アサシンとアーチャーの力を使うエミヤ   作:影後

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衛宮士郎の始まりPart1

翌日、俺達3人はとある相談会というか、どういう存在なのかを全員に伝えるために集まっていた。

 

「……くそったれ、じゃんけんで負けたから俺からだ。そうだな、これは俺達の聖杯戦争。それこそ、クラスカード、なんかじゃない。真に、英霊、サーヴァントと7人のマスターによる殺し合いの話だ」

 

 

それは衛宮士郎の始まりの物語。

 

1994年、冬木市を災害が襲った。

しかし、それは災害などではない、一人の魔術使いの、願いの先にあったものだった。

 

「熱い………ここは」

 

燃え盛る街並み、煤け、誰も居なくなった瓦礫の上をただ只管少年は歩いていた。

助けて欲しい、死にたくない、誰か、誰か。

願い、求め、歩き続けると一人の男が少年を抱きしめた。

 

「生きていてくれてありがとう」

 

それが少年の、――士郎が終わった瞬間だった。

士郎は気付くと病院の上で寝ていた、点滴を打たれ、ボロボロだった身体は動かせない。

 

「……君は、このまま施設に入るのと、見ず知らずのおじさんに引き取られ付のなら、何方が良い?」

 

おじさんいや、衛宮切嗣はそういった。

その日から、――士郎は衛宮士郎となった。

衛宮士郎は良く教会に祈りに行った。

神が何かしてくれたのかと、願いが通ったのだと。

 

「ふむ……熱心な信徒かと思ったが、どうやら違うようだな」

 

「言峰神父のご友人の……おはようございます」

 

「フッ…童子にしては良くできている、貴様名を」

 

「衛宮士郎です」

 

それがある種の腐れ縁の始まりであった。

ライダージャケットを着た金髪の男性は、士郎から見ても整い、そこら辺のモデルが霞んで見える程の男性だったのだから。

 

「……励めよ、偽物(フェイカー)。そしてだ、神等に祈るのは止めよ」

 

それが、フェイカーと呼ばれた由縁。

人類最古の英雄王に名付けられた肩書だ。

 

「……言峰神父」

 

「今日も来ていたか、衛宮士郎」

 

「えぇ、しかし神に祈るのは止めにします。何故か、金髪の男性と話してそんな気がしたので」

 

「では、何に祈るのかね?」

 

「何でしょう、息とし生きる者達とはどうでしょう」

 

士郎は子供とは思えないほど、感性が変わっていた。美しいものも、醜い物も、悪しき物も、全てが等しく映るのだ。

ソレを相談できたのが、言峰綺礼という神父だけだった。

それからだ、衛宮士郎は言峰綺礼に何故か気に入られた。

八極拳という戦い方を習い、人ならざる存在と戦う事を教わった。

だが、それは日常の外での事だ。

日常では士郎は義父である衛宮切嗣の世話を続けていた。時折訪れる藤村大河にも手伝って貰っていたが、それでも一番献身的に世話をしていた。

長期の旅行に赴いては衰弱していく、そんな衛宮切嗣を士郎は見ていて苦しかった。

 

「士郎、僕が魔法使いだって事は話たかい?」

 

「義理父さん、そんなのは止めろ。冗談は」

 

「冗談じゃない、士郎。僕は、君に魔術を教えたい……僕のスペアになってほしかったんだ」

 

衛宮士郎は知った、衛宮切嗣が自分を拾ったのは助けた為と、もう一つ。自分のスペアとするためだと。

 

「士郎、君には姉がいる。その子はきっと僕を、そして、君を憎むだろう。でも、見捨てないで欲しい、士郎」

 

「判ったよ、姉さんに会う。そして、助けるよ」

 

それが衛宮士郎の最初の誓いだった。

そして、次に来るのが衛宮士郎が悪の敵を願った誓い。衛宮切嗣から魔術を教わり、鍛え上げられ、衛宮士郎は衛宮切嗣すら越える存在となった。

 

「僕は正義の味方になりたかったんだ」

 

衛宮切嗣の最後の言葉に士郎はつなげる。

 

「なら、俺がソレを支えるよ。俺は、正義の味方にはなれないけど、きっと悪の敵にはなれる。誰かを踏み躙る悪を、倒す、そんな奴になら」

 

