マリオ映画公開してしばらく経つけど、ネタバレってもうええのんか?
「勇者様のご来場~!!」
そんな大声と共に、謁見の間の扉が開かれた。
扉が開くと、昨日突如元の世界から異世界に召喚された剣、槍、弓、盾の勇者が謁見の間に入っていく。
謁見の間には、玉座に座る王と側近の大臣、そして彼らの前には様々な出で立ちの男女が計12名列をなして待機していた。
彼かの恰好を見るに戦士、騎士、魔術師、魔女、聖職者に盗賊といった様々な職業の者たちが集まっている様だ。
また、謁見の間の端には王に仕える騎士たちが有事の際に何時でも動けるように一列に並んでいる。
そして、騎士たちはそれぞれ、何故か盾の勇者――ワリオを憎々し気に睨みつけている者がほとんどであった。
メロマルクは元々、とある理由で盾の勇者には良い感情を抱いていない者がほとんどであるが、騎士たちはそんな感情を隠すこともしていない。
それには、他にも理由があった。それは昨夜のこと――
時を遡り、昨夜のこと。
勇者達が食事の用意が出来たと食堂まで案内された場面まで遡る。
食事は騎士団が普段使っている食堂で取り、勇者達が食べ終えた後に騎士団が食べるという所謂ビュッフェスタイルであった。
最初、騎士団と一緒に食事をすると勘違いした錬が不満そうにしていたが、誤解も解けた後は不満が出ることもなくそれぞれ思うように食事を楽しんだ。
そう、楽しんでしまったのだ……
「ガツガツ!ムシャムシャ!はぐはぐ!……おかわりだ!!」
彼らは知らなかったのだ。ワリオという男の食欲を………
食事の説明を受けた瞬間、ワリオはその出で立ちからは考えられないくらい素早く動き、皿に料理を取り分けて行った。
料理を取り分けた後はこれまた素早く口の中に放り込み、また料理を取りに行くのを何度もすごいスピードで繰り返した。その姿は某研究所のピンク玉や葦毛の怪物のようであった。
勇者達が何を食べるのかわからない+騎士団の食事の用意と一緒にして時短したいというシェフたちの考えから、ビュッフェスタイルにしたのだが、少し目を離したら大量にあったはずの料理が皿からなくなっている様は、恐怖そのものであった。
ワリオの食いっぷりを見ていた料理人たちはあまりにも気持ちよく完食してくれるものだからか、変なスイッチが入り「これは流石に食いきれないだろう」という特大サイズの料理を追加で作っていった。
しかし、ワリオはそれらも全て胃袋に収めてしまった。
豚の様な生物の丸焼きを丸呑みにしたと思ったら、ワインの入った樽をジョッキのようにして一気飲みする姿にさらに闘志を燃やす料理人たち。気が付いたら、城の食材のほとんどを使い果たし、料理人たちを全力を使いすぎて某ボクサーのように真っ白に燃え尽きてしまったのであった。
その為、騎士たちの食事も質素で少ないものになってしまったのであった。
毎日のハードワークで給料も思うようにはいかない、唯一の楽しみである食事もめちゃくちゃにされて、騎士たちが不満を抱かないわけがなかった。
「まぁ、腹7分目ってとこか……」と爪楊枝で歯を“シィ―シィ―”とおっさんみたいな事をしながら言う様には殺意さえ覚えた。
ちなみに、他の勇者達はワリオの食べっぷりを見て「見ているだけで腹いっぱいになる」とあまり食べなかったらしい……
朝食もいつもより腹に溜まるものを大量に作るなど対策していたが、それも含めてありったけ平らげられてしまい、朝食にもまともにありつけなかった騎士たち
その為、謁見の間の騎士たちは腹ペコでイライラしながらワリオを見ている者がほとんどであった。
しかし、ワリオはそんな視線も気にしないと言わんばかりに「腹6分目か……」と鼻くそをほじくりながら謁見の間に入って行ったのであった。
………本当にこんな奴が勇者でいいのか…?
