仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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ついに原作突入だぜヒャッハー!
色々改変しちゃっているから序盤からキャラの性格が微妙に異なるんだぜ!

そんな感じでテンション上げていきますが――ライダー要素は少し薄くなります。



EP124.一年一組

 拝啓、親友たちよ――俺は今、ピンチである。

 

(ああ視線が痛い。視線が――死線だ)

 

 ちょっと周りの空気がヒヤッとした気がするんだが、気のせいであろう。うん――ああ居心地が悪い。

 っていうか予想以上にきつすぎるんだけど!? なにこれ、みんなが俺のことをじっと見てきて――いけない性癖でもない限り発狂してしましそうになる。

 弾よマジで変わってほしい。数馬よ、今何をしているか知らないがこの光景を見ても羨ましがれるか?

 そして先ほどチラッと見てしまったツインテールの少女よ――お願いだから助けに来てください。なんで違うクラスなんだ…………っていうかなんでここにいるの?

 

「えーっと、織斑君?」

「ふぁ、ふぁい!?」

「あはは……自己紹介、織斑君の番だから」

「あ、すいません……えーっと、織斑一夏です」

 

 できればこのまま座ってしまいたい。しかし――この空気がそれを許さない。ああわかっているさ。なんか一言欲しいんだろ? わかっている。わかっているよ俺だって。だけどハイエナの群れの中にいるかのごとく、俺は体が硬直してしまって動かないんだ。一分一秒がとても長く感じられる。汗の一粒が、たらり、たらりとたれて――落ちた。

 

「――しゅ、趣味は炊事洗濯、家事全般です」

 

 この時、俺の立ち位置は決定したのかもしれない。え――おかん? そんな声が聞こえたのだから――――痛ッ!?

 

「いきなり何を言い出しているんだお前は……」

「――な、なんでまほ――――オグガッ!?」

 

 ま、また殴られた……ああ、千冬姉って一応外じゃその趣味隠していたんだな……たまに壊れるけど。

 しかし――俺にはそれ以上に気になったことがあった。

 

「なんで千冬姉がここに――アブナッ!?」

「ほう、かわすか――だが、織斑先生と呼べ。暫定主夫」

「それ千冬姉が原因――ぐわし!?」

 

 俺も初めて知ったことだったのだが、千冬姉はIS学園の教師だったらしい――っていうか一言ぐらい言えよ。今日初めて知ったぞ……だが、そんな文句を言う前に――教室は黄色い歓声に包まれたのであった。

 まさに爆音。どこかでテロでも起きたのかと思うぐらいに、音の暴力が始まったのである。

 

「キャアアアア!!」

「千冬様よ! 本物の千冬様よ!」

「わたし千冬様に会うために北九州よりまいりました!」

「ああん! その冷えた視線が溜まらないわ!!」

「しつけて! 罵って! 縛り上げて!!」

 

 うわぁ……百花さんクラスのアレな人たちもいるし――俺、ここでやっていけるのか?

 千冬姉も頭が痛いのか、ちょっとよろめいてしまっている。

 

「ハァ……去年も思ったが、毎年私のクラスにはバカどもしか集めないつもりなのか? こんな事なら凰を入れてくれるように交渉するべきだった……」

「ははは……お疲れさまです」

「すまんな――いいかお前たち、私の仕事はお前たちを実技担当の教師として鍛え上げることだ。甘い気持ちでこの先やっていけると思うなよ!」

 

 されど――そんな鬼教官の言葉すら彼女たちには快感であった。ますますひどくなる悲鳴。嬌声。なんか危ないことを叫び出す者や、服を脱ぎ捨てようとする者まで――思わず目を背けた俺は悪くない。

 知り合いものほほんさんぐらいしかいないし――どうしたらいいんでしょうか。思わず自分の口調を忘れるほどにはキツイんだが。

 

「……自己紹介は後に回して、まずはガイダンスから進める――空いた時間で自己紹介の続きだ」

 

 そんなわけで――俺はIS学園の生徒としての生活を始めることになったわけなんだが――正直、後悔してもし足りない。知り合いがいるのはせめてもの救いだが――針の筵に座っている気分ってこういうことを言うんだろうな。だって視線が全部俺に突き刺さっているんだから……

 

 ◇◇◇◇◇

 

 そんなこんなで休み時間。俺の精神は摩耗しきっていた。のほほんさんが大丈夫かと声をかけてくれるが……正直死にたいです。

 

「うぼわぁ……」

「あはは~大丈夫~?」

「視線は暴力になるんだぜ……」

「そりゃね~……ところで、呼ばれてるよ~」

「ん? あれ――」

 

 机に突っ伏していた俺の目の前に倒れていたのは――知り合いの女性にどこか似ている少女。あの天才博士を釣り目にして黒髪にしたらこんな感じじゃないだろうか?

 ポニーテールは昔と変わらず、か。

 

「えっと、箒だよな?」

「おおーしののんおひさー」

「……ちょっといいか?」

 

 そんな感じで廊下に呼び出されたわけだが――当然視線は今も突き刺さっている。なるべく個人的な話ができる場所にいるのだが……箒はそこまで気にしていないのか?

