東方黒雲録〜Traveling Black Monster〜   作:文才の無い本の虫

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作者「済まんが萃香の異変はカット」

作者「何時かただ宴会して大騒ぎする話として書くかも」

作者「しかも徹夜明けで書いたから可笑しいかも?」

作者「シリアス多め・・・・・」






■■■「・・・・・『観測者』=強い訳では無い。『観測者』の席は七つ在り、座す者が変わることも、往々にして有り得ることである」


9「幻想郷と仙界」

 

 

 

守谷神社。

 

此処、幻想郷に最近――ほぼ一年前――に現れた神社。

 

未だ薄暗い空を見上げながら、屋根の上に座り込んでいる――この神社の祀神の一柱―――黒は首をひねっていた。

 

 

「うーん・・・・・」

 

 

「主様、どうしたのですか?」

 

 

そんな主人を見て、その式神である梅はこてんと首を傾げる。

 

 

「いや、最近忙しくて【仙界】に帰ってないなって」

 

 

「あぁ、萃香様が起こした異変の後片付けや新しく幻想入りした妖怪への対応、博麗大結界の補修・・・・・挙げればきりがないですね」

 

 

「うん。まぁ、無事に終わって良かったよ」

 

 

「・・・・・(はて、神社が半分程消し飛ぶのを無事というのでしょうか?)」

 

 

梅は少し前に起きた異変の被害(殆ど萃香と霊夢の手合わせによるもの。修繕や掃除は黒と梅と緋月がした)を思い浮かべ、内心で疑問を浮かべる。

 

 

「よし、主に僕の気分転換に皆を【仙界】に呼んで宴会しよう!」

 

 

黒は良い事思い付いたといった様に言う。

 

因みに萃香の相手で疲れていた黒は相手側の事情等を考える程の余裕は無かった。(要するに徹夜明けの深夜テンション)

 

これが、一日後に起きる――幻想郷の人妖の黒による誘拐――『神隠異変』の発端である。

 

尚、萃香の相手は緋月が嫌がる程の地獄だった模様。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

地獄の休憩時間。

 

正確には丁度裁くべき霊が居ないスキマ時間。

 

この地獄の主、四季映姫とその副官の八雲拍封、死神の小野塚小町は三途の川の畔を散歩していた。

 

 

「映姫さん、明日家に来ませんか?」

 

 

「え?!(ご挨拶?!些か急展開過ぎです!!)」

 

 

「お、噂の『柏手様』の家にかい?(・・・・・これは、映姫様勘違いしてるねぇ)」

 

 

「はい、先程母さんから連絡がありまして。明日父さんが宴会を開くそうなので映姫さんもどうかなと・・・・・あ、小町さんも来ます?有給には成りませんけど一日の無休休暇位なら良いですよ」

 

 

「へぇ、じゃあご同伴に預からせてもらいましょうかね。それで、映姫様は?」

 

 

「・・・・・行きます。拍封、明日の邪魔されぬよう仕事を片付けますよ!!」

 

 

「はい、残りも頑張りましょう」

 

 

映姫はさり気なく拍封の手を握り、法廷へ歩き出す。

 

それに対する拍封のけろりとした反応をちらりと見た小町はため息を付き、自身の上司の恋路に思いを馳せる。

 

 

「やれやれ・・・・・(映姫様、きっと道程は長いですよ)」

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

「おはよう、紫!!あと藍と橙も!!」

 

 

朝、八雲紫の家に空間を――まるで紫のスキマの様に――裂いて黒が現れた。

 

その何時もとはかけ離れた笑顔で女装――中性的な見た目により女性にしか見えない――な黒に紫は後ずさる。

 

 

「父さんどうしたの?!テンションが可笑しいわよ?!というか何で女装?!」

 

 

「藍さま、柏手様の様子が可笑しいです」

 

 

「ふっ・・・・・少し離れようか。(紫様、頼みました!!)」

 

 

藍は自身の主を生贄に橙と退避しようとするも

 

