アサシンとアーチャーの力を使うエミヤ   作:影後

27 / 37
衛宮士郎の始まりpart3

当時の俺は騙すつもりでいた。

鎧は全身鎧、顔は見られていないはずだった。

 

(セイバー、まだ霊体化しておいてくれ)

 

(しかし、シロウ)

 

(アーチャーが何処から狙っているか判らない。君には警戒を)

 

(わかりました)

 

「こんな夜更けに何してるんだよ」

 

「えぇ、それはコチラの台詞よ。セイバーのマスター」

 

「マスター、何を言ってるんだ?俺は葛木先生の奥さんに料理を教えに来てるだけだぞ」

 

俺はそう言うといつものようにヘラヘラとしながら隣を歩く。  

武器もない、敵対心もない。

当時の俺は、遠坂凛を知っていた。

セカンドオーナーという自分と確実に敵対する立場。

 

「ごふっ」

 

だが、俺を背中から一差しするサーヴァントが居た。アーチャーだ。

 

「アーチャー!アンタは」

 

「マスター!気を抜き過ぎだ!コイツは」

 

アーチャーの叫び声と同時に俺はアーチャーの左肩を起源弾で撃ち抜いた。だ

 

「やれやれ………セイバー、計画変更だ。ここでアーチャーには脱落してもらおう、敵対者には死だ」

 

トンプソンコンテンダーから放たれた起源弾でアーチャーは英霊でありながら魔術回路に傷を負った。それなのに無理矢理干将莫耶を投影して、此方を狙うように立ち上がる。

 

「なんで………なんで……いきてるのよ!」

 

「蘇生のルーンだ、生憎……魔術師の殺しには慣れている。偽装の仕方も完璧さ、俺は魔術師殺しなんだからな」

 

「シロウ、私の後ろに」

 

「なら、遠坂を俺は狙おうか」

 

 

俺の言葉を聞いた瞬間、遠坂の顔が青くなった。

 

「アーチャー!止めて!ここで争うのは不味いわ!」

 

「しかしマスター!!」

 

「お願い!」

 

アーチャーが干将莫耶を消しながら、だが、俺の射線上から遠坂を守るように立ちはだかる。

 

「セイバー、何時でも抜けるように。……さて、セカンドオーナー、何故やめた?」

 

「…魔術師殺し、違うわね。雇われ代行者、貴方の話は聞いてるわよ。魔術師殺しの息子」

 

「知らなかったのか、親父の……衛宮切嗣の事を」

 

「同姓同名の他人だと思ってからね、さて……衛宮くん。是非ともお話がしたいのだけれど。冬木のセカンドオーナーとして」

 

その言葉には頷くしかなかった、セカンドオーナーから対談を申し込まれたなら、受けなければ後々面倒臭い。

特に、時計塔という場所には面倒なクズが大量にいる。

何度……鏖殺してやろうかと思ったことか。

 

「まって……そんな事考えてたの!?」

 

「執行者や屑どもが封印指定してきてな、返り討ち、血族一つ鏖殺した。人質もな、簡単だったぞ?付け上がりには良い薬だ」

 

「貴様は無垢な人も」

 

「?何言ってる、魔術師な時点で大抵はクズだ。ロード・エルメロイ二世の所はまともだがゼルリッチの爺とかは本気のゴミだぞ。何度か生命狙ってやったが飄々としてやがる」

 

「何してんのよ!」

 

「いや……お兄様は魔法使いも敵に回して」

 

「………他の世界のことと言えど、変わりませんね。貴男に再起不能にされた代行者が何人居たか」

 

「うそ……アンタ、そっちの世界でも」

 

「だって……邪魔だしな、」

 

無駄話は終わりだ、俺は衛宮家に遠坂を連れて行った。

 

「さて、衛宮君」

 

「すまない、遠坂嬢。簡単な饗しぐらいはしよう」

 

そう言い、俺は遠坂を上がらせ饗しの支度をする。遠坂家がこの冬木での名家だと知っていることもあり、高級茶葉と和菓子を出す準備をする。

 

「……シロウ」

 

「セイバー、君の分もある」

 

