仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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みなさんお待ちかね、あのアームズの登場です。


EP110.スターゲイザー

 色を極彩色に変化させ、ギョロリとその眼玉を動かす。

 カメレオンインベスは見上げるほどの巨体となり――長い舌で一夏を狙ってくる。

 

「うおわっ!?」

 

 洒落にならない。細長い舌だが、それは体の大きさと比較して。実際は人より太い。その舌がとんでもない速さで一夏を狙ってくるのだからたまったものではない。

 メロンディフェンダーではじき、かろうじてかわすが――その恐ろしい性質に肝が冷える。

 

「盾から煙が――溶かすって言うのか!?」

「――ッ!」

「くそっ――なら!」

 

 防御力の高さに救われた。まだ防げる。だからこそ、舌をかいくぐり勝機を得る。無双セイバーのレバーを引き、口元へ狙いを定め――放つ。

 

「いっけぇええ!!」

「――?」

「……あれ? って明後日の方向に!?」

 

 残念。致命的に銃撃戦が苦手だった。

 その隙を逃すわけもなく――一夏に再びなめまわす攻撃が迫る。

 

「うおっ!? さすがに気持ち悪い! 千冬姉の描いている漫画じゃないんだぞ!?」

「――!」

「うぐぅ――なら!」

 

 盾を構え、投げ飛ばす! グルグルと回転しながら飛んでいくそれはインベスの目に留まり――迎撃のために舌を伸ばす。

 

「だけどそれが狙いだッ!!」

「――ッ!?」

 

 メロンロックシードを無双セイバーにセットし、目標を定めた。

 いくぜ――見様見真似ってわけじゃないけど、なんとなくやり方は覚えている。

 

【イチジュウヒャク! メロンチャージ!】

 

 舌の根元めがけて――切るべし。

 

「そんなに舌伸ばして行儀が悪い!」

「――!?」

「もう一つおまけだッ!!」

 

 下から顎を突く。これでもかと言わんばかりに渾身の力を込めて突き上げたことで――インベスは目を白黒させてのたうち回る。

 だけど、息も上がってくる……もともと力をひねり出していた一夏は――限界が近い。

 

「ハァ……ハァ…………トドメ、刺さないと――って剣が」

 

 溶けていた。これじゃ使い物にならない。盾もどっか飛んでいったし……これはミスったか?

 

「でもまあ嘆いていても仕方がないな……ロックシードは戻して、どうする? あの人ならこんな時どうした?」

 

 思い出せ。武器もない状況であの人は――ふと思い出すのは彼がゴブリンインベスと戦っていた時。

 足に力をためて、必殺の蹴りをお見舞いしていた光景だ。

 

「そうだたしか一回――【メロンスカッシュ!】――で、右足に力をためて」

 

 そこから先は自分のアレンジだ。すっと足を引き、身体をバネのように動かすため腰を落とす。目標は起き上がってきたインベス。その頭蓋。

 身体を、全身の力を右足の一撃に利用する。そのためには――

 

「じっとして……集中しろ――!」

 

 飛び上がり、インベスの頭めがけてその右足を繰り出す。

 されどインベスも黙ってやられているわけではなかった――口から紫色の液体が噴き出し、一夏を狙う。

 

「グッ!? それでも!!」

 

 エネルギーを爆発させ、液体を散らす――それにより、攻撃を無効化。一夏の目には映らなかったが、地面が溶けだしている。危険な液体であったためにその選択は正しかった――だが、それ故に届かなかった。

 

「――!?」

「――ッ!」

「あがっ!?」

 

 頭に届いた。それでも倒すには至らなかった。それどころか巨体にもかかわらずその尻尾を素早く体を回転させることで横なぎに振るってきたではないか。

 その一撃は確実に一夏の体にヒットし――壁に叩きつけられてしまう。

 

「ごふっ!?」

「――」

「ち、ちくしょう…………結局、俺じゃダメだって言うのかよ」

 

 悔しい。一歩及ばなかった。あと一撃、あと一撃だった……

 カッコつけても、憧れのあの人たちを追いかけても、背中を押してもらっても届かないのか――そう、思った。そんな時に無駄だと思っていても武器が無いかと腰に手を当て――それを見つけた。

 

「え?」

 

 カチャリと、錠前のような物に手が触れる。取り外してみると――それは緑色のロックシードだった。

 モチーフとなっている果物は一夏も良く知っている。そして、それがどんな効果を持ったロックシードだったかもおぼろげながら覚えていた。ある意味、忘れがたいインパクトがある。

 

「スイカ――ロックシード…………デカブツ相手にはちょうどいいよな!」

 

 顔は隠れているが――その眼に闘志が戻る。

 再び立ち上がり、眼前の敵を睨みつけ……一夏は吠えた。

 

「絶対に、勝つ!!」

【スイカアームズ! 大玉ビッグバン!】

 

