東方黒雲録〜Traveling Black Monster〜   作:文才の無い本の虫

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私の神様

此方を向いて

今だけは独りにしないで

・・・・・私はズルい女ね



私の主様

私は貴方様の所有物

ただ其れだけが存在意義

・・・・・私は欲張りだ



2「予知夢に春告草」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・霊夢、大丈夫。君は此処に居る」

 

 

僕は博麗神社の屋根の上で今にも消えてしまいそうな彼女を抱き締める。

 

 

「・・・・・温かいわね。ねぇ、神様()。今だけで良いから私を繋ぎ止めてくれるかしら」

 

 

「ああ」

 

 

ゆっくりと時間が流れていく。

 

暫くそうしていると霊夢が僕の方を向いた。

 

あ、この目(湿度の高い視線)、見覚えが・・・・・

 

 

「・・・・・黒、巫女って神様に身を捧げる職業なんだって紫が言ってたの・・・・・――結界・小さな世界」

 

 

霊夢を中心に部屋一つ分の大きさの結界が張られる。

 

この結界、ヤバい。

 

本気の僕でも破れ無さそう。

 

霊夢はトロンとした瞳で僕を見つめる。

 

 

「ねぇ黒・・・・・私、結婚してた姉が居たんだけどね・・・・・姪を抱く前に、二十に成る前に病で死んだの。だからね、貴方との赤ちゃんが欲しいの」

 

 

「ちょ、ま・・・・・んむっ?!」

 

 

霊夢の口が僕の口を塞ぐ。

 

不味い、下手に抵抗すると霊夢にダメージが?!

 

暫くして霊夢の口が離れた。

 

・・・・・これが大人の色香ってやつかな。(現実逃避気味)

 

 

「ぷはっ・・・・・ふふふ、夜はまだたっぷりあるわ。私を繋ぎ止めて、生きてるってことを感じさせて?」

 

 

小さな世界には霊夢(捕食者)(被害者)の二人っきり。

 

・・・・・ああ、うん。

 

詰んだわこれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・っ」

 

 

・・・・・。

 

夢、か?

 

・・・・・うん、夢だな。

 

でも、霊夢が20代位に見えたのが気になる。

 

確か、神様は信者の能力の一部を使える様になるって聞いたことがある・・・・・靈夢の能力は【夢を見る程度の能力】。

 

・・・・・まさかね。

 

 

そうやって考えていると桶と手拭いを持った梅が現れた。

 

 

「主様、大丈夫ですか?汗が・・・・・お拭きしますね」

 

 

よく見ると汗でびっしょりだ。

 

梅が僕の服を脱がして・・・・・ん?

 

 

「ああ、ごめ、ん?」

 

 

「主様、お手を」

 

 

「ああ、うん」

 

 

梅は淀みのない手付きで僕の服を脱がした後に、手拭いで僕の汗を拭いてくれる。

 

・・・・・何と言うか、うん。

 

悪くない・・・・・けどね、駄目にされそう。

 

 

「梅、後は自分でやるよ」

 

 

「・・・・・(むぅ・・・・・)では、着替えを此処に置いておきます。拭き終わったならお声がけを」

 

 

「うん、ありがとう」

 

 

梅はそう言って少し頬を膨らませた気がした。

 

彼女が僕の服を持って消える(霊体化する)

 

僕はさっさと体を拭くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お着替え、お手伝いします」

 

 

「え」

 

 

「・・・・・霊夢だけ、ずるいです」

 

 

「・・・・・ははっ、わかったよ。梅、頼む」

 

 

「はい」

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

今日は博麗神社に行く日だ。

 

僕は朝食を済ませた後、梅を連れて博麗神社に飛ぶ。

 

飛んでいる途中で梅が何かを指差す。

 

 

「主様、あれを」

 

 

「ん?・・・・・へぇ、季節外れの花が咲いているね」

 

 

「はい。少し調べてみては?」

 

 

「うん、そうしよう」

 

 

少し降りて季節外れの花を検分する。

 

・・・・・あー、これは少し厄介かも?

 

 

「ふむ、人魂でしょうか」

 

 

「そうみたいだね・・・・・少し伯封に連絡を飛ばしておこう」

 

 

僕は懐から折り紙(子供受けが良いのと色々使えるため最近携帯している)を取り出して、白地の面に軽く状況をしたためる。

 

その折り紙で鶴を折り、指で摘んで宙にぶら下げる。

 

 

「伯封のところまで」

 

 

僕は術を込めて指を離す。

 

すると折り鶴は地面に沈んで行った。

 

・・・・・良し、これなら地獄まで届くだろう。

 

 

「良し。梅、行こうか。霊夢が待ってる」

 

 

「はい」

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「・・・・・成程。映姫(・・)!」

 

 

「どうしたのですか伯封?」

 

 

「父さんからこんな連絡が」

 

 