「あぁ、その時は二人で頑張ろう」

 

そして、1999年1月15日の話だ。

衛宮切嗣は眠るように息を引き取った。

しかし、衛宮士郎は泣けなかった。

家族のはずだった、悲しくもある。

だが、何処か理解していた。

覚悟していた、衛宮切嗣の死に泣くことはなかった。

 

「泣かないのかね、衛宮士郎」

 

「言峰神父、悲しいとは何でしょう。何処か、感情が苦しくはあります。しかし、涙は流れない。これは駄目なのでしょうか」

 

衛宮士郎は八極拳の師である言峰綺礼にその事を相談する。誰か、それこそ家族が死んで悲しいという感情が理解できない。

人はいずれ死ぬ、遅かれ早かれだ。

 

「ふむ……面白い、衛宮士郎。私の仕事を手伝い給え」

 

衛宮切嗣が死ねば、言峰綺礼が師となり衛宮士郎を鍛えた。人ならざる物を狩り、魔術を教わった。

 

「待ちなさいよ!言峰と最初から知り合いだった訳!」

 

「……遠坂、別に」

 

「巫山戯んじゃないわよ!言峰の奴も」

 

「…続けるぞ」

 

衛宮士郎は恐怖のコントロールも可能となった。

親密な存在である間桐桜、姉代わりの藤村大河の前ではまったくの別人を演じられた。

研ぎ澄まされたナイフではなく、一人の存在。

衛宮士郎でいられたのだ。

そこから数年し、衛宮士郎の前にはもう一人の師となる人物である葛木宗一郎が現れた。

 

「……衛宮、何故求める?」

 

「救わなきゃいけない人がいるんです、先生。

殺してでも、血を流してでも、救わなきゃいけない人が」

 

そして、数ヶ月いや1年程、衛宮士郎が葛木宗一郎に師事を受けていると葛木宗一郎はボロボロの女性を拾ってきた。

当時の衛宮士郎はその正体を知っていた。

キャスター、聖杯戦争の為に呼び出された過去の英霊だと。

だが、衛宮士郎は参加すると思っていなかった。

 

「あら、坊や宗一郎様は」

 

「先生はまだだよ、キャスターさん。ほら一成に何か言われる前に作っちゃおう」

 

キャスターのサーヴァントは貴賓に満ちていた。

だが、宗一郎を愛しているのは本当だった。

衛宮士郎は柳洞寺に通いながら、キャスターに料理を教え宗一郎から教えを受け、自身の養父の墓を整える。

この頃には衛宮士郎にとってキャスターのサーヴァントは母の愛を知らない故に、母親の様になっていた。

 

「……坊や、魔術師なのね」

 

「……うん、親父からも受け継いだ。投影開始」

 

キャスターという存在を知っているから、信頼し、信用しているから、死んで欲しくないから、衛宮士郎は自分の秘密を見せた。

 

「投影魔術、しかも………これは」

 

キャスターに見せた物は簡単なフォーク。

しかし、本来なら消滅するはずの投影魔術は残り続け、存在している。

 

「壊れたりすれば消えるんだ、ほら」

 

フォークの先端を壊し、消滅させる。

キャスターはそれに驚愕し、問うた。

 

「坊や、貴方は」

 

「……助けたい人がいるんだ、俺の親父は、その人を助けられなかった。だから、スペアとして俺を助けたんだ。それが、それが存在意義だから」

 

衛宮士郎はそこで壊れた。

誰でも良かったのだと、家族とはスペアではない、血の繋がり有る者達だけなのだと。

 

「…うそ、パパは」

 

「……そうだろうね、イリヤ、お前の衛宮切嗣は優しいんだよ。俺も優しくされたから判る、俺の所の親父は俺の事はきっとスペア程度だったがね」

 

だが……それでも衛宮士郎は衛宮切嗣を尊敬していた。家族として、父親てして。

学校では各部のサポーターとして活動し、学生間の仲も良い。

衛宮士郎は典型以上の優等生だった。

 

「よぉ、衛宮」

 

「慎二か、何だ?次のテストで賭けでもするか?そうだな、負けたら新都で焼き肉奢りなんて」

 

「はっ?やってやるよ、今度も僕が勝つけどな」

 

