仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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もうすぐモンドグロッソ編もようやく終わる……これで、原作に入るまであと少しかな。


EP104.暗き骸

 モンドグロッソ最終日。スラスターの修理も無事に終わり、あとはバトルロワイヤルの開始を待つのみである。水上に作られた特設フィールド――その大きさもさることながら、あらゆるタイプのISが入り乱れて戦うのが今回の戦いの特徴。

 格闘戦では近接タイプが主だったが、今度は遠距離型も多い。むしろ暮桜のように近接特化のISはいないだろう。近接特化で格闘部門に臨んだ国はもう一人のメンバーと後退しているようだ。

 

「……国枝、代わりに出るか?」

「すみません、流石にこの空気に参加したくないです……みんな目が野獣じゃないですか」

「だろうな……よし、見敵必殺でいく。スラスターの調整はどうだ?」

「従来より効率が良くなっているからか、出力上がっていますよ」

「流石だな……いい仕事をしてくれる。ならば、こんども勝ちに行くぞ!」

「はい!」

 

 今、各国のISたちが世界一の称号を得るために飛び立つ。その手に栄冠をつかむために!!

 

「暮桜、参る!」

 

 スラスターから光があふれ、加速の世界へ。

 色とりどりの機体が飛ぶ光景は圧巻だ――そして聞こえる、バトルスタートの叫び。

 

「ハアアア!!」

 

 開幕と同時にあふれる零落白夜の光。

 

「ゼリャアアアア!!」

 

 斬られてエネルギーがゼロになって落ちていくISたち。

 ここに千冬無双の開幕が宣言された。

 

「すべてのISを落してやる!」

『先輩! ほどほどにしてください!!』

 

 結論から言うと――無傷で圧勝するという快挙を成し遂げてしまったがために、大幅に時間が余るという事態になってしまった。

 昨日の戦いで機体が破損したガラティーンの修理に手間取ってリスティが参加できなかったことが千冬無双の原因ではないだろうか。

 近距離タイプの機体ならスピード負けして斬られ、遠距離タイプは攻撃をかわされた挙句に斬られる。徒党を組んでも一網打尽にされるなど、もはや笑しか起きない。

 そんな無双を終えた千冬はというと……

 

「物足りない」

 

 周りからすればいい迷惑であった。

 結局のところ、閉会式まで十分な時間が取れたということで、ISによるパレードを行うという閉会式になった――その中で、千冬はヴァルキリーを超えてブリュンヒルデと呼ばれだして若干不機嫌になっていたが。

 

「…………なんだかなぁ」

「いいじゃないですか。カッコいいですよ――男性関係こじらせた人ですけど」

「国枝ァ……いい度胸だな、後で説教してやる」

「うふふ…………筋肉の人も含めた飲み会があるんですけど、来ます?」

「やめておく……第一まだ未成年だぞ…………酒もほどほどにしろよ」

 

 数年後、趣味に酒飲みが追加されることを千冬はまだ知らない。

 そんなこんなでパレードも終わり、第一回モンドグロッソは幕を閉じた。

 

 

 

 ――ここから先は、その日の夜の話。ISではなく、ライダーたちの戦いの話だ。

 

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 会場はこの後、解体や整備などを行ってからIS学園の校舎を建てるらしい。アリーナとか再利用するのか……まあ作ったからには利用しないとね。

 そんなわけで僕らも打ち合わせとか、今後の活動とかを煮詰めていたわけだけど……

 

「なんだかなぁ……」

「IS学園の教師を頼まれるとはね……断ったけど」

「せっかく地球に戻れそうなのにか?」

「面倒だし何かあった時に行動できないだろ」

「違いないけど……」

 

 IS学園の設立は来年。教本とかの監修は手伝うけど、他のことに参加するつもりはない。千冬たちは打ち上げをしているらしく、織斑家はまた人があふれているだろう……フロンも参加しているけど、僕たち三人は仕事が残っているためにまだ会場にいる。

 

「なあ本当に反応があったのか?」

「信二の疑問ももっともだけど……オーバーロードが来ていたのは事実だし、なんか仕掛けていないか調べておかないと」

「うーん……ヘルヘイムエネルギーの濃度はやっぱり、向こうの方に行くにつれて濃くなってる」

 

 束が指さしたのは、アリーナのある場所。その中心。

 

「なんだろう……なんかおかしな感じがする」

「確かに――肌がピリピリするな」

「気を付けた方が良いかもね……束、信二、準備はしておくぞ」

 

