東方黒雲録〜Traveling Black Monster〜   作:文才の無い本の虫

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作者「エピローグ一話目」


作者「久し振りに一人称視点も書くよ」


作者「私もう(後書き前書きでは)多くを語らない」

作者「故に、この物語に言いたいこと、伝えたいことを詰め込んだ」





無■神「では!!東方黒雲録、終章のはじまりはじまり~ってな!!」

ナタ■「元気ね貴方」


※作者()語らない。他の奴等は喋らせるけどね☆


1「平和、幸せ」

 

 

 

 

 

 

 

 

朝の守谷神社の一室。

 

其処には大き目な布団が敷いてあり、その布団で寝ている諏訪子を隣で起きた黒が揺すっていた。

 

 

「諏訪子、朝だよ」

 

 

「・・・・・あーうー、あと、三ヶ月ぅ」

 

 

「長いって!!」

 

 

「黒と一緒だから、大丈夫。えへへ・・・・・」

 

 

「・・・・・駄目だこりゃ。だから程々にした方が良いって言ったのに・・・・・あー、水持ってこなきゃ駄目そうだな」

 

 

黒がそう言って立ち上がろうとすると障子が開き、お盆を持った梅が現れた。

 

 

「主様、水をお持ちしました」

 

 

「ありがとう・・・・・ほら、諏訪子。水飲んで」

 

 

諏訪子を抱き起こした後、黒は梅から器を受け取り、諏訪子の口元に持っていく。

 

 

「うー・・・・・んっく、んっく・・・・・ぷはっ」

 

 

諏訪子は寝惚けながらも黒が持った器を両手で掴み、少し溢しながらも一気に飲み干す。

 

とある事情により少し顔が赤かったこともあり、溢れた水を拭う諏訪子には妙な色気があった。

 

 

「どう?」

 

 

「あー・・・・・うん、少し飲みすぎちゃったかな」

 

 

「まぁ、ね・・・・・」

 

 

時は昨日まで遡る。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「ふぅ・・・・・」

 

 

温かいお茶を飲み、一息付く。

 

何時もの様に朝食の後にグリン達と戯れた僕は縁側で見覚えのない向日葵を眺めていた。

 

・・・・・うーん、昨日は無かったよね。

 

幽香さんや、植えるのはいいんだけどさぁ・・・・・許可ぐらい取ろうよ。

 

暫くそうやって日向ぼっこをして(呆れて)いると可愛らしいトタトタとした足音が聞こえる。

 

 

「黒ー!!」

 

 

「うん?諏訪子、そんなに急いでどうしたの?」

 

 

「はぁ、はぁ・・・・・か、神奈子が!!」

 

 

「神奈子が?」

 

 

僕は急いで来た諏訪子の背中を擦りながら先を促す。

 

神奈子が一体どうしたというのだろうか?

 

 

「それが・・・・・結婚するんだって!!」

 

 

「え?!『どうしたら良いだろうか・・・・・』とか相談に来ていたあのヘタレな神奈子が?!」

 

 

「え?それ初耳!!」

 

 

そうしていると突風が吹き荒れる。

 

まぁ、このタイミングだと彼女だろうな。

 

 

「あやややや!!柏手様!!大スクープですよ!!」

 

 

「どうせ天魔が結婚するから宴でも開くんでしょ?」

 

 

「そうそうその通りなんですよ〜・・・・・って私が来た意味!!何で知ってるんです?!」

 

 

いやぁ、諏訪子から聞いた神奈子の結婚。

 

相手は確実に天魔だし。

 

というか天魔から『どうしたら良いと思う?』って相談されてたし。

 

・・・・・二人揃って僕に相談するんじゃねえ。(睡眠時間を削られたため半ギレ)

 

 

「神奈子が結婚するらしいから、相手は天魔しか居ないでしょ?」

 

 

「え?!天魔様のお相手って神奈子様なんですか?!」

 

 

射命丸文が僕の言葉に驚く。

 

あれ?

 

結婚の詳細は知らない感じ?

 

 

「え?知らなかったの?大スクープとか言ってたのに??」

 

 

「ぐはっ・・・・・言葉の矢が。いえ、天魔様が『きっと驚くぞ!!とびっきり良い女だ!!』としか」

 

 

「あー天魔らしい(サプライズ)ね」

 

 

「ねぇ、射命丸。宴って何時やるの?」

 

 

「今日です・・・・・」

 

 

「「・・・・・」」

 

 

気まずそうに射命丸文が言う。

 

・・・・・天魔、そういうのはせめて一日前とかに言うもんだろう?!

