東方黒雲録〜Traveling Black Monster〜   作:文才の無い本の虫

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仙界――それはこの世の何処かに在るとされる理想郷。
様々な食物が溢れる常春の楽園。
何処にでも在り、何処にでも無い。
そんな曖昧な世界。

そんな世界に一人のスキマ妖怪が訪れる。




作者「今回は前半ゆかりん、後半黒の話でお送りします」

作者「因みに黒が仙界を離れてから少し?のお話です」

※黒が永琳に会えなかったのは永琳が地上を監視しに赴いて居たため




2「仙界、黒の話(前編)」

 

 

「はぁ・・・・・疲れたわ」

 

 

私は背を伸ばし、躰を解す。

 

私――八雲紫がお父様と別れて、『幻想郷』を作るために活動を始めてから数百の時が流れた。

 

協力者も集まり、場所の準備も進んでいる。

 

 

「あと、少しかしら・・・・・あら?」

 

 

暫く空を眺めていると、お父様の気配を感じた気がして振り向くと、其処には空間の歪みがあった。

 

 

「ふむ、行ったことのない場所ね」

 

 

能力で少し覗くと、向こう側には岩と森が見える。

 

・・・・・一体何処に繋がっているのかしら。

 

 

「うーん。当分の間は重要な予定は無いし、息抜きがてら行ってみるのもありかしらね」

 

 

そうと決まればと術を使い、私は協力者の摩多羅隠岐奈――賢者の一人に言葉を届ける。

 

 

「――あー隠岐奈、聞こえてるかしら?」

 

 

『なんだ?』

 

 

「私、ちょっと別の世界に行ってくるわ」

 

 

『はぁ?・・・・・まぁ当分の間は大丈夫だが、後で土産話を聞かせろよ?』

 

 

「ええ、もちろん」

 

 

術を切る。

 

さて、連絡も済んだ事ですし、行ってみましょうか!

 

 

「一応、保険でも掛けておこうかしらね――『多層結界』」

 

 

私は自身の周りに結界を張り、空間の歪みを中心に開いたスキマを潜り抜けた。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「む?・・・・・この娘、黒から聞いていた特徴と一致するな」

 

 

この【仙界】の代理管理者である純狐は来訪者の存在を察知し、その来訪者に意識を向ける。

 

其処には周囲を見回す金髪の彼女の夫と似た道士服を着た女性が居た。

 

その容姿に彼女は一昔前の記憶を思い出す。

 

 

『そういえば純狐。もしかしたら此処に金髪の八雲紫っていう僕の娘が来るかも』

 

『む?黒、誰の子だ?』

 

『あー、拾い子だよ。伯封の姉・・・・・にあたるのかな?いい子だから仲良くしてくれると嬉しいな』

 

『取り敢えず話してはみる。伯封の姉なのだろう?』

 

 

最近――数年程逢えていない彼を思い出して彼女は目を細める。

 

 

「ふふ」

 

 

「お母さん、どうしたの?」

 

 

「ああ、伯封。お前の父のことを思い出すことがあってな」

 

 

「・・・・・お父さん、何時帰って来るのかな」

 

 

「そうか・・・・・もう数年になるのか」

 

 

純狐の前には幼年から少年へと成長した伯封が居た。

 

彼は黒の道士服と純狐の服を足して2で割った様な服に、首から今の伯封には少し大きい黒が能力で創った(・・・・・・)デフォルメされた『柏手の鬼面』を下げている。(デフォルメとは言っても『柏手の鬼面』自体単純なデザインなのだが)

 

純狐は伯封に目線を合わせ、彼の頭を優しく撫でながら言う。

 

 

「伯封、お父さんが居なくて寂しいか?」

 

 

「・・・・・うん」

 

 

「そうか。なら黒が帰って来た時に言ってやれ。黒はお前のお願いを聞いてくれないほど狭い男じゃないさ」

 

 

その言葉には純狐の七年を共に過ごした黒への信頼がこもっていた。

 

恐る恐るといった様に首に下げた『柏手の鬼面(御守り)』を握りしめて伯封は聞く。

 

 

「良いのかな?」

 

 

その問いに純狐は笑って言う。

 

 

「ふふ。伯封、親を困らせるのは子供の特権だ。お父さんを一杯困らせてやれ。それに面白い来訪者が来たようだしな」

 

