東方黒雲録〜Traveling Black Monster〜 作:文才の無い本の虫
「?」
何処かの縁側で目が覚めた黒は違和感を覚える。
――エディと純狐が居ない
そう思い、黒が周囲を見回すと此処が【仙界】の屋敷の縁側ではなく、
「守谷神社か。懐かしいなぁ・・・・・」
黒は立ち上がり、近くの柱に刻まれている
そうして柱の傷を数えていると、記憶との差異に気付く。
「ん?・・・・・冬華の分の傷が無い。どういうことだ?」
そうして暫く柱の隣で物思いに耽っていると、黒の耳に
その足音に黒が振り向くと、其処には黒を見て呆然とする祟り神が居た。
何故か彼女は本物だと確信できた。
「・・・・・え?」
驚いた様子で固まる彼女に黒は声をかける。
「諏訪子、久しぶり」
「・・・・・黒!!」
祟り神――諏訪子はその金髪を靡かせて勢いよく黒に抱き着いた。
黒はそんな彼女を抱き締める。
諏訪子はぐりぐりと自身の頭を黒の胸に押し付けて嗚咽を漏らす。
「うぅ・・・・・くろ、黒。会いたかった、逢いたかったよぉ・・・・・」
「うん。僕もだよ」
「くすっ。黒、くろぉ・・・・・」
「よしよし・・・・・」
二人は暫くそうして抱き合っていた。
夢現の世界は彼等を優しく包み込んでいた。
◇◇◇◇
「ねぇ黒。此処は何処だろうね」
「うーん。夢の中か、何処かの異界かなぁ・・・・・」
黒は縁側で膝の上に諏訪子を載せ、後ろから抱き締めながら呑気に話す。
上機嫌な諏訪子は周りを見回し、推測を口にする。
「あーうー、エディが何かしたとか?」
「・・・・・エディならできると思うけど動機がわからないねぇ」
「問題はそこなんだよね・・・・・うん?」
「諏訪子、どうしたの?」
「これ」
諏訪子は袖口から紙を取り出す。
そのカラフルな紙には綺麗な字でこう書かれていた。
――諏訪子が可哀想だったから百年経たないと出られない世界を創って閉じ込めてあげたからゆっくり楽しんでね
黒は後で私に一杯愛を囁く様に♡
エディより
その手紙を見た黒は複雑な感情に大きなため息をつく。
「はぁ・・・・・エディ、それ、拉致監禁って言うんだよ。先に言ってくれよ・・・・・まぁ有り難いけどさぁ・・・・・」
「・・・・・要するに黒を百年独り占め出来るってことだよね?」
諏訪子は体の向きを変え、黒を正面から抱き締める様に押し倒す。
「えーっと。諏訪子、何で僕の服脱がしてるの?」
「久しぶりに血を貰おうと思って」
「・・・・・押し倒す必要あった?」
「全然♡」
黒の問ににこりと微笑んで諏訪子は言う。
彼女に押し倒された黒は思わず天を仰いだ。
「言ったでしょ?私、とっても重くて面倒くさいよ?って」
「うん。知ってる」
「うふふ、取り敢えず上書き、しないとね?・・・・・ん、むぅ」
黒の口を諏訪子が塞ぐ。
黒は諏訪子を強く抱き締め、諏訪子は黒を抱き締め返す。
――ああ、幸せだ
その後、黒が息を出来たのは三時間程後のことだった。
◇◇◇◇
「はぁ・・・・・」
「諏訪子、どうしたの?」
ある昼下がり、黒と諏訪子の二人は縁側で並んでお茶を飲んでいた。
諏訪子の大きなため息に黒が疑問を呈した。
諏訪子は両手で持っていた湯呑みを膝の横に置き、空を見上げる。
「あと六十年しか此処に居られないんだと思ってね・・・・・」
「ああ、もう四十年も経ったのか」
「うん。ここ数十年は楽しかったなぁ・・・・・」
「そうだねぇ・・・・・」
黒と諏訪子はここ最近の出来事を思い出す。
二人で手を繋いで散歩をしたり、諏訪子が黒の料理を食べたり、二人でくだらない話をしたり、二人並んで昼寝をしたり、諏訪子が黒の血を吸ったり、黒がものは試しと諏訪子の血を舐めてみたり、諏訪子が(いろんな意味で)黒を美味しく頂いたり、それによって瀕死になった黒を諏訪子が看病したり、そんな感じに黒と諏訪子は四十年をゆったりと過ごした。
最近は専ら縁側でだらけるのが日常となっている。(偶に黒が諏訪子に食われるが)
「平和だね」
「うん。平和だ」
二人が過ごしているエディが創った異界は守谷神社の周囲しか無いという手抜き空間なのだが、しっかりと四季と朝と夜は存在している。
時間を忘れないようにとエディが用意した大きい砂時計もある。
「あ、そういえば黒に聞きたいことがあったんだよ」
「ん?何?」
「エディって変わらなかった?」
諏訪子のその言葉にく黒は思い当たる節がいくつかあった。
美舞の時の優しい微笑み、伯封や純狐に対する柔らかい態度。
