東方黒雲録〜Traveling Black Monster〜 作:文才の無い本の虫
作者「次回は「博麗での一日」を、その次は「幻想郷の一日」をお送りする予定です」
作者「自分で作る分には適当で良いけど文章に書き起こすと結構難しいことやってんなぁ・・・・・と思う。因みに豆腐を作るのと保温の魔法の下り以外の手順は作者が料理やる時を参考にした。・・・・・作者は味噌汁は冷ます派です。そのため保温の魔法の下りを入れた。不自然だったかな?」
作者「あとタイトル?を作ってみた
【挿絵表示】
影絵は手書きで後はパワポで作成。制作時間三十分」
守谷神社の朝は早い。
日が昇ると同時に黒と早苗が朝餉の準備を始める。
今日は昨日の宴でほぼ全員がダウンしている事もあり、黒は胃に優しい物を作ろうかと考えながら神社裏の畑に向かう。
神社裏の畑は黒が作ったもので、今はグリンを中心とした妖精達が管理をしており、様々な野菜や穀物が所狭しと育てられている。
畑の上を寝起きの妖精達が飛び回っており、とても幻想的な風景を作り上げていた。
畑の主であるグリンは黒を見つけると、飛んで抱き着き元気よく挨拶する。
「
「おはよう、グリン」
黒は抱き着いてきたグリンの頭を撫でる。
心地良さそうに少し目を細めた後、グリンは黒を見上げる。
「今日はどんなメニューにするんですか?」
「うーん。胃に優しいお粥とかかな」
「わかりました!えーっと、お米と、お野菜と、・・・・・」
「あ、大ちゃん!アタイも手伝う!!」
「じゃあ、チルノちゃんは果物を取ってきて」
「わかった!」
グリンとチルノはその黒と比べて小柄な躰を浮かせ、畑の上を飛び回る。
この畑は柏手様に向けられる信仰の一部とグリン達妖精の力に満たされており、どんな作物も1日2日で実る。
最初の頃は黒がグリンに「そこまでしてもらわなくても・・・・・」と言っていたのだが、妖精達にとって黒とグリンが作った畑は過ごしやすいらしく、家賃替わりということで畑の管理を妖精達に任せているのだ。
因みにチルノは紅魔館の前にある湖に住んでいたのだが、今は守谷神社の裏にある湖に住んでいる。
本人曰く「アタイは王様の湖の守護者なんだぞ!!守護者だからさいきょーなんだ!!」とのこと。
閑話休題。
グリンとチルノが取ってきてくれた野菜や果物を左袖から出した
「さてと、うーん・・・・・味噌汁と雑炊かな?」
材料を見た黒は「組み合わせが悪いかもなぁ・・・・・」と言いながら雑炊と味噌汁を作る為に鍋を取り出す。
鍋に水を入れ、妖術で付けた火に掛ける。
残った鍋では米を炊く準備をしておく。
置いてある鰹節等で出汁を取り、その間に野菜等を刻む。
「あ、豆腐が無いや・・・・・どうしようかな」
黒は刻む手を止めずに考える。
刻み終わった頃に「そうだ」とあることに思い至った黒は梅を呼ぶ。
「梅」
「此処に。主様、何か御用ですか?」
「これで豆腐を用意してくれるかな?」
「わかりました。少しお待ち下さい」
梅は黒から大豆を受け取ると、【等価交換する程度の能力】を使って豆腐を作る。
今回は等価交換とは言っても魔力等で豆腐が出来るまでの過程を省いただけである。
その間に黒は出汁を取っていた鍋から鰹節等を取り除く。
「どうぞ」
「ありがとう、助かったよ」
黒は梅から豆腐を受け取ると即座に一口大に切り、出汁が入った鍋に入れ、少し経った頃に用意した味噌を半分溶かす。
その後、味噌汁を作っている鍋から離れ、米を研ぎ、用意をしておいた鍋に入れて炊く。
味噌汁の鍋に戻り、様子を見てもう半分の味噌を溶かし、保温の魔法を掛けたあと火を止める。
「取り敢えず味噌汁はこれで良いとして、雑炊を作ろう」
米の様子を見て黒は刻んでおいた野菜を投入する。
米を炊いている途中に入れたのでパエリアとかと同じ感覚でやれば良いだろうと考えた黒は料理を進めていく。
暫く煮て、塩を振って味を整え(今回は薄味)、雑炊が完成した。
「よし、出来上がり!」