 

「かくかくしかじか〜で、3名様ご案内!!」

 

 

黒が手を叩く。

 

今の黒は前の萃香との蜜月(殺し合い)により相手側の事情等を考える程の余裕は無かった。

 

いや、考えられる程常識が治ってないというべきか。

 

 

「へ?」

 

 

「「え?」」

 

 

黒が手を叩いた事により術が発動し、紫達の足元にとある場所への穴が開く。

 

紫達は飛ぶこともままならず、その穴に落ちて行った。

 

 

「良し!これである程度は送ったかな。妖精達は後で纏めて送るとして、拍封達を迎えに行こう!!」

 

 

黒は誰も居なくなった八雲家から手を叩いて姿を消した。

 

 

 

 

「父さん、覚えておきなさいよ!!」(スカート押さえながら落下中)

 

「・・・・・血は争えないと言うやつですか」(橙を抱えて何時でも着地出来る体勢)

 

「紫さまとてぐちが似てます!!」(無邪気)

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

拍封を先頭に四季映姫と小野塚小町は地獄の端の方を歩いていた。

 

 

「はて。拍封、何処に向かっているのですか?」

 

 

「あ、私も気になるね。『柏手様』の家については噂すら聞いたことがない」

 

 

「ああ、言ってませんでしたっけ。私の実家は地獄みたいな異界に在るんです」

 

 

「はい?」

 

 

「お、本当かい?」

 

 

「ええ。だから行き来にはクラウンピースに送ってもらうか、父さんか母さんに迎えに来て貰うんです。だから出来るだけ人目に付かない、騒ぎが起きづらい場所に向かっているんです」

 

 

「成程ね。ってことは周りに霊も居ないしそろそろかい?」

 

 

「はい。父さんと会うのは久しぶりなので少し楽しみですね」

 

 

すると、拍封達の前の空間が裂け、女物の着物を着た黒が現れた。

 

というか女性にしか見えない。(どうしたんだこの主人公?!)

 

 

「・・・・・父さん?」(数百年ぶりの再会)

 

 

「えーっと、拍封。迎えに来るのは御父上だったはずでは?」(困惑)

 

 

「んー?映姫様、男性ですよ」

 

 

「「え?」」

 

 

「お、君は小町だっけ?良い目をしてるね。死神の能力かな?僕は八雲黒。柏手様でも好きなように呼んでくれて構わないよ!」

 

 

「・・・・・映姫様。父さんが女装?してて、テンションが可笑しくて・・・・・意味がわからないです」

 

 

「すみません拍封。私も意味がわかりません」

 

 

「ま、純狐も待ってるし積もる話は向こうでね」

 

 

そう言って黒は手を叩く。

 

紫達の時とは異なり、拍封達の前にシンプルなデザインの大きな扉が現れる。

 

黒はその扉を押し、拍封達の方に振り返る。

 

 

「さあ、行こうか!!」

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

拍封達が扉を通り抜けると、その先には深い森が広がっており、【仙界】の主人である純狐が待っていた。

 

 

「拍封、お帰り」

 

 

「母さん、只今帰りました」

 

 

「して、貴女達は拍封の同僚か?」

 

 

純狐は拍封に微笑んだ後、映姫と小町の方を向いて言った。

 

その言葉に先に反応したのは小町だった。

 

 

「ええ、小野塚小町と言います。息子さん(拍封)には何時も助かってますよ」

 

 

「四季映姫ヤマザナドゥと申します」

 

 

純狐は夫々の容姿――映姫は緑の短髪、小町は赤いツインテール――が自身の息子から聞いていた通りだと頷く。

 

 

「うむ。拍封から聞いていた通りだな」

 

 

「あれ?母さん、父さんは?」

 

 

「ああ、黒は料理を作っている。拍封達が最後だったのでな。さあ、此方だ。着いてこい」

 

 

純狐は振り向き、歩き出した。

 

 

「さ、映姫さん。行きましょう」

 

