アサシンとアーチャーの力を使うエミヤ   作:影後

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時間がない、それは彼が一番知っている。
理解している、だが終わらない、終われない。
「エインワーズを滅ぼす」
衛宮士郎はその在り方を既に変えている。


囚われし姫

「……俺まで攫って何になる?」

 

「どんな魔術も効かず、与えた傷は瞬時に回復する。……人間ですか」

 

「少なくとも人間さ、貴様等を一人残らず殺す事は確定しているがな」

 

それは衛宮士郎が本来なら絶対に向けない顔。

子供を殺すことは嫌いな衛宮士郎が絶対にしない顔。残虐かつ、血に酔っているような誰もが怯え、恐怖する顔だった。

 

「並行世界の衛宮士郎、貴方は」

 

「俺と敵対した時点で殺す、舐めるなよ?小娘、お前は所詮借り物の力で粋がっているにすぎない。お前は……抗えない力に襲われたとき、どうなるのかな?怯えるか、立ち向かうか、赦しを請うか……フフッ……ハハッフハハハ」

 

「何故笑う」

 

「時間切れだ……バカな女だな」

 

俺の周りから闇が広がる。

それはとある存在の宝具、けして許されるはずのない宝具、だが、衛宮士郎というある種同じ存在だからあの男と同じ事ができる。

そして、奇しくも俺は奴と同じ壊れた神官だ。

 

「苦痛、苦悩、死を喰う蛇よ。生きる糧、焚べる薪に集い給え――悪神は此処に在りて。『零れ氾く暗黒心臓(ザジガーニエ・アンリマユ)』」

 

アンリマユ〘この世すべての悪〙すら衛宮士郎の身体を媒体に最弱のサーヴァントとして顕現した。俺と同質、俺という存在は奴と似通っているのだから、力の一部も扱える。

 

「コレは……!!!」

 

「じゃあな、人形」

 

呑まれそうになる女を嘲笑い、静かに歩く。

 

「……まだ………その時ではない」

「投影開始『空を臨んだ勇気の翼(イカロス・パラスキニア)」

 

堕落した天使の様に空へと飛び上がる。

 

「さぁ……祝福だ、受け取れ

投影開始『偽・不毀の極槍

(ドゥリンダナⅡ)』!!

追加だ、『偽・破戒すべき全ての符』!!」

 

魔力を最も少なくし、撃ち込む一撃。

大した被害も出せないが、挑発には向いているのだ。魔術式も、全てが破壊される。

 

「壊れた幻想」

 

ニタリと笑いながら、俺はその場で顔のない王を投影し姿を隠した。

 

――――

 

それは騎士王であった。しかし、その騎士王はけして一人ではなかった。

 

「アレが……シロウだと言うのか!」

 

「そうだ……お前の衛宮士郎ではないがな」

 

黒き騎士王は嫌悪感を隠すこと無く、隣に立つ青き騎士王へと答えを返した。

 

「行くぞ、シロウが侵入したなら戦場となる」

 

「………黒い私よ、何故そんな冷たい目を」

 

「冷たい目だと?」

 

セイバーオルタはセイバーに言われた台詞に怒りを感じる。

 

「貴様はシロウが優しいと言ったこの目を貶すのか?どうやら、先に殺す相手が決まったようだ。家に帰れず、私の約束された勝利の剣の錆となるが良」

 

「待ってくれ…私が悪かった」

 

「ふん……貴様が帰る為にはシロウに、ひいては私に強力しなければならないのだ。さっさと行くぞ」

 

「あぁ……」

 

セイバーの態度に不満を感じながら、セイバーオルタはエインワーズの屋敷を狙う。

 

「「約束された勝利の剣!!!」」

 

二本の約束された勝利の剣がエインワーズの魔術障壁を破壊し、屋敷を砕く。その先には激しい戦闘をする衛宮士郎とアンジェリカ、ベアトリス、そして怯えているエリカ、気絶しているイリヤの姿があった。

 

「くくっ……小娘、生きてたのか………殺しがいがあるな!」

 

「ひっ……来ないで………いや」

 

「私達の邪魔をするか、衛宮士郎」

 

「悪は俺が決める、俺にとっての悪はエインワーズだ。つまりだ……お前達は全員……鏖殺という答えに繋がるな」

 

「ふざけんな!」

 

「ほぉ……雷神トールの割に弱いよなぁ?所詮、雑魚は雑魚だ。さて……逃さねぇ。知ってるかい、ケルトには……相手を殺すか、殺されるまで、出られないし、邪魔できない呪いがあることを」

 

「逃げろ、ベアトリス!!」

 

だが、アンジェリカの声が届くよりも先にそれは行われた。冷酷に、そして恐ろしく冷たい。

ベアトリスは理解している、勝てないと、殺されると。

 

「四枝の浅瀬(アトゴウラ)」

 

陣が造られると、誰も手出しができなくなる。

不敗と不退の盟約、クー・フーリンが知られているが、ケルトの戦士はソレを行える。

そして、この男も、スカサハからの支持をうけソレを知っているのだ。

 