 しかし呼び出しておいてだんまりってどういうことだよ……しょうがないなぁ……

 

「えっと、久しぶりだよな?」

「ああ、久しぶりだな……しかし、よくわかったな私も結構変わったように思うのだが」

「いや髪型変わってないし、それに束さんと顔似ているし」

「――ッ」

 

 突然、箒は怖い顔をして――一瞬ですぐに元に戻った。いや、何事!?

 

「なぜ――姉の名を出す」

「なぜって――普通に出るだろそりゃ」

「……そうか、そうか。そうだよな、お前はそういう奴だったよな」

 

 うんうんとうなずいて、箒は理解したようにふるまっているが――何かがおかしい。

 なんだろう――どこか違和感がある。まるで姉の話は聞きたくないかのような……

 

(あれ? 箒って束さんのこと嫌いだったか?)

 

 俺の記憶ではそこまでではなかったように思えるのだが……むしろ束さんのために料理を作ったりするほどには仲が良かったはずだ。

 だから気のせいだろうと思ったのだが――違和感が正しいものであることを次の一言で理解してしまう。

 

「しかしあの女子はいったい誰だ? 一夏となれなれしかったが……知り合いか? 私のことも知っているようだったが……」

「――は?」

「どうしたのだ?」

「いや、布仏本音――箒だってあって会ったことあるだろ」

「知らないが――一夏の気のせいだろう」

「いやそんなわけないって――簪のことも覚えていないのか?」

「だからそれは誰なのだ? また女か? お前はいつもそうだな――女の名前ばかりでる」

 

 おかしい。変わり過ぎじゃないのか――いや束さんの意味深な発言がなんとなくわかってきた。

 箒は――束さんと仲が良くなる前の感じになっているんだ。俺と出会ったばかりのころに……あの頃は今のように怖い雰囲気を纏っていることが多かった。その中にも弱さが見え隠れしていて、守らなきゃとは思ったけど――今は怖さが表に出過ぎている。

 

「……英さんのことも覚えていないのか?」

「――ッ!?」

「ほ、箒?」

「――――すまない、何分小さい時のことで忘れていたようだ……そうだった、遊園地だったな」

 

 正直ほっとした。怖い雰囲気は霧散して――柔和な感じになっている。

 だけど――一抹の不安は残る。

 

「あ、そういえば――剣道全国大会優勝おめでとう」

「なっ――お前なぜそれを知っている!?」

「いや新聞で読んだし」

「なぜ新聞を読んでいるんだ!?」

「それは流石に理不尽だと思うんだけど――」

 

 それでも、先ほどまでの違和感は消失していて、安心した。

 うん、箒も慣れない環境で戸惑っていただけなんだよな。

 この時俺はそんな風に片付けてしまったわけだが――おそらく気が付くことなんてできなかったんだろう。家族でさえ、その歪さに気づくことはできなかったのだから。

 

「あー時間も時間だし、教室に戻るな」

「ああ――そうだな」

 

 教室に戻り――授業を開始する。うん、事前準備が無ければ即死だった。

 相変わらずの専門用語のオンパレード。

 クロニクルさんによる詰め込みが無ければ俺の頭はパンクする以前の問題だっただろう。だって普通は理解できねぇよ。弾と数馬、一度調べて勉強してみやがれ。絶対に逃げ出したくなる。

 

「えっと、ここまででわからない人はいますか?」

 

 真耶さん――おっと、山田先生か――はあたりを見回して授業についてこれない人がいないか確認しているものの、ここは基本的な部分のため誰も手を上げない。

 俺も詰め込まれたことを知っているため、ここで躓くわけではないのだよ。うん。

 

「織斑君は……大丈夫ですか?」

「今のところは……」

 

 マジで今のところはだけどね。

 本当にありがとう、鬼の家庭教師。でも――ノートをとるのはかなり大変で俺は大分疲労してしまうのであった……南無。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「はははーまた倒れてるー」

「……殺せよ、殺せよ」

「でもおりむー、ちゃんと理解できているよねー」

 

 そりゃ鬼のフルコースでしたから。

 

「っていうか、何故みんなは距離を取るのか――珍獣?」

「近いんじゃないかなぁ……女子高だと思ったら男がいたわけだし」

「教師も女の人だけとかないよな?」

「通常の授業は男の先生もいるよ~」

 

 のほほんさん、流石色々知ってる。

 まあしばらくすればみんなも慣れるよな――そうだといいなぁ……

 しかし、そんな静寂も長くは続かなかった。

 

「ちょっとよろしくて?」

 

 そんな一言と共に現れたのは――金髪碧眼の美少女。

 明らかに海外から来ていると分かる容姿に、物怖じしない立ち振る舞い。

 縦ロールはまさにお嬢様の証と言わんばかりの――貴族っぽいオーラ。

 

