今回、ある人のキャラ崩壊が凄いです。
EP12.そうだ京都へ行こう
僕が仮面ライダーになってから一年がたった。その間にローズアタッカーの使い方を考えてみたのだが……思いつかず、町にもインベスが出没したりして対処をするのに大変だった。幸い、わかっている範囲でのロックシードはすべて手に入ったけど……例のエナジーロックシードも謎のままだし、正直最近は色々手詰まりだ。
後の成果といえば、もともと仮面ライダーの噂が流れていることを利用してネット掲示板やつぶやきサイトなどで怪物の名前はインベス、変な果実を食べると怪物になっちゃう、とか都市伝説を流しておいた。これで、不用意に近づく人が出なければいいんだけど……逆効果かもしれないなぁ。でも、何も知らずに遭遇するよりかはマシだと信じたい。というか、一中学生である僕が直接政府とかに掛け合っても意味がないのだ。信じてもらえるかわからないし、最悪、調査とか自衛隊の出動とかで死者を大勢出すかもしれない。花蓮さんの話が本当なら、強いインベス相手に通常兵器は役に立たないのだ。
「まあ、問題はそれよりもだ」
この目の前の惨状をどうにかすることかなぁ……
「委員長! みんなを、みんなを助けてくれ!」
「とりあえず織斑を隔離しろ。どうせアイツがやらかしたんだろ」
ただいま、調理実習中……織斑がポイズンクッキングをしてくれたおかげで、クラスは阿鼻叫喚になってしまった。
ちなみに、僕は学級委員長ではなく保険委員長である。
◇◇◇◇◇
織斑は意気消沈としていたため、すぐに隔離できたのだが……問題は、こいつである。
「大丈夫か篠ノ之?」
「……さすがの、私でも無理なものは、無理なんだ…………よ」
まさかの篠ノ之束、保健室を本来の使い方で使う。いままで占拠したりとかあったけど、こいつが体調を崩してベッドを使うとか明日は雨だろうか? 保健室の先生も明日は天変地異かと騒いでいたが……まあ教頭に怒られていたけど。
ちなみに、どうやら調理実習でつまみ食いしたのが原因らしい。織斑の作ったものはみんな避けていたのに、こいつは手を出してはいけないものに手を出したんだ……本当に天才なのか時々怪しくなるんだよなぁ。
「あ、さっきお前はダウンしてそのまま帰るだろうからって先生から言伝預かってきたぞ」
「……くだらないことだったら最新のISで突撃してやる」
「最新技術を無駄使いすんなよ……修学旅行の話だよ。またお前と織斑と僕の三人班で回れってさ。行先は京都」
「えー……京都とかひねりがないなぁ」
「そんなもんだろ、修学旅行なんて」
「っていうかこの前スキーがしたいって、学会で口にこぼしたから束さんの思惑通りにスキーに行くかと思ったんだけどなぁ」
「マスコミがそっち行っちゃうから京都になった」
「……」
「学校側は、自分で行きたいならどうぞという対応なんだろうね。さすがにお前の奇行にも慣れてきちゃったなぁ……予想外だったか?」
「なんか、お前といると調子狂うんだよ。こっちの予測をことごとく外しやがって、何様だよ」
「さぁ? しかし、なんだか普通に話すようになってくれてお兄さんはうれしいけど」
「寒気がするからヤメロ」
うん、篠ノ之が妹とか自分で考えておいて失礼だけど、これは寒い。
鳥肌が立っていて、ちょっとヤバい……
「自分で言っておいて失礼だろッ! やっぱりISで荷電粒子砲をぶっ放す!」
「さすがにそれは痛いからやめてね」
なんとなく、こいつがどこまでなら本気でやるかわかって口喧嘩できるようになったあたり、この一年で大分毒されたなぁと思わなくもない。
◇◇◇◇◇
一応、ドライバーとロックシードを持ってきてはいるが何事も起きなければいいなとは思う。まあ今は素直に修学旅行を楽しもう。
そして、京都といったらやっぱりこれだろう。
「生八つ橋の食べ比べ」
「いきなりそれか」
織斑に突っ込まれるが、僕だってここしばらく頭を使うことや、戦うことが多くて疲れていたのだ。リフレッシュしたいんです。
横を見ると、篠ノ之が妹へのお土産で八つ橋を購入して……なんか、光って消えるように収納しているというか……
「おいこらIS使ってるだろお前」
「ギクッ」
「……束、お土産を買っていきたいのは私も同じだが、いくらなんでもそれはどうなのだ?」
「だって箒ちゃんには買ってから数日たったものじゃなくて、鮮度の保たれているものを渡したいんだよ! それにいっくんに渡すのもしまっといてあげるから見逃して!」
「……今回だけだぞ」
「お前もなのか織斑……」
このブラコン&シスコン、どうしよう。なんだかんだで中学に入学してからの知り合いだけど、最初はここまでかかわることはないと思っていた……僕も最初は色々と鬱だったし。
なんだかんだで、この二人……というか篠ノ之の担当の一人ってことでその後もクラスを同じにさせられたし。クラス分けって、人間関係も考慮されているらしい。織斑も一緒なのがなぁ……部活では後輩に頼られているし、人付き合いも多い彼女だが、篠ノ之の友人ということでかかわってこない人も多いらしい。そんな人と同列になっている自分って……あれ? なんか友達いないような気がしたのって、篠ノ之と関わっていたから?
