東方黒雲録〜Traveling Black Monster〜 作:文才の無い本の虫
まぁ、いっか!
最近、よく自分のしたいことについて考えることがある。
僕がここ、【銀木犀の箱庭】に監き‥滞在出来るのは僕が力の使い方を完全に覚えるまで。
能力、霊術、妖術は完全に習得し、魔法はもう少しで習得し終わる。
エディにはそれを習得し終わったら「好きなところに送ってあげる」と言われているので、僕は考えなければならない。
自分の、この旅路の目的を。
話は少し変わるがエディによると僕の【識っている程度の能力】は能力で情報を収集している訳ではなく、
エディの言う僕の中に在る記録と言うのは僕が産まれるときに材料にした穢れや魂の記録らしい。
それならば、【識っている程度の能力】ならわかる筈だ。
僕の原点を。
僕の欠落の理由を。
僕がこの旅路の目的を考えるにはそれが必要だ。
僕は能力を使い、僕の中に潜る。
すると中に何かの気配を感じた。
目の前には黒色の人形が佇んでいた。
――む?やっと気付いたか
《貴方は?》
――私はお前の中にある記録、魂の残滓だよ。
《魂の残滓とはどういうことだ?》
――うむ、まぁ残留思念というやつだ。私達はお前が認識すれば消える。
《消えるとは?》
――ああ。もうこの魂はお前のモノだ。前の持ち主が奪うものではない。受け皿が無い亡霊は早々に消えるべきだ。
《前のって貴方は一体・・・・・》
――私は■■■、む?・・・・・ああ、これも無くしていたのか。まぁいい。お前に少し話をしてやろう。その話が終われば私達は完全に消える。少し付き合え。
そうして彼は話し始めた。
――私は正義の味方に憧れる一少年だった。まぁよくある話だ。私は控えめに言って秀才というやつだった。様々な学を修め、人を助ける仕事に就いた。出来るだけ人には優しくしたつもりだし、世界平和というチャチな夢を追いかけた。まぁ今思い返せば私は愚かで滑稽だったよ。
《世界平和・・・・・そんなこと出来るのか?》
――無理だな。だがその時の私は人の善性を信じていた。盲信していたと言ってもいい。夢のために突き進み、時計塔に赴き魔術を修めてみたりもした。だが、結局夢は叶わず、私は私を目の敵にしていた奴等が呼び出した惡魔に殺された。
《・・・・・》
――本来なら私はそこで消える筈だった。だが数奇なことに遥か遠くの違う私、平行世界での私がとある契約をした影響で私の魂はこの世界に迷い込んだ。済まないがお前の感情等に欠落が有るのはそのせいだ。恨んでくれても構わん。平行世界のとはいえ私の責だ。
《いや、恨まないよ。そんな感情も無いし、有ったとしても僕が産まれ落ちたのは貴方が居たからだ。そんな恩人?とも言えるのに恨みなんて持たないと思うよ》
――・・・・・そうか。
《そうだ!先人に聞きたいんだけどさ》
――何だ?
《僕って何を目的に生きればいいと思う?》
――・・・・・そんな部分まで欠落していたとは。・・・・・そうかお前が初めの頃人の自我を持っているのに狂わなかったのはそれが原因か。
《あれ?これって欠落なの?》
――ああ。お前のそれはよく若者とかが言う目的が無いとかでは無く、価値を見出だせないという価値観の欠落だ。
《そっかあ。ずいぶん欠落って多いんだね》
――本当に済まない。・・・・・あまり深く考えずに聞け。そうだな、お前は目的を見つける為の価値観を身に着けるべきだな。
《どうやって?》
――人と出会え。人じゃなくてもいい。妖怪や魔術師、聖人でもいい。様々な価値観に触れるといい。きっとそれはお前の価値観を育てる助けになる。
《参考にするよ。それも良さそうだ》
――む、そろそろ残り時間が少ないな。・・・・・今から言うことは参考までに聞いておけ。いいか、大多数の為に生きるな。少数の為に生きろ。
《どういうこと?》
――私は世界という大多数の為に自分を捧げ、虚しい一生を生きた。お前は自分の為に、自分の大切なものの為に生きてくれ。これは私のエゴだ。
《大丈夫だよ、僕は顔も知らない大多数よりエディの方が大切だから》
――ふっ・・・・・そうか。それならば良い。私達の積み上げた経験や記憶はお前にくれてやる。上手く使えよ?
