イレギュラーが起こり、抑止すら作動せず、
たった一人の心によって、世界を滅ぼさんとする人類悪にして救世主、最後の審判を下すこともなく、ただ一つの願いのために。
「ちぃ!」
「これ程までに」
ジュリウスによって作られた存在であるエリカはその身を捧げた。
そして、衛宮士郎を殺すための力をその身から出現させる。
「泥か?いや……それ以下か」
俺は現れたシャドーサーヴァント達に約束された勝利の剣を振るう。
切り裂き、いとも容易く殺して行ける。
「まだだ!俺の結末は…俺の神話は」
俺の心が高揚している、殺して良い存在たち。
これを這いつくばらせ、絶望させ、その眼の前で世界を滅ぼすその姿。
ソレを幻姿する。
悪魔の羽根と天使の翼が生え、既に身体は人間とは言えない何かとなっていた。
楽しい、壊すのが。
苦しい、壊すのが。
殺したい、守りたい、
相反する感情が渦巻いて、そして怒りとなって、
ジュリアン共に向かっていく。
「王の財宝」
シャドーサーヴァントと共に数多の宝具が降り注ぐ。
「熾天覆う七つの円環」
左手から巨大な花が開く、おかしい。
何も感じない、苦しさも、辛さも、今まで感じていた気怠さも。
まるで、命が蘇っているかのように。
「何故………貴様にそんな力は」
「投影開始」
撃鉄が上がる、今自分自身が一発の弾丸とかしている様にも感じてしまう。
「さぁ、デッド・オア・アライブ
『I am the bone of my sword
(体は剣でできている)
Steel is my body,and fire is my blood.
(血潮は鉄で心は硝子)
Standing on many corpses
(いくつもの屍の上に立ち)
Imprisoned for eternity
(悠久に囚われる)
Still I seek meanin in my life
(それでも我は生涯に意味を求める)
That’s my why this body
(だからこそ、この体は)
”Infinited sword works”
(無限の剣でできていた)』!!!」
「……固有………結界だが……これは」
また固有結界が進化している。
死体と剣山だったあの世界に花が舞、屍達はきえ、刃達がまるで墓標の様に立っている。
「あり得ない……何故、お前はアレだけ狂っていて、世界はこんなにも」
「優しい、と感じるのか?」
瞬間、楽園のような世界が燃えた。
ジュリウスとアンジェリカが燃えていく、地獄の業火に焼かれていく。
かと思えば、吹雪の中に晒される。
「お前は………何なんだ」
「憐れなものだな、ジュリアン。自身の事も理解できず、正義の味方を履き替え、哀れにも!俺という、絶対に勝てない存在にここで殺される運命なのだから」
「なっ!なめるなァァァ宝具開放!エヌマ・エ」
「残念だが、俺の世界で宝具は使わせんよ」
天地乖離す開闢の星がまるで星屑の様に消えていく。まるで世界から消されたように、始めから存在すらしていない様に。
「俺の世界では、俺の許可なく、俺が創り出した武器を扱うこと、俺が創り出した武器以外を使う事はできない。ここは、俺という存在が、最強である為のフィールド。ここに飲まれた時点で、お前達に未来はない」
「巫山戯んな!お前は、お前はこの世界が」
「どうなっても構わない、俺が守るのは家族だ。死にゆく世界なんてどうでもいい」
俺が最後の一撃を与える為、剣を振るう。
だが……それは自分自身が見たことがない程に黒く、禍々しく、神聖さを感じるものだった。
「審判の時だ」
それはキリストを串いた6本の槍の内の一つ。
教会の深部に保管されていた本物に99.9%近付けた聖槍。
「運命の槍《スピアオブディスティニー》」
全ての邪悪を払い、聖なる力を与える、聖人の血を吸い、聖槍という存在に昇華された槍。
誰も、受け止められるはずがない。
英霊として、正真正銘の英雄王か、あの男なら、止められただろうが、この者達には不可能だ。
「さぁ………理想に溺れて眠れ」
____
「クソッ、雑魚共が!イリヤスフィール、美遊は見つけたのか!」
「わかってるけど、」
