東方黒雲録〜Traveling Black Monster〜 作:文才の無い本の虫
「うーん・・・・・そうだ!
「良いと思います!私、感激です!!」
「良い名前だとは思うけど・・・・・取り敢えず、美舞の娘息子の意見も聞いたほうがいいんじゃない?」
「確かに柏手様の言う通りですね・・・・・冬華、どう思いますか?」
「うーんとね、おかあさん、わたし、みこになってすわこしゃまとかしわでしゃまとかなこしゃまのやくにたちたい!!」
「よしよし、冬華はいい子だね・・・・・美舞の昔を思い出すなぁ」
「じゃあ今日からこの神社の名前は守谷神社だ!神奈子も梅もそれでいいよね?」
「うむ」
「私は主様が良いのであれば」
あの諏訪大戦から十年程が経った。
あの後、大和の国の高位神のアマテラスって言うのと交渉したり(ツクヨミの時みたいに小物感が凄かった。何か小声で「ツクヨミのやつ仕留め残っているじゃないか」とか言ってたのであの爆発?の犯人はツクヨミの様だ。聞こえないと思っていたのだろうか?)、
美舞が結婚したり(相手の男性は僕の威圧に正面から「翡翠のことは守って見せる!!柏手様、そのために俺を弟子にしてください!!」と言うぐらいの青年だ。今は神社の手伝いと妖怪退治を生業にしている)、
子育てに奔走したり(最初の頃は僕が殆どやってた気がする。そのせいで柏手様に子育ての神様という側面が出来たとか・・・・・恋愛相談に加えて子育て相談とか多いわ!!)と様々なことがあった。
神奈子はこの守谷神社の神に成っており、今はみんなに受け入れられている。
受け入れられているのは神社で過ごすうちに悪いやつじゃ無いと言うのがわかったのも大きいだろう。
因みに神奈子は冬華のことを結構可愛がっている。
美舞の夫は東風谷 春と言い、面白い青年だ。
第一子は冬に産まれた女の子だったため「柏手様に名付け親になってもらいたいです」という美舞の要望により冬華と名付けた。
冬華はすくすくと育っていき、今は巫女になる勉強の最中だとか。
因みに春よりも美舞のほうが強かったり・・・・・というか今のところ諏訪の国中で最強は(人間の中では)美舞だったりする。
エディはできるだけ美舞や冬華が居ないときに遊びに来る様になった。
どうやら邪魔が入ってほしくないのだとか。
相変わらずエディは突然現れて、僕の血を吸ったり諏訪子と話したり、僕とお茶をしたりして帰って行く。
偶に酒を飲んだりもする。
因みに神奈子はエディが苦手なのだとか。
そんなこんなで今僕達は暮らしている。
・・・・・この生活もあと数十年か。
「主様、美舞を看取った後は何処に向かうのですか?」
「梅にはお見通しか」
「ええ。私は主様の従者なので」
「うーん。取り敢えず月に行ってみようかな」
「永琳様に会いに行くのですか?」
「うん。まぁ取り敢えずは美舞の一生を見守るつもりだよ」
「・・・・・長生きしてほしいとは思います(ええ、演技のつもりが少し愛着が湧いてしまったようですね)」
「・・・・・ふふ。さて、しんみりした話は終わりだ。夕飯の準備でもしようかな(・・・・・梅も不器用だね)」
「はい、お手伝いします」
「助かるよ」
◇◇◇◇
――ああ遂にこの時が来てしまった。
諏訪大戦から、数十年が経った。
朝起きるとエディが珍しく僕のことを膝に乗せて本を読んでいた。
「エディが本を読んでいるのは珍しいね。その本はなんていう本なの?」
「くふっ・・・・・『Clapper』っていう存在のことが書かれた本だよ。私の唯一残っている思い出・・・・・かな?」
そう言う彼女は少し哀しそうだった。
僕は少し彼女の頬に手を当てる。
エディは僕の手に手を重ねて目を閉じる。
・・・・・まるで温もりを確かめるように。