 再び紫色の液体が飛んでくる。されど、巨大なスイカが一夏の体を包み――その攻撃を防いだ。

 ぐるりと回転し――敵に体当たり。

 

「――!?」

「ハァアアア!!」

 

 スイカアームズはその巨体どおり強大なパワーを持つアームズ。巨大なインベス相手にこれほど有効な手はない。ヨロイモードに変形し、そのパワーでインベスを殴り飛ばした。

 顔の左右から、何度も殴りつけて――ふらふらとインベスはよろけてしまう。

 

「ここらで――フィニッシュだ!!」

 

 スイカ双刃刀を構え――一気に加速する。その姿は彼の姉、織斑千冬の瞬時加速にも見えた。

 

【スイカスカッシュ!】

 

 斬ッ! 音が見えるかのような綺麗な一文字の一撃は――インベスを二枚におろし、その最期を飾ったのである。そして、一夏はそれを見届けることなく……

 

「……ああ、勝ったん、だ、な――」

 

 パタリと、倒れてしまう。変身は解除され、ドライバーも再びキーホルダー状になり一夏の腰に装着された……初めての変身、初めての戦闘、しかも複数のインベスを同時に相手し、巨大インベスまで倒すという快挙を成し遂げたのだ、その疲れは推して知るべし。

 ただ、その顔にはやりきった安堵と、これからどうするかという困惑が混在していたが。

 

 

 それからほどなくして、ドイツ軍から情報提供を受けた千冬が一夏を救出するために乗り込んだのだが……一夏以外誰もいない光景と、戦闘痕を見て全員が不思議に思ったのは言うまでもない。

 ただ、千冬は心底ほっとし……自分の親友が助けに来たのかと思ってしまった。現場に残されていた、ザクロロックシードの残骸から。

 そして、千冬が救出に来たことで彼女のモンドグロッソ二年連続優勝は幻のものとなってしまったのだが……

 それでも、今回の件は一旦の解決を見せた。少なくとも、彼らにとっては。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 一方、スレイプニルの面々はというと……

 

「いやぁ……困ったことになったな」

「そうは言いますけど、艦長…………あんまり危機感が無いように思えるんですが」

「だってさぁ……アイツらはしゃぎ過ぎじゃね?」

 

 宇宙空間で戦闘中だった。

 亡国機業も黙って宇宙という拠点を取られたままではない。独自に開発した宇宙船を引っ張り出してきたのだ。しかも、宇宙でも活動できるインベスを製作して……その背景に、どれほどの犠牲があったかなんて考えたくもない。おまけにグリフォノイドも複数確認された。

 

「しかし……束のジャバウォックもヤバいなぁ」

 

 タタラをベースに戦闘と移動のために拡張したIS、ジャバウォック。通常のISとは異なり、本来のマルチフォームスーツとしての側面が強いのだが……

 姿がぶれたかと思った次の瞬間には宇宙で活動しているインベス――ガーゴイルインベスの背後に出現し、切り裂いている。零落白夜を参考にインベスの細胞を断裂させるレーザー刀を開発したのだが……どうやらうまくいったようだ。

 

「知覚外からの攻撃とかえげつねぇ」

「そういうISを作ったんでしょうが……第三世代とか笑えないですよ」

「早すぎるよなぁ……まあ百花さんとかおりさんもヤバいけど」

 

 二人の装着しているISも、今までのものとは一線を画している。百花のIS――フリーデン。ISというか、巨大すぎて笑えない代物である。

 

「まんまデンドロですよね」

「言うな……調子にのってやり過ぎたって反省しているんだから」

「三人で徹夜してましたね……」

 

 英と束と百花が連日徹夜のテンションで生み出した一品。圧倒的な火力を誇る――宇宙戦闘用IS。今のところ唯一の戦闘のためのISである。

 元々ISは戦闘用のものではない。そのため、実は戦闘に使うと色々と問題が起こるのだ――主に肉体の負担などで。無理な動きをすると関節が壊れたり、Gに耐えられなかったり、などなど。

 

「その点千冬ってやっぱすげぇよな、最後まで近接だけだもの」

「あれはバグですよバグ」

「お前ら好き勝手言うなよ……」

 

 そして、最後に紹介するのはかおりのIS――天球。

 球体上のバリアを常に張っているISで、レーダーや防御フィールドの生成、そのた補助機能を搭載したISである。この三機が宇宙におけるスレイプニルの防衛の要であり、生半可な攻撃じゃ返り討ちに遭うのだ。

 

「それじゃあ……信二、向こうに乗り込むぞ」

「……マジかぁ」

 

 グラニに乗り込み……敵宇宙船へいざゆかん。

 変身はスレイプニルの中でしか行えないのでちゃんと装着を行う――といっても一つしか使えないので慎重に選ばなければいけないわけだが。

 

【ジンバーマツボックリ! ハハーッ!】

 

「なんで?」

「いや、狭い場所だとジンバーチェリーは速すぎてむしろ不利になるし、ある程度身軽なのを」

「イチゴで良いだろ……」

「なんかあるといけないし、なるべくならジンバーがいい」

「そうか……じゃあ俺も軽装がいいか?」

「そうだなぁ……メロンエナジーでも装着してくれ」

『どうでもいいけど早く行け男ども!』

「「わ、わかりました!」」

 

 何はともあれ、突入である。

 もっともそれ自体はすぐに終わったが。

 インベスもいなく、グリフォノイドも片付いていた。束たちがものすごくキレた顔をしていたのが気になるが……大丈夫だろうか?