 

「ええ」

 

 

暫く森を歩いていると拍封には懐かしい屋敷が見えてきた。

 

その屋敷の周りには様々な人妖に神や妖精等が酒を飲んだり、黒の料理を食べたりしている。

 

その中の一人の妖怪が拍封に気付き、手を振る。

 

 

「あら、拍封。久しぶりね」

 

 

「紫姉さん、お久しぶりです」

 

 

「相変わらず硬いわねぇ・・・・・昔は紫お姉ちゃんなんて呼んでくれたのに」

 

 

「うっ・・・・・と、父さんは何で女装してるんですか?!」

 

 

拍封は話を誤魔化す為に食い気味に聞く。

 

その質問に紫は「あー」と天を仰ぎ、気まずそうに言う。

 

 

「少し、常識外れなこと(鬼との殺し合い)に巻き込まれちゃって精神的に疲れてるのよ」

 

 

「・・・・・何故に女装?」

 

 

「・・・・・エディのお巫山戯よ」

 

 

「エディさん何をしてるんですか・・・・・」

 

 

拍封は知り合いの銀髪の女性を思い出し、頭を抱える。

 

 

「おーい、拍封〜。済まんが映姫様頼んだよ!!」

 

 

「拍封〜」(泥酔)

 

 

「え、映姫さん?!」

 

 

「ほらぁ、わたしの酒があぁ、飲めないっていうんですかぁ?」

 

 

「小町さん?!なんで映姫さんにお酒飲ませちゃったんですか?!っていうか映姫さん、私はまだ盃すら持ってませんって!」

 

 

「うぅ・・・・・やっぱり私は嫌われてるのでしょうか・・・・・怖いって言われるし、人妖には避けられるし・・・・・やはり説教がいけないのでしょうか・・・・・」

 

 

崩れ落ちる四季映姫。

 

拍封はしゃがみ込んだ映姫の前に膝を付き、彼女の手を握る。

 

 

「映姫さん、私は貴女が彼等のことを思って説教しているのを知ってます。貴女はそれで良いんですよ」

 

 

「拍封・・・・・」(恋する乙女な閻魔)

 

 

「(お、これは行けるんじゃないか?・・・・・映姫様、ファイトですよ!!)」(保護者)

 

 

いい雰囲気に、一石が投じられる。

 

・・・・・寧ろ爆弾か。

 

 

「Hi!!拍封!!元気かー?」

 

 

「あ、クラウンピース。久しぶりですね」

 

 

クラウンピースが膝を付いていた拍封の背中に抱き付く。

 

そして映姫を一瞥した後、笑顔で言う(爆弾投下)

 

 

「拍封!!恋しかったよー!結婚しよ!!」

 

 

「はい?・・・・・どういう??」(混乱)

 

 

「純狐サマがタイミングを逃すなって言ってた!!」(最悪のタイミング)

 

 

「・・・・・拍封?」(死んだ目(レイプ目)

 

 

「・・・・・あちゃー、修羅場ったなこりゃ」

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

拍封が修羅場っている頃、料理が一段落した黒は――もちろん女装を辞めて――屋敷の縁側に座り、宴会の様子に目を向けた。

 

在る所では霊夢と魔理沙が料理の食べ較べを、

 

 

「おい霊夢、これなんて言うか知ってるか?」

 

 

「ああ、それはシュニッツェルっていう料理ね。かみさ・・・・・黒がよく作ってくれるのよ」

 

 

「ほー。美味いな」

 

 

「でしょう?」

 

 

「・・・・・あ、そう言えば黒ってお菓子作れるのか?」

 

 

「?・・・・・作れると思うわよ」

 

 

「・・・・・デザートってあると思うか?」

 

 

「黒ならあり得るわね・・・・・因みに黒のお菓子は絶品よ」

 

 

「・・・・・少し腹、開けとくか」

 

 

 

また在る所では早苗と咲夜が料理について語り合っていたり、

 

 