あの最初の頃の『裏側の魔女』からは考えられない行動だ。
「確かに変わったとは思うけど、僕はあれもエディの一面なんじゃないかなと思ってる・・・・・ああいうエディも好きだしね」
「・・・・・むぅ」
黒のその発言を聞いた諏訪子は頬を膨らませて黒を睨んだ。
黒はその諏訪子の行動にここ数十年に覚えがあった。
「私と二人っきりの時にあんまり他の女の話をしてほしくない。ねぇ、黒。今は私だけを見て?」
諏訪子の湿度の高いドロドロとした視線が黒に真っ直ぐ突き刺さる。
黒は自分の湯呑みを側に置き、諏訪子を抱き寄せる。
「うん。今は諏訪子だけを感じてる」
「うん・・・・・」
黒に抱き寄せられた諏訪子は黒を抱き締め返す。
「ねぇ、黒」
「どうしたの?」
「・・・・・今日はずっとこのままがいい」
「了解。じゃあ、お昼寝でもしようか」
「うん」
黒は片手で布団を敷き、諏訪子を抱き締めたままごろんと転がった。
黒は予備の上着を自身と諏訪子に掛け、諏訪子を見つめてる。
「おやすみ、諏訪子」
「おやすみ、黒・・・・・」
暫くして諏訪子は黒の腕の中で寝息を立て始め、それを子守唄に黒も眠りに落ちて行った。
◇◇◇◇
「――クロ、貴方に頼みがあるの」
「頼み?」
「ええ。もし私が―――――――――たら私を殺して欲しいの」
「おい、 ■■◼。僕に君を殺せって言うのか?」
「ええそうよ。私は貴方を傷付けたく無いもの」
「・・・・・馬鹿だなぁ、君は」
「な?!誰が馬鹿ですって?!」
「僕はさ、契約とか義務とかそう言うものじゃなくて君のことが気に入ったから君の側に居るの。迷惑ぐらいかけなよ。君を僕の手で殺すよりずっとずっとマシだ」
「・・・・・いいの?」
「ああ。方法は在るんだろう?稀代の天才、七■の■■」
「ええ、もちろんよ
「これは?」
「私と貴方の思い出よ。きっと私が―――――――――たら『思い』や『感情』が抜け落ちる。―――――――――た私に近付いてこれを届けられるのはこの思い出の共有者であり、私の大切な貴方だけよ」
「・・・・・うん。確かに預かったよ」
「ああ、もう時間が少ないわね・・・・・頼んだわよ、クロ。愛してるわ――
「おい、ちょっと待て!!この魔法は――!!」
「また、逢えるから」
「■■ェー!!・・・・・クソっ必ず逢いに行くから!!待ってろ!!」
「ええ、待ってるわ。何億年も、世界が終わったって、私が私で無くなろうとも――愛してるわ、クロ」
「僕だって愛してる!!次は説教だからなぁ!!」
「・・・・・楽しみにしてるわ」
――――役者は揃い、歯車が廻りだす
――――壊れた歯車は止まらない、止められない
――――悲劇は喜劇に、喜劇は悲劇に
――――さあ、はじまりはじまりーってね?
『黒』
【挿絵表示】
↑作者作のイメージ
主人公。何かとても幸せで哀しい夢を見た。それは劇的で、ロマンチックで、月明かりの下で微笑む彼女は――裏側の魔女によく似ていた。
「エディっ・・・・・夢、か?」
『諏訪子』
メインヒロイン。旧作とは異なるが旧作よりもブラック。「次は、いつ逢えるのかなぁ」
『エディ』
黒幕。ラスボス系ヒロイン。もう君がメインヒロインで良いんじゃないかな。
「くふっ・・・・・黒、もっともっと私に魅せて頂戴?」
『■■◼』
七■の魔女。何時か万能に『成れ果てる』。『クロ』に自身の記憶を託し――――。
「クロ、愛してるわ」
『クロ』
■■◼と契約した使い魔であり、世界の異物。彼女を愛し、世界を嘆いた。
「必ず・・・・・必ず助けてみせるよ」
バッドエンド見たいですか?
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見たい!!(旧作の様にEX√として書く)
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見たくない!!(旧作に載せるかも?)
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メリーバッドエンド!!(諏訪子ルート)
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ラブラブ天驚拳!!(超ハッピーエンド)
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個別!!(コメント下さい。書きます)