「ありがとうございます!いえ!そうではなく」

 

「………忘れていた、まぁ……死んだらその時だろ」

 

「リン!」

 

イリヤ姉さんとバーサーカーのコンビが遠坂を襲おうとしたが、赤い弓兵に防がれる。

 

「ナッ!バーサーカー?!衛宮くん、貴男!!」

 

「…生きてたか」

 

「シロウ、何これ」

 

「姉さんか、冬木のセカンドオーナーだ。殺すのは不味いぞ」

 

「へぇ……貴女が。私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン、そこの衛宮士郎の姉よ」

 

「姉?どう見ても妹か」

 

「話している場合か!」

 

「バーサーカー、もう良いわよ。どうせ後で殺せるもの、そのアーチャーは」

 

バーサーカーは石斧をしまい、イリヤ姉さんを肩に乗せた。

 

「良かった、茶菓子が無事でな」

 

半壊した武家屋敷に投影魔術を応用した修復魔術を行い、即座に直す。

 

「魔術師殺しと対談したいらしい、セラさん、リズさんも、あまり出てこないでほしいね」

 

「……私達はお嬢様の護衛ですので」

 

「ん、イリヤは守る」

 

取り敢えず、夕餉の準備と晩餐の準備を行った。

 

「……美味しい」

 

「凄いわシロウ!リズよりも」

 

「くっ…」

 

「モキュモキュ」

 

「……美味」

 

「なっ」

 

「ねぇ、衛宮君は」

 

「魔術師を殺すなら毒殺が楽でね、特に美味なる食事は最後の晩餐に相応しいと思わないか?」

 

俺がそう話した瞬間、遠坂が吹く。

 

「おや、レディにしては酷い物だな。これが遠坂の御令嬢か」

 

「アンタが毒とか」

 

「……私はこう言ったぞ?毒殺にはとな、これは私のもてなしだ。第一、人の食事にケチを付けるのか?」

 

「リン、少なくともこの男はもてなしの流儀は保っている。今は君が不敬に当たるぞ」 

 

「……くっこの」

 

この時、何処か無様な姿に愉悦を感じていた。

 

「ふむ、まぁまぁの出来か。セイバー、美味しいかい?」

 

「えぇ、シロウ!貴男が私の下に居れば」

 

「……それは良いかもしれないな」

 

「駄目よ!シロウは私が貰うんだから!」

 

「むっ!イリヤスフィール」

 

「そうだな、イリヤスフィール姉さん」

 

適当に返事をしながら遠坂の方を向く。

 

「さて、見ての通り俺はアインツベルン陣営だ。さて、そこでだ。何の御用かな、遠坂凛嬢」

 

「……今冬木で魂食いが行われているの。その犯人を」

 

「……間桐だ」

 

「何が」

 

「おそらく、マスターの名前は間桐桜。いや、あの家なら慎二か?」

 

「何を……」

 

「遠坂よりも今回に備えていたのは衛宮だ。敵の情報は先につかんでおくべきことだ」

 

「シロウ!私にも」

 

「エミヤ・シロウ、お嬢様に話さないとは」

 

「俺個人で決着をつけるつもりでした。ガス爆発の件はこちらの同盟者だ。敵対するつもりなら殺すぞ」

 

当時、色々とやることが多かった俺は常に脅すが先に出ていた。

 

「くっ……そんなの」

 

「できないなら終わりだ、今日は遅い、休んでいけ。セラさん、頼みます」

 

「……良いでしょう」

 

「ちょっと!待ちなさ」

 

「こっち」

 

セラとリズに連れて行かれる遠坂、そして衛宮邸に侵入しないアーチャー。

 

「セイバー」

 

「えぇ、マスター」

 

完全武装し、盾を構えながら外に出る。

 

「やれやれ、客人の饗し方も知らないと」

 

「客人か、生憎だな。我が家には敵対者は血祭りに上げろという教訓がある。さて、アーチャー」

 

「…我がマスターを傷付けたこと、許さん」

 

「俺も腹を貫かれた借りを返さないとな……さて、遠坂は終わりだ」

 