「来るな………出してく……」

 

「逃げるなよ、俺の妹に手を出そうとしたんだぞ。それに……お前はもう、死んでるんだ」

 

「は?」

 

「刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)だよ。もう、刺さってるんだぜ?」

 

「あっ………」

 

「お前は所詮、弱い存在に対してしか行動ができない雑魚だ。お前達は、俺の逆鱗に触れた。正義の味方とか言う幻想を信じ、馬鹿ばかり行った」

 

「ジュリ……ァ」

 

そして少女達の見ている前で、士郎はより猟奇的な行動に移る。ゲイ・ボルクの穂先に刺さった心臓をもぎ取り、まるで果実の様に口にする。

幸いなのはイリヤが気絶していた事だろう。

サーヴァントである二人の騎士王は知っている。

それが何か、それがどういう事かを。

 

「壊れた幻想」

 

ベアトリスの遺体は頭を遺し、粉々に吹き飛ぶ。

 

「ふむ……ハハッ………そうか……だから腕を落としても復活したわけか」

 

「貴様、ベアトリスを」

 

「巫山戯るなよ、人間でもない、心臓を喰ったが……お前もか?魔力の塊だ。昔喰らった吸血鬼の物よりもな。しかし……魂の固定化か。憎たらしいぜ、アインツベルンか?お前達は……殺してやる」

 

「巫山戯るな!世界の救済が我らの目的だ、ソレを」

 

「巫山戯ているのはお前達だ、世界の救済?

馬鹿らしい、俺はお前達が俺の妹を誘拐、監禁したから殺しに来たんだ」

 

「その程度で、我々の邪魔を」

 

「シロウ!」「シロウ!!」

 

「何で二人になってる、いるのは知ってが……俺の魂食いまで見られるとは」

 

「……シロウ、本当なのですか!彼らの目的が世界の救済」

 

「違う、こいつ等の目的は新世界の創造。そして、人類の進化。新世界でも生きられる存在へのな」

 

シロウはソレを嘲笑いながら見ている。

 

「何がおかしい!」

 

「だってなぁ……新世界に適応するってことは今の肉体を捨てるという事だ。俺なら判る、アカシックレコードに接続し、世界を観測できる俺ならな」

 

「巫山戯るな、根源に到達したというのか!」

 

「お前の言う新世界には未来がない。全ての生命は死に絶え、それに適応した人類。そして、美遊には一人の少女として生きて欲しいという願いが既に届いているんだよ。聖杯となるには既に壊れてるんだ。俺達は知ってるぞ、壊れた聖杯が出した悲劇をな」

 

「あぁ、世界のマナを使うと言っていたな。その先にあるのは全ての命の…終わりだ」

 

 

 

―――――

 

アルトリアは乗ってくれた。セイバーの方はキョトンとしている。純粋すぎる、このセイバーの相手なら衛宮士郎だな。

 

「さて、世界の救済なんて幻想はいらない。俺としては美遊、家族、バゼット、ついでにこの世界の俺も連れていきたいんだがな」

 

「……貴様は」

 

アンジェリカの憎む顔に愉悦を覚えてしまう。

仲間を無慈悲に殺され、俺を憎んでいるのか?

実に人間臭い、そして……馬鹿らしい。

 

「エリカ!!」

 

「…え」

 

「…………」

 

投影するのはハルバート。アルトリアはセイバーを止めてくれている。

 

(俺なら、殺せる)

 

ハルバートを振り押し、あと一歩といった瞬間。

 

「やめて!」

 

「お兄ちゃん、」

 

「イリヤにクロエか」

 

ちょうど良かった、今なら美遊も取り戻せる。

 

「アルトリア、セイバー、イリヤ、クロエ、美遊と恐らくは囚われているだろう衛宮士郎を救え。俺はここに来る面倒くさい奴と、そこのアンジェリカ等を……戦う(鏖殺する)」

 

彼女達が消えるまでアンジェリカを痛め付け、苦しむ様を見続ける。

 

「……やってくれたな、衛宮士郎」

 

「よぉ、馬鹿らしい幻想を抱いた憐れな少年。ダリウスなんて殻は破って出てこいよ。なぁジュリアン君?」

 

「憎たらしい存在だ、我が屋敷を破壊した挙げ句、聖杯にいらぬ知恵を!衛宮士郎!!!」

 

「ありゃ?死んだ仲間の事は言わないんだな。まぁ、今は頭だけだしな」

 

そう言って俺は見せつけるように頭部を踏み砕いた。アンジェリカは無表情ながら反応しているが、ジュリアンにそんな物は無い。

 

「お前という存在が!邪魔なんだ!!!」

 

「お前の結末は地獄行きだ、感謝しろ。神父様が直々に送ってやるよ」

 

 

 




……完璧に正義の味方じゃない。
今、外伝的な感じでFGO編書いてます。

そっちのシロウはここよりはマシかと
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