「どうですか?」

 

 

「うん。とても美味しいわ。私もまだまだね・・・・・」

 

 

「そう言えば柏手様は『数千年修行すれば才能の無い僕でもこれぐらいなら作れるんだ・・・・・まぁ、其れだけが僕の取り柄だからね』と」

 

 

「数千年・・・・・途方もないわね。でも、その知恵や腕から学べることもあるはず。今度聞いてみましょう」

 

 

「それなら今度神社に遊びに来ませんか?咲夜さんなら歓迎しますよ!」

 

 

「あら早苗、良いの?」

 

 

「ええ!だって友達ですから!」

 

 

「ふふっ・・・・・そうね。じゃあお邪魔させてもらうわ(・・・・・友達か、良い言葉ね)」

 

 

 

また在る所では隠岐奈と紫が酒を片手にチェス(黒の私物)をしていたり、

 

 

「ほう・・・・・チェスといったか?将棋とはまた違った面白さがあるな」

 

 

「ええ・・・・・っと、チェックメイトよ」

 

 

「な?!・・・・・くっ。私の負けだ。相変わらずお前は頭が強いな」

 

 

「・・・・・父さんには勝てたことが無いのよね」

 

 

「何?!・・・・・もうよそう、この話題は私に効く」

 

 

「そうね・・・・・そう言えば貴女の方はどうなの?」

 

 

「ああ、あの調査のことか。確かにおかしな部分が合ったよ。死者・・・・・いや、寿命が少しだが全体的に短くなっている。いや、奪われているのか?」

 

 

「・・・・・少し警戒したほうが良さそうね」

 

 

「そうだな。私の方でも気を配っておこう・・・・・取り敢えず、もう一戦しないか?」

 

 

「ええ、良いわよ」

 

 

 

また在る所では妖精達が酒を飲んではしゃいで飛び回り、

 

 

「あははは!!ひゃっっほーい!!」(顔が真っ赤)

 

 

「チルノちゃん?!」

 

 

「アタイはさいきょー!!」(お目々ぐるぐる)

 

 

「私の右目が真っ赤に燃えるう!!」(厨二ポーズ)

 

 

「ルナちゃん?!っていうか元々赤いよ?!」

 

 

「・・・・・ウチのルナがすみません。お酒を飲むとあんな感じになっちゃうんです」

 

 

「さいきょービーム!!」(かめはめ波)

 

 

「邪眼!!」(空中ジョジョ立ち)

 

 

「・・・・・もー!!止めなさぁい!!」

 

 

「あ、大ちゃんが怒った!!にげろー!!」

 

 

「にげろー!!年増緑が来るぞー!!」

 

 

「あ゛?」

 

 

 

また在る所ではユーリとフランドールが食べさせ合いをしていたり、

 

 

「もぐもぐ・・・・・うん、美味しい!」

 

 

「そうかぁ・・・・・良かったなフラン!」

 

 

「ふふっ♪一番はユーリの料理だよ!はい、あ~ん」

 

 

「ああ、嬉しい事言ってくれるな。あーん・・・・・うん、美味いな」

 

 

 

また在る所では天魔と神奈子が酒の飲み比べをしていたり、

 

 

「ほれほれ、もう飲めんのか?」

 

 

「おうおう!!いい酒に良いツマミ!!それにいい女との飲み比べ!!燃えるじゃねえか!!」

 

 

「ふっ・・・・・そうでなくてはね!!乾杯!!」

 

 

「乾杯!!」

 

 

「くくっ・・・・・良い飲みっぷりだ。私に勝てたなら貴様の妻になるのも良いかもしれないねえ」

 

 

「ほお、望むところだ!!・・・・・最近、小言言われるしなぁ」(部下に「さっさと後継者問題どうにかしてくださいよ」とつつかれてる天狗の長)

 

 

「・・・・・あぁ、貴様もか。まぁいい。今は飲もう」(早苗に「生き遅れちゃいますよ?」と言われた女神)

 

