アサシンとアーチャーの力を使うエミヤ   作:影後

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衛宮士郎の始まりpart6

「聖杯戦争は夜じゃ」

 

「…夜だ、でも俺にはやるべき事がある」

 

翌朝、俺は学校を休み間桐の屋敷に赴いた。

 

「随分と無警戒なのですね」

 

「なに、そこにいる俺は所詮紛い物。遠坂凛は知らんがな」

 

「な?!」

 

「……人形?いえ…これは」

 

ライダーの怯える姿に何も感じない。そもそも、セイバーがいない時点で気付くと思っていたのだ。

 

「間桐臓硯は殺す、邪魔をするな。ライダー」

 

「殺せるのですか、桜を……彼女を救えると?」

 

「親友との約束さ。桜を救う算段は付いている、俺は努力家なんだ」

 

「待ちなさいよ、衛宮くん!何を」

 

「『I am the bone of my sword

(体は剣でできている)

Steel is my body,and fire is my blood.

(血潮は鉄で心は硝子)

Standing on many corpses

(いくつもの屍の上に立ち)

Imprisoned for eternity

(悠久に囚われる)

Still I seek meanin in my life

(それでも我は生涯に意味を求める)

That’s my why this body

(だからこそ、この体は)

”Infinited sword works

(無限の剣でできていた)』」

 

ーそう、私とエミヤ君は桜を救うために間桐家に向かった。

そして、出されたのは特級の秘密よ。

 

ー利用できるのなら、利用する、ソレが俺だったからな。

 

間桐臓硯、ライダー、遠坂、桜をまだ墓碑の少ない固有結界に閉じ込めた俺は一本の槍を投影した。

 

「なんじゃ!なんじゃソレは!!!!」

 

「「「これは、かつてイエス・キリストを貫いた槍」」」

 

俺は人形を使い本物と全く同じ偽物を3人作り出す。

無論、操るオリジナルはそこには居ない。

 

「ライダー!」

 

「これは……まさか」

 

「「「審判の時だ。血塗られし槍よ、今此処に顕現せよ」」」

「「「運命の槍《スピアオブディスティニー》」」」

 

桜、ライダー、間桐臓硯の3人を殺す力。

 

「桜!」

 

「無事だ、ライダーのサーヴァントと魔霧臓硯は死ぬがな」

 

「貴様…人としての」

 

「お前のような外道に人としての在り方を説かれる筋合いはない。さぁ、終わりだ」

 

俺はまだ死んでいない間桐臓硯の体に油をかけた。

 

「貴様、何を」

 

「聖槍の力で虫にもなれない憐れな男、何があるかも知っている。セカンドオーナー、お前は桜を」

 

「貴方はどうするのよ」

 

「間桐を滅ぼす」

 

燃え上がり、火の手が上がっている。

桜は遠坂が手当てすれば助かるだろうが、今はどうでも良い。

 

「……貴方は……よりにもよって桜を」

 

「まだ生きていたか……ライダー」

 

「殺す……良くも………桜を!」

 

「……判っている。罪は罪だ、だが俺も死ねん」

 

目を隠し、鏡のような盾と曲刀を投影する。

 

「来い……哀れな女神よ!」

 

「お前は……ペルセウス!!」

 

空気の流れ、気配で全てを察し回避し攻撃する。

盾で受けられない、盾で守ってはいけない。

 

「くっ!」

 

「流石に見えてない割に良くやる、だが……これまでだ」

 

「ぐっは………」

 

首の後ろから何かが巻き付き、呼吸ができなくなっていく。

足音だけがゆっくりと聞こえ、何かが顔に触れる。

 

「私の顔を……良くみなさ」

 

「チェックメイト」

 

腹が裂かれる様な痛みと苦しさが一瞬にして来る。

 

「オリジナル……せめて殺せよ」

 

「悪いな、人形。陛下、後は簡単です」

 

「………貴方……」

 

陛下に人形ごと、エクスカリバーで斬り裂かれ血の海に沈んでいくメドゥーサ。

 

「桜は守る、必ずだ。俺は……俺は人形だ。だが、自分の言葉に責任を持つ事は知っている」

 

「……そう、ですか」

 

エクスカリバーで霊核を砕き、絶命させる。

そして、絶命したライダーの首を斬り落とし流れ出る血を瓶へとしまった。

 

「はい!お兄ちゃん、なんで………そのメドゥーサさんの首を」

 

「女神メドゥーサの血は命を生む魔薬だからだ。神話にはメドゥーサの首から血が滴り落ち、それが赤いサンゴになった。切り落としたメドゥーサの首から滴る血が砂漠に落ち、蛇になったともされる。つまり、生命を生み出したのだよ。だからこそ、必要だった。話を戻す。その時、既にイリヤスフィール姉さんは小聖杯の外装でありながらも、普通に生きられる状態だった。だが、聖杯に英霊が焚べられる場合は分からない。確実にイリヤスフィール姉さんを人間にするためにはメドゥーサの血液は必要不可欠だったんだ」

 

「だからあの時……桜の傷まで抉ってソレを」

 

「遠坂、お前が何を言いたいかは理解しているつもりだ。だが、あの時の俺は人形だった。衛宮切嗣の残した目的を遂行するだけのな」

 

 

