あと何話で終るかわかりませんが、頑張っていきますよー
俺は現在――千冬姉に引きずられて倉持技研という、千冬姉の専用機暮桜を製作した企業まで連れてこられた。
なんでも、データ取りや自衛手段のために専用機を与えられるそうなのだが……
(正直、ドライバーがあるからいらないよなぁ)
いや、むやみにドライバーを使えないからISは必要なのかもしれないのけど。
「一夏ひとつ言っておくぞ。むやみやたらに物を触るな」
「はい反省してます」
うん、もう二度とそんなことしない……こんな風に後悔するから。
っていうか千冬姉、俺がIS動かせるって知らなかったのか?
「知るわけないだろ! 束のやつ……知っていたのなら先に言え…………」
「束さん知ってたのか!?」
「英もな! 原因は二人ともわからないと言っていたがどこまで本当なのやら……」
「そっか……知ってたのかぁ」
ああ俺の自衛のためにドライバー渡したのってそこらへんも関係しているのかなぁ……しているんだろうなぁ。
しかし知っていたのならなぜ教えてくれなかったのだろうか? さすがに教えられていたら触らなかったと思うんだけど。
「どうせアイツらがうっかりしていただけだろ。あれで抜けているところがあるからな」
「っていうかさっきから千冬姉人の心の声に反応すんなよ……」
あとうっかりなのは千冬姉も同じ――ぐほっ!?
「不用意な発言は自分の身を亡ぼすぞ」
「い、イエスアイマム」
結局のところ、俺の意思は関係する余地などない。
っていうか――倉持技研の場所を地図で調べたけど海辺だった気もするんだが?
「そこのところどうなんだ千冬姉、山奥なんだけど」
「ああ、いくつか研究所を持っていてな、これから行くのは昔使った場所なんだ。機材は少し古いが勝手も知っているからここの方が使いやすい」
「そうなんだ――なんか見慣れた飛行機? が降りてきているんだけど」
「ああ見慣れたやつだな――今宵の雪片は血に飢えている」
「やめてくれよ頼むから」
これは次の夏の祭典に行くのを中止させなければだめだろうか?
「一夏、貴様恐ろしいことを考えるな!!」
「千冬姉、いい年なんだからそろそろそつぎょ――あ、ごめんなさい」
やめて、そのきらりと光る武器を取り出さないで。
説得もそこそこに中に入ると――どこかで見たことのあるメガネをかけた女の子がいた。
「あれ? 簪? それにのほほんさんも」
「あ――一夏、久しぶり」
「やっほーおりむー」
なんでここに簪とのほほんさんが?
その疑問はすぐに解決した。
「更識か、まあ代表候補生に選ばれたことは素直に褒めておこう」
「あ、ありがとうございます!」
「代表候補生? ……ああ、国家代表の」
そういえば昔聞いたことがあるな、たしか真耶さんがそうだっけか。
いや、千冬姉も最初はそうだったんだよな……最初からチートだったけど。
のほほんさんは更識の侍女の家系だって言っていたし、簪の付き添いかな?
「ってことは簪も専用機を?」
「そうなるな」
「も? ってことは――そっか、一夏は」
ああ、現在世界で唯一のISを動かせる男。データを取りたい連中がいるんだし専用機が与えられないわけもなし、俺はこの倉持技研で作られているISを与えられるらしい。
しかし――不安なのは先ほど見た飛行機的な物体。うん、あの人たちなんだろうけど――さて、誰が来たことやら……
「更識はどこに呼ばれている?」
「ええと、向こうの会議室です」
「私たちと同じだな……束め何を考えている?」
「し、篠ノ之博士が来ているんですか!?」
「おおー、滅多に地上に降りてこないっていうのにめずらしいねー」
「おそらくだがな……ハァ、頭が痛い」
俺も痛いよ……でもまあ怖がっていても仕方がない。それとのほほんさん、あの人ら意外と降りてくるぞ……最近はあまり見ていないけど。
俺たちは恐る恐る会議室の扉を開けると――
「だからおにぎりの具はかつおぶしなんやおかかなんや!!」
「いーや! 梅だね! 断然梅だようめぼしだよ!」
「焼きおにぎりが最高なんだって、まったく……頭おかしいんじゃないか?」
――英さんと束さんと、あと千冬姉の元クラスメイトのスク水に白衣という変態がおにぎりの具で争っていた。あと、焼きおにぎりだと具は入っていないんじゃないかということをつっこむのは野暮だろうか?