 数時間後、バリアーがすべて解除される。前に作ったクラックが開かないように働きかける装置もだ。

 そのため――いきなりクラックが開く可能性もある。

 時間が来る前にアリーナまでたどり着いたが……これと言っておかしなことはない。ただ、なんだか嫌な気を感じるだけ……その嫌な気ってのが一番困りものなんだけどね。

 

「――何かいる?」

「これは――あと10秒」

 

 カウントを始める。それと同時に、ドライバーを装着し――備える。

 0の声と共に、世界にひびが入った。

 

「な――変身!」

「変身!」

「マジかよ!? 変身!」

 

 黒色の炎があふれ、怪物の形へと変貌していく。クラックも開いて、そこからエネルギーの塊のような物が流れていく――いや、クラックと言うより、骨だ。骨の形をした穴が広がっている。その骨自身も組変わり、怪物の一部になる。

 そして怪物はその姿を現した。色は黒か、白なのか――判別はつかない。この世のものとは思えない謎の物体。だけどその姿は知っている。

 

「――骸骨?」

「さしずめガシャドクロインベスってところか!?」

「っていうかインベスなの!?」

「知らん! でも――ヤバいのだけは分かる!! 久々に腕輪が光っている!」

 

 これは警告だ。この存在は危険である。

 

「とにかく、信二は遠距離から援護! 束! 最初っから本気で行くぞ!! ある意味オーバーロードの方が楽かもしれない!」

「そこまで――わかった!」

 

 信二がココナッツエナジーアームズの能力で飛翔し、空中から牽制する。その隙に、英と束はアームズを交換。ノロシとパンプキンエナジー。今使える最大の力。

 束がプロテアブルームで飛び上がり、ペアーエナジーの力で光弾を放つ。何度も何度も放たれて弾けるが――まったく効いた様子が無い。

 

「嘘でしょ!? かすり傷ひとつないの!?」

『――AAA! AA!』

「え――――ッ!?」

 

 とっさに、杖に装填するロックシードを取り換えなければ危なかった。メロンエナジーを装填して光の盾を構築し、その砲撃を防いだ。だが、弾いてかわすのが精いっぱいで――空にぽっかりと大きな穴が開いた。

 

「なんつー攻撃だよ!? 口からビームはいたよビーム!?」

「あれは――ヤバいな。エネルギー量測定不能。いったい何なんだアイツ。本当にお化けじゃないだろうな」

「――――そういうことか」

「篠ノ之さん?」

「ある意味お化けみたいなものだよ……ヘルヘイムの力は人の意志で力を増減させる。それが、負の感情が集まったりしたら?」

「……そうか、さっきまでここはモンドグロッソの会場だった――闘争心とか、色々と集まっていたってこと? いや、それにしたっておかしいだろ。ココはクラックを開けないようにしてあったんだぞ」

「それを覆したのが――あの蜘蛛女。会場内でインベスを作ったせいだね……そのせいで、アイツが生まれる種ができちゃったんだ」

 

 なるほど……ろくなことしないなあの蜘蛛女。束と信二の会話から、おおよそのことは分かったが……だからってここまで強くなるか――負の情念ってのはここまで強いってことなのか。僕としては――

 

「もっと前向きな心ほ方が好きだけど!」

「それは同感!! あと油断大敵!」

「――な!?」

 

 信二が僕の後ろでソニックアローを振るって――小さな骸骨を倒していた。いつの間に!?

 

「英! あいつ、ザコを沸かせる力もあるみたい……まあ厄介なことには変わりないけど」

「……そりゃ、このままにはできないな。町にあふれたら危険すぎる。まだ残っているスタッフは?」

「スレイプニルの方から警告を飛ばしてもらった! 今避難している」

「そうか……だったら、逃げ切るまで時間稼ぐぞ!」

「了解!」

「まかせて!」

「僕はでかいのを足止めするから二人はザコを頼む! あと信二! これ使え!」

「これって――分かった」

 

 空中に飛び上り、ハーモニクスカノンの口径を広げる。威力を重視していけるか? とにかく試すしかない!

 

「ハァアア!!」

『――』

 

 効果はなさそうだけど、やるしかない。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 そして、他の二人は。

 

「ああもう! 倒してもまた湧いてくる! なんだよこのクソゲー!」

「気持ちはわかるけど――今は言っている場合じゃないでしょ!」

「それもそうだけどさ」

 

 プルーンエナジーに取り換えて、津波の様な攻撃で殲滅する束。より広い範囲の攻撃をしていくが――キリがない。さすがに体力もそう長くは続かないため、正直厳しいものがある。

 

「早く脱出して――って上!」

「な!? 羽が生えている!?」

 

 そう、翼をはやした骸骨たちが空を飛び始めている。厄介なんてものじゃない。こいつら、外に飛び出して暴れるつもりだとでも言うかのように外を目指している。

 