「約束された勝利の剣!」
「大丈夫です、イリヤスフィール。私達が援護しますから」
「つくづく吐気がする、私はこんなだったのか」
私の前で何時もの黒いアルトリアさんと、青いアルトリアさんがエクスカリバーと言って黒化英霊を倒してる。
「えと、訳がわかりませんわ!何でこんな事に!」
「少しはだまりなさいよ!」
ルヴィアさんと凛さんも叫んでるし、ギルとギルさんはどっか行ったし、もう……どうすれば
「イリヤ!」
「美遊!良かったぁぁぁぁ!!!!」
「えっちょっと……イリヤ」
「抱きついてるんじゃない!わかってるの!今まで外でお兄ちゃんが戦ってる!お兄ちゃんは死ぬ寸前なの!さっさと助けて戻らないと本気で死ぬのよ!」
「え?」
「……シロウが死ぬとは」
そうだ、アルトリアさんはまだ知らないんだ。
でも、今話している時間はないし、
「あっと、やぁ……お前達は………美遊?」
「うそ……お兄……ちゃん」
そこにはギルさんに肩を貸されてボロボロになっているお兄ちゃんがいた。
でも、お兄ちゃんは外で戦ってて、
「………もう、考えるのは後!早く出るの!お兄ちゃんを殺したいならそうしなさいよ、私が、斬り刻んで持って行って上げるから」
クロが叫んで私達は外にでた、でも風景はあのクレーターと違って、楽園の様になっていて、
お兄ちゃんがジュリアンとあの女の人を殺そうとしていた。
「……ねぇ、クロ。お兄ちゃんに翼が生えてるし、何か角生えてない?」
「………獣とは違うな、まったく別の何かか。セイバーよ、お前は止めることはできなかったな」
「黙れ、英雄王」
黒いアルトリアさんが飛び出していった。
「……シロウ、撤収だ。この者達は捨て置け」
何か神々しい槍を放とうとしていたお兄ちゃんをアルトリアさんが止める。
「何を言う、ゴミは殺すだけだろ」
でも、お兄ちゃんは止まらなかった。ジュリアンに向けて槍を投げる。
「ジュリアン!!!」
そう、叫んであの人、アンジェリカさんが倒れた。腹部から血を流して、今にも死にそうで
「駄目ですよ、先輩」
でも、続かなかった。
あり得なかった、お兄ちゃんの胴から剣が生えた。
「先輩、どうして、私から逃げたんですか?」
「先輩、私はずって待っていました」
「先輩、私、ずっと、好きだったのに」
「先輩、殺して下さい」
二人、クラスカードを使って現れた女性。
一人はアサシンのクラスカードだと思うけど、もう一人が判らない。
「……何故、お前が」
「フフッフハハフハハフハハハハハ!!!傑作だな!お前も殺せたい相手がいたか!最高だ!最高だ衛宮士郎!!!」
「くっ!貴様、よくもシロウを」
「待て……アルトリア、駄目だ、駄目なんだ」
お兄ちゃんは何かを喋ってる。
でも、伝わらない。
「桜、済まない、俺は少なくとも、お前を殺せない。だから……眠れ」
風景が変わる、墓地のような、怖くて、でも、何処か安らぎを感じられる場所に。
「遠坂!やれ!!!!」
「え?私なの?!」
「まったく、感づいてたの!」
辺りに見覚えない宝具が散りばめられて、そして
「アーチャー!お願い!!」
「不本意だが、マスターの命だ!投影開始!」
お兄ちゃんを串いていた剣をアーチャーと呼ばれた人がお兄ちゃんを蹴り飛ばしで!無理矢理抜かせて!そのまま抱きかかえてる。
「セイバーも行くわよ!」
「ちぃ……エインワーズだったか………次は、この騎士王の怒りをうけよ」
「もう、何なのよ!」
凛さん達も驚いたけど、ギルとギルさん、アルトリアさんが
「行きますよ」
的なことを言って先導してくれた。
兎に角、私達は勝ったんだ。
______
「……つくづく嫌な顔を見る、遠坂。聖杯戦争は終わってるじゃないのか?」
「私としては子供から逃げて私と桜を置いていった貴方を信用できるかと言われたらできないのだけれど」
「シロウは私のだ、リン。貴様には渡さんぞ」
「……忠犬、何故この駄目イド女が二人に?」
俺、衛宮士郎は平行世界まで来て家族会議に繰り出されている。
「えと、だな。俺が平行世界の衛宮士郎と言う話はしたか?」
「なっ!そうなんですのMr.?!」
「えぇ、でも何で私がいるのよ、しかも」