何時もと違う彼女に少し胸騒ぎがする。
・・・・・そうか、そう言うことか。
エディが目を開けて僕を覗き込む。
「あ、気付いちゃった?」
「読んでるからわかるでしょ?」
「くふっ」
きっと――今日、美舞が死ぬ。
エディは僕の旅立ちという節目に訪れたのだろう。
「正解」
「・・・・・そっか。猶予はどれくらいあるの?」
「あと少しかな?彼女は縁側でお茶を飲んでいる筈だよ」
「ありがとう」
「うん。行ってらっしゃい、黒」
彼女は優しく微笑む。
・・・・・何と無く、この顔もエディの一面なのだと思った。
僕はエディの膝から起き上がり、縁側に向かう。
「・・・・・主様」
「美舞は縁側に居る?」
「はい・・・・・私は諏訪子様と冬華達を呼んできます」
「ありがとう」
美舞の夫である春は既にこの世を去り、美舞は老いた。
この時代に七十年も生きるなんて凄いことだと思う。
縁側には長い白髪が混ざった緑色の髪を纏め、老いてなお背筋が曲がっていない老女――美舞が桜を眺めていた。
「・・・・・美舞。隣、良いかな」
「ああ、柏手様。どうぞ」
美舞は何処からともなく座布団を取り出し、隣に敷く。
僕はその座布団に座り、美舞と一緒に桜を眺める。
「・・・・・柏手様。いえ、今だけは・・・・・
「うん、良いよ・・・・・美舞、君はわかってたんだね」
「はい、お父さん。何と無くですが、お父さんが来たことで確信しました。ああ、今日私は死ぬんだなと」
「そっか・・・・・人生はどうだった?」
僕は桜を眺める美舞に聞く。
何と無く聞いたほうが良いと思ったのだ。
「そうですね・・・・・私は幸せでした。お父さんが育ててくれて、諏訪子様――いえお母さんに会えて、あの人とも結ばれて、冬華が産まれて、孫も抱けて・・・・・ええ、とても幸せでした。巫女になったことも後悔してませんし、梅姉さんが私に演技をしていたのも気付いてました・・・・・でも、幸せでした」
「・・・・・そっか。何か言いたいことはあるかな?」
「はい。冬華に長生きしてほしいと。冬華の夫には冬華を頼むと。孫達には幸せになって欲しいと。神奈子様には頑張ってくださいと。梅姉さんにはありがとうと。お母さんにはどうかお元気でと。お父さん・・・・・きっとお父さんはこの後、旅に出るんじゃないでしょうか?」
美舞はもう殆ど視えていないはずの目ではっきりと僕を見て言う。
「うん。あるものを探しに行くんだ」
「そうですか。きっとお父さんが探しているものは、時間が解決してくれる・・・・・そんな気がします。でも、あんまりお母さんを待たせちゃ駄目ですよ?」
美舞の・・・・・というか巫女の勘はバカに出来ない。
殆ど合ってるし。
「うん・・・・・そろそろ逝くのかい?」
「はい」
柏手としての目が教えてくれる。
美舞の命がもうすぐで尽きることを。
「お父さん、最後に膝枕をしてくれませんか?」
「いいとも・・・・・おいで」
彼女は殆ど力が入らないんのか倒れ込むように此方にくる。
僕は美舞を受け止めて、彼女の頭を膝に乗せて彼女の頭を昔のように優しく撫でる。
「・・・・・お父さん、今までありがとう。私はお父さんの幸せを願ってます」
美舞のしわくちゃになった手が僕の手に触れる。
・・・・・ああ、冷たい。
いや、温かいね・・・・・。
「うん。美舞、お疲れ様・・・・・ゆっくり、おやすみ」
「はい・・・・・おやすみなさい、お父さん・・・・・」
美舞はゆっくりと目を閉じていく。
美舞は眠るように息を引き取った。
僕は無言で柏手の鬼面を被り、外を見る。
そうして桜を眺めていると柏手の鬼面にぼんやりと若い一組の男女が写った。
―――美舞、約束通り迎えに来たぜ!さあ、行こう!
―――ええ、行きましょう春!二人で!
