東方黒雲録〜Traveling Black Monster〜 作:文才の無い本の虫
作者「待望の・・・・・(書き直し4回目)射命丸の短編!!」
えくすとら「烏天狗と門番」
―――ねぇ、護人さん。知ってますか?
――何をですか?
―――天狗は人を攫うらしいんですよ?
◇◇◇◇
ソレは何時からだっただろうか。
たまに来る烏天狗の事を目で追う様になったのは。
彼女のことがたまらなく愛おしく思うようになったのは。
切っ掛けは『文々。新聞』を買うようになったことだろうか。
◇◇◇◇
自分は引水 護人。
人里の門番をやっている。
今日も今日とて朝早くに起き、門番を交代する。
「交代です」
「おお、やっとか!!後頼んだぞ!!」
「はい」
とは言え門番の役目なぞ警戒・・・・・見張りのようなものだ。
決まりにより知恵ある妖怪は人里の中に手を出さない。
何故なら自分達が死ぬと妖怪達も死ぬからだ。
敵対しない妖怪・・・・・例えば妖精や付喪神は里の中にいることもある。(厳密には妖怪ではないと慧音先生が仰っていた)
「うん?・・・・・これは」
暫く歩いていると門の前に落ちている紙を見つけた。
「文々。新聞・・・・・?確か、天狗が出している新聞だったか?」
その時、風が降ってきた。
「はいはーい!!その通りです!!」
黒い翼に尖った耳。
明らかに人ではない。
「・・・・・貴女は?」
「私は清く正しく美しく!!烏天狗の射命丸文です!!門番さん、貴方は何て言うんですか?」
「・・・・・自分は、引水 護人といいます」
ニコリと人を食ったような笑顔を見せてくる彼女――射命丸文に気圧されながらも名乗る。
・・・・・これが自分と、射命丸文の原点だ。
◇◇◇◇
射命丸が定期的に来るように――自分が興味本位に文々。新聞を購読したのもあるだろう――なってから数ヶ月が過ぎた。
「もーりとさんっ」
「射命丸さんですか」
空から何時ものように射命丸が降ってくる。
最近は里の中でも会うことがあり、茶屋に寄ったり、食事を振る舞ったりすることもあった。
「もー釣れないですねえ。この可愛い射命丸文に会いたかった位は言ってくれてもバチは当たりませんよ?」
結論。
何故か懐かれた。
何故だろうか?
自分はお祖父ちゃんが言っていたように「
射命丸が居ることが日常と化してから数ヶ月が過ぎた。
最近、射命丸が何故かそわそわしている気がする。
何故だろうか?
「おーい!もりとさーん!!おはよーございま−す!!」
「ああ、おはようございます。射命丸さん」
なんだろうか、今日は1段とそわそわ・・・・・というか緊張している?
射命丸が後ろで手を組んで自分の前にずいと詰め寄ってくる。
「ねえ、護人さん。知ってますか?」
「何をですか?」
「天狗は人を攫うらしいんですよ?」
自分の意識はそこで途切れた。
◆◆◆◆
「あー、やっぱりやっちゃったか」
「神様、どうしたの?」
「いや、危惧していたことが起きちゃいそうでね・・・・・しょうがない。上白沢慧音に協力を要請するかー」
「何で慧音に?」
「歴史を食ってもらわなきゃいけなくなった(・・・・・射命丸、お膳立てはしてあげるよ)」
◇◇◇◇
「う・・・・・うぅん?」
「あ、起きましたか?」
「・・・・・射命丸さん、此処は?」
「私の家です!!・・・・・つい我慢できなくて攫っちゃいましたけど、失望しました?」
「・・・・・はぁ。自分は失望するほど貴女のことを知りません。だから」
「だから?」
「教えて下さい。射命丸さん、貴女のことを、全部」
「はい!!」
◇◇◇◇
「・・・・・成程」
「どうでしょう?」
「貴女が自分のことを好いてくれているのは良くわかりました・・・・・良かったです」
「良かったとは?」
「自分も貴女のことが好きですから・・・・・結ばれることは無いでしょうが」
「っ・・・・・でも」
「自分は貴女より早く死ぬ。これかどうもしようも無いことで「あー、ごめん。ちょっと失礼」・・・・・貴方は?」
何時の間にか目の前に白と黒の着物を着た男が立っていた。
射命丸さんは何故か焦っている?
「護人さん!!その方は!!」
「僕は柏手。此処の上にある神社の神様をやってる」
「柏手様?!とんだご無礼を!!」
「あー、そういうのは足りてるから良いよ・・・・・それで引水護人。君に聞きたい事がある」
柏手様が自分に聞きたいこと・・・・・?
「じ、私に聞きたいこととは、一体?」
「君は射命丸文と添い遂げられると言ったらどうする?」
「添い遂げられるのならそうしたいです」
「人里に居場所が無くなっても?」
両親はもう居ないし、自分は射命丸さん以外に親しい人など居なかったからな・・・・・。
「はい」
「護人さん・・・・・」
「・・・・・(お、おう。射命丸の目を見ないようにしとこ)宜しい。では引水護人。君は今から人里の人間ではなくなり、一烏天狗になる。いいね?」
「はい」
「うん、射命丸を幸せにしてあげなよ?」
「はい!!」
「護人さぁーん!!」
「じゃ、僕は帰るから後は二人でごゆっくりー」
「「ありがとうございます!!」」
◆◆◆◆
「神様、良かったの?」
「何が?」
「"人は妖怪に成るべからず"って。神様って幻想郷の管理者でしょう?」
「ふふっ・・・・・良いかい霊夢。バレなきゃ犯罪じゃない。しかも今回に限っては僕の信者の背を押しただけだからね。僕がルールだよ」
「うわぁ~」
◇◇◇◇
そして月日は流れ・・・・・
「護人さん」
「文さん」
「「好きです、結婚して下さい」」
「ふふっ」
「ははっ」
「「喜んで!!」」
此処に新しい夫婦が誕生した。
お節介な神様に祝福された彼彼女らは末永く幸せに過ごすことだろう。
「護人さん、愛してます」
「ええ、自分もですよ、文さん」
『引水 護人』
今回の主人公。お祖父ちゃんは女の敵だった模様。人里では影が薄く、友人もいなかった。上白沢慧音によって歴史を食って貰い、人里の人間ではなくなり、黒の施した術により烏天狗になった。
『射命丸 文』
かなりチョロインになってしまった気がする。が、上手くまとまったんじゃないかなぁ。護人と結婚して記者夫婦として幸せに暮らしている。
『八雲黒』
何か性格違くない?どうやら寝ぼけて無貌神成分が混入してケミカルクッキングした結果、いい方向に転がった。究極の結果オーライ。
『博麗霊夢』
常識人。神様が見逃したんだしまぁ良いかと護人を見逃した。一応結婚式には行った・・・・・というか司会やった。結構お人好し。
『上白沢慧音』
護人の結婚式に来て号泣してた。人里で護人のことを覚えているのは彼女だけである故に。