「前日の件で勇者の同行者として共に進もうという者達を募った結果、多くの勇士たちが集まった。皆の者、国の為に勇者の旅に同行したいようだ」
それはさておき、謁見の間にて王が口を開いた。
どうやら、ここに居る12人が勇者と共に旅立ち、国を救おうと立ち上がった者達らしい。
1日でここまでの人手を集めるとは、王の人望が厚いのか、それとも元々用意してあったのか……
「さぁ、未来の英雄たちよ!各自仕えたい勇者と共に旅立つのだ!!」
王がそう叫ぶと、集まった12人はそれぞれ勇者の元に歩みを進めた。
ここで「あれ?そっちが選ぶ側なの?」と疑問に持つ人もいるだろう。しかし、これから死ぬかもしれない過酷な旅に出るのだ。自分の命を預けられる者に仕えたいと思うことは当然のことである。
さて、通常であれば均等に3人ずつで分かれるべき所を、本人たちの意志を優先させた結果…………
「…なんだぁ?俺様のところには誰も来ないのかぁ?」
ワリオと一緒に旅立とうというものは、誰一人いなかった。
「うむ……さすがにワシものこような事態が起こるとは思いもせんかった……」
「人望がありませんな」
その様子に厳しい顔をする王と呆れた顔をする大臣。
それもそうである。錬や元康の後ろには4,5人ついてきているのに、ワリオの後ろは綺麗にすっぽりと空いている。その様子は滑稽で、笑われても仕方がないだろう。
「まったく、見る目のない奴らだ!おい!後でワリオ様の仲間になりたいと言っても、仲間に入れてやらんからな!!」
しかし、ワリオは落ち込むどころか「自分を選ばないとは、こいつらの目は節穴か!」と一番近くの錬の元へと行った狩人風の男に絡む始末である。狩人風の男が迷惑そうな顔をしているのは、決して気のせいではない。
そうしていると、ローブを被った男が現れ、王に何かを耳打ちしていった。
「ふむ…どうやら城内に盾の勇者はこの世界の理に疎いという噂が流れている様だ。伝承では、勇者はこの世界の理を理解していると記されているのに、その条件を満たしていないのではないかとな」
ローブの男から聞いたのだろうか、王は静かに言った。
「おい、昨日の話聞かれたんじゃねぇーのか?」
「あん?何の話だ?」
元康は、昨日勇者達で集まって話した時にワリオだけ話についていけていない様子であったのを見られたのではないかと心配したが、ワリオは昨日の話など、飯のことですっかり忘れている様子であった。
「それと、盾の勇者はあほでドジでまぬけで息が臭いという噂も流れている様だ」
「おい!それ噂じゃなくてただの悪口だろ!!」
王が続けた言葉に流石に怒るワリオ。最後のは合っている気がするのだが……
「はぁ~……まぁいい、これでメンバー決まったんだろ?早く支度金な話しようぜ」
ワリオはため息をつくと、気を取り直して金の話をしろと王に促した。
「お、おい、いいのかよ?お前このままだと一人で旅立つんだぞ?」
「あー?問題ねぇよ!俺様一人で充分だ!」
盾職であるワリオが一人で旅立とうとするのを心配する元康。しかし、ワリオはその立派な腹を叩きながら問題ないと豪語するのであった。
実は、ワリオは旅に同行したい者が現れても断るつもりであった。
別にワリオも一人が好きなわけではない。仲間と聞くと、ワリオカンパニーの社員達やよくコンビを組む紫のヒゲ等思いつく者達も多い。
しかし、そいつらはスポーツやパーティ、ゲーム開発の時に一緒に行動することがほとんどであり、冒険をするときは基本的には一人であった。
たまにモナが内緒でついてきたり、冒険の舞台によっては妖精や猫などの協力者が居る時もあったが、ワリオとしてはどこの馬の骨ともわからん奴らと一緒に冒険するよりは、慣れているソロでの活動の方が良いと考えたのだ。
…まぁ、それはサブの理由で本当はこれから見つけるであろうお宝を独り占めしたいというのが本音であった………
「………フンッ、自信もここまで来れば、傲慢だな」
「……………まぁ、本人がいいならいいんじゃないですか?無理やり均等に分けるっていうのも士気にかかわりそうですし…」
しかし、ワリオのことをよく知らない他の勇者やその仲間たちは、ワリオの態度が「お前らなど必要ない」と言われているようで少し不快に思った。
それは「盾の癖に……」と盾の勇者を下に見ていたからこそ来るものでもあった。
「あ、では私が盾の勇者様の下へ行ってもいいですよ」