「お前らは何をしているんだ……」
「止めてくれるな千冬、こいつらと決着をつけなければいけないんだ!」
「こればかりはいくら英でも譲れないよ!」
「テメェら積年の恨み、今こそ晴らすぞゴラァ!!」
「まったく――――シャケに勝るものは無い!!」
いや千冬姉!? なんだ参加してるの!? なに? 同窓会?
「俺、こういう時どういう顔したらいいのかわかんねぇ」
「えっと…………笑えばいいんじゃないかな」
「はっはっはっは!」
「ほ、本音? そこまで爆笑する必要はないと思う」
いやなんでこうなったんだ? っていうか専用機の話は……
「まあ、お茶でも飲んで落ち着いてください」
「あ、どうも…………えっと、どちら様?」
「綺麗な銀髪……」
「ああ、自己紹介がまだでしたね。初めまして。クロエ・クロニクルともうします。現在はスレイプニルの情報管制官と英さまの介護を担当させていただいています」
「これはご丁寧に――ん? 介護?」
そういえば英さん車イスだけど……なんかあったのか?
「英さまは、少々ありまして……体中の骨がボロボロに…………」
「どんな無茶したらそうなるんだ!? っていうか治るのか!?」
「はい。順調に回復へと向かっております」
「……さすがヒーロー博士」
「ぶふぉ!?」
か、簪……いったいそれは何なんだ?
「昔、本人が言っていた」
(間違いなく黒歴史だよなぁ……いったいいつの話なんだろう)
「蜂矢博士もよくわかんない人だよね~……車イスなのに大立ち回りしているよー」
スゲェ、英さん車イスを華麗に操っているぞ……いや、何の意味があるんだ?
その後、決着はつかずに他のスタッフがやってきたことでその無駄な争いは終わった。
◇◇◇◇◇
「まあそこに座ってくれや」
「おい、なんでお前が仕切ってんだよ」
「篝火さん、自分の格好を見つめ直してから言おうね」
確かに変態ルックだしなぁ……簪のし、尻を触ろうとしたし…………そっちの人?
「一夏、何を考えているのかわかっているぞ。安心しろ。こいつは普通に男が好きだ」
「なんか嫌な言い方だな」
「しかしその変態性が――クラスの女子を危うく間違った道に落とすところだった」
「……いや、反省しているからな」
「だから自分の格好と行動を見てから言えよ変態女」
「ああん? いい年してエプロンドレスにウサミミつけたバカに言われたくないんだよサイコ博士」
しばしの沈黙、その後やんのかとお互いの胸ぐらをつかみあい、喧嘩を始めようとする二人。
「やめんか!」
「「おっふ!?」」
「流石だな千冬。いいツッコミだ」
「なんでお前はツッコミ評論家みたいな……いや、そういえばそうだったな」
あー……マイハリセン持ち歩いていたなぁ…………ハリセンと言えば、束さんはなぜ鈴にハリセンを渡したんだ? 時々叩かれていたかったんだけど。
しかしこの人たちもプライベートははっちゃけているよなぁ……
「まあ無駄話もこのぐらいにして――専用機の話に移ろうか」
「……やっぱ、そうなりますよね」
「そうだねぇ……さてと一夏君、君には大部分が完成している第三世代IS、白式が与えられる」
白式……それが俺に渡されるIS…………
「まあ骨組だけで中身はまだだけどね!」
「ええ!?」
「篝火たちが無茶しちゃって――零落白夜を再現しようとして大失敗」
「お前も言動が黒くなったよな」
「……そのぐらいできないと、偉い人たちが面倒なんだよ」
「なんか、すまん」
……嫌な空気だなぁ…………
「で、簪ちゃんには打鉄弐式っていう第三世代のISが渡されるんだが――正直こっちもまだ完成していない。ハードの方は大体完成しているし、ソフトの方も基礎部分はできているから入学までには完成させられるぞ」
「ありがとうございます……でも、スタッフって…………」
「できれば一夏の方に人員割きたいんだろうけど、まずは弐式の完成を急がせる。その間僕たちが白式を完成させるためにこっちに来たわけだ――――まあ弐式のプログラムも使えそうなの持ってきたから簪ちゃんは適当に選んでおいて」
「……色々あるけど…………基本はマルチロックオンなんですか?」
「そういうコンセプトだし。候補生って言っても基本的にデータ取りが主な仕事だし」
色々あるのかなぁ……で、俺の方は?
