「それにあいつらを殺さなければ、貴様が殺されていたかもしれん。生きる為に殺し合う、それが(アンタに何が分かる!)
(今まで俺は人間として生きてきたんだ!それをいきなりこんな姿に変えられて!生きる為に殺し合う?そんな事俺にできるかよ!)
今まで押さえ込んでいたものが溢れて止まらなかった。怒鳴り散らす俺に応えるように体が黒くなり起こす風も赤くなる。だが男は平然と立っている、まるでこの嵐など意味がないように。
「ならばどうする?今ここで俺が貴様を殺すと言ったら、そのまま抵抗せずにお前は殺されるのか?」
静かに、しかしはっきりとその声は俺に届く。まるで命を刈り取る刃のように冷たい声だった。
(…嫌だ…俺は…死にたく無い)
覇気などない。自分勝手かも知れないが俺はそう答える。
「なら生きろ。そしてその姿を自分のものにしろ、それがお前が生き残る道だ」
そう言ってこちらに背を向け歩き出す男、ふと立ち止まり
「お前には友がいるのだろ?それが傷づけられたらお前がその力で守れば良い」
そう言い残すと男は消えていった
(そうだ、あの時だって)
こいしちゃんが泣いてたから力を振るった。それだけだ。
(もう誰も殺さない。俺なりのやり方でやってみせる)
黒くなっていた体が白くなっていく。まるで憑き物が取れたように美しい白だった。
「あんなこと言う柄じゃ無いわね?あなた」
アマツと男のやり取りを見ていたのかアンセスは意外そうに男を見ている。
「まぁ柄じゃ無いな。だが悪く無い」
自分でも驚いていた。しかし不思議と悪く無い、そう思えた。
(貴様のせいかもな?導きの星よ)
空には青い星が力強く輝いていた
なんとかアマツを立ち直させることが出来ましたよwアンケートともまだやっております。感想などあればぜひ!それでは次回で
登場して欲しい古龍は?
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バルファルク
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ネルギガンテ
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その他(感想で教えてください)