 

「ああ・・・・・乾杯」

 

 

「乾杯」

 

 

尚、この後神奈子は昼帰りだったとか。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

「黒、さっきぶりね」

 

 

「あ、エディ」

 

 

「・・・・・」

 

 

「どうしたの黙って」

 

 

「・・・・・事情が変わったわ。醒めたら忘れるかもしれないけれど伝えておくわ」

 

 

「事情?醒めるって?」

 

 

「・・・・・黒、困ったら癪だけれど私の基になった小娘を頼りなさい・・・・・愛してるわ」

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「・・・・・ったく。面倒なことになってやがる」

 

 

『・・・・・確か"人理焼却"でしたっけ?』

 

 

「ああ。これでも俺等『観測者』の大半は人理に寄り添って・・・・・いや、存在を依存(・・・・・)してる。うーんまぁ、俺達も年貢の納め時かねぇ・・・・・どう思う?アルゲントゥム」

 

 

『・・・・・本当に良いのですか?』

 

 

「ん?ああ良いんだよ。後継者っつーか『観測者(この席)』はルインっつー執行者が継ぐだろう。何せ『■■■』との縁が繋がってたからな」

 

 

『・・・・・マスター。貴方は幸せですか?』

 

 

「はっ・・・・・愚問だな。頼れる相棒がいて、好いた女(ナタル)は共に在り、様々な世界を見て回った。満足してるさ。アルゲントゥム、付き合ってくれるか?」

 

 

『Yes,Master』

 

 

「・・・・・済まないな(ごめんなさいね)、ニャル」

 

 

「お、エディか。見送りに来てくれたのか?」

 

 

ああ(ええ)そうだ(そうよ)お前に押し付けてしまうからな(貴方に押し付けてしまったもの)

 

 

「まぁ、此方の方のエディが未来に起こる(・・・・・・)人理焼却に巻き込まれるとは思わねえわな」

 

 

済まない(ごめんなさい)

 

 

「ああ、別に良いさ。お前は人理の存在、俺は異物だ。エディ・トルロックダウン、後の世界を、俺の後継を頼むぜ」

 

 

ああ(ええ)任された(任されたわ)・・・・・さようなら、そしてお疲れ様でした、世界樹の守り手よ」

 

 

「ああ。あばよ、ダチ公・・・・・ってな」

 

 

『・・・・・楽しかったですよ、エディ・トルロックダウン』

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

「・・・・・?」

 

 

黒は目を醒ます。

 

(何か忘れてる?・・・・・温かい。膝枕?)

 

後頭部に感じる温もりと、鼻腔をくすぐる甘い香りを感じながら黒はその香りの持ち主の名前を呼ぶ。

 

 

「純狐」

 

 

「ああ、起きたか。様子を見に来たら寝ていたのでな」

 

 

「ん、ありがとう」

 

 

「ふふっ・・・・・どういたしましてだ、黒」

 

 

「・・・・・もう少しこのままで良いかな?」

 

 

「良いとも。久しぶりに夫婦の時間といこうか」

 

 

そよ風が吹き、花弁が舞う。

 

二人の時間はゆっくりと流れていく。

 

まるで二人の周囲だけ時間が遅くなったかの様。

 

 

「純狐、暫く会いに来れなくてごめんね」

 

 

「ふ、次はもう少し疾く逢いに来い。待つのは慣れているが寂しいものは寂しい。拍封も離れて行ってしまったしな」

 

 

「うん。そうするよ」

 

 

「・・・・・少し、先のことを話そうか」

 

 

「どうしたの?」

 

 

「ヘカーティアが言うには、あと数千年。それがあの世界の寿命らしい」

 

 

「・・・・・そっか。じゃあ、今のうちに楽しんでおかないとね」

 

 

「そうだな。だが、【仙界】に属する私とお前だけは世界の寿命に囚われない、と言ったらどうする?」

 

 

「・・・・・そうだなぁ、純狐と隠居するのも良いかもね」

 