「ざけんな、1点差なくせに」

 

「お前が英語でしくってくれて助かったよ」

 

「……許せねぇ」

 

衛宮士郎にとって間桐慎二はライバルであった。

自分と同じ様に優等生を演じていながら、何処か抜けている存在。そして、守りたい日常である間桐桜の兄。

柳洞一成は親友であり、大きな存在であるのだ。

 

「しっかし、慎二。もし、俺が魔法使いだって言ったら信じるか?」

 

「は?」

 

その時の慎二の顔には衛宮士郎の知らない程の闇があった。

 

「ほら」

 

そう言いながら衛宮士郎はまるで手品のようにナイフを懐から出し、自分の口に入れていく。

周りにいた生徒達も驚きの声を上げる。

 

「あむあむ……たらーん」

 

「は?」

 

「ネタバラシ、慎二食べてみろ」

 

衛宮士郎はもう一本のナイフを出し、慎二の口に入れる。はたから見れば猟奇的な映像だが、それは直ぐ様収まる。

 

「甘?!」

 

「デザインチョコだ、クソ甘いし不味い。なぁ、慎二。お前最高だよ!一緒にマジシャンやらないか!売れるぞ、俺達さ!」

 

「巫山戯るな!尖ってたぞ!てか、何処から出した!」

 

衛宮士郎は笑いながら許してくれと謝る。

間桐慎二はそういう存在だった。

だがその日常も破壊された。

1月31日の事だった。

何時ものように暗い夜道を武家屋敷へと帰る途中、異国の少女に声をかけられた。

衛宮士郎はその存在を知っている。

 

「…早く呼ばないと死んじゃうよ、お兄ちゃん」

 

「……イリヤスフィール姉さん」

 

「へぇ………わかってるんだ。でも、私は貴方とキリツグを許さない」

 

それが俺とイリヤスフィール姉さんとの初の

 

「待って!お兄ちゃんよりも私が…歳うえ?!」

 

「見た目は変わらんがな、イリヤスフィール姉さんはホムンクルスだ。勿論、お前もだイリヤ。今は違うぞ?どうやったか知らんが、お前は人間だ」

 

「へ?」

 

「イリヤスフィール姉さんは当時18だったしな、それよりも続けるぞ」

 

2月2日の事、衛宮士郎は親友の一成の手伝いをしていた。

 

「くわぁぁぁ」

 

「おい衛宮、人前で欠伸はするものでない」

 

「一成、そうは言っても仕事が多すぎだぞ。まったく、このブラウニーと言えども大変だ」

 

「ブラウニーよりも、貴様はルシファーだ!」

 

「堕天使かよ」

 

これは当時の衛宮士郎の異名である最初、何故か穂群原学園のブラウニーと呼ばれていたのだが、人をおちょくり、笑い、愉悦を感じていると、『穂群原学園の堕天使』と何故か呼ばれるようになった。当時としてはブラウニーの方が好きであったが。

 

「兎に角だ、貴様は速く帰れ。残りは俺がやっておくよ」

 

「悪いな、お先に失礼」

 

衛宮士郎は静かに立ち去る。

そして見てしまった、当時赤い悪魔と呼ばれ

 

「危な?!ガンド飛ばすな遠坂!」

 

「「アンタが変な事言うからでしょうが!!」」

 

「赤い悪魔が!」

 

兎に角、赤い悪魔と呼ばれていた遠坂凛とそのサーヴァントである色黒見せ筋赤

 

「偽・螺旋剣」

 

「熾天覆う七つの円環。お前等は静かに話を聞けないのか!」

 

「黙れ、貴様こそきちんと話せんのか!」

 

遠坂凛とそのサーヴァントてあるアーチャーが、ランサーと学校の校庭で戦っていた。

魔術の秘匿も考えず、学校にその時間なら人が居ないと、甘い想定をした結果である。

もっと別の場所でやりようがあった筈だが。

 

「は?」(遠坂凛A)

 

アーチャーとランサーの戦闘は熾烈を極めていた。アーチャーくせに干将莫耶を投影し、ランサーのゲイ・ボルクの高速で打ち合いを行っていた。あれは見ていて思った、何処がアーチャーだとな。恐ろしいのはランサーだ、アレだけトリッキーに戦うアーチャーにハンデを負いながら戦闘していたのだから。