「えっと、俺に何やようか?」

「まぁ! このわたくしに話しかけられたのになんて気の抜けたお返事なんですの?」

「……いや、俺君が誰だか知らないし」

「知らない!? この入学主席にしてイギリス代表候補生のセシリア・オルコットを!?」

 

 芝居がかった振る舞いは、キャラなのか素なのか……判断に困る。

 しかし――俺は気疲れしていたため自己紹介はロクに聞いていないんだよなぁ……

 

「すまん。マジで知らない」

「――――ッ」

 

 ヤバいと思ったのは、すでに手遅れであったから。

 ああこんなんだからデリカシーが無いって言われるんだよ――でも他にどう返せばいいんだよ……

 

「新入生のなかで唯一試験官を倒したというわたくしを知らないですって!?」

「え――」

 

 俺が驚いた表情をしたのが滑稽だったのか、少女――オルコットさんは勝ち誇った表情をする。しかし――俺が驚いたのはそこではないのだ。

 

「あの試験って――試験官倒さなくても良かったのか!?」

「――はい?」

「織斑君、普通倒せるわけないでしょ……」

「そうだよねー、試験官だって元代表候補生クラスの人たちなんだから強いんだし――あれ?」

「今、なんかおかしい発言が聞こえたような……」

「…………」

 

 思わず目をそらしてしまう。いや、知らなかったんだ。だって、全員倒して入学しているものかと……

 

「おりむー……正直にね」

「……一応、倒したことになるのかなぁ」

 

 最後は自爆っぽい感じだったけど。ほら、山田先生の顔がみるみる赤くなっていく。幸いにも気づいた人はいないようだが。

 その後湧きおこったのは驚愕の声。

 

「あ、ああ――あなたも試験官を倒したというのですか!? いえ、わたくしは試験日にわたくしだけが試験官に勝利したと聞かされております!」

「それ、女子ではってオチじゃ……あ、そもそも俺の入試ってもっと後だったわ」

「な――――」

 

 オルコットさんは他にも何か言いたそうだったが――そこに千冬姉が教室に入ってきたことで断念してしまう。

 全員が席に戻り、授業の準備を進める。されど――授業は開始されず、別のことが始まったのだ。

 

「先ほどは忘れていたが――これよりクラス代表を決めたいと思う」

「クラス代表?」

「ああ――まあ学級委員みたいなものだ。ただし、クラス代表戦では文字通りクラスを代表して戦ったり、他にも色々と仕事がある役職だ――できれば自薦してもらいたいが……他薦であっても拒否は受け付けない」

 

 なん――だと。

 

「あ、織斑君がいいです!」

「ここは唯一の男子を押しておくべきでしょ!」

「話によると試験官倒すぐらいなんだしきっとやってくれるわ!」

 

 しまった――そう思ったときにはもう遅い。クラスのほとんどの人間は俺を推薦している。

 

「ちょ、まってほしい……織斑先生?」

「拒否権はないからな」

「おーのー」

 

 このまま俺がそんな面倒な役に抜擢されるのか? そう思ったのもつかの間――彼女が立ち上がった。

 

「納得いきませんわ!」

 

 ギリッと音が鳴るぐらいに噛みしめられた歯。憤怒とまではいかなくても、強い意志を感じる瞳が俺を射抜く。

 誰もが静まり、彼女の次の言葉を待つ。

 

「このわたくしにそのような男が一年間代表を務めるクラスに身を置けと? 冗談じゃありませんわ! 授業についていくのは必死、休み時間は勉強するのかと思えば机に突っ伏す始末。おまけに、大ぼら吹きではありませんか!」

 

 一応、事実なんですけどね……ほら、山田先生フォローを――だめだおろおろしていやがる。

 

「第一――戦う覚悟も無いような方を代表にだなんてちゃんちゃらおかしいですわ!」

「――――」

 

 それは流石に見過ごせない。

 

「おい、オルコット――言わせておけば……少し、頭を冷やした方が良いんじゃないか?」

「なんですって?」

「だから――あまり口から不必要なことを言うなって話だよ――俺が覚悟を持っているかどうかは俺が決めることだ。お前に言われる筋合いはない。お前こそ、不満があるのなら自薦しろよ」

「……いいでしょう。織斑先生。わたくし、セシリア・オルコットはクラス代表に自薦いたします」

「いいだろう。それで織斑はどうするんだ?」

「…………他薦されても拒否権はないんでしょう? だったらやりますよ――それに、覚悟がって言われて男が引き下がれるかよ」

「ならば――一週間後、アリーナで試合を行い勝った方をクラス代表とする。二人とも、それでいいな?」

「ああ」

「かまいません」

 

 こうして――IS学園での生活は波乱を起こしながら始まった。

 正直……早まったと思う。

 




実はこの世界、女尊男卑がそこまで浸透していない。
なのでセシリアもちょっと変化。クラスの女子も笑ったりしていない。あと、一夏も班で云々は言い出さない。

そこらへんの詳しい説明とかは次回にやると思います。




既に彼女はIS学園にいる。
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