仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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原作で語られたような経緯にしてもあまり面白くはない。
だからと言ってまるまる変えるのも違う。

そんなわけでIS原作、一夏の新たな日常編の突入です。


第14部・少年少女のスクールライフ
EP119.原因と結果


 新年を迎えて、俺は今猛烈にあせっていた。

 

「くそっ! なんで会場が変わってんだよ!!」

 

 なんてことは無い、自分の不注意なのだが。

 俺たち中学生は高校受験の真っただ中なわけだ。そんな折に――カンニング事件が発生。そのため、会場をわけた試験を行うところが出てきた。そして――俺の受ける藍越学園もそんな学校の一つだ。

 私立校でありながら学費が安く、グループ内の企業への就職の斡旋などもあり高い就職率を持つ。千冬姉に頼り切り――家事はほとんど俺だけど――なのもどうかと思い、早くに働こうかなぁなんて思って受験したわけだが……まあ大学まで行けとか言われて一悶着あった。

 しかし――千冬姉って大学行っていたっけ?――その一言が決め手となった。詳しいことは知らないが、まともに通っていないことだけは間違いない。なんらかの特殊な学校か、もしくは最初から通っていないか。

 そんなわけで受験することができたんだけど――

 

「しかもこういう時に限って――路地裏で不良がインベス使ってカツアゲとか世も末過ぎるだろ!?」

 

 全力で走らなければいけないが、そういうの見ると助けないといけないからね! だからこういう日だけは自粛してくれよ!

 しかし――なんか春過ぎたあたりから犯罪率っていうかインベスを使った犯罪が増えているような……英さんたちともあまり連絡は取れないし、何かあったのか?

 だけど、今の俺には受験というハードルを飛び越えなければいけないという使命がある!

 鈴も行きたかった学校の推薦枠らしきものを貰ったらしいし、俺も負けていられない。ちなみに、鈴が忙しいらしく頻度は多くないがメールや電話のやり取りは続いている。

 

「よし、この時間ならまだ間に合う――ラストスパート!!」

 

 身体を鍛えていて良かったと思いつつ、汗だくで受験も嫌だなぁなんて――いや、走った程度でそこまでにはならないぐらいには鍛えたが。

 景色が流れて、目的の会場が見えた。地域のデザイナーに頼んだという――ここらでも有名な中で迷子になるわぁスポット。ああ、神は死んだ……

 

「いや、全力で部屋をしらみつぶしにさがせば会場はすぐに見つかるはずだ!」

 

 受付は――中かよ! こういうのって外にあるんじゃ――いや、看板は出ている。しかし他にも複数の学校の受験が行われているのか……関係ないところに行かないようにしよう。

 しかし――その時、俺が注意深く他の学校についても見ていれば結果は変わったんだろうか? そのことを公開するのはこの30分ぐらいあとのことだろうか。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「ははっ――本当に迷ったどうしよう」

 

 ええい、中が迷路みたいになっておりやがる。っていうか何を思ってこんな建物を……

 しかし嘆いていても仕方がない。会場は――む、奥に大きな扉があり、会場と書かれている看板が――だけど、通行人が邪魔でよく見えない。

 

「もう徹夜続きで眠いわぁ……機材の搬入やら色々忙しいし、ホント――あーメガネどこやったかなぁ……」

 

 そうだ、あの人に聞いてみよう。困ったときは道をたずねるべし。

 

「すいませーん! 藍越学園の受験会場ってどこですかー?」

(んー? 眠くてよく聞こえないけど……IS学園? なんか織斑さんに似てるなぁ……)

 

 なんか、反応が薄いけど大丈夫か?

 

「あーそれならあっちー……ふぁぁ」

「あ、ありがとうございます」

 

 うん、ちゃんと人に聞いたら教えてくれるんだよな。それこそ日本人。最近は女尊男卑の思想を推進する人が多くなっており、怖さ半分だったが良かった。開発者本人が否定しているのを見ているから違和感がすさまじくて……難儀な世の中だ。

 しかし――俺はこのとき看板をちゃんと見ておくべきだった。そこには男の俺が関わらないであろう場所の名前が書かれていたのだったから。

 

「――あれ? さっきの子やけに声が低かったような…………気のせい?」

 

 そんな言葉も聞き逃してしまい――俺は扉を開けてしまった。

 そこに鎮座していたのは……灰色の鎧。巨大な鉄の塊にして、俺の知り合いの女性がほとんど単独で作り上げた最新科学の結晶。

 本来の用途は宇宙開発用マルチフォームスーツだが、現在は表向き競技用パワードスーツとして使われている……

 

「インフィニット・ストラトス――なんで、ここに……」

 

 っていうか、間違った場所教えられた? なんか疲れていたみたいだし、藍越学園とIS学園を聞き間違えたのか? ひらがなにすると一文字違いだし。

 はぁ――探しなおないと……いや、もう遅刻だろうか。なんとなく、どうしようか悩んだ末――俺は暴挙に及んだ。いや、本来ならこの後に起こってしまったことは起こりようもないのだ。だって、ISは女性にしか動かせないのだから。