俺は、面倒事に巻き込まれたく無いためさっさと逃げる事に

 

「ふざけてるわよね?あの時の事忘れてないわよ」

 

ココは私、遠坂凛(A)が話すわよ。

衛宮君はアーチャーとランサーの戦いを見て、偵察に徹していたの。

私のアーチャーとランサーの戦い方、ソレを調べるためにね。でも、アーチャーがそれに気づいた。

 

「何者だ!」

 

あの時の事は覚えてるわよ、急に大きな、それこそ人が隠れれる程の盾を持った生徒がアーチャーと、ランサーを吹き飛ばしたんだから。

 

「ちっ……」

 

その後、まるで煙のように消えたわ。

 

「あの野郎!巫山戯やがって!!弓兵!てめぇは後だ!」

 

「まて!ランサー!!!」

 

あの時のランサーはキレてたわね。

恐ろしい事に衛宮君はその後、顔のない王という宝具を使って逃げていたらしいの。

 

「……ここからは俺だぞ」

 

衛宮士郎は命からがら武家屋敷へと戻ったのだが、どうやらランサーに追跡されていたようでバレてしまった。

 

「てめぇ、何もんだ。魔術師じゃねぇな」

 

「ほお、流石だな。赤枝の騎士、相手にとって不足なし」

 

衛宮士郎はラウンドシールドを投影した。

そして、ランサーと一騎打ちに入ったのだ。

 

「あるのは知っている、固有時間制御2倍加速」

 

それは、衛宮切嗣から受け継いだ魔術。

衛宮士郎は盾を使い、ランサーを吹き飛ばす。

 

「つええ……こんな戦いだ!俺が待ってたのは!」

 

「当たり前だ、しかし…この盾使い勝手が良いな」

 

「はぁぁ!」

 

衛宮士郎に迫るゲイ・ボルク、真名は開放していないが、ランサーのそのスピードは実に恐ろしい。しかし、固有時間制御で加速している衛宮士郎はなんとか対応できたのだ。

 

「お前、名は」

 

「スカサハ」

 

「ざけんな」

 

「衛宮士郎だよ、赤枝の騎士」

 

「ちっ…有名すぎんのも問題だな。お前とはもっと楽しみたいが……悪いな

刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)」

 

「真名開放、

偽・理想の城

フェイク・キャメロット」

 

かの城が映りだし、消えた存在が蘇る。

盾は消えていく、しかし段々とけずられていき、ついに衛宮士郎は土蔵へ吹き飛ばされる。

ラウンドシールドを杖代わりにして立ち上がる。その時だ、地面が光続け、俺はその日に運命とであった。

 

「問おう、貴方が私のマスターか」

 

「あぁ、俺が……君のマスターだ」

 

「マスターだったのかよ、サーヴァントまで呼び出しやがって」

 

「マスター、その盾!いえ!怪我は」

 

「ランサー、赤枝の騎士クー・フーリンのゲイ・ボルクだ。この盾が無ければ即死だった。いやはや、流石因果逆転のやり、避けることは叶わず、刺されなければ意味をなさないとはな」

 

「……貴方がその盾を持っている、気になりますが、良いでしょう」

 

「えっと、クラスは?」

 

「セイバーです」

 

「なら、セイバー。ランサーの撃退が優先だ、倒す必要はない。行くぞ、」

 

「はい、マスター!」

 

衛宮士郎は鎧を投影した、かつて見た西洋鎧。

ソレを、生きるために。

 

「はぁ!」

 

「クソ、見えねぇ剣ってのは卑怯だろうが!」

 

「どうした、赤枝の騎士!」

 

衛宮士郎の盾とセイバーの不可視の剣。

たった今、出会ったとは思えない程に整った連撃、それにクー・フーリンは嫌気が差していた。

 

「てめぇ、本当はそのセイバーの従者とか言わねぇよな!不老不死とは!」

 

「ざけんな、不老不死なんているかよ!苦しさなら、お前が一番知ってんじゃねぇの?!アンタの師匠からさ!!」

 

「ちぃ、嫌な所をを!」

 

「セイバー!」「マスター!」

 

「ちぃ!クソが!」

 