「……なんで怖い目で見ているんだよ」
「なんだか、ちょっと腹がたった」
今更だし、これはこれで面白いと思う自分がいるのがなんだか、悲しいような、そうじゃないような……
「さて、土産物を買うのは後にして清水寺を見に行くぞ。そのあとは金閣、銀閣、まだまだ見るところは多いぞ」
「えっと、一日で回るのは結構きついぞ。この時期はバスが混んでいるし」
「そうだよちーちゃん。神社とか好きなのは知っていたけどさ、私の家だって神社だし見慣れているものをわざわざ回って何が楽しいの?」
「むしろ僕としては映画村とか行ってコスプレしたい」
「珍しく話が合うね。新しい服の参考にしたいし、今束さんの中では和服が熱いんだよ」
「そういえば、なんだか妙な私服着てたな……自作なのかよ」
その後も、なぜか妙に話の盛り上がる僕と篠ノ之。そういえば、話が合ったとたんにこうなるんだよな。
しかし、僕たちは忘れていた。ここにもう一人いることを。
「……わかっていないな、お前ら」
「「え?」」
「私が京都の楽しみ方というものを教えてやろう」
「えっと、織斑、さん?」
「ちーちゃん? 目が、怖いんだけど」
「はっはっは、安心しろ。お前らを一日、いや半日で好きなものは神社仏閣。尊敬する人は鑑真にしてやろう。というか束、ここはお寺だから神社じゃない。その違いも分からないのなら正す。いざ、参ろう……あと、誰が車など軟弱なものを使うと言った?」
「「……え?」」
◇◇◇◇◇
日も傾きかけてきたころ、宿泊先のホテルへとたどり着いた。
まさか、市内をダッシュで回るとは思わなかった……度重なるインベスとの戦いで鍛えられたというのにこの疲労感……身体能力は高くても、体力のない篠ノ之なんて顔が青くなっている。っていうか、マズくね?
それに引き換え、珍しく暴走した織斑はぴんぴんしている……化け物かこの女は。
「どうした、だらしないぞ!」
「いや、一流アスリートでも倒れるってあの距離を走らされたら……なんで毎回全力疾走なんだよ、おかげでこっちは何見たか覚えていないぞ」
「ふむ、ならもう一度見て回るか」
「か、勘弁してつかーさい」
いったい、なにが彼女をここまで駆り立てるのだろうか?
なんとか織斑をなだめて、篠ノ之を部屋まで運んで寝かせておく。というかあんな強行スケジュール、元々の身体能力の高い織斑と篠ノ之、僕はインベスとの戦いでついた体力だからこそできたものなのである。普通の人間なら途中で倒れている。というか体力はない篠ノ之はほとんど虫の息だぞ大丈夫か?
その後、僕は委員会の仕事として全員の体調チェックがあるため、名簿を貰いに教職員の部屋へ向かった……なんだか、騒がしいな?
