盾の勇者?それは俺だよ、ワリオだよ!   作:生牡蠣

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ワリオ=不死身
不死身=肉壁
肉壁=盾

…つまりワリオは盾の勇者だった………?


ワルい勇者の誕生

突然だが、あなたの住む町は地図に載っているだろうか?

大抵の場合は地図に載っているだろうが、とある理由から地図に載らない町も存在するのだ。

それはここ、ダイヤモンドシティも同じである。

 

ダイヤモンドシティ

現代的に発展した都市であり、食品、娯楽、交通などが整っているごく普通の街である。

………まぁ、たまにギザヒゲのおっさんが電波ジャックをして大規模ゲーム大会を開いたり、UFOが落ちてきたり、殿様や忍者、魔女が居たりと少しおかしい所もあるが、きっとごく普通の都市だと思う…

 

そんなダイヤモンドシティの都市部から離れた静かな場所に、とある建物が建っていた。

その建物の外観は、良く言えばシンプル、悪く言えば質素、マイクラ風に言えばトウフ建築の様であった。

その他の特徴としては、建物のちょうど中心部に、大きく「W」の看板が建て掛けられていることくらいであろうか。

そんな建物の中を少し覗いてみると、事務用の机やパソコンが見え、ここが何かの会社だと予測できる。

そして、この会社では現在―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フンガーーーーー!!!!!」

 

…ギザひげのおっさんがキレ散らかしていた。

 

キレている男のお腹は、でっぷりとしていてだらしがないが、腕は筋肉モリモリであり、只者ではないことを物語っている。

真っ赤で大きな鼻に、そこから伸びるギザギザの髭、エルフのようにとがった耳に“キラリ”と光る歯。

服装は青いシャツにピンクのズボン、ジージャンをはおり、何故か室内でもヘルメットをかぶっているバイカースタイル。

 

この男の名前はワリオ。かつて、英雄と呼ばれた赤いヒゲとも戦ったことのある男である。

職業は冒険家兼トレジャーハンター兼このゲーム会社――ワリオカンパニーに社長である。

そんなワリオが、両腕を揚げて怒っている。

 

「今日は次回作のゲームについての会議だっていうのに、何故誰も来ないんだあぁぁぁ!!」

 

……どうやら、会議の日だというのに、社員が誰一人来なかったようである。

 

「ジミーはダンスのイベント、モナは新しいバイト、ナインボルトたちは学校行事……他の奴らも用事で来れないって、俺様の会社を何だと思ってるんだぁぁぁ!!」

 

………ここまで来ると、ワリオに人望がないように見えてくる。

しかし、実はワリオは社員に給料を払ったことはなく、ゲームで稼いだ金をネコババする常習犯なので人望がないのは当たり前である。逆にここまでのことをやられてまで、ワリオについてくる社員たちも、変り者を通り越して変人である。

 

「くそぅ……前回のゲームの売り上げも結局山分けになっちまって手元にあんまり残ってないし、この間にんにくの食べ放題でだいぶ金使っちまったから早く次のゲームを開発して売り出さなきゃならんのにぃぃ…!」

 

ワリオには今、金も余裕もなかった(金がないのは本人のせいだが…)

…こうなったら、ゲーム開発は一旦やめて、冒険にでも出ようか………思えば、ユーレトピアの一件以来、まともな冒険に出ていない気がする(ラックス村?あそこは思い出したくないからノーカンだ!)

だが、最近の新聞にはお宝の情報どころか、金儲けの情報すら載っていた記憶がない。

………しゃーない、気を取り直してテレビでも見るか。

そう考えたワリオは、テレビの電源を付けた。

 

『あの人気ゲーム、最新作が登場!!』

 

テレビを付けると、ニュース番組が映り始めた。

…んん?人気ゲーム?

 

『ダイヤモンドシティで一番売れたあのゲーム『PYORO』(ピョロ)シリーズの最新作、『異世界PYORO』本日発売!!見てください!早朝から長蛇の列です!』

 

ニュースキャスターが興奮した様子で話している。

…あれまた新作作ったのか………あぁ~!あいつが俺様のゲームに遊びに来た時、お宝を期待させておいて肩透かし食らったから、無性に腹が立つ!しかも一瞬プレイ映像映ったけど、いつも通り豆食ってるだけじゃねーか!!異世界行ってもやってること同じかよぉ!?