そんな時、元康後ろに並んでいた赤毛の女性が盾の勇者の従者に名乗りを上げた。
赤毛の女性はそう言った後、ワリオの下へ近づいて行った。
「というわけで、よろしくお願いしますね。勇者様♪」
赤毛の女性はウィンクをしながらワリオに言った。
ワリオは少しの間、赤毛の女性を見つめる。
歳は若そうで、まだ10代といったところか。よく見ると肌や髪の手入れが整っており、冒険者というよりはどこかのお嬢様という印象を受けた。
しかし、ワリオはその女から嫌な気配を感じていた。
例えるなら……そう、以前自分のお宝を横取りしていった女海賊…いや、それ以上に貪欲で性格の悪い女だとワリオは直感で感じ取った。
「あの………勇者様?」
赤毛の女が、何も言わずに見つめてくるワリオを不審に思い声を掛けた。
「…あー…………悪りぃけど、俺様同伴者とかいらねーんだわ…」
この女と旅立ったら碌な目に合いそうにないと、ワリオは女の申し出を断ろうとした。
「おい!せっかく一緒に行ってくれるって言ってくれてるのに、その態度はなんだよ!!」
しかし、そこに待ったをかける男がいた。
槍の勇者こと、元康である。
「え~……だって本当にいらないし………」
「この子は一人で旅立つお前を心配して言ってくれてるんだぞ!強がってないで、その娘を仲間にしてやれよ!!彼女の思いを無碍にするなよ!!」
元康は強い口調で言った。
元康は転移する前に女性関係でこじれてしまい、刺されてしまった男である。しかし、今は彼女たちの好意を弄んでしまったことを後悔しており、そのため今後は女性を尊重して生きようと密かに誓っていたため、ワリオが赤毛の女性の思いを無碍にしようとしたことが許せなかったのであった。
他の勇者やその従者たちも、ワリオの態度に厳しい表情を浮かべた。
「だから俺様は…「うむ、モトヤス殿の言う通りだな。ワリオ殿、王として命ずる。その女を従者とし旅に出よ。さもなくば支度金も出さぬぞ」………ちぇ、わかったよ……」
それでも嫌がるワリオに痺れを切らし、メロマルク王が命令する形でワリオは赤毛の女性を仲間に加えた。
「よろしくお願いしますね。勇者様♪」
「………おう」
げっそりしているワリオに笑いかける赤毛の女性。
その光景を見て、メロマルク王はにやりと笑った。まるで、自分の計画が順調に進んでいることを喜ぶように。
「他に盾の勇者と共に行こうというものは居らんな?…居らぬならしょうがない、ワリオ殿はこれから先、自分の気に入った者をスカウトして人員を増やすがよい。それでは、次に支度金を渡そう」
王がそう言うと、4人の男女がジャラジャラという音を立てながら重そうな袋を持って来た。
「勇者殿たちにはそれぞれ600枚、ワリオ殿には仲間が少ない分800枚の銀貨を用意した。それで装備を整えて旅立つがよい。また、月々の援助金も配布するため金の心配はいらぬであろう」
「おぉ!これだよ!これを待ってたんだよ!!」
金袋が前に出された瞬間、ワリオは先ほどとは打って変わって上機嫌に袋を抱きかかえた。
「………お前、仲間よりも金の方が嬉しいのかよ」
その豹変ぶりに、元康はジト目になりながらワリオに言った。その視線に、軽蔑の念が混ざっているのは気のせいであろうか……?
「おう!人は簡単に裏切るが、金は裏切らないからな!!」
そんな視線も気にしないと言わんばかりに力いっぱいに応えるワリオ。
それどころか、抱えていた金袋を赤子のように愛おしそうに可愛がり“チュ♡チュ♡”している始末。周りの人間も「なんだこいつ……」というドン引きした表情で見ていた。
「………ン゛ンンッ………それでは行くのだ勇者達よ!波を魔物を倒し、この国を、この世界を救うのだ!!」
そんな空気を変えるために、メロマルク王は大きめの声で叫んだ。
「「「はっ!!」」」
その呼びかけに応えるように敬礼する勇者達
………そして、金に夢中で王の声に気付いていないワリオ。
メロマルク王のイライラしすぎて頭の血管が切れたそうな………
こうして、ついにワリオの異世界での旅が始めるのであった。
………しっかし、本当にこの品のない子悪党が勇者でいいのであろうか?
はたして、ワリオに勇者が務まるのか、それは別のお話
Pizza Towerってゲームがもろワリオランドで草
メイドインシリーズもいいんだけど、やっぱワリオのアクションゲーがやりたいんよなぁ……
次回は気が向いたら
ここまでご拝読ありがとうございました