仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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新章突入。なんか英のポジションが……

また昨日裏話更新


第13部・天下御免のバトンタッチ
EP107.提示


 とりあえずインターホンを鳴らす。千冬は第二回モンドグロッソに向けての調整で忙しそうだし、いないのは幸いだけど……バレたら死ぬな。比喩表現抜きで。

 

「ねえやっぱりさやめない?」

「……諦めろ。これしか方法が無いのもまた事実。っていうか、どの方法でも最後は千冬に斬られるって絶対。束が斬られるのは確定だってばよ」

「そうだけどさぁ……いやISが原因なんだからそりゃそうなんだけど――って英は?」

「この方法じゃなければ斬られないな」

「……なんだかんだで甘いよね英」

「うるせえよ」

 

 そんなことは百も承知。ほどなくして一夏君が出てきたが――驚いてる驚いてる。

 

「英さんに束さん!? どうしたんですかいったい!?」

「まあ、ちょっと君に話があってね――大事な話が」

 

 ある意味、進路相談っていうか……君の今後に関わる。大事な話がね。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「えっと、粗茶ですが」

「あんまり気を遣わなくてもいいよ……むしろこれから話すことは一夏君にとって今後の人生を左右しかねないぐらい大事だからどっしり構えていた方が良いかもね」

「あの俺どうなるんですか、なんかものすごく怖いんですけど……」

「まあ、拒否することもできるし、僕たちはできればそうしてほしいと思っているってのは頭に入れておいてね」

「はい……?」

「簡単に言うと……一夏君、ヒーローやってみない?」

「――え?」

 

 いや端折り過ぎたか。

 

「まあ冗談として」

「冗談なんですか!?」

「正確には……こいつを君に預けようと思ってね」

「こいつって――え!? これって」

「そう、戦極ドライバー」

 

 先日入手した物である。ちゃんと改造済みの。自爆装置とか入ってたら洒落にならないし……まあ手こずったけど何とかなってよかったわ。

 色々とサポート機能を搭載してあるわけだが。

 

「いや、流石に受け取れませんよこんなもの!」

「……なあ一夏君、君はモンドグロッソの観戦に行くんだろ?」

「ええ行きますけど……」

「一人で?」

「そりゃ、鈴も弾も都合付きませんし旅費だって……」

 

 なんか聞いたことあるような無いような名前だけど、新しい友達か? あと一夏君、ボソッとそれと数馬もかって言ってるの? 友達なら忘れんなよ。いや、人のこと言えないけど……

 

「ねえいっくん、3年前のモンドグロッソのことは覚えている?」

「そりゃ覚えていますよ。あの時は――もしかして、自衛のために渡すってことですか?」

「その通り。あの時は僕らがいたからどうにかなった。でもね――流石に今回はそっちに行けないんだわ」

 

 僕らが宇宙を拠点にしているのを、亡国機業が黙って見ているわけではない。防衛にも力を入れなければいけないし、そろそろ強硬手段をとってくるはずだ。この3年でオーバーロードも増えているだろうし……厄介なことである。

 

「まあこいつを使うかどうかってのは君次第なんだけどな……ISの技術の転用も大分進んだし、こういう風に――」

 

 ドライバーの下に新たにつけたスイッチを動かすと、光に包まれドライバーはブレード部分を模したキーホルダーに変化した。

 

「――しまえる。こいつを引きちぎると、スレイプニルに連絡が行って君の危険を知らせることができるから、戦わないのならそっちの機能を使えばいい。ただ、もしも君が戦う道を選ぶなら――願えばいい」

「……願えば?」

「ああ、そうすればこいつは君の力になる。まあ、僕らはそっちを選んでは欲しくないけど」

 

 選んでほしくない。それは本当だ。できることなら子供に戦わせたくはない。今の一夏君と同じころに戦い始めた僕が言うセリフではないが。

 だけども……理解しているのだ。彼がどの道を選ぶのかを…………だったら、道の整備ぐらいはしてもいいんじゃないかなとも思う。危険はあるし、困難ばかりだろう……それでも、できる限りのことはしてあげたい。

 弟分に何かしてあげても罰は当たるまい。

 

「とりあえず、これだけは受け取ってもらえるとありがたいんだけど……どうする?」

「……一応、受け取っておきます。たしかに何かあるかもしれませんし……それに、使うことは無いはずですから」

「いっくん……出来る限り、束さんたちも何とかしてみるから」

「わかりました。えっと、今日はこのまま帰るんですか?」

「いや、久しぶりにこっちに来たから懐かしの食堂にでもいこうかと……」

「あとフロンちゃんに買い物たのまれているからねー」

「そうなんですか……食堂ってどこの?」

「五反田食堂ってところ。鈴ちゃんの実家の中華料理屋でもいいんだけど、久々に食べたくなって」

「――え」

 

