仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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もう自分でも何がしたいんだって話ですね。
これでいいのかわからんよ。


EP114.なんでもない一日

 一夏と千冬の喧嘩は割とあっけなく終わった。

 

「――で、これはどういうことだ千冬姉」

「…………すみませんでした」

 

 一夏が学校に行っている間、家事をしようとした千冬が――まあ口に出すのもはばかれる大惨事を起こしたためである。正直、一夏にとってもどうしたらこうなるのか説明してほしい。

 小麦粉は散乱し、冷蔵庫はぐちゃぐちゃ。洗濯物はむしろ汚れていて――

 

「正座」

「……いや、家長としてそれは」

「正座」

「だからな、私にもプライドというものが」

「正座」

「…………はい」

 

 圧倒的に千冬の方が不利だった。

 

「あと、はいこれ」

「――まて一夏、これをどこで見つけた!?」

「思春期の男じゃないんだからベッドの下に隠すなよ……その同人誌」

「うわああ!? 今まで言葉を濁していたのに直に言った!?」

「ほどほどにしてくれよ……っていうか実の弟を妄想に使うなよ、恥ずかしい」

「――げふ」

 

 哀れにも、織斑千冬はモンドグロッソではついぞ見ることの出来なかった――グロッキー状態へと追い込まれてしまったのである。快挙。一夏は千冬を倒した。

 

「……はぁ…………はい」

「なんだ?」

「千冬姉の夕食」

「――か、カップ麺」

「俺、鈴のところに呼ばれているから――じゃあな」

「待って――待ってくれ一夏ぁあああああ!!」

 

 慈悲は無い。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「ってわけで、千冬姉を一人置いてきた」

「あんたも外道ね……大丈夫なの千冬さん」

「無理だね、もう腐ってる」

「あのシスコンが……そこまで言うとは」

「喧嘩中だったってのもあるけど、流石に喧嘩し続けると家が腐海になるからな」

「うわぁ……」

 

 でも千冬姉ならやる。

 

「信頼とかないの?」

「信頼しているよ――今回はダメな方にだけど」

「辛辣ねぇ……」

「鈴も料理ぐらいできるようにならないとダメだぞ」

「失礼ね! 練習してるわよッ!」

 

 まあ、少なくとも千冬姉よりはできるか。ただ、この前の酢豚形が不揃いだったぞ。

 

「うー相変わらず辛口……でも絶対おいしいって言わせてやるから」

「そこまでムキにならなくても……」

「だって、約束だし……」

 

 鈴はそういうと、赤面して指をもじもじさせ始める――ふむ、約束? そういえば前になんか約束したな…………いかん、この前のこともあってか色々と記憶が……やっぱインパクトが強すぎることがあると他の記憶がとぶんかねぇ……(単に鈍感なだけ)

 さて――ところで鈴の両親はどうしたんだろうか? なんか姿が見えないが……

 

「……まあ、気にすることじゃないか」

「何か言った?」

「いや、別に」

 

 そんな風に、俺はこのことを軽視した。鈴に呼ばれたから来たが……営業時間外だったっぽいし。悪いかなとは思ったが……まあ、たまには悪くないかもしれない。

 でもまぁ……

 

「鈴、野菜はもう少し火を通した方が良いと思うぞ」

「やっぱそうか――ってあんた気づいていたの!? あたしが作ったって」

「そりゃ何度も食べれば覚えるぞ、鈴の作ったものの味くらい」

「そ、そっか……覚えてくれていたんだ」

 

 どうしたんだ? 顔を赤くして……変なこと言ったか?

 

「なんでもない!」

「お、おう……」

 

 まあいいかな。その後、食べ終わって後片付けを手伝ってから帰ろうとしたとき――やっぱ気になっていたことを聞いてみたりした。

 

「なあ、最近顔合わせないけど、親父さんたち元気か?」

「――うん、元気だよ。いつも口うるさいぐらい」

「? そ、そうか」

「それより早く帰った方が良いんじゃない? 千冬さん飲んだくれているかもよ」

「うわぁそれはマズイ。そうだな、急いでかえるわ」

「また明日ねー」

「ああ、また明日!」

 

 この時、家に帰ることに気を取られていて俺は大事なことに気が付けなかった。

 鈴の言葉の違和感に――それを後悔したのは、もっと先のことである。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 結局、千冬姉は案の定飲んでいた。まったく、少しは控えてくれって言ったのに……真耶さんあたりにでも押し付けるか? それとも我毛さんとか……ダメだな。逆に宴会開きそうだ。

 真耶さんも押しが弱いし……

 

「千冬姉を制御できる人って、基本的に英さんか束さんだしなぁ」

 

 どっちも若干人とずれているけど(周りから天然と思われてる人の言葉)、割と暴走度合いは低いし、周りの制御もできるからなぁ――

 

