東方黒雲録〜Traveling Black Monster〜   作:文才の無い本の虫

4 / 54
3「あても無く」

 

 

あの竹林から出てから一週間程が経った。

 

僕は能力で作った風除けのポンチョ?のようなものを身に着けて荒野を草原を歩いていた。

 

この草原に来る迄に2,3個の森を抜けてきた。

前襲ってきた妖怪の話によればこの先にある森を抜ければ小さな人里があるらしい。

 

というかそんなに人間って美味いのか?

妖怪は人を喰うものもいるし、喰わなくても大丈夫なものもいる。

喰うものの中にも好きで喰っているものと渋々喰っているものがいる。

片方は美味いと言いもう片方はあまり美味くないと言う。

 

人間を食べない僕には理解らない。

 

でも、上手く料理すれば美味くなるし下手に料理すれば不味くなるからそういう問題ではないだろうか?と思ったりもする。

 

料理があまりできない僕が言えたことでは無いが。

 

・・・・・今度、料理の練習をしようかな?

時間は沢山あるんだし。

きっと無駄にはならないだろう。

【識っている程度の能力】も料理は良い暇潰しになると言っているしね。

 

そんなことを考えながら、冷たい風の吹く草原を歩いていく。

しばらく歩いていると森が見えてきた。

森に入るとこれまで抜けてきた森よりも薬草や毒草が多い気がする。

環境が違うからだろうか?

 

暫くそうやって周りを眺めながら歩いていると少し先にしゃがんで草を摘む白っぽい銀髪の少女が居た。

少女はこんな深い森の中で何をしているのだろう?

 

僕は彼女に何をしているのか尋ねることにした。

先ずは挨拶からだな。

 

 

「こんにちは」

 

 

「・・・・・こんにちは」

 

 

銀髪の少女はぶっきらぼうに挨拶を返してきた。

僕は続けて尋ねる。

 

 

「君はこんなところで何をしているの?」

 

 

「薬草を取っているのよ。貴方こそ里の人間じゃないでしょう?」

 

 

少女は見た目より聡明な様だ。

 

・・・・・妖精です!って答える訳にはいかないし。

旅の者が無難かな?

 

 

「僕は旅の者だよ。興味本位なんだけど何で君はそんなに不機嫌そうなんだい?」

 

 

僕は不機嫌そうな少女に聞く。

すると少女は暫く黙ってから言った。

 

 

「・・・・・愚痴を聞いてくれるかしら?」

 

 

「いいとも」

 

 

僕は少女の横に腰を下ろす。

すると少女は話し始めた。

 

曰く少女が天才なこと、親がいないこと、それらが原因で不気味がられること。

それに嫌気が差して森に一人で来ていたこと。

 

・・・・・なるほどね、人は理解できないものを恐れるってやつだ。

 

僕は少女の頭に手を置いて言う。

 

 

「いいかい?人間は理解できないものを恐れる。でもねそんなもの気にしなくて良いんだよ。君は君で他の人は他の人。君は好きなようにすれば良い。そうしていれば何時か君のことを見てくれる人も現れるようになるし、君がしてみたいこともできる」

 

 

「してみたいこと?」

 

 

「うん。今は無いかもしれないけどきっとできる。他の人に苛ついているよりそういうことをしていた方が人生得でしょ?・・・・・いっそ不老不死の研究でもして他の人を見返してみれば?」

 

 

そうやって言うと銀髪の少女は年相応に声を上げて笑った。

 

 

「あははは!不老不死って貴方は面白いわね。そんなもの夢物語よ」

 

 

「いや、やってみないとわからないよ?研究ってそういうものでしょ?」

 

 

「そうね。・・・・・それも良いかもしれないわ」

 

 

「元気出たかい?」

 

 

「ええ、ありがとう」

 

 

周りを見ると少し日が落ちてきている。

思いの外話し込んでいたみたいだ。

 

彼女の話から人里に行く気は失せたが何となく彼女のことは気に入った。

人里に送る位はしてあげよう。

 

 

「そろそろ日も落ちてきた。ここらへんは妖怪が出るし、人里までは送るよ」

 

