東方黒雲録〜Traveling Black Monster〜   作:文才の無い本の虫

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本の虫「さてさて、東方黒雲録〜Traveling Black Monster〜はじまりはじまりーってね?」

作者「拙い文章ですが楽しんで頂けると幸いです」



第零章「始まりと終わり」
0「終わりの妖精」


 

 

ある人間の話をしようか。

 

その人間は幼い頃に正義の味方に憧れる様な普通の人間だった。

 

そうしてその人間は成長し、様々な学を収め、様々な功績を上げ、様々な事業に携わった。

 

その人間は天才では無かったが相応の努力をし、上り詰めた秀才であった。

 

その人間は研究者の様に知性的であり、求道者の様な万人に好かれる善人であった。

 

しかしある時、その人間はとある惡魔によって無惨に凄惨に殺されてしまう。

 

そうしてその人間の生涯は閉じた。

 

――筈だった。

 

本来なら輪廻の輪に戻る筈の魂は何の因果か、感情、記憶、経験、そんな様々なものを擦り減らし、欠落しながらこの世界に辿り着いた。

 

その魂が辿り着いた時、要石が抜かれ大地は天界に、そして地上の生きとし生けるものが死に絶えた。

 

そして、本来ならそのまま消滅する筈の生きとし生けるものが最後に抱き、降り積もった『死への恐怖』はその欠損した魂を核に纏まり『妖精』として産まれ落ちた。

 

その『妖精』は『死への恐怖』という『終わり』の概念から産まれ落ちた『始まりの妖精』という『矛盾(異常)』。

 

【虚と実】という作り出す力を持ちながら、【終わりを齎す】という終わらせる力を持つ『妖精(異常)』。

 

その『妖精』は未来で産まれる妖怪や妖精では考えられない程の穢れを内包していた。

その量は世界一つ分。

世界中の生きとし生けるものが遺した数多の『死への恐怖』、過酷な生存競争によって蓄積した大量の穢れ。

それを内包する『妖精』の躰はひたすらに頑丈に、ひたすらに強靭に出来上がる。

 

周囲の穢れが晴れ、『妖精』が姿を表した。

それは、欠損した魂の名残か黒髪の少年の姿形をしていた。

 

記憶は無く、感情もところどころ欠落し、根底の部分は穢れと『死への恐怖』から産まれ落ちた人外のもので、名前すらも無く、ただ中途半端に人間性があるだけ。

 

【識っている程度】の知識を持ち、初めから自我を持ち、強靭な躰を持ち、強大な力を持つ。

 

 

「・・・・・此処は?」

 

 

そんな産まれ落ちたばかりの『妖精(イレギュラー)』は目を開き、水色の瞳が覗く。

 

――そうして物語は動き出した。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

妖精を産み出してしまった世界は『妖精(異物)』を受け入れ/怖れた。

 

全能故に暇を持て余していた観測者は『妖精(異常)』に興味を/恋心を得た。

 

そして、この世界に産まれ落ちた『妖精(終わり)』は繋がり/始まりを求めた。

 

 

――これはそんな数多の『終わり』から産まれ落ちた『始まりの妖精』の出会いと別れの物語。

 

 

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