「ちぃ!」

 

アーチャーが干将莫耶でセイバーの約束された勝利の剣を受け止めるが、俺が盾で吹き飛ばす。

 

「貴様は」

 

「おっと、経験はあるみたいだが……」

 

干将莫耶を正面からバカ正直に振ろうとしていた。俺は英霊にも味覚がある事、痛みを感じることを知っている。

 

「トラップはな」

 

「ぐ!」

 

赤い粉末、いわゆる唐辛子だがコイツは実に便利だ。調味料と言っておけば問題はないにも関わらず、相手を尋問するのに使える。

 

「きっ…貴様」

 

「目は一定時間見えないよな?さて、死んでもらおう。赤い弓兵」

 

「シロウ、駄目!」

 

脇腹から何かが俺を吹き飛ばす。

グシャリという音と、足が変な方向に曲がっている事以外俺は変わらない。

 

「イリヤスフィール!シロウ、無事か!!」

 

「まさか……遠坂がイリヤスフィール姉さんを抱き込むとは………」

 

再生を加速させ、自分の肉体を回復していく。

 

「イリヤスフィール!貴女は!」

 

「セイバー、大丈夫。イリヤスフィール姉さん、酷いじゃないか。死ぬところだったぞ」

 

「大丈夫よ、バーサーカーは手加減できるもの」

 

「ぐるるぅぁ!」

 

足と体が再生したのを確認し、立ち上がる。

 

「シロウ、アーチャーを倒すのは駄目よ。アインツベルンと遠坂は同盟を結んだのだから」

 

「その期間は?」

 

「…吸血鬼討伐までよ」

 

「命拾いしたな、赤い弓兵。吸血鬼を倒せば敵同士だ。次は……確実に仕留める」

 

盾を背負い、傷ついた赤い弓兵を見る。

 

「衛宮くん、やってくれたわね」

 

「君の目的は同盟ではなく協力だったな。ならばこちらで吸血鬼を仕留めれば協力となる。無論、それまでに君がアーチャーを失おうと俺には関係ないことである。だが、まさか……イリヤスフィール姉さんを抱き込むとはな」

 

「…仕方ないじゃない、リンったらおかしいの。バーサーカーに勝てるはず無いのに私に啖呵きって!私のバーサーカーは最強なのにね」

 

「……そうだな、悔しいがセイバーも勝てない。この聖杯戦争でバーサーカーに勝てる英霊を呼び出すのは困難だろう」

 

「シロウ、そういうのは悔しいのですが」

 

「セイバー、悲しいがバーサーカーには勝てんさ。俺たちでもね。それに、バーサーカーは現界し続けるさ。イリヤスフィール姉さんの最強の護衛として。俺も……教えを請うべきかな?」

 

「なら!先に私にです!盾ばかりでなく剣も」

 

「アーチャー、私達って」

 

「蚊帳の外か……」

 

俺はアーチャー気付かれないようにアーチャーを睨んだ。アーチャー本人以外には気付かれない。

この時、奴も睨み返してきた。

 

「さて、正直マナバレしていると思う。だが」

 

「アーサー王、一体どんな触媒……いえ…その円卓が触媒かしら」

 

「…話す必要はない、そしてだ。遠坂、お前のサーヴァントはなんだ。俺は聖杯戦争に備えてきた、歴史も学び、英霊への知識で言えばお前やイリヤスフィール姉さんよりも高いと自負している。だが……お前だ、お前の真名が想像できん。何者だ、その顔……肌は黒いが日本人だな?」

 

「なっ!アーチャーは記憶喪失で」

 

「………笑わせる、まったく……笑わせる。まぁ良い、間桐を仕留めればこの同盟は終わりだ。その時は……アーチャー、貴様を殺す。この身体が叫んでいる、貴様が俺の敵だと。覚悟しろよ……Faker(贋作者)」

 

この時、セイバーもイリヤスフィール姉さんも、俺から距離をとっていた。

理解できない憤怒、それを目の前の存在から感じたからだ。

 

「…死ぬのは貴様だ」

 

「………」

 

夜は、こうして開ける。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。