 

「お客さん?クラピやヘカさんじゃ無いの?」

 

 

「ああ、聞いてい驚け・・・・・今回の客はお父さんが話していたお前の姉だ」

 

 

「え!?紫姉さんが来るの?!お母さん、楽しみだね!」

 

 

「うむ。私は迎えに行ってくるから伯封は茶の準備してもらって良いか?」

 

 

「うん!」

 

 

伯封は満面の笑みで台所へ駆けていく。

 

 

「さて、行くか」

 

 

それを見届けた純狐は立ち上がり、黒の――『柏手様』の様に手を叩く。

 

 

「・・・・・案外そろそろ帰って来るのかもな」

 

 

すると彼女はその場所から消えてしまった。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

「へぇ・・・・・此処、面白いわね」

 

 

見渡す限り青々とした森、見上げれば青空が在り、岩や雲が漂っている。

 

私が今居る森には生命力が溢れており、普通の自然界には無いはずの見覚えのある木々(・・・・・・・・)がちらほらと見える。

 

 

「この木はエディ姉さんの【銀木犀の箱庭】のものと同じなのかしら?それにどうやって岩が浮いているの?・・・・・ふふっ興味が尽きないわ」

 

 

私は近くの木に寄り、幹に手を当てる。

 

触れただけで強いエネルギーを感じるわね。

 

・・・・・!!

 

 

「これは、少し変わっているけど間違い無く『柏手様(お父様)』の神力!」

 

 

「その通りだ。八雲紫」

 

 

後ろから私の名前を呼ぶ声に振り向く。

 

其処には長いウェーブのかかった金髪に赤い目をした美女が立っていた。

・・・・・気付かなかった。

 

 

「貴女は?何故、私の名前を知っているの?それにお父様との関係は?」

 

 

「む、黒に会っては無いのか。私は純狐。お前の(義理の)母だ!」

 

 

「は?」

 

 

眼の前のヤバそうな女性は自信満々に私の母親だと言い切った。

私の口から思わず疑問符が出る。

 

えーっと、私には母親なんて居なかったはず。

 

・・・・・どゆこと?!(語彙崩壊)

 

 

「うむ。私は黒の妻(事実上&自称)だ!」

 

 

「先にそちらを言いなさいよ?!ってかお父様いつの間に結婚したの?!」

 

 

「(自称だから)結婚はしていないぞ?」

 

 

「どういうこと?!」

 

 

「取り敢えず屋敷に案内しよう。ついて来い、娘よ」

 

 

純狐と名乗った女性は私に背を向けて歩き出した。

 

 

「ああもう歩くの早いわね!ってか誰か説明して?!」

 

 

私は急いで彼女の後を追った。

 

 

 

 

――まさにカオス。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「初めまして紫お姉ちゃん!!僕は伯封って言います!」

 

 

「お、おねっ・・・・・ええ、よろしくね。伯封」

 

 

純狐について行った先には【銀木犀の箱庭】にある屋敷を和風にしたような感じの屋敷があった。

 

そこの縁側で私は昔の私と同じ様にお父様に助けられてお父様の子供になった伯封という少年に会った。

 

彼は太陽のような明るい少年で、私のことを「お姉ちゃん」と呼んでくれた。

私は何と無く血の繋がっていないこの弟を大切にしようと思った。

 

それから、純狐からこの【仙界】に関することやお父様との関係を聞いた。

・・・・・純狐、貴女口足らず過ぎないかしら?

 

あら、このお茶美味しいわね。

 

 

「伯封、貴方のお茶は美味しいわね」

 

 

「本当?!お父さんに教えてもらったんだ!」

 

 

伯封はにぱーと笑う。

 

・・・・・ふふっこういうのを微笑ましいって言うのね。

 

きっとあの時のお父様――いえ、父さんもこんな気持ちだったのかしら。

 

そうしてゆっくりと時間は過ぎていく。

 

 

「・・・・・む!」

 

 

突然、純狐が立ち上がった。

 

 

「純狐、どうしたのかしら?」

 

 

「お前達の待ち人が来たのさ・・・・・全く、待たせ過ぎだ」

 

 

すると純狐の視線の先の空間が歪み、三つの人影が現れた。

 

金髪の(・・・)父さんと梅姉さんの見慣れた二人組に、金髪の少女。

 

・・・・・ん??