《うん。ありがとう》
――うむ。さらばだ、八雲 黒。『終わり』から産まれた『始まりの妖精』。お前の生が有意義なものになるのを願っている。
《さよなら》
そうして名も知らぬ彼は消えて行った。
僕に少しの目的の様なものと莫大な経験記憶を残して。
その記録を読み取ってわかったことは僕が『終わり』と数多の生物や神霊や穢れから産まれた『始まりの妖精』だということ。
僕が産まれた時に一度大地が消えたこと等だ。
僕の核に成った魂はこの世界に来るときにあかしっくれこーど?っていうものを経由したことで知識だけは沢山持っていた。
結構助かる。
彼のお陰で当面の目標は決まった。
色んな人や妖怪に会いに行こう。
そして僕の価値観で世界を見てみよう。
そうすればやりたいことも見つかると思うから。
◇◇◇◇
今日は旅立ちの日だ。
僕が目標を決めたあの日から数カ月が経った。
僕は残りの魔法も習得し、今はエディと【銀木犀の箱庭】の端の方に来ている。
周りは一面の銀木犀。
この風景も当分見れないと思うと少し残念に思う。
僕の前に立ったエディが大きな魔法陣を展開しながら聞いてくる。
「黒、何処に送れば良い?」
「うーん。じゃあ近くに意思疎通ができる存在が居るところに」
「・・・・・結構ざっくりだね。ランダムでいい?」
「うん」
「わかった」
エディは手元の魔法陣を少し書き換える。
「ねぇ、黒。目的は見つかった?」
「いいや。まだ見つかってないけど色んな存在に会ってみようと思うんだ」
「くふっ・・・・・いい顔になったね。黒、ちょっとこっちに寄って」
「ん?わかった」
僕はエディに言われた通りに彼女に近づく。
するとエディは僕の頭を引き寄せ、
「んっ・・・・・」
「むぅっ!?」
唇を重ねた。
あぁ、エディって銀木犀の味がするんだなと現実逃避をしていると数秒経ってエディの顔が離れた。
「ぷはっ」
「・・・・・エディ?!どういう――」
「くふっ・・・・・これが好きって感情かな?黒、偶に逢いに行くから。いってらっしゃい♡」
エディにトンッと軽く突き飛ばされる。
後ろにはエディが展開した転移魔法が作り出した空間の穴がある。
「ちょ、ま」
「良い旅をね?」
僕はそうやって【銀木犀の箱庭】から元いた世界への帰還を果たした。
・・・・・出たのは上空で焦ったが。
◇◇◇◇
「くふふっ・・・・・黒のファーストキス、貰っちゃった」
黒が落ちていくのを見届けた彼女は先程の感触を思い出しながら自身の唇を軽くなぞる。
彼女は知っている。
黒が何時か愛する存在を。
だが彼女はそれでも良いと黒を想う。
「くふっ・・・・・黒はきっと私を思い出す。今はそれで良い。運命は変わる。
自身の感情に素直になった彼女は自重しない。
【全知】を駆使し平行世界を覗き、運命を操り、万が一の為に黒に目印を付ける。
彼女は黒を優先する。
だから彼女は黒と自分の最善を目指す。
独占は出来ないものの割合を増やすことは出来る。
そう考えた彼女は運命を操る。
とある運命を操る吸血鬼が黒に惚れない様に、とある黒の眷属が主従を超えた想いを抱かない様に、とある妖怪の賢者が黒に押し掛けない様に。
運命は変わっていく。
本来出会う筈では無い時期の邂逅。
本来相容れぬ存在の和解。
本来交わらぬ道の交差。
『俯瞰する編集者』は、『黒と自身の最善を目指す改変者』は運命を改変する。
自身の最善を掴むために。
「くふっ・・・・・くふふっ・・・・・黒、待ってるよ?」
『八雲 黒』
:自分を定め、歩き始めた。只今夜空を音速で飛びながらエディのキスを思い出して悶絶中。(後にこの世界の日本神話とかにこの現象が流れ星として載る)
『エディ・オスマンサス』
:吹っ切れた銀木犀。ヤヴァイ。(主に作者と黒の胃が)黒のプライバシーは完全に消えた。運命を操り恋敵を恋敵になる前に蹴落としていくスタイル。
『黒色の人形』
:とある世界の正義の味方を目指した人物。黒の欠けた人間性の元に成った。だが魂は黒自身のモノ。彼自身の魂はとある座に・・・・・登録されたかも。
バッドエンド見たいですか?
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見たい!!(旧作の様にEX√として書く)
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見たくない!!(旧作に載せるかも?)
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メリーバッドエンド!!(諏訪子ルート)
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ラブラブ天驚拳!!(超ハッピーエンド)
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個別!!(コメント下さい。書きます)