 

「っと、突っ込むぞ!」

「わかった。しっかりたのむぜ!!」

 

 ゴスンッ、という音と共に着弾成功と言った方が良い突入の仕方をする。

 これは痛い。

 

「あ、頭うった」

「変身してても衝撃が……安全運転しろよ」

「仕方がないってばよ…………それより、急ぐぞ」

「わかった――釈然としねぇ」

 

 急いで中枢へ――途中、何かが出撃した音が聞こえたが……外の三人なら平気だろうということで急ぐ。

 

「ああもう、なんだよこれクラシックなUFOみたに丸いな!」

「こっちに扉あるぞ」

「よし、突入!」

 

 扉をけ破ると――ゴブリンインベス(白衣装備)がいた。

 おそらくは、新装備を搭載した遠隔操作インベス。

 

「しゃらくせぇ!!」

「英、無茶して宇宙空間に飛ばされるのはごめんだぞ」

「大丈夫! 1分なら宇宙空間でも平気なように改造済みだ!」

「外に飛ばされるの前提!?」

「曲者! 曲者――がはっ!?」

「お前らの方がよっぽど曲者だよ!」

 

 とりあえず研究データ――カスデータばかり――を取りあげて、インベスをすべて倒す。

 数だけ多くて嫌になるが……なんとか対処を完了する。

 生体ポットからは、胎児の状態でインベスにするとどうなるかなどと、吐き気がするどころではない研究も多い。しかも、異なる生物同士を組み合わせたキメラなどもいくつか出てきた……

 

「これ、インベスの研究の応用か?」

「だろうな……あいつらここまで手を出していたのかよ、いくらなんでも頭がおかしいとかそういうレベルじゃない」

「ひでぇもんだな……リリーは本当に大丈夫なのか?」

「ああ、あの当時はまだここまでいっていなかったからな……おそらく、他のアドヴァンスドとあまり変わらないはずだ」

「そうか……どうする?」

「特に回収する物もなかったし、データもカスばかり……地上の囮か? スレイプニル、誰か聞こえるか?」

『はいはい、聞こえているよ』

「ミシェルか……一夏君の方はどうなったかわかったか?」

『各地で妨害電波が発生していたけど、いま解除された。どうやら自分で何とかしたらしい。まあ、織斑千冬のブラコンが暴走して自ら救出に行っちゃったらしいけど』

「それって……」

『モンドグロッソ二年連続優勝は逃したみたいだね……インベスは一夏君が倒したから、骨折り損だが』

「あいつらしいっちゃ、らしいか……しかしそうか、やっぱそっち選んだか」

 

 英にとって、それは予想できた答え。話を聞く限りでは千冬は自分たちが対処したものと思っているらしい。

 相変わらず鈍感であるが……好都合であるか。

 

「とりあえず、情報規制とかたのむ」

『了解。しかし、あちら側が本命でないとすると……奴らは何が目的だったんだ?』

「偵察だと思う。こっちの宇宙船力の調査ってとこだろ……束たちは?」

『ダメージ0だが……グリフォノイドがヤバかった』

「どういうことだ?」

『詳しくは直接聞くといい……』

 

 その後、すぐにスレイプニルに帰還。宇宙船はスレイプニルから砲撃し、破壊した。

 そして束たちから聞かされたことは、英にとっても衝撃的であった――それは、グリフォノイドを動かしていた者たち。

 

「脳みそが、入ってた」

「――なんだよ、それ」

 

 しかもISコアは回収することができずに、変な形のロボットが回収して地球に去ってしまった。

 やはり、偵察だったのか。

 

「っていうか、アイツらどこまでおかしなこと考えてんだよ」

「……自分から」

「?」

「自分から、脳みそだけになってIS動かしてた」

「――――」

 

 人間の悪意、いや浅ましき欲望はどこまでも深かった。

 今更ながらに、自分たちの敵の壊れ加減を目の当たりにして――

 

「……作戦を次に進める、各自、準備は怠るなよ」

「「「「「了解!!」」」」」

 

 ――決意を新たに、前に進みだす。

 




登場、ジンバーマツボックリ! ……石投げるのはやめておくれッ


結局冬の映画までに終わらせるのは無理っぽい。



E-3に挑むため、必死にレベリング。
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