 

「ふふっ・・・・・その時は楽しみにしているよ。だから私のことは後回しで良い。今を謳歌してこい。大切な者が居るのだろう?」

 

 

「それは・・・・・良いのかなぁ」

 

 

「そうだな、常識で行けば私に不誠実だな。だが、当の本人である私が良いと言っている。私は気長に待つよ。何せ、数千年後は私が独占出来るからな・・・・・嫌いになったか?」

 

 

「ははっ、まさか。君を嫌いになんかならないよ。まぁ、こんな躰(不老不滅の化物)だ。別れは何時か来るってわかってたしね」

 

 

「ふふっ。愛しの旦那様。お前と歩めるのを楽しみにしているよ。さあ、そろそろ行ってやったらどうだ?奴等(諏訪子とパチュリー)が待っているぞ?」

 

 

「ああ、行ってくるよ。ありがとう純狐」

 

 

黒は立ち上がり、純狐の方を振り向く。

 

純狐は微笑み、小さく手を振る。

 

 

「どういたしましてだ」

 

 

黒は宴会の方に歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・嘘」

 

 

「ふむ、貴様はグリンと言ったか?」

 

 

「な?!貴女はさっきまでそこに居たはず!」

 

 

「一つ聞く。黒と共に居たいか?」

 

 

「もちろん居たいですけど・・・・・私は向こうの世界の妖精だから・・・・・貴女の話が本当なら」

 

 

「ふっ・・・・・此方に存在する自然の管理者が丁度欲しかったのだが、どうする?」

 

 

「・・・・・一人、妖精を連れてきて良いですか?」

 

 

「良いとも。チルノとやらだろう?」

 

 

「はい」

 

 

「ふふっ。歓迎するよ、私はこの【仙界】(最後の楽園)の女主人。八雲純狐だ」

 

 

「グリンです。純狐さん、お世話になります」

 

 

 

 

「む?・・・・・そう言えばあの魔女、黒に禁呪を掛けていたな・・・・・仕方無い、奴も【仙界】に招くしかあるまい」

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「あ、黒!!こっちおいでよ!!」

 

 

「うん。今いくよ」

 

 

諏訪子に呼ばれ、黒がそちらの方に近付くと其処には諏訪子とパチュリー、梅と小悪魔が居た。

 

パチュリーは読んでいた本を閉じ、黒の方を向く。

 

 

「黒、47時間と32分41秒ぶりね」

 

 

「パチェ・・・・・君、酔ってない?」

 

 

「酔ってないわ。貴方(黒成分)が足り無いだけよ。ほら、私を抱き締めてちょうだい」

 

 

「はいはい」

 

 

黒はそう言って、自身の方へ両手を広げて立って居たパチュリーを抱き締める。

 

 

「あ、ずるい!」

 

 

それを見た諏訪子が黒の背中に抱きついた。

 

パチュリーはちらりと諏訪子を見て言った。

 

 

「ずるいって貴女、黒と暮らしているんでしょう?今ぐらい譲りなさい」

 

 

「むぅ・・・・・仕方無い。じゃあ、私は料理を取ってくるよ。・・・・・黒、後でね?」

 

 

「わかっt「今は、私だけを見なさい――隔符・私の世界」ちょ、パチェ・・・・・んむっ」

 

 

「ふふっ・・・・・女狐に独占はさせないわよ?」

 

 

・・・・・黒とパチュリーが戻って来たのは現実での――今回は現実の1秒が1時間――5秒後で、パチュリーは大変満足そうだったとのこと。(小悪魔曰く「とってもツヤツヤしてました」とのこと)

 

 

暫く黒が精神的疲労でパチュリーに膝枕されながらパチュリーに髪を弄られていると、諏訪子が萃香と一緒に沢山の酒を抱えて戻って来た。

 

起き上がった黒とパチュリーがそれに一言。

 

 

「「料理は?」」

 

 

「お酒飲も♡」(ほろ酔い)

 