「主様、お椀とお玉です」
「ありがとう」
梅から人数分(諏訪子、神奈子、早苗、黒、梅)のお椀を受け取り、お玉でよそって行く。
その手順を味噌汁と雑炊の鍋で繰り返し、梅に手伝って貰いながら居間にある大机に並べていく。
黒が冷めない様に保温の魔法を掛けていると次々に守谷神社の住人が起きてきた。
「あーうー・・・・・黒、おはぁよう」
「ふふっ、おはよう諏訪子」
「おはようございます、諏訪子」
「うん・・・・・梅もおはよう」
「頭が、ぐわんぐわんします〜」
「おはよう早苗。神奈子は?」
「あ、柏手様おはようございます!神奈子様はお腹掻いて寝てました。うー、頭痛いです〜」
「早苗、水です」
「梅さん、ありがとうございます〜」
「あー朝か。おはよう・・・・・」
「相変わらず神奈子は朝に弱いね」
「しょうが無いだろう・・・・・」
「はいはい、座って」
「うむ・・・・・」
そうして居間の大机には三柱の神とそれに仕える二人が席に着いた。
主と仕える者が同じ席に着くことは珍しいのだが、この守谷では何時ものことだ。
それは守谷神社が初めは諏訪子と黒、その娘の美舞という家族によって始まったからだろう。
「「「「「いただきます」」」」」
◇◇◇◇
「いやぁ、相変わらず柏手様のご飯は美味しいですね」
自身と諏訪子や神奈子の分の空になった皿を運ぶ早苗は言う。
因みにこの早苗は料理が出来ない訳では無いのだが、偶に「アレンジしてみました!!」と言って奇天烈な物体Xを生成する場合がある為に諏訪子から「一人で料理しちゃダメ」との有り難い御言葉を頂いていたりする。
その早苗の前を歩く黒は少し振り返って言う。
「そうかな?グリン達の育ててくれた野菜とかが美味しいからじゃないかな」
確かにグリン達妖精の育てる作物はとても品質が高い。
寧ろ最高級品と言っても良い程だ。
だが、黒の料理の腕(作者をB普通とするとA-プロ一歩手前)が無ければ素材の良さを存分に活かすことは出来ない。
「いいえ、下手だと素材の良さは出せないとおもいますよ?・・・・・あ、皿洗いとかはやっておきます。柏手様はグリンさん達のところに行ってあげて下さい。諏訪子様もまってるねと言ってましたし。柏手様、お出掛けでなんだから待たせちゃだめですよ?」
「うん、じゃあ頼むよ」
黒は炊事場の一角に自身と梅の(黒が片付けようとするとめちゃくちゃ抵抗された)空になった皿を置き、早苗に「ありがとう」と感謝を告げて神社裏の畑に向かう。
そうして歩いていると、諏訪子に合わせて歌う妖精達の声が聞こえてきた。
「「「「「くわーくわーくわーくわー、けろけろけろけろ、くわーくわーくわー♪」」」」」
歌い終わったのか、諏訪子はカエル座りをやめて背筋を伸ばし、歩いてくる黒に気付いた。
「あ、黒!!」
「やあ、諏訪子」
すると妖精達も気付いたのか黒に向かって飛んでくる。
いや、群がっている。
「王様だ!」
「王様〜!」
「
「おおっと、よしよし」
黒は群がって来た妖精達を受け止めて、一人一人頭を撫でて行く。
暫くして開放された黒は、日陰のベンチで待っていた諏訪子の元に向かう。
「じゃあ、行こうか」
「うん!」
諏訪子は黒の右腕に抱き着き、笑顔を浮かべる。
それに釣られて笑顔になった黒は、少し前に諏訪子とした約束――幻想郷を見て回る俗に言うデート――の為に境内の外に向けて二人で手を繋いで歩き出した。
◇◇◇◇
「黒、最初は何処に行くの?」
「取り敢えず天魔の所・・・・・要するに天狗の里に顔を出そうかな。彼処から見下ろす景色はとっても綺麗なんだ」
「それはちょっと楽しみだね」
サクサクと音を立てながら黒と諏訪子は手を繋いで山を登っていく。
飛んでも良いのだが、諏訪子の「黒と一緒に歩きたい」という要望により今に至る。
「あー、そろそろだね」
「何が?」
諏訪子は黒の呟きに対して、こてんと首を傾げる。
黒はその諏訪子の仕草に微笑みながら答える。