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

と、言う訳で急いで博麗神社に来て霊夢の許可を取り(天魔はアポを取らずに結婚式から宴会まで博麗神社でやるつもりだった模様)、必要な物を揃えるために梅と協力して幻想郷を飛び回り(式場の飾りに、縁起物、食材、その他)、それと同時に結婚式と宴会の招待状をばら撒いた。

 

・・・・・オーバーワークでは?(ぱぱっと数百人分の手紙書いた人)

 

しかも今僕は霊夢に台所を借りて宴会の料理の仕込み作業をしている。

 

 

「咲夜、こっちの仕込みよろしく」

 

 

「わかりましたわ。こあ、手伝って頂戴」

 

 

「わかりましたー!」

 

 

「柏手様、私は何をすれば良いですか?」

 

 

「早苗はグリンに貰って来た野菜の下処理を」

 

 

「はい!頑張りますね!」

 

 

「黒さん!野菜のヘタを取って洗い終わりました!」

 

 

「わかった!それかして、続きは僕がやるから鈴仙さんはこの魚の下処理をお願い」

 

 

正直とっても忙しい。

 

まぁ、手伝いとして紅魔郷から咲夜と小悪魔、守谷神社から早苗、人里で会ったなんか見覚えのある変装の仕方(永琳が昔変装に使っていた白い服)の鈴仙優曇華院イナバ。

 

幻想郷の比較的友好的な料理上手が集まった訳だ。

 

すごく助かる。

 

・・・・・まぁ、僕が張り切ってメニューを多くしたのが原因なんだけども。

 

 

「主様、萃香様から調理に使える酒を三本ほど毟ってきました」

 

 

「助かる!」

 

 

萃香、ごめんよ。

 

前に酒を3樽ぐらい取られたことあるし、これでおあいこってことで。

 

さてさて、これからが正念場だ。

 

昼までには一通り終わらせないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そうそう。鈴仙さん、永琳にこれ渡しといて」

 

 

「ゑ??」

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「・・・・・ねぇ、霊夢。僕は神主じゃないから結婚の祝詞を唱えるのは霊夢の方が良いじゃないの??」

 

 

「黒って此処の祀神よね?貴方の知り合いの結婚なんだし黒の方が適任よ」

 

 

「僕、作法なんて知らないよ??」

 

 

「適当で良いのよ適当で。神様が祝えばそれはもう立派な祝詞よ」

 

 

「はぁ・・・・・わかった。天魔と神奈子の準備は?」

 

 

「殆ど終わったわ。天狗は自前の正装があるし、神奈子の色打ち掛けだって黒が用意してくれたし簡単なものよ」

 

 

「参加者はどれぐらい集まった?」

 

 

「天狗が二十位に祭り好きの妖怪共がざっと百、神が三十位に知らない奴等が数十、後は人里がまるっと石段の下に来てるわ」

 

 

「あれ?人里って五百人位いたよね?」

 

 

「ええ。紫が結界で境内を拡張してくれたから余裕で入ると思うわ」

 

 

「えぇ・・・・・料理足りるかな・・・・・」

 

 

「咲夜達に言っておくわ・・・・・はい、(私とお揃いの)狩衣よ♡」

 

 

「・・・・・霊夢、着替えるから部屋から出てくれると」

 

 

「嫌よ・・・・・神様には私が着せて上げるわ」

 

 

「いや、一人で着れるんだけど??」

 

 

「良いから良いから♡」

 

 

「何か何時もとキャラ違くない?!・・・・・ちょ、ま「さ、脱ぎましょう?」」

 

 

※霊夢は結婚という単語で少しブレーキが吹っ飛んでいるぞ☆(前世で姪を抱く前に病で死んだというトラウマ()少し影響している)

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

春、それは新たな門出を祝う季節。

 

此処、幻想郷での花見の名所、桜が咲き誇る博麗神社には雅楽の調べが響き渡り、黒と霊夢(神職)を先頭に花嫁行列(新郎新婦、その護衛)と見届人達(野次馬や縁起物を見に来た者、後の宴会の参加者等様々である)が本殿迄の道を歩く。

 