「暮桜の完全後継の機体。一夏君に合わせて武装を追加するけど――基本的に近接だけだと思え」
「ああうん……わかってた」
そうだよなぁ……俺銃苦手だもん。
「とりあえず、これに着替えろ。向こうに更衣室あるから」
「これって――ISスーツ?」
「僕特製の男性用ISスーツだ。できればジャージタイプみたいなの作りたかったが、機械に挟まったりすると危険だし、意外とこれが安全だったからコイツで勘弁な」
「それはいいんですけど――なんでこんな水着みたいな?」
「元は水着だから」
「え?」
「――え」
「ほえ?」
「IS作った当初って束は中学生よ――さて材料はどこからかな?」
ああ――本当にスク水が原材料……知りたくなかったなぁ……俺の中で束さんのイメージが――
「あんまり崩れないな。いつも通りだ」
「いっくんひどい!?」
「自業自得だ……」
「なんだよ、同好の士かと思っただろ」
「うっせんだよ変態!」
まあそんなこと置いておいて――着替えた後は、実験室にやってきていた。どうもここでISを動かして適性を調べるらしい。
置かれているのは――俺がISを動かす原因になってしまったIS、打鉄。
「とりあえずこれで頼むなー」
「それでは、私たちが下がっておりますので――ご武運を」
「いや動かすだけなのに……クロニクルさん、目を閉じているから憐れんでいるのか違うのかわからない」
「ただの冗談ですよ」
「本当……なんで分かり難いのに目を……」
「まあ事情があるんだわ。とりあえず、一夏は速く動かせ」
「分かりました――えっと、こうだよな」
とりあえず乗り込んで動かしてみる。しかし、結構スムーズにうごくよなぁ……
歩き、飛ぶのは怖いから少しだけ浮いてみる。うん、滑らかに動く。
「平均的……初心者にしてはスムーズなのがさすがだな」
「適正はBですか……候補生には一歩届かないですけど」
「そりゃ二回目の起動だしなぁ……この時点のランクは意味ないって話だぞ」
「どうとでも上がりますか……まあ私のランクはAですけど」
なんだろう? クロニクルさんって実は負けず嫌い?
えっと、次はどうすればいいんだ?
「刀を出してほしいんだが……こう、刀を持っているってイメージして出すんだよ――な?」
「はい。それであっています」
操縦方法は英さんにはわかんないよなぁ……えっと、出すイメージ――――うーむ……頭をひねって数秒後、光が集まって来て形になり――刀が現れていた。
「まあ近接武器は問題ない。何回か振ってみてくれ」
「はい――はぁ!!」
一閃。何回か動かし、動作に問題がないことを確認する。
ちょっと体が動かしにくいが――問題ないな。
「うん、流石だな。じゃあ次はターゲットを出すから銃でたのむ」
「はい――え、銃?」
「一応ねー」
「えっと…………い、イメージできない」
「……データ送るから名前呼べ」
なんでも名前を呼んで出すのは初心者用だとか。あれ? 俺刀は普通に出せたけど――いや、無双セイバーとかを持つイメージだったからかな?
その後銃を持ってターゲットを狙ってみたのだが――うん、無理だな。
「全然あたんねぇ……」
「適正低いってレベルじゃないなぁ……こりゃ遠距離武器は搭載しない方がいいってレベルだぞ…………」
「暮桜の再来ですか。伝説を残す気で挑まないと負けますね」
「そ、そこまでですか……」
「ああ。とりあえず必要なデータはそろった。あとはそれを反映させた機体を作るだけだ――――じゃあ、今ならだれも聞いていないだろうし、ドライバーの方を見せてくれ」
「そっか――えっと、かばんとかは……」
「こちらに」
クロニクルさんから受け取って、キーホルダー型に変形しているドライバーを取り出す。しかしこれも凄いよなぁ……ここまで小さくなるなんて。
「一応、ISコア使っているし」
「――え」
「一夏君がISを使えるのは知っていたからね。このドライバーには超小型のISコアが仕込んである」
「……なんでそういうことをさらっとするんですか……」
「それが僕たちだから――うん、いい戦闘データだ」
ノートパソコンに接続してデータを読み取っているみたいだけど……早いなぁ……
「しかし――一度無茶したみたいだな」
「えっと……すいません」
「……それは、誰かのためか?」
「…………結局は、自分のためなんだと思います」
「そっか――ほら。千冬には見つかるなよ」
「怒らないんですか?」
「……僕が人のことを言えないからね。でも――自分を貫き通してでもやりたいことだったんだろ」
「はい」
「ならいいよ」
なんだかんだで――まだまだこの人には勝てないんだよな……
だけど――いつかは追い付きたい。追い越したい…………これから、頑張らないとな。
この後、千冬姉と篝火さんが腐ったトークをしているのを見てしまい、泣きたくなったのは完全な余談である。
サブタイトルの意味は――おにぎり。
次回から少し駆け足にした方がいいだろか……