 

何で金髪?!

 

 

「純狐、伯封、ただいま」

 

 

「お父さん!おかえりなさい!」

 

 

伯封が父さんの方へ走っていく。

純狐もその後を追った。

 

飛び付いた伯封を抱きしめて、父さんは純狐に微笑む。

 

 

「ふふっ。待たせ過ぎだ馬鹿者」

 

 

「ごめんね、少し立て込んでたんだ。これでも急いで帰ってきたんだよ?」

 

 

「しょうがない奴だな。許してやる・・・・・黒、よく帰った」

 

 

「うん。ただいま」

 

父さんと純狐が何か夫婦の様な遣り取りをしている。

 

それを見ながら私も立ち上がり、父さんの方へ歩いて行った。

 

 

「父さん、久しぶりね」

 

 

「ああ。紫、久しぶりだね」

 

 

髪色以外は変わってないみたいね。

 

でも、こればっかりは説明してもらおうかしら?

 

私は父さんに詰め寄って言う。

 

 

「で、父さん。何で知らないうちに母親と弟が出来てるのか父さんの口から説明してもらおうかしら?というかこの子はどこの子?」

 

 

「う、うん。説明するから、ちょっと待って」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・はぁ(紫にこの調子ではあの女(諏訪子)にどうやって説明するつもりなのでしょうか)」

 

 

「はろはろ〜ってもしかしなくとも取り込み中に来ちゃった感じかしら?」

 

 

「Goodmorning!!伯封、あそぼー!・・・・・って取り込み中?」

 

 

「ヘカーティア様、クラウンピース、お久しぶりです。主様はご覧の通り取り込み中なのでお茶でもどうですか?」

 

 

「貰おうかしらん」

 

 

「お茶欲しい!please!!」

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

――時は戻り、黒が【仙界】を発った後

 

 

「ねぇ梅」

 

 

「主様、どうしたのですか?」

 

 

「今気付いたんだけど伯封って7歳位だったよね・・・・・元人間の」

 

 

「?・・・・・ええ。伯封は七歳頃ですね」

 

 

「・・・・・不味い」

 

 

どうしよう。

 

伯封を美舞じゃなくて紫基準で考えてた。

せめて十五までは一緒に居てあげるべきだった。

・・・・・僕は父親失格だな。

 

 

「主様、そんなこと有りませんよ」

 

 

「あれ、口に出てた?」

 

 

「いいえ。予測しただけです。どうせ‘僕は父親失格だな’と考えていらっしゃるのではないかと思いまして」

 

 

「お、おう。合ってるけどさ、僕は駄目な奴だね」

 

 

はぁ。

 

でもなあ。

 

諏訪子を待たせてるし、時間が・・・・・。

 

 

「そうですね。ですがまだ取り戻せる段階です。主様ならどうせ‘時間が・・・・・’とか考えているでしょうから私に考えがあります」

 

 

梅、僕の思考読んでない?

 

 

「いいえ?」

 

 

・・・・・。

 

 

「・・・・・考えって?」

 

 

「主様が創った【仙界】を利用すればいいのではないかと」

 

 

「【仙界】を?」

 

 

どういうことだろう。

 

 

「【仙界】は異界です。今居るこの世界とは切り離されている。だから理論上は内部時間を加速させればこの世界での一年は【仙界】での百年に変えることが出来るはずです」

 

 

「!!」

 

 

「それなら諏訪子(あの女)を待たせずに伯封の件も解決出来るのでは?」

 

 

・・・・・出来る。

 

Time alter(固有時制御)を応用出来れば、いや異界自体の時間軸をずらせば・・・・・。

 

 

「・・・・・梅、ありがとう」

 

 

「いいえ、主様のお役に立たのなら良かったです。なのでご褒美を所望します」

 

 

「うん。とても助かったよ」

 

 

僕は梅の頭を撫でる。

 

さて、そうと決まれば後は簡単だ。

エディに会おう。

 

すると、銀木犀の香りがした。

 

・・・・・絶対見てたよね。

 

 

「くふっ。見てないよ?黒、会いたかった?」

 

 

「うん。(興味が必要だという意味で)とっても会いたかった。エディ(の協力)が欲しい」

 

 

「・・・・・(純狐様のせいで主様が口足らずになってしまった)」

 

 