 

「宴って言ったら酒と戦いだ!さあ黒!!再戦といこうかぁ!!」(元凶)

 

 

「死んでも御免被る」(真顔)

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「ふぅ・・・・・今日は楽しかったなぁ」

 

 

宴が終わり、希望者は黒と梅が送り、【仙界】に泊まる者達のために屋敷の部屋を準備した。

 

もう既に【仙界】は寝静まっている。

 

【仙界】の月が登り切った頃、黒は屋敷の屋根の上に座っていた。

 

 

「はい・・・・・永琳様も居たら良かったのですが」

 

 

「あぁ、確かにね。でももう少しで会える気がするんだ」

 

 

「勘ですか?」

 

 

「うん。・・・・・梅、少し飲まない?宴会では飲んでなかったでしょ?」

 

 

黒は神酒と盃を二つ取り出して言った。

 

すると梅は黒の隣に腰を下ろし、黒の取り出した盃を一つ受け取って微笑む。

 

 

「ご一緒させていただきます、主様」

 

 

黒は自身と彼女の盃に神酒を継ぎ、盃を軽く近付けた。

 

 

「じゃあ、乾杯」

 

 

「ええ、乾杯」

 

 

カチリと盃が音を立てる。

 

 

「相変わらず、神酒の味()不味いね」

 

 

「確かにそうですね。ですが、神酒は嫌いになれません。それに、貴方との時間には変わりありませんから」

 

 

「ああ・・・・・良い大切な時間だよ」

 

 

そうして二人は暫くの間、月を眺めながら神酒を飲んでいた。

 

 

月が少し傾いた頃、梅が立ち上がる。

 

 

「さて、諏訪子が来た様なので(お邪魔虫)は戻っています」

 

 

「ああ、ありがとう」

 

 

「いえ、それも従者の務めですので」

 

 

梅が前の方から降りていく。

 

それと入れ替る様に後ろの方から諏訪子が登ってきた。

 

 

「こんばんは、黒」

 

 

「こんばんは、諏訪子。どうしたの?」

 

 

「少し眠れなくてね・・・・・神様ってのは不便だね。知りたく無いことも識ってしまう」

 

 

「・・・・・何を見てしまったの?」

 

 

「・・・・・私がね、泣いてるの。黒の血塗れの躰を抱き締めて」

 

 

「そっか」

 

 

「ああ、これは近い将来に起こることなんだって何と無く理解った。だからね、心配なんだ」

 

 

諏訪子は黒を後ろから抱き締める。

 

そして耳元で囁く様に言った。

 

 

「ねぇ、黒。逃げない?何もかも全て置いて」

 

 

黒は苦笑し、右手で諏訪子の髪を梳く。

 

 

「それは、無理かなぁ・・・・・僕は今の生活が気に入っているからね(・・・・・それが何時か終わるとしても)」

 

 

「・・・・・うん。私もだよ、黒。だからね、お願い。私より先に死なないでね?」

 

 

黒は諏訪子に向き合い、正面から抱き締めた。

 

 

「うん、約束する」

 

 

「うん・・・・・もう少しこのままで」

 

 

そうして二人時間はゆったりと流れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ククク・・・・・時は満ちた。今こそ地上を滅ぼす時だ!!さぁ、青き清浄なる世界のために!!」

 

 

 

 

 

 

 

 








此処は重大なネタバレを許せる者のみ通れ(※ネタバレが駄目な人はバック推奨・・・・・まあ、あんま重要なこと書いてないけど)



















『おぜう』
今回は空気。だけど世界の寿命はおぜうがなんとかしてくれるよ☆(ギャグ調で)

バッドエンド見たいですか?

  • 見たい!!(旧作の様にEX√として書く)
  • 見たくない!!(旧作に載せるかも?)
  • メリーバッドエンド!!(諏訪子ルート)
  • ラブラブ天驚拳!!(超ハッピーエンド)
  • 個別!!(コメント下さい。書きます)
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