 

『いやーそれにしても、最新作のPYORO―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんなに売れていいんでしょうか!?』

 

その一言が、ワリオの灰色の脳細胞に電撃を走らせた!

 

「そうだ!俺様も異世界系ゲームを作ろう!!」

 

確か、モナも異世界ファンタジー物が今流行ってると言っていた気がするし、あいつらも会社に来てそれ系の小説を読んでいた気がする。

それに、豆を食べるだけのピョロですら「異世界」という単語を付けるだけで飛ぶように売れるのだ!きっと俺様も「異世界メイド・イン・ワリオ」を発売すればぼろ儲けできるはずだ!!

………そういえば、あいつらが持って来た本が会社にも大量にあったはずだ。その中に異世界物の本もあるかもしれない!

 

「よし!そうと決まれば、早速情報収集だ!!」

 

そう意気込むと、ワリオは会社内を探し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ!それらしい本がないじゃないか!!」

 

しかし、いくら社内を探してもそれらしい本は見つからなかった。

 

「なんだこれ?『ダイヤモンドシティグルメガイド』?カットとアナの本か…こっちのは『攻略!アイドルへの道!!』?これはペニーのか……これはエイティーンボルトが持って来た『ゲーメスト第193号』か…本当にインド人を右にって書いてあるな………これは『魔界魔導大全』……アシュリーのは弄らんとこ………フンガーー!こんなに本があるのになんで異世界物の本がないんだぁぁー!!」

 

お目当ての本が見つからずに、また怒り出すワリオ。

そんな時、偶然とある本が視界に入った。

 

「んん?……よんひじりぶうつわか?………あっ、ふり仮名ついてる…『四聖武器書』(しせいぶきしょ)か“パラパラ…”おぉ!それっぽいじゃないか!!」

 

中身を流し読みしたワリオは歓喜した。ようやく自分が求める本に出会えたからだ。

内容は、世界を終わらせる厄災である『波』から世界を救うため、それぞれ剣、槍、弓、盾を持つ勇者を異世界から召喚するという物語の様だ。

これだ!これだよ!!こういう王道のストーリーを求めてたんだよ!!

早速内容を読んで、次のゲームに繋げるんだよ!

ワリオは嬉々としてページをめくっていく。

その時―――

 

 

 

 

“パアァァ…!”

 

「あん?なんだこれ?」

 

ワリオは首をかしげる。

それもその筈である。なぜなら、急に本が輝き始めたからである。

本は勝手にページがめくれていき、それに合わせるかのように輝きの強さも増していく。

周りを見ると、パソコンや他の家具もまばゆい光に包まれていっている。

 

「なんだなんだぁ!?またオルゴールやゲームの世界に行かされるのかぁ!?あっなんか吸い込まれ………グワアァァァァァァ!!」

 

そんな叫びと共に、ワリオは光に包まれていった。

光が収まった時、会社の中にはワリオの姿はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フガッ!?……痛っつ~~~~!顎打った~…!」

 

ワリオは目の前が光に包まれたかと思うと、いつの間にか宙に投げ出され、地べたに顔から転がった。

いてて……おい!俺様のイケメン顔に傷が付いたら1億人(推定)の女子ファンが悲しむじゃねーか!!

転がった時に打ってしまった顎を摩りながら地面を見ると、先程までいた自分の会社の床ではなく昔の建物によく見られるレンガ造りの床である事に気付く。

 

「おぉ…!召喚に成功したぞ!!」

 

そんな声が聞こえ、正面を向くと、何人かのローブを着た男たちが感嘆の声を上げているのが見えた。

自分の隣からも「なんだ?」「ここは一体…?」という声が聞こえてきたため振り向くと、そこには見るからに若そうな青年たちが3人ほどいるのがわかった。

……3人とも美形だが、俺様ほどではないな…

 

「おお、勇者様方!どうかこの世界をお救い下さい!」

 

「「「はい?」」」

 

「…んがぁ?」

 

フードの男のリーダーと思わしき男が、俺様たちに向かってそんなことを言ってきた。

俺様を含めた男たちは、意味が分からないというように疑問の声を上げた。

 

「色々込み入った事情があります故、ご理解いただける言い方ですと、勇者様達を古の儀式で召喚させていただきました」

 

「召喚……」

 

隣にいた男の1人がつぶやく。

召喚ってあれだろ?アシュリーがたまにやってる別の場所から他の奴らを呼んで来るやつだろ?