 

 

 一夏は知らないことだったが、この時、某ホテルでは。

 

「ハッハッハ! いいよいいよーもう鼻血が止まらない」

「可愛いですわ、素晴らしいですわ」

「うう……死にたい」

 

 メイド服やナース服、バニーガールまで――その他衣装による撮影会中。知らないって素敵なことである。

 

 

 

 

「なんだろう……この嫌な感覚は」

 

 朝の登校――そんな中で感じたのは、言いようのない悪寒。ただ、シリアスさんではないが……

 

「ああ、これがどこかでツッコミを入れなければいけない感覚か」

「あんた何言ってんのよ」

「鈴――いや、なんかどこかで誰かが大変なことになっている気がして」

「意味わかんないから……はぁ、まあ一夏が人とずれているのは今に始まったことじゃないか」

「? そんなことないと思うが」

「……もういいや」

「まってくれなんで投げやりなんだよ!」

 

 槍を投げたくなるぐらいにどうでもいいとでもいうつもりか!?

 

「……15点」

「何も言っていないんだが」

「顔に出てるわよ」

「……なんで、みんな顔でわかるんだ」

「そりゃいつも見てるからね」

「そうか」

「…………はぁ」

「なんで溜息つくんだよ」

「いや、一夏は一夏だと思ってさ…………先は長いなぁ」

「なんだかわからないが……頑張れよ」

「――ッ!」

「おぐぅ!? い、いきなり殴るなよ……痛いじゃないか」

「あんたはいっぺん頭ぶつけて心入れ替えろ」

 

 俺が何したっていうんだ……

 ちなみに、この時のことを弾と数馬に相談したら――二人から腹パンを貰った。解せぬ。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 退屈な日常――でも、それが何よりも大切なものなんだろう。

 普通の授業でも、今を生きていられるのはこの一瞬しかない。

 

(なんとなく、英さんが高校は通いたいって言っていたのが分かった気がする)

 

 あの人が仮面ライダーになったのは、ちょうど今の俺と同じくらい。その頃から戦っていたが――結局高校に進んだ。この日常は、とても大切で得難いものなんだ。

 だから、今この一瞬は大切にしなければいけない……

 

(俺、仮面ライダーになったんだよなぁ)

 

 現実味はわかないが――なってしまったものは仕方がない。

 昼休み――念のためにと千冬姉に持たされた携帯を見ると、メールが来ていた――それに、簡潔に返信を。

 

(やっぱ、日常は大切ですけど――それを守るために何かしたいんです。だから、俺はこれからも戦うことを選びます。色々心配してくれて、ありがとうございます)

 

 そんな感じで――兄貴分にメールを送る。

 来ていたメールは、仮面ライダーを続けるかどうか。送るメールは――続ける意思。

 

「……あとは、削除しておいて」

 

 万が一にも千冬姉に見られるとややこしいし。

 とりあえず――平和なときは普通に平和に暮らしていればいいか……あの人らを見ていると…………あんまり肩肘張っているのも良くないし。

 

「……空が青いなぁ」

 

 ――ちなみに、この時の一夏の表情が憂いに満ちていて……クラスの大半の女子が見とれて教師に怒られたという。そして、イケメンは爆発しろという怨念のこもった視線も同時に一夏に放たれていた。

 

「なんだか……悪寒がする」

「お前はおかんだけどな」

「うまくねえんだよ弾」

 

 でも、自覚はあったりする……

 結局その後は普通に授業も終わり――冷蔵庫がアレなことになったので食材を買うために鈴や弾と一緒に帰らずに俺はスーパーへ……そこで、とんでもないものを見てしまった。

 

「――何してんですか束さん」

「あ、いっくんおひさー」

「……ヒサシブリデスネ」

 

 思わず片言になってしまったのにはわけがある――その横に控えている女の人は――百花さんかと思ったが違う。あれは、アレは……

 

「す、英さん?」

「あはは……一夏くん、奇遇だね」

「いや奇遇っていうか……なんで女装してんですか」

「いっくん、お仕置きは反省させるためにするもんだよ――わかる?」

「あ、はい」

「待ってくれ一夏君、助けてくれ――ああ束引っ張らないでぇぇぇ」

「うふふ、デートの続きに行こうよ」

「こんなアブノーマルなのは嫌だぁ!!」

「英もアブノーマルなことしてくるくせに」

「アレは前に酔った勢いでやっちゃっただけだって――だから許してください束さん」

「ダメ」

 

 よし、俺は一生酒は飲まない。なんだか色々とヤバいことになりそうだ……

 っていうかあの人らスレイプニルに戻らなくていいのか? あ、フロンに写メ送っておこう。

 きっと面白おかしくいじるはずだ……しかし――

 

「無駄に似合っているよなぁ……少なくとも千冬姉の魔法少女衣装よりは」

 

 モンドグロッソで優勝しなかったのはある意味良かったかもしれない。今年も優勝していたら絶対表彰式で着ていた……その時の光景を思い浮かべるだけで、ひやひやする。

 さてと、買い物の続きしないと…………えっと、玉ねぎと人参と、あとは………………うん?