 

「ええ、お願いするわ」

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

そうして暫く少女に聞いた人里への道を歩く。

森を抜けた向こうに人里が見えてきた。

 

僕はこの少女を送り届けたら旅に戻ろう。

神に会ってみるのも面白いかもしれないしね。

 

 

「ねぇ、旅人。貴方は何処に向かっているの?」

 

 

「・・・・・向かうところなんて無いよ。ただあても無く旅をするだけ。うーん。そうだな、君に会いに来てもいいかもしれないね。」

 

 

「それだったら今度会ったら貴方の話を聞いてみたいわ」

 

 

「いいとも。その時は君の研究とかを見せてもらいたいな」

 

 

「そうね、愚痴を聞いてくれたお礼に不老不死の薬ができたら貴方にあげるわ」

 

 

不老不死の薬かあ。

夢物語だけど、この娘だったら創ってしまえそうな気がする。

少し楽しみだ。

・・・・・彼女が不幸な目に遭わないで欲しい。

 

こういうときは護身用の武器でも渡せばいいかな?

そう考えて僕はそんな彼女に贈り物をすることにした。

 

少女から見えない様に背中に手を回し、能力で短刀を作る。

なるべく力を多く込めて、鋭く、硬く、軽く、この娘を守ってくれるように。

 

 

「ねぇ、君にこれをあげるよ」

 

 

僕は隣を歩く少女にその短刀を渡す。

 

 

「これは、短刀かしら?」

 

 

「うん。護身用ってやつだよ。僕には要らないし君なら変な使い方はしないでしょ?」

 

 

「ええ、でもこの短刀って高いんじゃないかしら?そんなの貰っていいの?」

 

 

「いいとも。君の将来を見てみたくなったんだ。だからこの短刀は贈り物。きっと君を守ってくれる。じゃあね、銀髪の少女。人里まですぐだし、僕はここでお暇するよ」

 

 

「・・・・・ありがとう」

 

 

「どういたしまして!何時かまた!」

 

 

「ええ、また何時か!」

 

 

銀髪の少女と僕は別の方向に歩き出す。

老いを知らず孤独な僕はあても無く、旅路へ。

銀髪の少女はしっかりとした足取りで、将来へ。

 

僕は振り向かず歩き出す。

振り返ったら悲しめない事に(・・・・・・・)悲しくなるから。

 

僕はそのことを思考の隅に追いやり、前を向いて歩く。

 

 

「よし、行こう」

 

 

――欠落した魂を核にし、永い時間で変質した結果『妖精』ですら無くなった『化物』は歩き出す。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「・・・・・そろそろ会いに行こうかな?」

 

 

世界の狭間で黒を観察していた虹色の瞳をした『俯瞰する編集者』は待っていた期が直ぐそこまで来ているのを感じていた。

 

 

「くふふふっ。着ていく服は決まったし、彼を連れて(拉致って)くる為の空間も創った」

 

 

彼女の掌の上には空間を内包した立方体が浮いている。

この立方体は彼女が黒を連れてきて修行(事実上の拉致監禁)をする為に【全能】を使い創り出したものだ。

 

 

「楽しみだな。早く、早く、早く。私の(玩具)。私の、私だけの玩具。嗚呼、君は私に何を魅せてくれるのかな?」

 

 

愛しい玩具で遊ぶのを愉しみに、世界の狭間で彼女は笑う。

 

 




『八雲 黒』
:少し自身の異常性に気付き始めた。少ししたら慣れる。

『俯瞰する編集者』
:外から見たらヤンデレ。待ち望んだ期はもう少しで来る。

『銀髪の少女』
:黒と出会った天才少女。何時か不老不死の薬に辿り着く。

バッドエンド見たいですか?

  • 見たい!!(旧作の様にEX√として書く)
  • 見たくない!!(旧作に載せるかも?)
  • メリーバッドエンド!!(諏訪子ルート)
  • ラブラブ天驚拳!!(超ハッピーエンド)
  • 個別!!(コメント下さい。書きます)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。