咲VS赤木   作:かさばる

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第十話

……終わった。

 

 試合終了。清澄軍、及び赤木軍は、それぞれの獲得点数を確認の上で、その成績の清算に入る。

 

 獲得チップ:清澄軍:21枚(22万点)赤木軍:29枚(33万点)

 

 これをベースに差額を計算。その差、赤木軍の11万点勝ち。この11万点が、清澄側のライフである200万点から削られる。残りは189万点。

 

「じゃあ、そろそろ」

 

 赤木が言う。

 

「いいかな」

 

 ずいぶん疲弊した調子の清澄のメンツに。

 

「普通の麻雀をやろうか」

 

 

 千点が1Pの、順位馬が10-30のワンスリー。25000点持ちの30000点返しである。そして、続く追加ルールが。

 

「赤牌は無し。そして1本場が3000点だ」

 

 赤木がそう言い、清澄側はそれを了承した。

 

 闘牌が、始まる。起家は原村和。

 

 「あっ」

 

 和がはっとして声を上げた。

 

「あの、まだ配牌を見ていないので」

 

「……なんだね?」

 

「提案です。東風戦にしてください」

 

 赤木はそれを了承。和の意見によって、この勝負は東風戦とする事になった。

 

 (馬鹿だっ!私……!)

 

 直後、和は強く反省する。今の提案はうかつだった。何故なら、この勝負が東風戦か東南戦かは、まだ決められていない事だったのだから。だから「自分の意見として東風戦にする」よりも「双方の相談でどちらかに決める」の方が良いに決まっている。今みたいに自分の意見として言ってしまうと、交換条件として向こうから要求が飛んでくる。

 

「そうだな。まあいいだろう」

 

 え――

 

 了承された?

 

 東一局。親、原村和。ドラ{⑨}

 

 (……しっかりしなくちゃ)

 

「エトペンを、持ってきてくれませんか」

 

 ぬいぐるみだ。あれを持ってよく考えれば自分は思考が冴えるのだ。

 

 原村和。配牌。

 {1357東南南北七八九⑦⑧⑨}

 

 まず、この配牌についてだ。第一打は{東}で間違い無い。この手、重なりや変化を待ってまでダブ東が欲しい手ではない。ならば敵にとっての役牌は処理することだ。

 

 「ポン」

 

 赤木しげる←井川ひろゆき

 {⑨⑨横⑨}

 

 ドラポンか……

 

 だが焦ってはいけない。赤木は西家。さっきの{東}は鳴かなかったから、色濃いのは別の役牌。{西}や三元牌。しかし、それだとしても、もし役牌が対子で、ひろゆきから鳴ける体制にあるのなら、それから先に鳴かせるはず。そうじゃないと不自然だ。だって、確定させたいのは何よりも役だ。ドラはむしろ、4枚目の所在が分からないのだから、現にそうであるように、敵の手にあることを考えて、そこから鳴けることを期待するべきだ。

 

 和の手には、ドラの{⑨}が1枚ある。

 

 つまり、現時点で赤木は、どんなに鳴いてもテンパイできる状態に無い。単純に絵合わせが不十分だという事だ。いや、更に言えば、ここまで見えてしまえば逆に、赤木の手は役なし、ドラポンのみのブラフと考えることもできる。

 

 {1357南南北七八九⑦⑧⑨}

 

 だからこの手は、まだまだ面前で作るに足りるものである。

 

 

 それに、1本場が3000点という事は、平場の時は相当攻めて良い。極論振り込んでも良いという事だ。今自分は親番。ならば尚更……

 

「ツモ」

 

 原村和

 {12399南南南北北⑦⑧⑨} {北}

 

「ツモチャンタドラ1。4000オールです」

 

よし……!まずは先制……!

 

 1本場。

 

「ツモっ!8000は9000オールです!」

 

 好調ではあったものの、次局に連続和了は成らず、役牌の鳴き合いの末に、優希がひろゆきに放銃。あっさりとトビ終了。清算である。

 

 原村和:+84.0

 赤木しげる:+6.0

 井川ひろゆき:△28.0

 片岡優希:△62.0

 

 両軍の点差は44000点。よってこれが、赤木軍の200万点から引かれる。

 

 宮永咲は言った。

「さっきのはミス。原村さんは東一局、多少強引にチャンタを作りにいった。それはいいとしても、まずダマテンにしてしまったのがミス。リーチしても何も悪いことは無かった。平場だから勝負すると、自分がそうやって打っていたのに、敵もそうだということを忘れている。デジタル。壊れたデジタル。中途半端に東風戦の思考が働いてしまっている。そしてあの場合は、リーチだけして、あがらずに流局するというのが正着。何故なら赤木さんのドラポン。本当にブラフだったのか。それを見ておかないと後々不利。だって向こうははなっから、東風戦か東南戦かは判断に入れていない。正確に言えば「入れていないはず」。それを確かめるために、少なくともテンパイの有無を確認すべきだった。どこまでが故意で、どこからが必然だったのか」

 

「咲……」

 

「まあこんな、必然とか故意とか、私が言うのも変かも知れませんが」

 

 そして咲は卓に近づいて。

 

「交代です。次は私が打ちます。それと、やっぱり東南戦にしていただけませんか?」

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