「お義父様から・・・・・ふむ、小町を呼んでください。きっと珍しく仕事に忙殺されているでしょうから、休憩もかねてね」

 

 

「Hey!!映姫!元気にしてる?」

 

 

「ええ、クラウンピース。今日は帰れそうに無いので家を頼んでも?」

 

 

「OK!任せて!旦那の留守を守るのも女の甲斐性ってやつ!!」

 

 

「・・・・・その理論で行くと私、甲斐性が無い事になるんですが?」

 

 

「へーきへーき。映姫は大黒柱ってやつさ!!自信を持ちなよー!!」

 

 

「クラウンピース・・・・・貴女は相変わらずですね」

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

博麗神社の上空に着くと下で僕達に気付いた霊夢が手を振っている。

 

僕は手を振り返して霊夢のもとに降り立つ。

 

 

「おはよう霊夢」

 

 

「おはよう、神様」

 

 

挨拶を交わしたあと、僕は霊夢に季節外れの花のこと、人魂のことを伝えると、霊夢は言った。

 

 

「・・・・・勘だけど、多分害は無いわね」

 

 

「そっか。じゃあ何か有れば動けば良いかな」

 

 

「そうね。神様、のんびりしましょ。今日は一日居るんでしょう?」

 

 

「うん」

 

 

実は明日に紫に頼み事をされている関係で今日は博麗神社に泊まり、明日の朝一番に博麗大結界を外から点検することになっているのだ。

 

諏訪子曰く「偶には博麗の巫女に貸してあげるけど、黒は私の物だからね!」とのこと。

 

可愛い。(重症)

 

 

「おお、黒。来たか。霊夢、茶を淹れたから縁側で花見でもどうだ?」

 

 

「緋月・・・・・貴女、最高のタイミングよ。さあ、(神様)。行きましょう?」

 

 

「ああ、行こうか」

 

 

僕は季節外れの桜や様々な花弁が舞う博麗神社の中を霊夢に手を引かれてあるき始めた。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

「はいはーい、映姫様、お呼びですか?自分で言うのもなんですが今日は忙し過ぎてサボる暇すらありませんよ・・・・・」

 

 

「ええ、だと思いました。ので伯封に貴女の助っ人に入ってもらいます」

 

 

「あれ?映姫様、伯封を此方に回しちゃって良いんですか?裁判所が大変なんじゃ」

 

 

「背に腹は代えられません・・・・・それに資料自体はありますし、探すのに苦労するだけです」

 

 

「ああ、それは大丈夫ですよ。あらかじめ獄卒の為のマニュアルと今日来るはずの魂の資料は作成しておきましたから」

 

 

「「え゛?」」

 

 

「・・・・・確か今日来るはずの魂って万を超えてましたよね?」

 

 

「数十分有れば既存の資料の整理程度なら終わらせられますし、マニュアルは前の物を追記、添削しただけですし・・・・・結構簡単ですよ?」(※一万人分の履歴書の順番を並べ替えて綴じる位と作文を三枚書く位の作業量)

 

 

「私の補佐官が優秀過ぎて泣けてきます・・・・・」

 

 

「・・・・・いやぁ~心強いですねえ」

 

 

「では、映姫。頑張って下さい!小町、急ぎましょう。今日明日中にかたをつけます」

 

 

「了解ですよ、地獄の補佐官殿」

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「・・・・・うん、緋月はお茶を淹れるのが上手くなったねえ」

 

 

僕は緋月が淹れたお茶を飲み、しみじみという。

 

何と言うか料理下手だった娘が上達した時の親の気分?(年齢的には黒が億、緋月が数万なので子孫とかそう云うレベルの年の差だったりする)

 

 

「貴様はワタシの母か何かか??」

 

 

「いや、だって元はアレだったし」

 

 

僕は『ふむ、貴様に貫かれてみるのも又一興!さぁ、ワタシを貫くが良い!』とか言っていた『朱い月』時代の彼女を思い浮かべる。

 

・・・・・凄く(良い方向に)変わったと思うよ?

 

 

「くっ・・・・・反論が出来ん」

 

 

「ええ、そうねぇ・・・・・緋月は最初の頃は茶葉がそのまま湯に浮いてたしね」

 

 

「アレは衝撃的だったなぁ・・・・・」

 

 

「ぐはっ・・・・・これが、黒歴史というやつか・・・・・」

 

 

うん、随分丸くなったと思うよ?

 

あの頃のブリュンスタッドが見たら卒倒するんじゃないかな?

