咲VS赤木   作:かさばる

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第五話

チップ、点数状況。

片岡優希:25000

井川ひろゆき:25000

赤木しげる:25000

原村和:25000

清澄軍:9枚(9万点) 赤木軍:13枚(15万点)

 

南四局、原村和の親。

 

原村和

{19一九東南西北中中456}

 

国士、十枚スタート……

 

いや?

 

九種九牌で倒牌。流局にするか?

 

……できるのか?

 

そういえば、そういう流局が可なのかという決めを正確に聞いていない。和は考えた。しかし、とは言え、自分自身がさっき考えていた事。30符4翻のアガリの裁定を保留にする事。その考えと類ずるものとして捉えれば、ここで流局を主張して、さあ裁定をどうすると揉めた時、話はきっと、低きに流れる。つまり、和の親番でもある事だし、親役満は怖いもの。それに特殊流局で親が流れるという裁定もパターンとして存在する。それさえ飲んでしまえば通るのではないか。ここでの流局は。

 

「九種です」

 

「……」

 

「……」

 

「ああ……流局だな」

 

赤木がそう言った。

 

 

「ちょっといいですか?」

 

「宮永さん」

 

麻雀部員、宮永咲が卓に近づき、意見する。

 

「今、一回戦、南場が終わりましたよね。私、喋っていいですか?」

 

宮永咲はさりげなく、九種九牌による流局では親が流れるという裁定を通そうとする。

 

「ああ……そうだな。一戦目の半荘はこれで終わりだ。なんだ?選手交代か?」

 

赤木は、そのさりげない主張を認めた。そして状況は次の段階に移ろうとする。

 

「ひとつ、変更していただきたい事があるんです。このゲームのルールについて」

 

宮永咲は提案した。誰かが飛んだ場合は、親番は流れるものとしよう、と。

 

……赤木はそれを承諾した。

 

「原村さん、ちょっといい?」

 

作戦タイムだ。咲は和を、少し離れた位置に連れてゆく。

 

 

 

 

 

「確認、なんだけど」

 

「はい……なんでしょうか」

 

「南一局二本場の事、覚えてる?」

 

 

 

南一局、二本場のこと……

 

 

 

{111222333444西}

 

 

四暗刻!しかも、南場の優希ちゃんにダブル役満の四暗刻単騎!和了なるかっ?

 

 

「ポン」

 

井川ひろゆき

{横白白白}

 

「……」

 

{裏裏中裏裏裏裏}

 

「ぐうっ、ドラポンが追ってきたじぇ……」

 

 

そして、流局直前、ひろゆきの手番。

 

「カン」

 

この嶺上牌が実質の海底となった。ひろゆきはその牌を手の中に入れ、別の牌を打ち、そして流局。

 

「テンパイ」

 

井川ひろゆき

{②③④⑤⑤⑧⑨} {裏發發裏} {白横白白}

 

 

「ノーテン」

 

 

「うう、テンパイだじぇ……井川さんもそんな高かったのか……」

 

 

片岡優希

{111222333444西}

 

 

「ノーテンです」

 

 

 

――――

 

 

 

 

 

「あの局、流局の時、リーチの優希ちゃんは当然テンパイ。そして井川さんがテンパイ。赤木さんと原村さんがノーテンだったよね。でも、ほんとにそうだった?もしかして原村さん、こっそり張ってた?張ってたけど、伏せた?」

 

和は、咲のその質問に回答する。

 

「いえ……本当にノーテンでしたよ。でも、宮永さんの予想している事は分かります。私はあの局、テンパイしていても伏せるつもりでした」

 

「そっか。でも最終ツモで危険牌を引いたから降りたのかな」

 

「はい。そうです」

 

和は、あの局での目的をしっかりと理解していた。それは元を辿れば、更に一局前の話。南一局一本場。優希が赤木から6100をアガった。これにより、赤木の持ち点は18900。赤木たちの狙いは、南二局でひろゆきが赤木を親の跳満で飛ばす事。であれば、その前段階でのノーテン罰符はかなり重要だ。和は伏せた。赤木も当然伏せる。あとはひろゆきさえノーテンなら、優希の一人テンパイで、赤木は千点払いだった。無論、17900になってしまうから、18000で飛ぶその条件は変わらない。しかし、もしも赤木以外の三人がテンパイで、赤木が3000点払っていたら、赤木の持ち点は15900になり、子の倍満でも飛ぶ状況が生まれてしまっていた。それを防ぐ為に和は敢えて伏せた。これは間違いなく良い機転。しかし、うっかりひろゆきが張ってしまっていた事により、やる事はやったのに、いまいち目的の達成に至れなかった。

 

「それで、いいからね」

 

咲は和に助言する。

 

「そのまんま打って。時に失敗しても、自分の芯を揺らさない事だよ。麻雀ってほら、そういうゲームでしょ?目的が成せなくても、待つの。成せる機会を」

 

「……はい」

 

「それから……色々と苦しいと思うけど、優希ちゃんを許してあげて」

 

「……」

 

「選手交代は、しないよ」

 

「……」

 

 

 

 

 

「はい。分かりました。引き続き頑張ります」

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