「仕方がない――ストレイチアガジェットを使う!」

 

 ソニックアローに装填されたストレイチアガジェット。さらにスカッシュを発動させることでエネルギーを充填させ――放った。

 

「いけ!!」

 

 放たれた矢はいくつもの鳥の形へと変化し、空中にいる骸骨たちに突き刺さる。ホーミング能力を付与した攻撃を放つ、それこそがストレイチアガジェットのもう一つの力だ。

 元々ソニックアローの拡張パーツとして考えていた機能であり、ついに完成した能力でもあった。

 

「空中のは任せて!」

「なら束さんは――こいつら一網打尽にしてやる!」

 

 水を薄く、鋭く引き伸ばし――ギロチンのようにぶつける。

 

「全部薙ぎ払う。少なくとも避難が終わるまでの時間は稼ぐから――英! ちゃんと決めてよ!!」

 

 いまだに沸き続ける骸骨たち。

 すべて切り裂くかのように、束は踊る。

 

「骨の兵隊って、スパルトイって感じだよな――まあそういうネーミングは後回し!」

 

 空に飛び上り、信二は全て射抜く。

 町には大勢の人がいる。無事にモンドグロッソも終わって、お祭り騒ぎをしている人が大勢いるんだ。

 

「だからお前らを外に出すわけにはいかない。勝利の余韻に浸っているアイツに迷惑はかけないさ――全部落とす!」

 

 翼をはためかせて、彼は戦う。

 自分が守ると誓った人のためにも。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「硬すぎるだろ――おまけに、攻撃が重い!?」

『GA!』

 

 骸骨の拳を、大剣モードのハーモニクスカノンで受け止める。しかし、ブースターを使用しないと受け止め綺麗ないなんて……重いし、硬いし、オーバーロードが可愛く見えてくるぞ!?

 こんな厄介なのが生まれるなんて予想外にもほどがある……こりゃ、今度からは別のインベス対策を考えないとな。色々な偶然が重なって生まれただけなんだろうけど……もう二度と戦いたくないタイプのアレだわ。

 

「ハァアア!」

【イチジュウヒャクセンマンオクチョウ! ナユタ!】

 

 横なぎに一閃。ガリガリと嫌な音を立てながら火花を散らし、大剣と骨がぶつかり合う――そして、決着がついた。

 

「――――なっ!?」

 

 バキンッ、そんな音と共にハーモニクスカノンが――砕けた!?

 ――いや、まだいける!

 

「ッ!」

 

 ノロシロックシードを素早く回収。そして、無双セイバーに取り付けて――弾丸を放つ!

 

『GA!?』

「まさか本当に効くとは思わなかったけど――目玉の穴は弱点ですか!」

『――――!』

「って、ビーム!? ――――束、かわすぞ!!」

「へ――わああ!?」

 

 束を脇に抱え、上に飛び上る。土煙と共に小さな骸骨たちは消え去ったけど――またすぐに出てくるんだろうなぁ……と、その時だった。

 

「――避難完了!」

「オーケー……」

「ようやくか……でもどうする? 正直きつすぎるぞ」

「……一分時間を稼いでくれ。それでどうにかする」

「もしかして…………あれ、使うの?」

「それしかないだろう……この状況なら」

「だとしても――試運転も済んでいないんだぞ!?」

「でもやるしかない。現状、ノロシアームズでしか使えないし、耐えられない。たのむ」

「……はぁ、無茶はいつも通りか。でも、成功確率は?」

「撃てさえすれば問題はない。準備に時間がかかるけどな」

「仕方がないか……俺は空を食い止めるから、篠ノ之さんは地上を頼む!」

「さっきまでと同じだね……でも、ちゃんと成功させてよね!」

「任せろ……いくぞ」

 

 信二が飛び上がり、束がエネルギーを解放し、再び殲滅を開始していく。体力も削られているし決着を早くしないと――それに、あの骸骨も次の砲撃までどのくらいかかるかもまだわからない。

 

「頼むぞ、ヤエザクラタイフーン」

 

 サクラハリケーンを改造し誕生した新たなロックビークル。それが僕の新兵器。バイク形態に展開されるが、今必要なのは――

 

「砲撃形態、スタンバイ!」

 

 ――発射準備完了まで、なるべく早くする。だから、持ちこたえてくれ。

 




なんか急展開ですいません。

モンドグロッソはいくつか裏設定あったんですが、ほとんど使わずに終わってしまいました。

ガシャドクロインベスは割と初期に考えたアイデア。こいつ出すまでに100話以上かかるとは思わなかったけど……



さて、城を建てるか。
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