殺した事はどうでも良かった。当時は桜のこともなんとも感じなかった。メデューサの血液を回収し、そのまま柳洞寺にむかった。

 

「あら、坊や。また随分と……何その気配」

 

「救世主を貫いた聖槍で堕落した女神を仕留めただけだ」  

 

「…人間が?神殺し?へ?」

 

「……うそ、キャスターとこんな………」

 

「…そこのマスター。坊やが女神を殺したって」

 

「えっ…えぇ、サーヴァント無しで一応。投影魔術とかいうズル使ってるけど!」

 

「……坊や、神代でもやってけるわよ」

 

「生憎、殺すことしか能がない」

 

「シロウ、貴方は」

 

「陛下の騎士であり、配下であり、餌である。陛下にお仕えする事が終わればイリヤスフィール姉さんの護衛となる立場です」

 

「………むぅ、シロウをあの時代に連れて行くのも」

 

「駄目よ!シロウは私の弟なの!アインツベルンを滅ぼして一緒に暮らすんだから!」

 

その時の姉さんや皆の話顔がとても温かく感じたよ。

まぁ、見せ筋野郎に言われた言葉でなんとなく嫌な気分になったが……

 

「選んで殺すのが、そこまで上等かね」

 

「…アーチャー、俺は選んで殺す。桜は生かした。だが、罪人は殺す。ライダーは魂食いをした。ソレだけでない、姉さんを人間にも必要だ。だから殺す。お前とも終わりかな……個人的に、遠坂は良い女性だと思うな。麗しく、可憐、しかし苛烈」

 

「何が苛烈よ!」

 

「……殺さんさ。桜の為にも」

 

それは俺の紛れもない本心だ。

心の奥底にある少なくなってしまった良心。

 

「随分と面白い話ししてるじゃねぇかよ」

 

「……ランサーか。痺れを切らしたな。俺達は聖杯戦争を起こすつもりはない。だが……お前は戦いたいだろう?」

 

「あぁ……どんな英霊でもねぇ。現代で、己の神秘だけで

堕ちたとは言え女神を仕留めたんだ。神殺しの……その力」

 

「陛下、どうかご命令を。勝てと。一言お願いします」

 

「……良いでしょう。戻ってきなさい、シロウ」

 

俺は鎧を投影し、剣と盾を両手に持つ。

 

「……さぁ刻め、この大地に。ケルトの四枝の浅瀬を!」

 

「へっ……良いぜ。お前、ケルトでもやっていける。

師匠に紹介してやれたらよかったのになぁ!」

 

四枝の浅瀬、アトゴウラ。

生きて敗走する事は許されず、必ずどちらかが死ぬ。

 

「こい、英霊!」

 

「来な…英雄!」

 

クー・フーリンの魔槍が俺の剣と弾き合い、火花を散らす。

本来、人間は英霊に敵わないと言われていた。

だが、今英霊と、クー・フーリンと対峙しているのは現代において、教会陣営として活躍しバレれば魔術協会に狙われる存在。

しかし、ソレを直隠しただ己の力のみで戦い、親に植え付けられた呪いを成就する為に生きていた兵士。

屍兵から一人の騎士へと昇華した現代の英雄なのだ。

 

「コレだ!俺がしたかった戦いってやつだ!」

 

「全ては我が姉と、陛下の為である!」

 

突かれる槍先を盾でいなし、騎士剣を突き立てる。

槍と剣では槍の方が遥かに強い、だが俺は戦い方は全て理解している。

 

「うそ…弾いた?!」

 

「なっ!」

 

「はぁ!」

 

騎士剣をクー・フーリンの腹に突き立てようとするが、片腕に砕かれ霧散していく。距離を取り、騎士剣を再び出現させ今度は心臓を狙う。

 

「心臓か!容赦ねぇな!!」

 

「防いでおいてよく言うものよ!」

 

火花が散りながら霧散していく騎士剣。

頬をつたる水滴を手で確認し舐めてみる。

 

「血か……」

 

「現代に此処まで使える戦士がいるとはな!」

 

「さすがだな、赤枝の騎士。

だが……この槍は貴様の生命すら奪うものである」

 

それは神の使徒を殺し、その生き血を吸った聖槍。

 

「神の血があるのなら……この槍で一思いに死ぬが良い!」

 

「はっ…なら見せてやるぜ。俺の宝具を!!!」

 

魔力が開放されたロンギヌスの槍とゲイボルグ。

神を殺した槍と絶対に心臓に刺さる槍。

 

「ごふ………」

 

「へ……へへ………心臓は……貰ったぜ」

 

左半身を失いながらも、ランサーの、

クー・フーリンの一撃は確かに俺の心臓を貫通していた。

 

「おい…!テメェ、死んでねぇだろ。」

 

「……蘇生魔術があって助かったものだな」

 

びしゃりと赤黒い固形物を地面に吐きながらも、

俺はランサーを見た。

 

「俺の勝ちだ」

 

「……アンタの勝ちだ」

 

「……おい、ボウズ。師匠は多分生きてるぜ。

何かあればいけや」

 

「嫌だ」

 

「そうかよ」

 

ランサーと長い会話をしたわけではない、

だが、俺にとって、衛宮士郎にとってランサーとの戦いは、

確かな成長の糧になったんだ。

 

 

 

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