入場が終わり、紅白の狩衣を着た黒と霊夢が神社の前に立ち、それに向かい合うように新郎(天魔)新婦(神奈子)が立つ。

 

 

「ふぅ・・・・・こういう場は慣れていないのでね、修祓の儀は入場の時にあらかじめ終わらせておいた・・・・・神奈子、天魔、おめでとう。柏手の名に於いて君達の末永い幸せを祈るよ。梅、神酒を」

 

 

「はい。では、天魔様、神奈子様、こちらの神酒を・・・・・適当に三口で飲み干して下さい」

 

 

「「おい」」

 

 

「ほら、はやく」

 

 

「どうぞ」

 

 

天魔と神奈子は梅から神酒を受け取り、三口で飲み干す。

 

その後同じことを大きさの異なる器で2度繰り返す。

 

 

「さて、二人共。誓詞を」

 

 

「おう・・・・・俺、いや、私、烏間天魔は八坂神奈子を妻とし、神奈子を愛し、共に支え合うことを八雲黒の前に誓い、これを死ぬ迄遵守することを誓う」

 

 

「同じく、私、八坂神奈子は烏間天魔を夫とし、天魔を愛し、共に支え合うことを八雲黒の前に誓い、これを私が死ぬ迄遵守することを誓う」

 

 

「・・・・・よし、天魔は神奈子を悲しませたら諏訪子が祟るらしいので魂に銘じろよ?」

 

 

「言われなくとも!」

 

 

「・・・・・では、僕と此処に居る人妖その他が証人だ。僕は君達の結婚を祝福する!!」

 

 

黒が手を叩く。

 

(柏手)の御髪が高まった神力によって金に染まり、その高まった神力で祝福を境内に色とりどりの光として降らせた。

 

そして、黒の後ろで待機していた霊夢が前に出る。

 

 

「霊夢、出番だよ」

 

 

「ええ・・・・・久し振りに本職の舞って物を見せてあげるわ」

 

 

霊夢が鈴を持ち、舞を舞う。

 

鈴の音と漏れ出た霊力による青白い燐光が神社の境内を幻想的に照らす。

 

―――流れる水の様に滑らに

 

―――燃え盛る炎様に烈しく

 

―――青白い燐光を纏い風の様に舞う

 

普段とは異なる霊夢のその様は観るものを魅了し、幻想的な場を創り出す。

 

最後のシャリンッという鈴の音で見惚れていたものを現実へと引き戻す。

 

そうして霊夢の門出を祝福する舞は終わった。

 

 

「結婚おめでとう」

 

 

「・・・・・一同、掌を上に」

 

 

直後、黒が境内に声を響かせる。

 

一同は言われた通りに掌を上に掲げる。

 

すると何時の間にか彼彼女等の掌には盃が握られていた。

 

黒が自身の盃を掲げ、笑顔で言う。

 

 

「さて、硬っ苦しいのはここまでだ!!神奈子と天魔の結婚を祝って!!乾杯!!!!」

 

 

「「「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」」」

 

 

そうして、幻想郷の歴史に残る程の規模の大宴会が始まった。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「久し振りね、旅人」

 

 

「懐かしい呼び方だなぁ・・・・・久し振り、永琳。月に居なかったのは地上に居たからか」

 

 

「ええ、そうよ・・・・・って貴方月に行ったの?!」

 

 

「うん」

 

 

「・・・・・はぁ、デタラメね」

 

 

「いやぁ・・・・・細胞単位でオーバースペックな君には言われたく無いかな・・・・・っていうか幻想郷に居たんだったら月夜見のオイタを止めるのを手伝ってくれても良かったのに」

 

 

「それについてはごめんなさいね。月夜見に関しては殺し切る自信がなかったの」

 

 

「・・・・・それって周辺被害無しで、でしょ?」

 

 

「ええ。月が無くなる可能性があったから辞めたわ。あの娘達(綿月姉妹)を巻き込みたくなかったのよ」

 

 

「はぁ・・・・・そういえば片付けは出来てる?」

 

 

「ええ。出来てるわ」

 

 

「「え?」」

 

 

その昔からは考えられない衝撃の事実に黒に加えて黙っていた梅まで驚いた顔をする。

 

 

「梅まで?!・・・・・幾ら何でも信用がなさすぎ無いかしら」

 

 

「いや、だって劇物床に落ちてたっていうか床見えなかったし」

 

 