「あともうちょっとで天狗達の縄張りの境界線を越えるんだ。そろそろ犬走椛っていう連絡役が飛んでくると思うよ」
すると横の木の上から丁度話題に出ていた犬走椛が現れた。
彼女は自身の裾を叩いて木の葉を落とすと、黒と諏訪子の正面に立つ。
「・・・・・はい、呼ばれて飛び出て、という訳でもありませんが連絡役の白狼天狗、犬走椛です。柏手様に諏訪子様、今日はどの様な要件で?」
「少し観光しに来たんだ。天魔に取り次いでくれるかな?」
「いえ、天魔様が「どうせ彼奴なら景色を見に来たとか遊びに来たとか言うだろうから、ヤバそうな時以外は通して良いぞ」とのことです。案内は必要ですか?」
「うん。頼むよ」
「わかりました。どうぞ此方です」
椛の先導で黒と諏訪子は歩いて行く。
暫くすると山の絶壁に作られた建物が見えてきた。
この建物こそが天狗達の城、空を飛ぶ天狗達が作り上げた里だ。
「へえー。天狗の里ってこんな風に出来てるんだね。初めてみたよ」
「相変わらずの建築技術だね」
「柏手様の様な方のお褒めに預かり光栄です」
そうして黒達は話しながら天狗の里への石段を登ってゆく。
「椛様、おはようございます!」
「「椛隊長、おはようございます!」」
「ええ、おはようございます」
石段の途中では見回りに行く天狗や補修作業をしている天狗からの椛への挨拶が絶えなかった。
「君って結構偉いんだね」
「ええ、私には少し勿体ない部下ですけどね」
暫くして、天狗の里に着いた。
門――というか鳥居の様なもの――を潜るとその先には天魔が待っていた。
「よお、黒。昨日ぶりだな。今日はどんな用だ?」
「ちょっと観光にね」
「・・・・・くはははっ。
「そう?萃香とかも此処からの景色を気に入ってたでしょ?」
「確かにな。まぁ、こんな所だが歓迎するぜ」
◇◇◇◇
「うわぁ・・・・・綺麗だね」
「うん。諏訪子と来れて良かったよ」
「うん!」
「さて、景色も堪能したことだし次の場所に行こうか」
「早えな。もちっとゆっくりしてけよ」
「うーん。今日は諏訪子とのお出掛けだから出来るだけ多くの場所を見たいから今回は遠慮しておくよ。また今度守谷の皆で遊びに来るからその時は宜しく」
「おう、任せとけ。見送りは居るか?」
「いや、此処から少し距離があるから飛んでくよ」
黒は諏訪子に「少しごめんよ」と言って
「え?え?」
「おうおう、お姫様抱っことはお熱いねぇ〜」
「あーうー、うん?・・・・・黒、左腕どうしたの?!」
「うん?ああ、『黒纏万手』で再現したんだ。ちゃんと捕まっててね」
「わかった」
諏訪子は黒の首に腕を回して抱き着く。
それを確認した黒は久しぶり(話数で18話ぶり)に自身の羽を展開する。
黒の羽――と云うより神々しい三重の光輪は輝きを増す。
「じゃあ、天魔。また今度」
「椛?だっけ、案内ありがとう!」
「いいえ、またいらして下さい!」
「おう、またな!」
諏訪子をお姫様抱っこした黒は天狗の里から、あらかじめ話を通してあった(というか招待された)紅魔館に向けて飛び立った。
・・・・・そこに『
「黒、景色が綺麗!」
「うん。綺麗だ(うーん。しっかし、何か前よりも大きくなってないか
・・・・・余談だが黒の羽は柏手様の光輪と妖精王の二重の光輪の形をした羽が合わさって三重の光輪を形成している。
でかく成ったのは幻想郷で柏手様が――霊夢と紫による布教のお陰で――割りと認知度が高く、信仰されているためである。(そもそも幻想郷の土地は柏手様の治めていた"とされている"ことも大きい)
◇◇◇◇
紅魔館の門の前に降り立つと、門の前には館の主のレミリア、その妹のフランドール、執事服を着たユーリ、寝ている美鈴が立っていた。
ユーリは黒に手を振って声をかける。
「よお、クロード。いや、今は黒って呼んだ方が良いか?」
「あーうん。黒でお願い。無いとは思うけどあの変態がその名前を聞いて飛んでくるかもしれないから」
黒は少し遠くを見ながらユーリに言う。