 

「男にしか動かせないんだよなぁ……なんで束さんはそんな風に作ったんだろう…………そういえば千冬姉も束さんも触らせてくれなかったよな? …………ちょ、ちょっと触るぐらいなら……」

 

 そんな風に欲望に負けたのがいけなかったんだろうか。まあ、この時の俺は男じゃ動かせないし、肌触りだけでもと思ってしまったんだ。それが、この後に待ち受ける俺の運命を決定してしまうとは知らずに。

 

「えい――――ッ!?」

 

 頭に流れ込んできたのは、膨大な情報。ISの動かし方、データ、レーダー、ハイパーセンサー、たくさんの情報が一気に流れ込んでくる。

 

(うぷ――き、気持ち悪ぃ……)

 

 情報酔いと言えばいいのだろうか? 一気に流れ込んできた情報が、俺の頭を圧迫することで吐き気を引き起こす。そして、状況の判断もできない。

 

(っていうかなんで動いてんだ? いや、前にもこんなことがあったような?)

 

 よくわからない記憶が、呼び起されかかるが――突如として開かれたドアが、それを許さなかった。

 

「誰! 勝手にISを動かしているのは――――え、男?」

「お、男がISを動かしてるぅううううううう!?」

「ふぁぁ――これはドリーム? いえ現実よジェニファー」

「あら、千冬さまにそっくり……弟さん?」

「そんなのんきなこと言っている場合じゃないわよ――えっと、救急車!!」

「落ち着きなさいって。とりあえず、IS委員会と、あと千冬さま関係者っぽいから、誰か電話してきてー」

 

 ああ、なんだろう――ついさっきまで遅刻がどうとか、受験がどうとか考えていた俺は――ヤバい方向に進みだすこの事態をどこか冷静な部分で見ていた。

 

(そっか――これが、天罰なんだな)

 

 不用意に物を触らない。うん、俺も一つ成長した――だからやり直してもいいですか? ダメですよね……ハァ。

 その後が大変だった。千冬姉には殴られ、変な科学者からは解剖させてくれるかなとか言われたり、マスコミがかぎつけてきたり――俺の安息はしばらくの間なくなったのである。

 

「どうしてこうなった――いや自業自得だけども!」

 

 結局、IS学園に通うことになったとさ。中立の場所で、データを取るなら最適で、寮もあるから保護というか監視もできる……そういえばあそこ書類上は共学だったね。

 真耶さん――前に言っていた冗談、本当になりそうですよ……笑ってやってください。今は、その方が落ち着くから…………鈴、日本に帰ってこれても会えるか微妙になりそうですまん。弾、この前借りたゲームしばらく返せそうにないや、マジゴメン。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「でだ、一夏君のことを今後どうするかなんだよなぁ……」

 

 場所はスレイプニル。今行われているのは織斑一夏対策会議。垂れ幕(フロン作)もつけた本格仕様である。

 

「やっぱり束さん発案のIS学園に行っちゃいましょーなんだよ!」

「それは心労がヤバいだろ……俺としては、こっちに連れてくる方が無難じゃないかなと思うが」

 

 ここにいるメンバーは一夏が現状、男性で唯一ISを動かせることを知っている。まあ一夏もひょんなことからISを触ってしまうとも限らないので、高校生になるという節目で何か対策を取った方が良いのではと会議を始めたのだが……

 

「うーん……本人にバラして触らせないようにする方に一票」

「料理に目覚めさせて料理人の道を歩ませる」

「フロンさん、それは意味があるのでしょうか……私は大々的に仮面ライダーとして売り出す方向が良いかと」

「あんまり目立たせると千冬がキレる。単独で宇宙まで飛び出してスレイプニルを真っ二つもあり得るんだぞ」

「HAHAHA! ……冗談デスヨネ?」

「いや、本気だよ……アイツならやる」

「束さんも断言するよ――ちーちゃんならできる」

 

 沈黙。

 

「いや、難しく考えないで……もっとストレートな――――うん? リリーどうしたんだ?」

「てれびみたい」

「ああ、そういえばリリーの見ていた教育番組がもうそろそろだっけ――ほい、小型テレビ」

 

 英が取り出したのは、スレイプニル内ならどこでも使えるテレビである。結構重いので、普段は英が持っている。ちなみに、怪我のため車イスを使用していて、テレビは後部のバッグに入れており、リリーが見たい時に手渡しているのだが……

 

「うー……へんなのやってる」

「変なの? ――――ふぁ!?」

「え、どうしたの英、そんなかずお顔して……おっふ」

「篠ノ之さん? 自分こそ変な顔――マンマミーヤ」

「中沢さん、冗談はよしこちゃんですわよ――あんびりーばぼー」

「お嬢様だったはずなんだけどなぁ……そんな面白い顔で嫁の貰い手が――――神は、死んだ」

 