「永琳様が片付けようとすれば更に汚してましたし」

 

 

黒と梅は昔の大掃除の時のことを引き合いに出した。

 

 

「・・・・・私にも苦手なことはあるのよ。それにしてもうどんげから聞いたわよ?貴方の周り(女性関係)、随分面白い事になってるわね」

 

 

「うぐっ」(地味に気にしている。2「仙界、黒の話(前編)」付近参照)

 

 

「祟神に博麗の巫女、魔女に妖精。しかも元月人の子持ちまで・・・・・節操が無いわね。流石にコレ以上は居ないわよね?刺されるわよ?」

 

 

「・・・・・」

 

 

黒はふいっと目を逸らす。

 

 

「・・・・・梅、この反応はもしかしなくてもいるのかしら?」

 

 

「はい。真祖に魔女がもう一人ですね」

 

 

「真祖って貴方・・・・・」

 

 

「ああ、でも真祖に関しては今は大人しいですが主様が被害者ですね」

 

 

「どういうこと?」

 

 

梅が淡々と(クロードとブリュンスタッド)の遣り取りを永琳に教える。

 

 

「えぇ・・・・・黒、少し苦労したのね。それにしても梅は変わったわね」

 

 

「ええ、永琳様から頂いた『試作蓬莱薬』の影響ですね。とても感謝しています」

 

 

「あら、役に立ったなら良かったわ」

 

 

「永琳、そういえば僕が飲んだ場合は殆ど効果無かったんだけど?」

 

 

「ふむ・・・・・少し調べるわよ」

 

 

永琳が黒の周りを一周する。

 

暫く思案したあと、永琳は結論を出した。

 

 

「・・・・・ごめんなさいね、間違えて違う薬渡してしまった様ね(ふむ、不完全に定着してしまったようね)」

 

 

「おい?!」

 

 

「まぁ、今の貴方には必要無いみたいだけど・・・・・禁呪に祟りに魂の変形、それに純化。それだけ見ると生きているのが不思議なレベルね」

 

 

「あ、永琳って僕の左腕完全に治せる?コレ、純化でゴリ押ししてる状態なんだ」

 

 

「全くしょうがないわね・・・・・今度家にいらっしゃい。薬のお詫びも兼ねて治してあげるわ」

 

 

「・・・・・変な機能は付けないでね」

 

 

「ええ、大丈夫よ。次黒に会った時用に創っておいた万能細胞を使うだけだから」

 

 

「・・・・・万能細胞って確か永琳の細胞を目指して創ったやつじゃ無かったっけ?」

 

 

「今回のは特別製よ(私自身の細胞を材料にした、ね)」

 

 

「不安材料しかない・・・・・」

 

 

 

 

☆Next to 永琳ヤンデレ√(大嘘?)

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

追加の料理の在庫を全て出し切り。

 

僕は宴会の喧騒を聞きながら一息付く。

 

 

「ふぅ・・・・・お疲れ様。後は片付けだけだから君達も楽しんでおいで」

 

 

「はい!」

 

 

「とても勉強になりましたわ」

 

 

「はーい」

 

 

「ありがとうございました!」

 

 

そう言って彼女達は宴会に向かっていった。

 

僕はそれを見送った後、博麗神社の縁側に行くことにした。

 

 

・・・・・うん。

 

先客は居ないみたい。

 

料理は一通り食べたし、挨拶もしたし、少しゆっくりするかな。

 

 

僕は神酒を取り出して、盃に注ぎ、もうすっかり真上に覗いている月を見ながら飲む。

 

 

「・・・・・はぁ、不味い(美味い)

 

 

ちらりと感知魔法を使うと皆の様子が分かる。

 

へぇー。

 

霊夢達は飲み比べ、早苗や諏訪子は神奈子を囲んで祝い酒、天狗たちは天魔を胴上げしてるし、紅魔郷一行は料理を食べながら花見か。

 

・・・・・これ以上は止めとこう。

 

何か覗いてる様な気分になりそうだし。

 

因みに純狐は不参加だそう。

 

 

・・・・・うん?

 

コレは、空間の揺らぎ・・・・・スキマか。

 

僕の隣にスキマが開き、酒瓶を持った紫が現れた。

 

 

「はろはろー、父さん。ご一緒しても?」

 

 

「うん、良いよ・・・・・っていうか随分出来上がってるね」

 

 

隣に座った紫の顔は結構赤く、酒臭い。

 

・・・・・酒臭い美少女って自称永遠の19歳として大丈夫なのだろうか?