 

 

「・・・・・それにしても、霊夢はなんで僕の膝の上に?」

 

 

「何か問題でもあるかしら?」

 

 

「いや、無いけど」

 

 

「む?・・・・・黒、貴様の足元の其奴は何だ?」

 

 

「足元?」

 

 

僕は緋月に言われて足元を見る。

 

其処には僕の服の裾を握った小さくなった(・・・・・・)梅が居た。

 

 

「主さま」

 

 

「「・・・・・」」

 

 

「・・・・・???」

 

 

僕は驚愕に硬直し、実は可愛いもの好きだったりする霊夢は口元を抑え、緋月はいつも見ている梅と結び付かず疑問符を浮かべた。

 

 

「・・・・・梅?」

 

 

「はい、主さま」

 

 

「ごめん、霊夢。少し退いて貰ってい良い?」

 

 

「え、ええ・・・・・」

 

 

僕は昔の様に梅を持ち上げて膝の上に乗せる。

 

 

「どうしてこんな姿に?」

 

 

「省えね、というやつです。紫に聞きました・・・・・それに、何時もの姿だと主さまのお膝に乗れないので」(天使)

 

 

・・・・・天使ですか?

 

昔はこうして梅をよく膝の上に乗せてたなぁ。

 

 

「そっかぁ・・・・・よしよし、梅、何時もありがとう」(でれでれ)

 

 

僕は梅のサラサラの髪を崩さない様に優しく撫でる。

 

すると霊夢がソワソワとした感じで聞いてきた。

 

 

「・・・・・梅、私も撫でて良いかしら?」

 

 

「?・・・・・良いですが?」

 

 

梅が疑問符を浮かべながら許可を出す。

 

霊夢は恐る恐る梅の頭を撫で始める。

 

 

「・・・・・ヤバい、癖になりそうね。黒、一日この子貸してくれないかしら?」

 

 

「嫌だよ」

 

 

「嫌です」

 

 

「そんな・・・・・」

 

 

霊夢が僕と梅の拒否に結構沈む。

 

そこまで?!

 

 

「そうだ!緋月!小さくなりなさい!」(混乱)

 

 

「・・・・・ワタシはどうしたら良いのだろうか?」(困惑)

 

 

「主さま、もっと撫でてください」(天使)

 

 

「よしよし」

 

 

まさにカオス。

 

霊夢は重度の可愛いもの好きだった様だ。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

夜になり、僕と梅が夕飯の準備をする。

 

梅には味噌汁とおひたしを、僕が米と焼き魚を。

 

今日は結構簡単な和食だ。

 

 

「主さま、お味噌汁とおひたし、できました」

 

 

「うん、此方も米は炊けたし、魚も焼き終わったから運ぼうか」

 

 

「はい」

 

 

僕と梅は出来上がった料理よそってお盆に乗せて居間に運ぶ。

 

梅はトテトテと着いてくる。

 

・・・・・僕の式神が可愛い。(この時、何故か八雲家にて藍が黒に謎の親近感を覚えた)

 

そんなことを考えながら居間に料理を並べ、縁側で駄弁っていた霊夢と緋月を呼ぶ。

 

手を合わせて、

 

 

「「「「いただきます」」」」

 

 

とっても穏やかな時間だった。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「「乾杯」」

 

 

僕と霊夢は盃を打ち合わせ、普通の酒を飲む。

 

 

「うん、相変わらず萃香の酒は美味しいわね」

 

 

「美味しいけど・・・・・あとで差し入れしに行こう」

 

 

ゆっくりと霊夢と酒を飲む。

 

少し左腕が痺れる。

 

・・・・・後で永琳のとこに行かないと左腕が崩れかねないな。

 

 

「ふふっ・・・・・神様、いい夜ね」

 

 

「ああ」

 

 

何気ない会話。

 

ああ、こういうのを幸せって言うんだろうな。

 

暫くすると霊夢は寝てしまった様だ。

 

 

「よいしょっと」

 

 

「・・・・・ううん・・・・・神様、大好きよ・・・・・」

 

 

「ふふっ・・・・・ありがとう、霊夢」

 

 

僕は霊夢を彼女の寝室に運ぶ。

 

 

「主さま。布団、敷いておきました」

 

 

「梅、ありがとう」

 

 

僕は梅が敷いてくれた布団に霊夢を寝かす。

 

離れようとすると、

 

 

「・・・・・一人にしないで」

 

 

袖を握られる。

 

・・・・・しょうがない。

 

僕は霊夢の布団の横に腰を下ろす。

 

 

「・・・・・これは、徹夜かな」

 

 

「主さま、お付き合いします」

 

 

梅が僕の胡座の上にちょこんと座る。

 

僕は苦笑して、霊夢に掴まれていない方の手を梅の頭の上に乗せる。

 

 

「うん、ありがとう」

 

 

偶には、迷える信者の為に徹夜しますかね。

 

・・・・・そういえば僕、一時期神父だったわ。

 

まぁ、良い。

 

 

僕は霊夢を安心させるように彼女の手を握る。

 

少し安眠効果のあるお香でも焚いておこう。

 

 

「霊夢、僕は此処に居るよ。だから、ゆっくりお休み」

 

 

 

 

 

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