「なに?若い頃ってこんなにもキャンキャン言ってた訳?」
「ふむ、マスター。今と変わらないと」
アーチャーの奴が無駄口を叩いて遠坂に、ガンドを打ち込まれてる。
「地獄に落ちろ、マスター」
「兎に角だ!平行世界で何だが、俺はシロウ・コトミネ・オルテンシアかシロウ・エミヤ・オルテンシアと名乗り、子供が6人いる」
「えぇ、認知も!定期的に会いにも、来るわね!そこの腐れシスターに奪われたけど」
「フフッ」
カレンがにこやかに笑ってるが、止めろ。
「てか、アンタも何でイリヤが居るのよ!前回でギルガメッシュに」
「止めろ、さっさとここに来た理由を」
「……は?聖杯解体するために聖杯戦争起こして!アンタが裁定者として派遣されて、言峰みたいに気づいたらセイバーのマスターなってたクセに!」
「待て、俺は知らんぞ!俺は遠坂、お前から解体するから手伝えと言われたがその時は始祖と戦闘中でしかも、ボロ負けして大怪我を負った時期だ!カレンが行ったはずだぞ」
「えぇ、忠犬の変わりに私が…………」
「つまり?限りなく近い所にある平行世界の衛宮士郎ってこと?」
「そうだ、しかも俺とカレンは転生して更に平行世界に生まれた。俺は衛宮士戸で、偽名のシロウ・コトミネ使って教会で雇われ代行者してて、今はカレンとアルトリアと板挟みで生活してる」
「……あら、朴念仁の振りは止めたのね」
「朴念仁のフリして内縁の妻が2人だぞ。二度とするか」
「でも、聞かせてよ。貴方の世界の衛宮士郎は」
「少なくとも、ここにいる遠坂凛とルヴィア、間桐桜、あとイリヤは落としてるし、リズとセラも」
「最悪ね」
アーチャーが傷を受けてるけど、俺は笑ってやる。そして、後ろを向けば
「お兄ちゃん、最低」
「シロウ、見損なったぞ」
「……平行世界のシロウとはいえ」
なんでさ
なんやかんやあってわ俺達は学校からこの世界の衛宮士郎の武家屋敷に来た。
「まず、俺達もうすぐ死ぬ衛宮士郎の世界だ」
「お兄ちゃん、そんなの止めて」
クロエに泣き顔で止められるが、あの時の昂揚感が抜けたせいか正直歩くのもやっとだ。
「……冗談抜きだ、俺は今戦えば戦うほど身体が死んでいく。戦えば強いが、マジで寿命の前借りみたいなもんでな、死んだらアルトリアとアヴァロンを探す旅に出る予定だ」
「そう、まぁ私は逃がしませんが」
「カレン、貴様は付いてきそうだな」
「兎に角、俺の世界をAとし、そこのボロボロの衛宮士郎いるこの世界をBとし、遠坂達の世界をCとして、分けた」
Aメンバー
衛宮士郎 アルトリア・ペンドラゴン
カレン・オルテンシア
クロエ・フォン・アインツベルン
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
遠坂凛 ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト
バゼット・フラガ・マクレミッツ
ギルガメッシュ
Bメンバー
衛宮士郎 美遊 ギルガメッシュ 言峰綺礼
山田
Cメンバー
遠坂凛 サーヴァントの塵芥なゴミクソ野郎
間桐桜 セイバー 多分いるその世界の衛宮士郎
「貴様は私に対して」
「丁度いい、この世界の俺。紹介してやるよ、正義の味方を願ったあげく、小を切り捨てるという狂った衛宮切嗣の考えに理解を示し、抑止力と契約して抑止の守護者に落ちた俺達の成れの果ての一つだ」
「は?」
「つくづく貴様は、そう言うお前こそ正義の味方ではなく悪の敵として世界中の悪を私刑で裁き、カレン・オルテンシアに救われるまで地獄にいた。代行者として人ならざる存在や外道魔術師を何人殺した?証拠も残さず、家族ごと、そして…最終的には人類悪でありながらまったく別の何かへと、貴様根源と接続までして」
「あん?アルトリアと歩むためだった、根源に繋がったのは何故かは知らんし、知るつもりもない。あと、こんな風になったのは想定外だ」
そう言って俺は天使と悪魔の様な姿を見せる。
「待ってくれ、二人共平行世界の」
「そうだな、お前だよ。衛宮士郎、しかもだ。俺は根源、アカシックレコードに常時接続状態でな、お前の記憶も流れてきた。まったく、こっちに俺が居なかったら美遊は独りぼっちだった。判ってるのか?」