瞬きをするとそこには誰も居なかった。
それは僕が都合よく見た幻覚なのかもしれないし、柏手の鬼面に写った"見えないもの"かもしれない。
だけど、僕と桜の間を風が桜の花弁を乗せて吹き抜けて行った。
そうして暫くぼんやりと桜を眺めていると、背中に誰かが抱きつく。
銀木犀の優しい香りがする。
「・・・・・エディ」
「黒、諏訪子が来るまでこうしておいてあげる」
「ありがとう」
僕は美舞の死を悲しめないのが悲しくて、辛い。
だけど、エディの温もりがその辛さを和らげてくれた気がした。
◇◇◇◇
その後、梅が諏訪子と冬華達を連れてきた。
僕が美舞の最後の言葉を伝えると冬華達は美舞の死を悲しみ、諏訪子は僕の背中で泣いて、梅は目を閉じ、神奈子は静かに酒を飲んだ。
数日して美舞の葬式をした。
葬式には春の時の様に諏訪の国の殆ど全員が来た。
美舞は沢山の人から慕われていた様だ。
そうして葬式はつつがなく終わり、美舞の墓が守谷神社の境内の端に作られた。
「黒、行くの?」
「うん。僕に足りないモノを探しに」
「そっか・・・・・黒、きっと黒の旅は時間がかかるんだと思う」
「・・・・・」
「着いていきたいけど、私は待つよ。大好きな黒のことを何千年も何万年も・・・・・エディが一緒でもいいよ。だから、
諏訪子は僕に向かって微笑む。
それは蠱惑的で、湿度の高いドロドロとしたイメージを持たせる。
そんな
「うん。約束する」
「本当に?・・・・・私、とっても重くて面倒くさいよ?」
「知ってる。それに僕はそんなところも含めた諏訪子の全部が好きだから」
「・・・・・そっか。じゃあ、
――
諏訪子の雰囲気が変わり、周囲の温度が下がる。
僕は諏訪子の差し出した小指に自身の小指を絡ませる。
「うん。――
――此処に契約は成立した。
「うん。じゃあ黒、行ってらっしゃい」
諏訪子が離れて手を振る。
「うん。行ってくるよ諏訪子」
「梅も黒をよろしくね」
「ええ、言われずとも。私は主様の従者ですから」
「さて・・・・・梅、行こうか」
「はい」
僕達は諏訪の国に背を向けて歩き出す。
・・・・・何時か、必ず。
◇◇◇◇
「・・・・・早く、早く、早く。黒、私を満たして?」
『黒』
何かが欠けている。それを探さなければ。見つけなければ。彼女を、七■の■■を救えない。埋めてあげられない。・・・・・はて、彼女とは誰だ?これは■■■の記憶?それとも僕の?理解らない。その答えを知るのは・・・・・。「・・・・・っ!!今のは・・・・・夢?」
『エディ』
永い時の中で記憶を失い、感情も失った全知全能の元魔法使い。今は感情を取り戻し、自身の空白を埋めるモノを求めている。今話のヒロイン。本を読む事だけが彼女の記憶に残っている。彼女は本来存在しないが、存在し得る特異な存在。
「早く、早く、早く・・・・・」
『諏訪子』
メインヒロイン。黒をゲット(暫定)。自覚してるヤンデレ。神さえ殺すレベルの
「あははは!やったあ!」
『梅』
今回はあまり出番が無かった。さしたる活躍は諏訪子や冬華を呼んだこと。美舞に愛着が湧いてしまった。演技は黒と美舞にはバレていてそれでも美舞は彼女に感謝していた。こっそりと美舞の墓に強力な(それこそ千年万年は解けない)状態保護を掛けた。
「・・・・・これが悲しみ、ですか」
『美舞』
当時では驚異の七十まで生き、黒に見守られながら眠るように息を引き取った。守谷に受け継がれることになる歴史書に歴代最強の巫女として記されることになる。もう出番は無い・・・・・と思ったか?
「・・・・・おやすみなさい」
『神奈子』
美舞の死に悲しみ、持っていた中で一番位が高い酒を半分飲み、もう半分を墓に備えた。黒の旅立ちをあとから知った。諏訪子との仲は良好で立派に神様を務めている。最近の悩みは恋愛相談が来ること。
「・・・・・人間に染まり過ぎてしまった、か」
『冬華』
祖母の死に悲しみから立ち直り、祖母に恥じぬよう立派に巫女を務めた。八十まで生き、娘息子孫曾孫達に囲まれながら眠るように息を引き取った。今後、彼女達東風谷の一族は代々守谷神社の巫女を務めることになる。
「ああ、母さん。私、上手くやれたかな?」
バッドエンド見たいですか?
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見たい!!(旧作の様にEX√として書く)
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見たくない!!(旧作に載せるかも?)
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メリーバッドエンド!!(諏訪子ルート)
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ラブラブ天驚拳!!(超ハッピーエンド)
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個別!!(コメント下さい。書きます)