ユーリは黒の言った『変態』の面倒臭さに苦笑しながら黒に同情する。
「・・・・・有り得そうで怖え、ってか面倒くせえな。まぁ、なんだ、頑張れよ」
「はははっ」
「黒の目が死んでる?!大丈夫?!戻ってきて!!」
黒は死んだ目でからからと笑い、そんな黒を見た諏訪子は黒を正気に戻そうと頭を揺さぶる。
「変態って誰のことかしら?・・・・・まぁ良いわ。取り敢えず柏手様、守谷の神、この紅魔館の主として貴方達を歓迎するわ。盛大にね!」
レミリアが無い胸を張ってドヤ顔で言う。
・・・・・だが何も起こらない。
諏訪子によって正気に戻った黒はそのレミリアの「盛大にね!」という台詞とドヤ顔から幻想郷に来た時の紫を思い浮かべる。
「・・・・・(何かこの展開見たことある気がするなぁ)」
「・・・・・(見たことあるね)」
レミリアは何も起こらないことに少しずつ涙目になっていく。
今までユーリの横で黙っていたフランドールが「はて?」という感じに首を傾げる。
「お姉様、盛大にね!って言ってもなんにも無いよ?ねぇユーリ」
「・・・・・おう、そうだな。フラン、でもそいつ涙目になってるから」
「うわぁん!!なによ、カッコつけたかったの!!なにか悪い?!!」
「お、おう。良いんじゃねえか?」
「お姉様、無様無様☆ってやつだね♪」
フランドールの言葉によりレミリアはぐずり始める。
それで良いのか
するとその空気を壊すように門の中から銀髪メイド長――咲夜が現れた。
「お嬢様、お食事の準備が整いました」
「うぅ〜さぐや゛ぁ〜」
「お嬢様?!」
涙鼻水を垂れ流してレミリアは自身より背の高い咲夜に抱き着く。
咲夜は「またですか・・・・・しょうがないですねぇ」と呟き、自身のハンカチでレミリアの顔を拭く。
暫くしてレミリアが落ち着くと、咲夜は「お食事の用意が整いましたのでどうぞこちらへ」と言い、館の中へ黒達を先導する。
黒達は咲夜の後に続く形で紅魔館の中に向かって歩いて行った。
・・・・・一人の寝ていた門番を置いて。
その後、黒と諏訪子を加えた紅魔館の住人達で盛大な食事会が開かれた。
黒と諏訪子が満足出来る程の出来栄えだったとか。
「さて、先程こちらの方で『クロード』と聞こえた気がしたな・・・・・ふむ、あの館の中か。待っていろよ、愛しのクロード?」
紅魔館には
会敵まで、あと少し。
◇◇◇◇
紅魔館の中では立食会のような形式の食事会が開かれていた。
洋風から和風に中華まで、様々な料理が並べられている。
「ユーリの料理、とっても美味しい!」(激辛麻婆豆腐)
「そうかそうか、そりゃあ良かった」
「それに最近は咲夜の料理も美味しい!」(中辛エビチリ)
「おお・・・・・!!(あの辛い料理教室しといて良かったぜ)」
「みゃあっ!!きゃらい、からいわ!!はふぅ!!」(涙目)
「お嬢様?!あれほどお皿を間違えないようにと!!水です!!」
「ごくごく・・・・・ぷはっ!し、死ぬかと思ったわ・・・・・」(中辛エビチリ)
「うん、この料理美味しいね。今度黒に作ってもらって早苗にも食べさせてあげたいな」
「そうだね」
「でも、私は帰ったら黒の料理が食べたいな」
「ふふっ・・・・・いくらでも作ってあげるよ。何が良い?」
「芋田楽!!」
「ほんと諏訪子はそれ好きだよねぇ」
「だって美味しいし、黒と分け合って食べれるからね」
「嬉しいことを言ってくれるね。取り敢えずこっちも食べてみよう」
「黒、私にそれ食べさせて」
「はいはい、あーん」
「パチュリー様、食べ無いんですか?」
「ええ。こあ、貴女は食べてきなさい」(小食・・・・・というか食べる必要が無い)
「ありがとうございます!」(腹ペコ)
因みにクロードは一時期、辛い料理にハマっていた事があり、ユーリの辛い料理スキルはそこから来ている。
二人とも泰山の麻婆豆腐を食べて辛い料理にハマったらしい。
そうして食事会は賑やかに進んでいった。
◇◇◇◇
「・・・・・黒、あの
「さぁ!愛しのクロード!