ランサーは衛宮士郎を蹴り飛ばすと、闇夜に紛れる。

 

「マスター?!待て!ランサー!!」

 

「セイバー、もう良い……」

 

受け身に成功していたが、鎧は砕け、霧散していく。残っているのは盾だけだ。

 

「ふぅ……」

 

ボロボロとなった武家屋敷を魔術で修復する。

苦手ながらの作業で時間を食い、更に自身の手当が遅れてしまう。屋敷の中に入り、自身に簡単な手当を行う。セイバーに手伝って貰いながら、歩き、座布団に座る。

 

「……さて、セイバー。話そうか」

 

「マスターは魔術師なのか」

 

「ん…いや、魔術使いかな?俺の名は衛宮士郎」

 

「衛宮?すまない、衛宮切嗣という名に」

 

「……そうか、真名は判った。すまない、アーサー王。義父が貴方に、死んでしまった彼に変わり、俺が謝罪を」

 

衛宮士郎はセイバーに深く、頭を下げた。

 

「いえ、過ぎたことです。それで、マスターの願いは」

 

「……願いはない。強いて言うなら、イリヤスフィール姉さんを救うことかな。衛宮切嗣が出来なかったことだから」

 

「マスター?」

 

「俺は、親父のスペアだから。親父が助けられなかったイリヤスフィール姉さんを救う必要があるんだ」

 

当時の私(アルトリア)はその瞳を見て私と同じなのではと思ってしまいました。

 

正直、見ている私が苦しかったぞ

(アルトリア・オルタ)

 

「……セイバー、君の願いは?」

 

「選定のやり直しを、祖国を救うために」

 

「……やり直し、なら勝たないと。君のために、願いがない俺よりも、君には相応しいよ」

 

「否定、しないのですか?」

 

「だって、俺も変えたい過去はあるよ。でも、セイバーの願いの方が重要だもの。俺さ、親父に拾われるまでの記憶がない、その記憶を取り戻したいし、やり直したい。そうすれば今みたいな俺にならずに済むかもしれない」

 

「今みたいなとは?」

 

「泣けないんだ、悲しくないんだ。親父が死んだときも、痛いときも、悲しいって感情がない、苦しいって感情がない、あるのは怒と喜びだけ、歪な存在、それが俺、まるで人形だろ?笑顔を作りながら、中では何も感じてはいないんだ」

 

セイバーは絶句していた。

理解できない存在を見ているようで、それともまったく別の何かか。まるで、作られた様な存在、そう、

 

「…モードレッド?」

 

「違うよ、俺は衛宮士郎」

 

「すまない、マスター」

 

「堅苦しいからさ、シロウで良いよ」

 

「えぇ、シロウ」

 

本当に私は何故モードレッドと言ってしまったんだ。似ても似つかないぞ、シロウとアレは

(オルタ)

 

えぇ、色々とありますがシロウは私とカレン、キャスターには常に純粋でした。

モードレッドよりも、とても良い人です

(アルトリア)

 

………俺達の陣営は敢えて、教会には行かずにいる方針をとった。

しかし、迫るマスターの存在に立ち向う事を強いられる。

 

「呼んだのね、お兄ちゃん。しかも………裏切り者のセイバーだなんて」

 

「なっ!イリヤスフィール、しかし」

 

「年上からお兄ちゃんとはな、……まったく、イリヤスフィール姉さん。止めてくれ、切嗣の為に」

 

「切嗣はお母様を見殺しにし、私達アインツベルンを裏切った!そして貴方の様なぽっと出を拾って家族ごっこ、巫山戯ないで!!やっちゃえ!バーサーカーー!」

 

「なっ、本物のイリヤスフィールなのですか」

 

「セイバー、不味い!偽・理想の城!!」

 

セイバーの前に立ち、バーサーカーの攻撃を真名を開放した盾で防ぐ。

 

「シロウ!」

 

「戦え!戦え!今を生き残る為に!