 

 

「どう?父さんは最近どうかしら?」

 

 

「うん、まぁぼちぼちだよ。普通に暮らして、偶にパチェや霊夢や純狐に会いに行って。普通に幸せさ」

 

 

「そう・・・・・なら良かったわ」

 

 

紫が何時もより少し暗い気がする。

 

どうしたのだろう?

 

 

「何かあった?」

 

 

「・・・・・ええ、少し夢を見たの。此処じゃない何処かの私の夢」

 

 

「・・・・・」

 

 

僕は無言で紫に続きを促す。

 

 

「その夢で悲しい・・・・・父さんに少し似た人が出て来たの。彼は幸せを幸せと感じられない程、擦り切れていた。理由は永い、永い時間のせいだったわ。彼は何個も世界を渡り歩いたと言っていたわ」

 

 

聞き覚えがあるな。

 

複数の世界に永い時間、それに擦り切れた価値観。

 

当て嵌まる存在は一つしか居ない。

 

 

「・・・・・観測者」

 

 

「ええ。彼は自身は後継者だと、二代目だと名乗っていたわ。そんな彼を見て少し不安になったのよ。私達は人より長く生きる。でも何時かは死んでしまうのよ」

 

 

紫は自身の掌に視線を落とす。

 

ふむ。

 

成程ね・・・・・紫の不安は理解した。

 

 

「うーん。こういう助言は苦手なんだけど・・・・・紫は少し考えすぎかな。僕達は遅かれ早かれ何時かは終わりが来る。誰だって例外じゃあない。だからこそ今を生きているんだよ」

 

 

「今を生きる、か・・・・・」

 

 

「そ。だから出来るだけ悔いの無いように、思うがままに生きれば良いんだ」

 

 

「・・・・・ふふっ。そうね。遠い未来を気にしても意味無いわね。ありがとう、父さん」

 

 

「うん。紫が納得できたのなら良かったよ」

 

 

「ええ・・・・・じゃあ、父さん。乾杯」

 

 

「乾杯」

 

 

僕は紫の盃に自分の盃を合わせる。

 

その時に鳴ったカチリという音が僕達の間に優しく響いた。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

紫が宴会に戻り、縁側はまた僕と姿を消している梅だけになった。

 

 

「梅は飲まないの?」

 

 

『はい。私は主様の隣に居られるだけで満足ですで・・・・・それに紫やあの女(諏訪子)の邪魔をするつもりもありませんし』

 

 

すると背後の廊下から聞き慣れた可愛らしい足音が近付いてくる。

 

スーっと静かに戸が開かれ、彼女の声がした。

 

 

「あ、黒。やっぱりここに居た」

 

 

「やあ、諏訪子。一緒にどう?」

 

 

僕は隣をぽんぽんと叩いて諏訪子に言う。

 

 

「うん!」

 

 

諏訪子は満面の笑顔で頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・じゃあ、乾杯」

 

「乾杯!」

 

「「・・・・・不味い(美味い)!!」」

 

「ぷっ」

 

「くくっ」

 

「「あはははは!」」

 

 

 

 

 

 

 

「くろ〜」(ほろ酔い)

 

ガシッ

 

「あの、諏訪子さんや、爪、食い込んでるんですが」(被捕食者)

 

「逃さないよ、くろ・・・・・頂きまーす!」(捕食者(肉食系)

 

かぷっ

 

 

 

 

 

 

 

「諏訪子ー?程々にしないと明日に響くよ?・・・・・って時間的にはもう日付変わってるし」

 

「あーうー・・・・・」(泥酔)

 

「・・・・・駄目そうだな」(手遅れ)

 

「くろー抱っこー」(甘えん坊(可愛い)

 

「はいはい。諏訪子、おいで」(満更でもない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・くろ、大好き・・・・・すぅ」

 

 

腕の中で諏訪子が身動ぎして、寝言を言う。

 

・・・・・全く、諏訪子は可愛いな。

 

僕は彼女の背中を優しく撫でる。

 

 

「おやすみ、諏訪子・・・・・僕も大好きだよ」

 

 

僕は諏訪子を起こさない程度に抱き締める。

 

離さないように、しっかりと。

 

 

―――嗚呼、願わくば、この幸せが出来るだけ続きます様に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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