「・・・・・何でお前が此処に居る?
「ふっ・・・・・愛しい貴様の名が聞こえた気がしたからだ!!」
「おい黒!!何かすげぇ音、が・・・・・げっ・・・・・黒、頑張れよ!フラン、外に遊びに行こう!!」
「え?!ほんと?!行く!!」
「ふむ。邪魔が減った。クロード、再会の抱擁といこうではないか!!」
「嫌だよ?!くそっ・・・・・諏訪子は下がってて!!」
「う、うん」
「済まないけどパチェ、手伝ってくれ!!」
「ええ。どうやら私の敵でもあるようだしね」
「ふっ・・・・・鈍っていると死ぬぞ?」
「黒鍵っ!」
ギャリギャリと黒の生成した黒鍵とブリュンスタッドの爪が交差する。
「ははは!!良い、良いぞ!!鈍ってはいないようだ!!寧ろ前よりも鋭い!!まるで
「私を忘れて貰っては困るわね――黒直伝・
「何っ?!魔女が肉弾戦とは!!」
「あんたに言われたくは無いわね!!黒、合わせなさい!――
「了解!!――
黒とパチュリーは自身の時間を加速させ、ブリュンスタッドに攻撃を当てていく。
だが、真祖たるブリュンスタッドの身体能力と再生能力は尋常ではなく、黒とパチュリーの攻撃の大半を弾きダメージも殆ど治してしまう。
「黒!何か無いの?!」
「有るには有るけどさっ!!この変態には効き目が薄いんだよっ!!」
「良いわ!やって!霊的な隙が有れば私が封殺出来る!!」
「ほう?私を封殺出来ると?」
「此処では無理だけれどね!!はぁっ!!」
パチュリーがブリュンスタッドを攻撃する。
その少しの間に黒は埋葬機関の――いや、自身の友の切り札を使う。
「――生きとし死せるもの、この詩を聴け。留まり動かぬもの、時を讃えよ。
(――遍く全てに価値は無く、遍く全てに価値は有る。遍く全てを私は祝福する。
――たとえこの答が誤りであろうと、たとえこの意志が偽りであろうと。私は謳う、終末の詩を。
――訪れぬ終末を私は否定し、僕は肯定する。時は流れ、世界は輪転する。)
――賽は投げられ、路は交わる。己は混沌、遍く全てに色を齎す。『────“終止符を君に”』!!」
「ぐっ・・・・・くくくっはははっ!!温い、温いぞクロード!!」
「いえ、十分よ!!――隔符・私の世界!!」
パチュリーを中心に世界が入れ替わる。
本来の万全な『朱い月』ならこの干渉を抜けることが出来たのだが、黒の洗礼詠唱によって少し霊的に揺らいだブリュンスタッドでは百を――いや、悠久を生きた魔女の手から逃れることは出来ない。
「白い・・・・・此処は固有結界か」
「いえ、少し違うわ。私が
パチュリーの髪と瞳はプラチナに輝き、規格外の――それこそ世界が壊れる程の――力を行使する。
「ぐっ?!」
ブリュンスタッドはパチュリーの権能の強制力によって平伏し、続けてパチュリーが力を行使する。
「――
パチュリーによってブリュンスタッドが微動だにしなくなったのを確認した黒はため息をつく。
「・・・・・はぁ、どうにかなったか。ありがとうパチェ」
「いいえ、大丈夫よ。何せ大切な黒の危機ですもの。それに今の黒の本気ならどうにか出来たでしょう?」
「まぁね。彼処で本気を出すと周囲を巻き込んじゃうからね。パチュリーが居てくれて助かったよ」
「ふふっ・・・・・お礼は、今からたっぷりと、ね?」
黒の背後に大きなベッドが現れる。
眼の前に居るパチュリーと後ろのベッドに挟まれた黒は両手を軽く挙げて言った。
「・・・・・お手柔らかにお願いするよ」
因みにこの世界の時間はブリュンスタッドが相手ということもあり、現世の一秒が此方の千年に設定されている。
果たして黒はこの
「・・・・・(ふむ、完全に忘れられているな。それでも拘束が解けないとは凄まじい力だ。だが、
補足、端で平伏せられている変態は変態だった。
◇◇◇◇
パチュリーの
帰ってから少しの時間が経ち、諏訪子は縁側に座り、黒の頭を膝の上に載せていた。