 スレイプニルの全員(リリー除く)が撃沈した。それもそのはず。教育テレビの番組を休止してでも報道せねばと、ニュースが報じられていたからだ。いや、どのチャンネルも同じニュースを流していることだろう。

 

『本日、世界初の男性操縦者が発見されました。織斑一夏さん、15歳が偶然ISにふれたのち、ISの起動に成功、その後の簡易検査でもISの適正値が高いことが判明し――詳しいことは追って調査を』

 

 その後を支配するのもやはり沈黙。

 

「えー……ここは束発案のIS学園にぶち込むで、ファイナルアンサー?」

「「「「ファイナルアンサー」」」」

「ははは……さすがいっくん、束さんの予想をはるかに上回るぜ」

 

 もはや乾いた笑いしか出てこない。

 

「クロエ、すまんが関係者にメールを通知。一応うちで今回の件を預かって調整するって言っておいて。あと、一夏君はまともにIS動かしたことないだろうし、そこらへんのフォローしてから操縦適性を確認するとも」

「わかりました。それで、この後はどうします?」

「うーん――千冬の弟ってことで専用機開発はあそこになるだろうし……データ取りで専用機も作られるだろうから…………たぶん、僕の考えている通りなら前に作った借りを返すにはいいかもしれないね」

「借り、ですか?」

「うん――高校生の時に作った借りがあるんだよ」

 

 まあ話の中の冗談に近いものもあるが――先代楯無から聞いた話も合わせると色々と都合がいい。

 

「倉持の篝火に、借りを返しに手伝いに行ってやるって言っておいて。あと、一夏君に使うのなら例のコアを使った方が良いとも」

「そっか、たしかにそうした方が良いよね……でもあのコアって機体に組み込まれていなかった?」

「どんな機体だ?」

「えっと――はい、でたよ」

「…………これはこっちも手伝わないと完成しないか」

「だねぇ」

 

 一夏君ように調整もして、色々とやることも多いな。とりあえず倉持に一夏君を呼びつけて――僕らもいかないと……そこまで考えて、英は予定を詰めていく。

 それから数日後、

 

「それじゃあ僕と束と、あとクロエ手伝ってくれ」

「はい、かしこまりました」

「わたしはー?」

「リリーはお留守番」

「ええー……ぷう」

 

 頬を膨らませて、明らかに私不機嫌と言っているリリー。

 

「お土産買ってくるから」

「ぜったいだよー」

 

 リリーの頭をなでて、グラニに乗り込む三人。ちょっと改造して複数人で乗れるようにしてある。

 

「それじゃあ、行こうか……目的地は倉持近くの着陸ポイントだな」

「織斑一夏については、どのように?」

「うーん……誰が迎えに行くか――いや、千冬に電話すればいいか」

「じゃあ電話するねー……あ、ちーちゃん?」

『――この事態は貴様の差し金か?』

「いや違うからね!? 確かに考えてはいたけど、今回は完全にいっくんがやらかしただけだよ!」

『……まあいいだろう――嘘だったら切り捨てるだけだ』

「た、助けて英!」

「あーあーきーこーえーなーいー」

「くーちゃん!」

「アイムノットスピークイングリッシュ」

「いや日本語だから!」

『ははは――今宵の雪片は血に飢えている』

「ちーちゃんいま暮桜使えないでしょ」

『安心しろ――雪片だけは持ち歩いている』

「やめて怖すぎる!!」

 

 ああ、どうしてこうなっているんだ……

 

『で、何の用だ?』

「うう……いっくんつれて倉持まで来て」

『そうか……何をするのかは大体わかったが、許可は取れているのか?』

「うーん……英?」

「大丈夫、いろいろ小言言われたけどオーケーだって」

「だってさちーちゃん」

『わかった。すぐに向かう――あと、英…………今日こそ決着をつけてやる』

「あ、ごめん大怪我して今車イス生活だから無理」

 

 割と会うたびに試合している二人だが――今日ばかりは無理である。

 

『相変わらず無茶するのか……』

「そうなんだよ、一度ちーちゃんからも言ってくれない? この人無茶ばっかりで」

『いや、やめておく』

「なんで?」

『……なんか夫に困らされながらもいちゃついている夫婦にしか聞こえなかったからだよバカ』

 

 それだけ言い残すと――通話は切れた。

 

「……なんか変なこと言ったのかな?」

「さぁ?」

「千冬様も、疲れているということなのでしょう」

 

 当事者とすっかり毒された少女は気が付かず、そのまま地上へと降りてゆく。

 こうして――一夏の起こした騒動が世界にどのような影響を与えるのか、まだ誰も知らない。

 




ようやく原作突入とか長すぎますよね。

というわけで一夏がなんで試験会場を間違えたんだってことなんですが――ここではこんな感じにしました。
一夏が会場を間違えたというより、案内した方が聞き間違えたんじゃないかなと。



……魔改造とまでは言いませんが、白式は若干改造予定。
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