咲VS赤木   作:かさばる

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第七話

清澄軍VS赤木軍の戦い。試合は二回目の半荘の東二局に入る。親は井川ひろゆきである。

 

 親:井川ひろゆき

 南家:原村和

 西家:片岡優希

 北家:赤木しげる

 

 前局に飛びが発生した為、全員の点棒はリセットされている。

 

 この仕切り直しの際に、全員は一度休憩を取っている。その時、赤木とひろゆきは別室で話をしていた。

 

「ひろ、なあ。分かるか?何故今回のゲームで、あちらさんの片岡優希が苦戦しているか」

 

 分からない。とひろゆきは答える。無論、優希の挙動がどこかおかしいのは赤木側も気付いている。しかし、それにしても、原因がいまいち、そこまではひろゆきは分からなかった。それについて、赤木は語る。

 

「東場で、片岡優希は強い。そして南場では顕著に弱体化する。それは何故か?聞いたところ、あの子は集中力が長くは持たないらしい。無論それはそうなのだろう。しかし、ならば更に、どうして集中力が持たないのだろうか。それを俺は考えていた」

 

 赤木曰く。

 

「例えばだ。一般的な東南戦の麻雀で、暫定四着。それも大差を付けられたダンラスで南場を迎えたとするだろう。すると南場にそいつの心はどう動くか。早い話、萎えるのだ。やる気を失くす。自暴自棄。恐らく、片岡優希は今までの東南戦で、何度もそういう思いをしてきたのだろう。だから、まだ十分に動ける余地のある東場を好む。もっと言えば、それだけで完結する『東風戦』を好むようになった」

 

「なるほど……そういう事なら俺もよく分かります。赤木さんがさっき、一本場を1500点にしたのも納得できます。一本場1500点っていったら、東風戦の雀荘でよくある……えっ?」

 

 そこでひろゆきは、やはり赤木がちぐはぐな行動をしている事に気付く。

 

「え、でも赤木さん。それってつまり、相手にとって有利なルールを提供している事になりませんか?」

 

「かもなあ」

 

「かもなって……じゃ、じゃあ、そこにはどういう意図があるっていうんです?教えてくださいよ。赤木さん」

 

 赤木は頷いて、ひろゆきに説明する。

 

「順位馬って、分かるかい。分かるよな」

 

 もちろん分かる、とひろゆきは頷く。簡単に言えば順位馬とは、上位二人に加点、下位二人に減点を与える、試合終了時に行うボーナスの事を指す。成績集計をする際に、千点が1Pと置き換えられたとして、よくある順位馬は、10-20とか10-30とか。ワンツーとかワンスリーと言われて、つまり、純粋な点棒換算にすれば、順位ごとに、その順位を取ったという最終結果だけで、一万点単位のボーナスが与えられる。ゆえに、こういう順位馬が付いている一般的な麻雀では、百点二百点をちまちまと稼ぐ事ではなく、百点『差で順位が付いた』という、順位を意識した勝負が有効となる。

 

 

「片岡優希は、順位戦的麻雀は得意だろうよ」

 

「はあ」

 

 つまり?

 

「今は揺らすのだ。順位の為には必ずしも高打点が必要とは限らない。千点やザンクのあがりもとても重要。でも、今このゲームでは、そんな事はやってられない。何しろ満貫縛りだ。その上、順位馬も存在せず、飛びが起こってもリセットされるから、明確な目標も無い。今は揺らすのだ。敵の感覚を。敵の感性を、心を」

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