「・・・・・そんなことだろうと思ったよ。でもまぁ私が勘違いしちゃえばいいかな?」

 

 

エディがニタリと笑う。

 

 

「黒に私をあげる♡・・・・・代わりに私が黒を貰うね?」

 

 

エディが指を鳴らす。

 

 

「あ、この展開身に覚えがある」

 

 

これ、いきなり【銀木犀の箱庭】コースだ。

 

 

「御名答!」

 

 

そうして僕達は久しぶりに【銀木犀の箱庭】に訪れることになる。

 

 

 

 

 

「・・・・・エディが抜け駆けしてる気がする!!」

 

「諏訪子、どうしたんだい?」

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「まぁ、そうしてエディの所で時間に関することを教えてもらって一旦元いた世界に戻って探しものをしていたらこの子――ルーミアに会ったんだ」

 

 

「よろしくなのだー」

 

 

「・・・・・父さん、何かこのルーミアって梅姉さんに似てないかしら?」

 

 

「うん・・・・・実はね、ルーミアは僕の眷属らしいんだ。梅と僕が死にかけた時に産まれたのが原因で梅に似てるんだ」

 

 

「王様と梅姉は美味しいゴハンをくれるから好きなのだー」

 

 

「・・・・・あと何か放って置けなくて」

 

 

「・・・・・父さん、少しわかるわ」

 

 

「まぁその後はルーミアを加えた僕達は海の向こうで面白い人間に会ったんだ」

 

 

「海の向こう?!父さん、一旦何処まで行ってたのよ?!」

 

 

「世界一周?」

 

 

・・・・・まぁそれは置いておいて。

 

 

「伯封、おいで」

 

 

「うん!」

 

 

僕は伯封を膝の上に載せる。

 

 

「少し、土産話をしようかな。僕の友達の話を」

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「へーい!あたいはヘカーティア様の部下、クラウンピース!ヨロシクゥ!」

 

 

「私は王様の眷属のルーミア。よろしくなのだー」

 

 

「Really?ルーミアはGrandpaの眷属なの?」

 

 

「そーなのだー」

 

 

「じゃあルーミアはMother?」

 

 

「違うと思う」(真剣)

 

 




『ゆかりん』
幻想郷設立の為に奔走中。休暇?息抜きとして【仙界】へ訪れた。いつの間にか(義理の)母親と弟が出来ていた。(実は妹も居たり・・・・・)純狐とは普通に接する。伯封には姉として接する。実は諏訪子だけと面識が無い。
「どういうことよこれ」

『純狐』
黒の妻(自称&事実上)。黒の代理として【仙界】の管理者をしている。自身は愛してもらえるなら正妻でなくとも構わないと思っている。数年間、黒と暮らしてコロッと落ちた。
「遅いぞ馬鹿者」

『伯封』
黒の事実上の息子。純狐の能力によって幼い頃に本来の父親の血や存在は消され、黒の血で補填された。縁の結び直し、黒の血、純狐の能力の三つによって人間では無くなった。
「おかえりなさい!」

『クラウンピース』
地獄の妖精。ヘカーティアの部下。伯封の数少ない(というかほとんど居ない)友達の一人。黒のことをGrandpaと呼ぶ。ルーミアと仲良くなった!(本人談)
「すやー」(話が長くて寝ている)

『ルーミア』
黒と梅の血から産まれた妖怪というか妖怪に変質した妖精。黒のことを王様と呼ぶ。「〜なのだー」口調はキャラ。素の話し方は梅にそっくり。
「そーなかー・・・・・黙れクラピ。誰がお前のお母さんになるか!」

『黒』
何故かクラウンピースからGrandpaと呼ばれている。(実はちゃんと理由有り)【仙界】の植物は黒が『畑袋』から取り寄せて植えたもの。
「ただいま」

『梅』
最近の功労者。色々頑張っている。地味に紫より頭が良い。(存在自体が感情を持ったスパコンみたいなものな為)
「頑張りました」

『ヘカーティア』
空気。
「お茶が美味しいわね・・・・・」

バッドエンド見たいですか?

  • 見たい!!(旧作の様にEX√として書く)
  • 見たくない!!(旧作に載せるかも?)
  • メリーバッドエンド!!(諏訪子ルート)
  • ラブラブ天驚拳!!(超ハッピーエンド)
  • 個別!!(コメント下さい。書きます)
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