「それは、そうだけど」
「お前も逃げるべきだった。それこそ、美遊と一緒に」
美遊の兄だからこそ判る言葉を紡ぐ俺と衛宮士郎。
「それで、私としてはCのメンバーが気になるんだけど」
「なに?多分いる衛宮士郎って、後何で桜さんが」
「まず!セイバーが現界してるからだな、パスが無ければサーヴァントは終だ。でも、未だに受肉もせずに現界している事。エインワーズに居なかったという事はその世界の俺は多分、独自に動いてるな。それこそ、セイバーに魔力だけを供給して。次に、何故間桐桜なのか。アサシンのクラスカードを使っていたのが桜だからだ。それに、もう一つのカードは何故かダブってるランスロットだな。アサシンは多分呪腕のハサンだろう」
「どうして」
「桜が先輩と呼ぶのは俺、衛宮士郎だけだ。ほかは遠坂先輩やら名字をつける」
「へぇ、そこは、気付いてたんだ」
「伊達に朴念仁のフリなどしていない。俺は聖杯戦争に勝つ為の準備をしてたんだからな」
「の割に、キャスターと葛城先生をもう一人の両親的に、言峰を師匠としてたり、」
「止めろ、兎に角だ。まぁ、おかしくはないだろ。何処かの世界線で呪腕のハサンはあの、間桐源蔵のサーヴァントだし、ランスロットは間桐雁夜のサーヴァントだ。間桐という関係なら桜と繋がりは有る」
俺はアカシックレコードをを頼りに情報を得る。
「それで、山田ってだれ?」
そうイリヤから聞かれた、いや山田のはずだぞ。
「私は田中です!」
「すまん」
急いで書き直す、しかしだ。何故武家屋敷にホワイトボードが
「ついでにいえば、Aでの最高戦力は英雄姫ギルガメッシュ又は、コトミネです。彼はどうやら影の国にまで赴き、かのクー・フーリンが行った修行を二ヶ月で終わらせてきた男です。ルーン魔術においては、この中でNo.1で」
「貴様、そんな事まで」
「マジで私の所の衛宮士郎とは違うわね」
「ゲイ・ボルクは貰えなかったが、生身でも強いぞ?」
言峰綺礼仕込の八極拳と、スカサハ仕込の体術と槍術とルーン魔術、さらにアルトリア仕込の剣術もある。
「なぁ、俺もアンタみたいに強く」
「なりたいか?なら、どうだ?お前の傷も直してやるぞ、アカシックレコードの魔力を自由に引き出せるからな、亜種聖杯なら簡単に作れる」
「聖杯を?」
「といってもあくまでも魔力リソースだぞ?お前のボロボロの身体なら治せるかもな」
そう言って模造聖杯を衛宮士郎に渡してやる。
死ぬべきじゃない、コイツは俺よりも人間らしいんだから。
「…願えば、俺は治るのか?」
「治るし、お前の魔術も教えてやる。俺と、そのカードの英霊と同じ様に戦わせてやる。カードなしでな」
衛宮士郎は決意したように聖杯を使った、そして白だった髪やボロボロだった身体が治っていく。
「流石だね、偽物」
「真の聖杯は要らないさ、俺はこの世界から連れ出したいんだからな」
「まったく、別世界はどうでもいいか」
傷が治った衛宮士郎に抱きつく美遊。
ソレを見たら、何処か嬉しくて、切ない気持になっていく。
「…」
その時だ、俺の視界が揺らいだ。
「お兄ちゃん!」「シロウ!」
クロエとアルトリアが支えてくれる。
「ゴホッゴホッゴホッ」
口から溢れようとする大量の血をおさえ、ボロボロの神父服で拭う。
「大丈夫なのか」
「きにするな、美遊の、俺達の妹の為だ。それに、俺には恋人も、家族もいる。こんなので死んでられないんだが………」
「なぁ、風呂入って寝てくれ。もぅ、立ってるのも辛いんだろ?」
衛宮士郎(自分自身)に見透かされたようで、何だか変な気分だ。
「そうだな、」
「私が入れよう、行くぞ。シロウ」
「ならば私も」
「黙れ、貴様は貴様のシロウの心配をしろ!」
「私が手伝うわ、私の忠犬だもの」
「シロウは私のだ」
アルトリアはカレンを認めている気がする。
何故か、二人で俺を風呂に連れて行こうとするからだ。
「お兄ちゃん、帰れるよね」
「大丈夫だ、クロエ。また、キャンプしような」
アルトリアとカレンは俺を支えてくれている間、何も言わなかった。