…さっきの話だと、こいつらが召喚の儀式的なものをしたということだな………

そうかそうか、つまり―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この世界は今、存亡の危機に立たされているのです!勇者様方、どうかお力をお貸しください!!」

 

―――こいつらか、俺様をこんなところに連れて来たバカ共は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嫌だな」

「そうですね」

「元の世界に帰れるんだよな?話は「このド阿呆共があぁぁぁぁぁぁ!!!」なっ!?」

 

ワリオは他の男たちの話を遮り、フードの男達のリーダーの胸ぐらをつかんだ。

 

「ゆ、勇者様!?突然どうなされたのですか!?なにか粗相でも…」

 

「粗相も火葬もあるか!!いきなり俺様をこんな場所に連れてきやがって!!しかも顎打っちまったじゃねーか!俺様のハンサムフェイスに傷が付いたらどうしてくれるんだぁ!!」ブンブンッ!

 

ワリオはフードの男を掴みながら、上下に揺らす。

成人男性1人をあんなに軽々と振り上げるワリオを見た他の勇者3人やフード男の仲間は、内心驚いていた。

 

「く、苦しい…!おやめください……うっぷっ!…酔ってきた………」

 

「いいから俺様を早く元の場所に戻しやがれ!!俺は早く新しいゲームを作ってガッポガッポ稼がなきゃならんのだ!じゃなきゃ明日食う飯もままなら「お、お食事でしたら!!ささやかながらご用意させていただいております!!城のシェフ自慢の料理です!!」

 

リーダー格の男を見るに見かねたフード男の仲間が咄嗟に叫んだ。

その声を聞いたワリオは“ピタッ!”とその動きを止める。

先程のやかましさが嘘のように静かになり、周りの人間は不気味さを覚えた。

 

「…あ、あのぉ「…だいか?」……えっ」

 

先程の仲間が勇気を出し、話しかけた。

その時、ワリオが小さく何かを言った気がしたが、上手く聞き取れなかった。

 

「あの、今なんと「食べ放題かと聞いてるんだッ!!」ひいぃぃ…!は、はい!食べ放題飲み放題でございますぅ!!」

 

ワリオの大声にビクビクしながら仲間は答えた。

その言葉を聞いたワリオは、しばらく何かを考えた様子を見せると、リーダー格の男を“ポイっ!”とごみを投げるてるかのように地面に放り投げた。

 

「大丈夫ですか!!」

 

「あぁ……私はだいじょう、おぶぇッ!?………やっぱ無理、休ませてぇ……………」

 

すかさずリーダー格の男の元に仲間たちが集まる。

リーダー格の男は、ワリオにシェイクされたのが堪えた様で、ダウンしてしまった。

 

「おい、何をしている!早く食べ放題会場へ向かうぞ!!」

 

一方のワリオは、先程のことなどなかったかのようにごちそうへの期待を膨らませて言う様子だ。

 

「は、はい…ですがその前に、王様と謁見していただきたいのですが……」

 

「なぬっ!?面倒だなぁ……なら、早く謁見を済ませてごちそうを食べに行くぞ!」

 

「早くしろ!」と言いながらワリオは部屋の入り口前で地団駄を踏む。

 

「は、はい!只今ッ!!……あの、他の勇者様方もそれでよろしいですか…?」

 

そう他の3人の勇者に問いかけるフード集団の一人。

…………その瞳からは『これ以上、面倒なことはやめてくれ…!』と語られているように見えるのは気のせいではないはずだ。

 

「お、おう…」

「そう、ですね…」

「まぁ、しゃーない…よな……」

 

他の勇者3人もその言葉に従い、ワリオの後に続いた。

本当はもっと自分たちの待遇や報酬を求めてゴネたかったのだが、先程のワリオを見て、変に絡まれたくないから大人しくしておこうという気持ちと、目の前のフード集団が可哀そうに見えて来たので従ってあげようという気持ちをそれぞれアイコンタクトで共有し、ここでゴネるのはやめようという結論に至ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このファンタジーな世界は、まるでおとぎの国の様だ。

そして、おとぎの国にも、ワルはいる。

 




マリオキャラクロス短編第4弾
最近盾の勇者を見始めた+マリオ映画が近いから書いた

プロローグっぽいけど、続けるかは気分次第
とりあえず、任〇堂はワリオランドの新作作ってくれ……

ここまでご拝読ありがとうございました
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