「失礼します……なにかあったんですか?」
「ああ、蜂矢君。それが……このニュースを見て」
どうやら、テレビでニュースをチェックしていたようだが……巷で噂のインベスらしき生物とISが交戦。IS大破……操縦者、死亡。
「え、これって……」
「篠ノ之さんの作ったISよね……私たちも彼女のことはそれなりに見てきたから、彼女の作ったものがこうもあっさりとなんて信じられなくて……」
「でも、何よりもこの怪物、今までは仮面ライダーとかいうわけのわからん奴が倒していたらしいが、やっと国も重い腰を上げたと思ったらこれだよ」
「今までの白いやつは自衛隊でも対処できたんですよね?」
「ああ……だが、今回も白いのが二、三体と新しく目撃されたヤギみたいのがいたらしい……白いのは何とかなったが、あのヤギにはどうしようもなかったらしい」
「場所も近くですし、修学旅行を続けている場合じゃないですよね」
「とりあえず、学校に連絡をいれて……緊急の、職員会議だな。生徒たちは教室に……蜂矢?」
「パニックになってしまったのかしら? 誰か連れ戻してください!」
「私が行きます。皆さんは会議を――」
◇◇◇◇◇
持っていた携帯端末でニュースを見る……どうやら京都府内にて開催されていたISの一般公開のイベントの近くにインベスが現れたらしい。操縦者もIS発表以来のそれなりに経験のある人だったらしいが、どうやらISじゃインベス相手には相性が悪すぎるらしい。
そもそも、シールドバリアがあるからISは通常兵器では倒しきれない。それに絶対防御があるため操縦者が死ぬことは本来ないのだ。元々が宇宙開発用のため宇宙線や放射能ですら防ぐ。なのに、操縦者が死亡した……
「そっか、果実のエネルギーか」
インベスにも通常兵器は効果が薄い。ISのシールドエネルギーや絶対防御も果実のエネルギーでなにか誤作動を起こしたか、無力化されたか……どちらにしろISじゃインベス相手に勝てない可能性が高い。
一応、今まで見たインベスは特徴や戦法含め情報を流してあるのだが……映像で見たインベスは僕も初めて見る。一気にケリをつける必要もあるか?
「やっぱりスピード出すにはイチゴを使うか」
「蜂矢君! こんなところで何をしているんですかッ」
「やばっ!?」
ちょっと考え過ぎたか……先生の中じゃ一番関わっていただろう、保健室の養護教諭、佐々木先生だった。
「今外は危険なのよ、早く部屋に戻って今後の指示を待っていて」
「ちょ、ちょっとコンビニに行って来るだけですって、大丈夫ですから気にしないでさい」
「いいから、戻る!」
どうする? 上位インベス相手にどこまで対抗できているのかわからないが、このままだと被害は広がりそうだ……というか、なんでまたあんなところにインベスがいるんだよ…………
さすがに、悩み過ぎた。もう当たって砕けるしかない。僕は立ち上がると腰にドライバーをつける。
「変身!」
「え、蜂矢君いきなりなに、を……え?」
すぐさまイチゴロックシードを装着し、サクラハリケーンを展開する。こうなりゃ出たとこ勝負……というかこのあとどうしよう?
もう少しいい方法なかったのかなぁなんて後悔するが、今は時間が惜しい。アクセルを全開にして僕は町を駆け抜ける。
◇◇◇◇
私は、信じられないものを見た……だってそうだろう? 迷惑をかけられるより、私が迷惑をかけることが多かった生徒、蜂矢英君が目の前で、噂の仮面ライダーになってしまったのだ。
夢かと思ったときには、風が吹き抜けて……誰もいなかった。
「ど、どうすればいいんだろう」
というか、信じてもらえないだろうに、教頭に話すの? これを?
……とりあえず、他の先生に相談しよう。どこかへ行ってしまって捕まえられませんでしたって……嘘はついていない。なんだかどこへ行ったのかわかりそうだが、私は考えるのをやめた。
ただ、篠ノ之さんに続いて、特大の爆弾を抱えてしまったうちの学校は大丈夫なのだろうか? 普通の公立中学校なのに。
主人公、ついに身バレ。
一年じゃ進展はしなかった。
そしてようやくISとインベスの戦闘について語れた……操縦者とか開発の問題があるから、すぐにとはいかなかったのです。