 なんで面白い顔をしているんだ一夏君は。

 結局、なぜか一夏君も一緒に来たが――弾ってのはここの長男で、一夏君の友達だった。ああ、そういえば見たことあるわ小さい彼を。束もあーって言っているし……

 

「って言うか俺は束さんのサインがあったことに驚きましたよ。なんであるんですか」

「前に書いてってたのまれちゃって」

「……これは僕も変身してきて書いた方が良いのだろうか」

「やめてくださいね。色々と洒落にならないですよ」

 

 むしろ洒落に満ち溢れていると思う。

 

「な、なあ一夏……お前凄い人たちと知り合いだな」

「一夏さんの交友関係っていったい……」

「弾も蘭もそこまで驚くことか? っていうかあったことあるんだろ」

「小さい時だからなぁ……あんまり覚えてないっての」

「そうですよ……っていうかあのサイン本物だったんだ」

「懐かしいわねぇ……あの時の子たちがもう大人に、月日が経つのは早いわぁ」

「そんなに経っているわけでもないですけどね……ところで一夏君」

「なんですか?」

「ドアのところに懐かしのツインテールがいるぞ」

「え――――うおわっ!? り、鈴!? 何してんだお前!?」

「……私の方に来てくれる約束」

「あ……」

 

 ああ、またか。蘭って子の反応から彼女も建てられているんだろうなとは思ったが、こっちも大分根強いことで。っていうか約束すっぽかしちゃいかんでしょ一夏君。

 

「あの助けてくれませんか?」

「無理」

「あんた正義のヒーローだろ!?」

「この場においては君が悪だ。しっかり捌かれてこい」

「字が違ッ――うわあああ!?」

「まてぇ!! 一夏ァ!!」

 

 追いかけっこ開始である。しかし、相変わらずここの料理は旨い。フロンも連れてくれば良かっただろうか?

 あ、とりあえずスレイプニル艦長としてサインはしておいた……実はそっちで顔が知られているんだよなぁ………あんまり外歩けない。冠の中の人ってのは裏に精通している人は知っているけど、一般人には知られていない。そっちは割と隠せたし、調べてもわかんないんだろうか……結構知っている人は多いが、楯無さんたちがブロックしているのか?

 

「うーん……謎だ」

「たぶんアリアあたりがなんかしているんだと思うけどねぇ……」

「そっか、そっちの可能性があるのか」

 

 なんだかんだで色々と助かっているんだよな……元クラスメイトのみんなのおかげで。一番助かっているのは信二だけど、他のみんなも結構色々と動いてくれている。まあ、色々な分野で活躍しているし、コネも多いのか。

 

「そろそろ行くか。あ、代金はこれで足りる?」

「はい、ありがとうございます……それにしても一夏は相変わらずだな…………」

「やっぱ、いろいろあったか」

「昔からああなんですか? 鈴よりも付き合い長いそうですけど」

「そうだな……昔からああだ。束の妹もそうだし、他にもたくさん――玉砕した子もたくさん」

「うわぁ……」

「でも本音ちゃんは建てられなかったよね」

「ああ、アイツはある意味……傍観者で遊ぶタイプだから」

 

 束と似ているのはセンスだけじゃないのだ。色々と嗜好が似てる。良識があるから良いけど、一夏君はそういう対象として見る距離感ではなかったのだろう。まあ、きっかけがあれば違うのだろうが、なんかきっかけも起きそうにない……なぜだ。

 

「あとは買い物かぁ……」

「安いの? おいしいの?」

「日持ちするの」

 

 途中、アレで結婚していないのかってつぶやきが聞こえてきたが……まあお互いまだするつもりではないということで。事実婚状態だけど。

 そんなわけで、買い物を済ませてスレイプニルに戻ればみんなが出迎えている。この3年ではあんまり見た目は変わっていない、我らがクルーたち。

 

「何か問題はあったか?」

「いえ、特には……そちらは?」

「奴らにやられるより前に、痴情のもつれで死ぬんじゃないかな、一夏君」

「いつもどおりですね」

「辛辣だなぁ……」

 

 男性スタッフたちも、そりゃあれはなぁって言うんじゃないよ。わかっているよ。アレは天然なんだから仕方がないだろ。もう見て楽しむぐらいがちょうどいいんだって。

 