「・・・・・疲れた」
「お疲れ様、黒」(天使)
諏訪子は優しい仕草で黒の髪を梳く。
黒はその心地良さに目を細めた。
「あー・・・・・諏訪子の膝枕は最高」(疲労困憊)
少し疲れ過ぎているようだが、下手に強い変態の相手をした後に数千年もの間
幾ら休息を挟んだとはいえ、気疲れをするのもしょうがないことだろう。
何となく其れを察した諏訪子は苦笑を浮かべる。
「あははは・・・・・疲れてるね、黒」
「・・・・・諏訪子、少し、というかもの凄くばたばたしちゃったけど楽しかった?」
「うん。黒と一緒だったからね(・・・・・まぁ少しあの魔女には嫉妬したけど)」
「それなら良かったよ」
暫くそうして過ごしていると、ふと諏訪子はエディを最近見かけていないことを思い出した。
「あれ?そう言えば最近エディを見てない気がするね」
「・・・・・確かに(・・・・・何か嫌な予感しかしない)」
「・・・・・ま、まぁそれは置いておいて。今はゆっくりしようよ」
「そうだね」
取り敢えずと問題を先送りにした二人は夕焼けを眺めながらゆっくりとしたのであった。
因みに今日の夕飯は珍しく早苗一人で作った成功作だったそうな。
◇◇◇◇
夜になり、
「ねぇ、黒」
「ん?どうしたの?」
黒と諏訪子は神社の屋根の上で並んで座り、月見酒をしていた。
諏訪子の自身を呼ぶ声に黒はちびちびと
「えへへ、呼んだだけだよ」
「ふふっ・・・・・そっか(・・・・・永琳、元気かなぁ)」
『きっと新薬の研究でもしているのでは無いでしょうか』
「(確かにね)」
黒は諏訪子との何気ない会話に幸せを感じて微笑み、月を見て自身の友人に思いを馳せた。
「黒、今度は何処に行こうか」
「そうだね・・・・・今度は皆を連れて【仙界】に行こうかな」
黒は自身の作り上げた世界と、そこでの出来事を思い出す。
純狐や伯封との日々、ヘカーティアと友達になったこと、エディとの修行、純狐との・・・・・。
「へえー。黒が創った異界だっけ?」
「・・・・・うん。長閑だけど純狐のお陰で自然豊かで綺麗な風景を見れるんだ」
諏訪子の声で戻ってきた黒は【仙界】について少し話す。
「へえ!それは楽しみだね(純狐は少しいけ好かないけど)」
暫くしてぽつりと黒は言う。
「・・・・・
「そうだねぇ」
感慨深く諏訪子も頷く。
黒は少しこれまでのことを思い出し、幸せを噛みしめる。
「なんて言うか、幸せだなぁ・・・・・」
「うん。私もだよ、黒」
諏訪子は黒に抱き着く。
黒は抱き着いてきた諏訪子を優しく抱き返す。
黒はもう少しこの平和が続きますようにと思う。
・・・・・だが、現実は非情だった。
月が満ちるまであと少し、月との通路が繋がる迄あと少し。
友との再会はもう少し。
・・・・・そして、未曽有の危機まであと少し。
◇◇◇◇
「そうだ、嫦娥を殺すのと黒への試練を合わせちゃえば良いのね」
「・・・・・」
「利用させてもらうわよ――――西行妖」
『黒』
【挿絵表示】
上の絵は三十分位の手抜きで描いたイメージ。バランスや色や柄不足は気にしないでくれ。今回出てきた三重の光輪はゴットガンダムのアレをイメージしてくれ。
『諏訪子』
可愛い。メインヒロイン。作者の力不足で可愛いさが4割も出せていない。(当社比)
『レミリア』
ギャグ。辛いものが苦手なおこちゃま舌。
『パチュリー』
最凶。全力を出すと世界が壊れる。
『エディ』
黒幕。何かを準備している。
『変態』
変態。霊夢に引き取られた。
作者「実は今話、何気に最長」
作者「・・・・・この調子じゃ百話行かないかも」
バッドエンド見たいですか?
-
見たい!!(旧作の様にEX√として書く)
-
見たくない!!(旧作に載せるかも?)
-
メリーバッドエンド!!(諏訪子ルート)
-
ラブラブ天驚拳!!(超ハッピーエンド)
-
個別!!(コメント下さい。書きます)