 

「また知り合いに遭っちまった――真耶さん何してんですか」

「あ、一夏君……お久しぶりです」

「この前ドイツであったじゃないですか」

「そう、ですね……ええっと、この前はすいませんでした」

「いえいいんです。俺も油断していましたから……事前に注意は受けていたのに」

「それでも、です」

「……そういえば、真耶さんは今どうしているんですか? モンドグロッソは終わりましたし、次の代表選抜は狙っていないって聞きましたけど」

「今は大学で教育学部に。IS学園の教師を目指しているんです」

「へぇ……」

「早ければ、一夏君が高校に入る時には教師になれますね……最初の生徒になります?」

「ははは。IS学園って女子高じゃないですか、冗談でも通用しませんって」

「それもそうですね」

 

 俺もこの時は、この冗談が本当になるなんて――みじんも思っていなかった。

 

「でもまあ、将来男性操縦者が現れてもいいように、一応書類上は共学なんですよ」

「そうなんですか!?」

 

 初耳である。

 

「まあ、今後そういうことが起こらないようにしているんですが……開発者直々に男が全員操縦できないか確認したわけじゃないって言っていましたからね」

「案外愉快犯的な感覚で言っただけだと思いますよ。そういう冗談好きですし束さん……っていうか、向こうにいますよ、その開発者」

「え――うわ!? 本当にいます!?」

「あーあ……英さんもかわいそうに」

「っていうかあれ蜂矢先輩!? なんで女装しているんですか――正直、普通にかわいくてむかつきます」

「まあ女の人から見たら……」

 

 そりゃぁなぁ……

 

「でも、ミスコン三年連続優勝の真耶さんが言っても説得力が」

「うぅ……忘れていた黒歴史を…………」

「いや待てよ――もしかして、大学でも連勝記録作ってます?」

「ぐはっ――なんでこういう時は鋭いんですか君は!?」

 

 遺憾である。俺はいつでも鋭い。

 

「……そんなわけないでしょう、あの先輩の弟なんですから」

「なんだろう、この説得力」

 

 いや、確かに千冬姉は鈍いけど……自分に向けられる好意に気づいていないし。

 

「うう、私なんて高嶺の花だと思われているから……ずっと一人身なんですよぅ」

「あはは……」

 

 でも――あんまり言うのはアレだが、スタイルは良いしその気になればすぐにでも――邪悪な気配!?

 

「ッ!?」

「――っち……外したか」

「り、鈴!? なんでここに!?」

「あんたの家に行ったら、千冬さんが洗濯物と泡に沈んでいたから呼びに来たのよ」

「――――千冬姉……」

「あ、相変わらずなんですね」

「でさ一夏――そこの女の子は誰?」

「女の子? えっと、どこに――げふ!?」

「一夏君。言動には気を付けてくださいね――身を亡ぼしますよ」

 

 やべえ、なんか真耶さんまで怒らせちまった。

 

「っていうか真耶さん成人してるでしょ」

「まあ、子はつけなくてもいいのかなぁ……でも心情的にはまだ女の子でいたいかなぁ」

「胸か? それとも年上だからか? ああん?」

「鈴、マジで落ち着いてくれ」

「うふふ――一夏ぁ……覚悟はいいかしら?」

「なんでそんなに怒っているのか説明してください!」

「ええー……別にーなんか色々スルーされまくってストレスたまっているとかじゃないわよーただねーこんなメールが来たの」

「――英さん、やってくれたぜ」

 

 一夏、ついにデートか。なんて文で俺と真耶さんのツーショットが取られていた……そうか、さっき写メったの気が付かれていたのか。

 これはその意趣返しってところか……いやぁまいったまいった。ただ一つ気になるのはなんでメール来てんだよ鈴のところに……いつ知ったんだか。

 

「一夏」

「……はい」

「歯ぁくいしばれ」

「や、優しくお願いします」

 

 グーじゃなくてパーだったのは、せめてもの良心だと信じたい。

 




ってことで、一夏の一日。色々フラグを立てつつ、最後は鈴ちゃんに。

既に山田先生と顔見知りのため、色々と変わっていくでしょう。
あと、なぜか英とメールのやり取りがある鈴。


活動報告にも書きましたがE-3突破しました。色々と奇跡が起きて、ボス戦でS勝利。
プリ子可愛いよプリ子。
でも見れば見るほど――某リボンに見えるんだが……それもまたイイ。
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