お前は、騎士だろう!セイバー!!!」

 

「五月蝿いわよ!バーサーカー、叩き潰して!」

 

「ぐぁぁぁぁ」

 

「ぐっぁぁぁぁぁぁぁ」

 

バーサーカーの石斧が俺の身体を空中に打ち上げる。アチコチから血が溢れ、体制を立て直そうとすれば、バーサーカーが眼の前に。

 

「シロウ!」

 

「舐めるな!!!!」

 

振るわれた石斧を避け、バーサーカーの腕を蹴り飛ばす、その反動を使い自身の身をバーサーカーより先に地面につける。

 

「セイバー!」

 

「えぇ!」

 

セイバーがバーサーカーと打ち合いを始めるが、腕力から言えばバーサーカーに部がありすぎる。

 

「投影開始『無毀なる湖光(アロンダイト)』」

 

自身の能力が何れ程かは判らない、しかし衛宮士郎はその身を使う。

 

「うっ!オォォォォォ!!!!!」

 

「嘘!バーサーカー!!!」

 

バーサーカーを俺は空に打ち上げる。

 

「アロンダイトまで!シロウ、貴方は」

 

「俺の魔力!持ってけ!!!!セイバァァァー!!!!!」

 

「『約束された勝利の剣(エクス……カリバー)』ァァァッ!!」

 

閃光が夜空に登っていく、その光に心を奪われる。

 

「バーサーカー!!!」

 

「……イリヤスフィール」

 

「……待てセイバー…殺さない、守るって、約束したんだ。姉さんを……必ず……」

 

血だらけの身体で俺は姉さんに近づく。

 

「何で!キリツグは貴方を拾って家族ごっこを」

 

「イリヤスフィール、それは違う。シロウは……キリツグのスペアだそうです」

 

「え?」

 

「兎に角だ、今は寝かせるべきです。私も、シロウの願いである貴方を傷つける気はありません」

 

「………バーサーカー、彼を、弟をお願い」

 

「ぐるらぁぁぁ」

 

「なっ、生きて?!」

 

「……私のバーサーカーは最強だから」

 

翌日、衛宮士郎の前には月のように輝く髪、そして、蒼き騎士鎧を来た男装の美少女が。

 

「シロウ、恥ずかしいです」

 

「漆黒の鎧は嫌いか?おい、嫌いなのか」

 

「愛している、アルトリア。君の全てを、それこそこの身を君に捧げても構わない程に」

 

「貴様は私の鞘なのだ、当たり前を言うな」

 

「……凛、私が言うのも何ですが私とシロウよりも、あの私とシロウは重くありませんか?」

 

「……両重いね」

 

「美遊様?」

 

「少し、不満なだけ」

 

話を戻そう。その少女とかのバーサーカーを従え、自身が義父に救うと違った姉が、自身の姉代わりの藤村大河と親友の妹である間桐桜の二人と言い争っていたのだ。

 

「先輩に何をしたんですか!」

 

「違う、シロウに私は何もしていない!」

 

「士郎と話を」

 

「俺は無事だよ、藤ねえ、桜」

 

頭から左眼にかけて赤くなった包帯を巻き、杖を使って歩いている姿に二人は絶句した。

 

「セイバーさんと……紹介するよ。戸籍上なら、俺の妹のイリヤスフィール・フォン・アインツベルン嬢だ」

 

「士郎、それって」

 

「……藤ねえには辛い話かもな。親父、切嗣には昔愛を誓いあった人がいたんだ。でも、イリヤスフィールの家はドイツの名家、親父は稼いでると言っても日本人。婚約は許されなかった。でも、秘密裏にあっては逢瀬を重ね、想い人はイリヤスフィールを身籠ってしまった。藤ねえも覚えてるだろ、親父が外国に行ってたのは」

 

「うん、切嗣さん毎回ドイツに行ってて、変なお土産ばっかり」

 

その言葉に驚いたのはイリヤスフィールだった。

何度もドイツ語で【違う、嘘よ】と呟いている。

 

「……うん、わかった。けど、士郎のその怪我は」

 

「そうですよ!先輩のお父様の話は悲恋過ぎます、でもその怪我とその人達は」

 

「昨日のよる、バイクに乗った変な男に轢かれたんだ。全身青タイツの変態だよ。棒状の何かを振り回してた。二人が手当してくれたのか?」

 

「はい、それは勿論」

 

「キリツグの話聞かないと行けないし」

 

「なら、入院しないと」

 

「駄目よ!私は時間がないの!入院なんかしてキリツグの話を」

 