「突発的クラックは?」

「中沢さんがすでに対応済みです。ところで、モンドグロッソのインベス対策はどうするんですか? なんかIS委員会から通信が入ってきたんですけど」

「あー……それもあったか。まあ、適当に……新しいロックガジェットを配備する」

「新しいガジェットって……まさかあれですか?」

「うん」

「……うわぁ」

「引くな引くな」

 

 あれダメなの? 良いと思ったんだけどなぁ……ラフレシアガジェット。

 小さなメカを出して偵察と攻撃とかをさせるんだよ。お手軽に設置できる防衛システムなのに。

 

「見た目がひどいです。って言うかキモイ」

「バッサリ!?」

「束さん的にもなんであれ作ったんだよって思うな」

「わたくしも、アレはちょっと……臭いはしませんが、なんかこう見た目がエグイです」

「女の人も多い会場で使うにはアカンヨー」

「俺もどうかと思います」

「……英お兄ちゃんはたまにおかしくなる」

「お前ら言いたい放題過ぎるだろぉぉぉ!?」

 

 なんだよフロンまで! 畜生……

 

「……だったら、他にはどういうアイデアがあるってんだお前らは!?」

「束さん製作無人ISのゴーレム部隊で警備とか?」

「それこそやり過ぎだろ!?」

「束さん、貴女も少し頭冷やしてください……今そんなの出したら世界中がパニックになります」

「どうしてさー」

「……モンドグロッソの成功による弊害。知らない……って知らないのかまさか」

「?」

 

 あ、これ本気で知らない顔だ。今のところそこまで広がっているわけじゃないから、知らなくても無理はないけど……今後数年で広がるし思想だからなぁ……

 

「女尊男卑。ISっていう強大な力を世界中の人がわかりやすい形で理解しちゃったから、今世界は女性の方が上っていう考え方にシフトしているんだよ」

「ええぇ……なんだかバカっぽいね」

「そうなんだけどねぇ」

「実際、色々と起きていますわよ。雇用問題、発言力、公共移設に置いての優遇のされ方など……まあまだひどくはなっていませんが、あまりにひどくなると今後が心配ですわね」

 

 IS操縦者はISに乗れるから現行の兵器を圧倒できる。女尊男卑が進むと――女性に徴兵令がかされる可能性がある。それに気づかずに女性優遇思想を唱える者も出始める始末。

 

「そこらへんの調整をうまくやるつもりだったんだけど……かおりさんは交渉に行ったんですよね、議員とかに」

「ええ……それがねぇ…………やっぱバカなこと考える人がいるのよねー」

「どうしました?」

「なんで男なんかの下につかなきゃいけないのって聞く耳持たず。マスコミとかに根回しして、これからは女性の時代だって煽る奴がいるのよ。しかもそういうのに限って発言力強くて……嫌になるわ」

「アメリカも、人種差別的な名残が、性別差別にシフトしただけデスネー……それはそれでいいのかと思ったら、管理能力もないのに女性ってだけで出世する企業とかが出る始末デース」

「そこまで来てんのか!?」

 

 少しぐらいなら、本当の意味で男女平等になるかと思ったのに、なんかおかしな方向に……

 

「むしろ、反動で一気に傾いちゃったって感じですね。抑圧されていた人たちが暴走して一気にひっくり返して……てんやわんや?」

「なんかだんだん束さんにもわかってきた……もしかして、色々と大変なことになってる?」

「もしかしなくてもな。出資企業とかに影響が出ると、スレイプニルも危ういし……人権団体は乗っ取られていないよな?」

「そこはまだ大丈夫です。毒牙はかかりそうですけど」

 

 そういうところが乗っ取られると後が怖いし……

 

「かおりさん、悪いんだけど行ってきてもらえる? 人権団体がそういう革命思想の人に乗っ取られるといろいろ厄介だから」

「わかりましたよー……それじゃあ行ってきまーす」

「ミシェル、ネットワークから危険思想の集まりとか洗い出してくれ」

「了解。すでにサーチ開始しているよ」

「流石。それじゃあたのむ……あとは、フロン」

「なに?」

「今日は徹夜で作業しそうだから、夜食頼む」

「わかった」

 

 こりゃしばらくは情報戦が続くかもなぁ……亡国が絡んでいるとは思い難いけど、なんかこういう混乱に乗じて行動を起こさないとも限らないし、用心するに越したことはないか。

 




なにやら不穏なフラグが……

何が起こるのかわかる人もいるだろうけど、あえて何も言わないんだ。



E-2終わった……さてE-3…………ふふふ、俺の艦隊に参加できる奴はもう残っておらんよ。死ぬ気でレベリングして強行突破するしかない。まだ一週間以上あるし行けるか?
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