「そんな、先輩の身体は」

 

「桜、これは俺の親父からの頼みでもあるんだよ。遺言の一つかな、イリヤと話して欲しい、俺は義務がある。責務がある、衛宮切嗣に拾われた時から、俺は……衛宮士郎になったんだから」

 

「判りました、でも毎朝見に来るのは」

 

「そうよ!それぐらい…てかご飯も」

 

「私のメイドにやらせるわよ!そうね、朝は許すから早く出てって、」

 

衛宮士郎は松葉杖やらを付け、痛々しい風貌をしながら二人を見送る。

 

「親父の罪は俺の罪だ、それにどうやらあの子は親父と何度もあっていた。死んでいることすらまだ、知らないんだ」

 

「…でも、士郎」

 

「そうです、先輩は」

 

「……俺はさ、大丈夫だから。藤ねえも、桜も、ありがとう」

 

二人を見送り、俺は武家屋敷に戻る。

 

「……シロウ、それは」

 

イリヤスフィールとセイバーの前で汚い包帯を捨てていく、中からは無傷の身体が現れる。

 

「セイバー、俺はまずイリヤスフィール姉さんに渡さなくちゃいけない物がある」

 

それは衛宮切嗣が託した者、衛宮士郎の知らない存在達が笑顔で笑いあい、写っているロケットだ。

 

「……お母様、キリツグ」

 

「……俺の物じゃない、切嗣に愛されてるのは貴女だけだよ。イリヤスフィール姉さん」

 

「シロウ、ですが」

 

「…セイバー、同盟を組みたい相手がいる。イリヤスフィール姉さんも、話して欲しい。あの人なら、もしかしたら姉さんを救えるかもしれない」

 

「待って、なら一回帰らないと、シロウと……セイバーも来て」

 

イリヤスフィールは衛宮士郎とセイバーを見た。

何処か迷っていたが、ルビーの目は慈愛に満ちている。

 

「行こうか」

 

タクシーを呼び出し、イリヤスフィールの居城。

冬木市のアインツベルンの古城へと向かった。

セイバーは懐かしむように、装飾を見ている。

 

「……私はアイリスフィールと共に居ました。

イリヤスフィール、あの」

 

「お願い、お願い……セイバー、話さないで」

 

悲しむような、苦しむ様な、そんな声で告げる。

セイバーはソレを聞けば何も言えなくなってしまった。

衛宮士郎はどうやら足が治って居ないというか激しく折れていたようで松葉杖は変わらない。

 

「セラ、リズ、ただいま」

 

「……イリヤ、おかえり」

 

「リーズリット。おかえりなさいませ、お嬢様。そして、」

 

「衛宮切嗣の代理、衛宮士郎。そして」

 

「サーヴァントセイバーです」

 

「お嬢様の招待ですので、しかし何かすれば」

 

「お願い……セラ、今だけは止めて………」

 

イリヤスフィール姉さんは泣いていた。

俺はその涙を拭う資格はない、所詮、衛宮切嗣のスペアなのだから。

 

「……それで、シロウ貴方は」 

 

「衛宮切嗣の目的はイリヤスフィール姉さんの救出、俺はその為にこの力を教えられた。宝具を投影できるという、まさに封印指定されてもおかしくないこの力は、イリヤスフィール姉さんを救うためだけに鍛えられてきた。その為に、衛宮切嗣から魔術回路も受継いだ」

 

「……教えて、シロウ。キリツグは」

 

「俺を何とも思ってないだろう、ただ自身が壊した街で偶然拾った子供だ。どうせ、その程度だ」

 

「違う、キリツグは優しくて、でも…ズルくて」

 

「それはイリヤスフィール姉さんに対してだけだよ。俺は、姉さんと違うけど同じだよ。ホムンクルスだ。人間から生まれ、あの日、全てをリセットされ、家族の記憶も何もない。そして、衛宮切嗣という存在にイリヤスフィール姉さんを助ける為だけに作られた」

 

「違う!キリツグはそんな事は」

 

「……切嗣をそう思ってくれているなら、切嗣はきっと浮かばれる。……姉さん、会ってほしい人がいる。お願いだ、俺と来てほしい」

 

「どういう」

 

「同盟、そして……姉さんを人にするために」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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