基本的にギャグでお送りします。
あれからまた少し時間がたった。実習では鈴と顔を合わせることも多々あったんだが、会話することはできず――そもそも無駄話するなと千冬姉が言っているので、会話することが困難――俺と鈴の和解はいまだうまくいっていない。それと、最近箒の様子が少しおかしい。以前よりかは安定しているんだが――時折、瞳が必要以上に鋭くなっているのだ。まあ、アイツは元々鋭い目だったけど……気のせいだろうか?
「そんなこんなで、結局トーナメントまであと二日でしたとさ」
「誰にいっているの?」
「いや、なんとなく……しかしエネルギーバイパスとかの調整って面倒だよな」
「それでも、自分で使う機体は自分で整備したい」
「だよなぁ……自分の体を預けているわけだし」
時間も残り少ないし、いい案が浮かばないわけだが――機体の整備は万全にしようと、今日の練習は速めに切り上げて整備をしているわけである。明日は休みにして英気を養うし。
そんなわけで整備室に来たけど――久々に簪と会話しているきがする。最近忙しかったからなぁ……4組とは合同授業がないし。
「ISの方から話しかけてくれてもいいんじゃないかと思ったり。そうしたらもっと整備とかもしやすいだろうに……」
「そういうプログラムもある。実際、高度に成長したISとの会話の実例はいくつか存在している」
「マジで!? いや、そういえば昔英さんが暮桜とメル友だとか言っていたような……」
「暮桜はISの中でもかなり高いレベルの会話能力を持っているらしいけど……私も実際に見たわけじゃないし…………本当のところはどうなんだろう?」
「千冬姉なら知っているんだろうけど、教えてくれるかな……なんか嫌そうな顔していたし」
なんで嫌そうな顔だったんだっけか? うーん……考えていても出てこない。
「……ところで一夏、喧嘩したんだって?」
「――うぐ、誰から――――いや、のほほんさんだな」
「うん。本音から……あの子生徒会で忙しいはずなのに、いらないことしゃべるから覚えた」
「って生徒会役員だったの!?」
見えない。っていうか仕事はしているのか?
「会計の本音のお姉さんがやっている」
「うわぁ……のほほんさんは?」
「書記。だけど仕事している感じは――」
「ごめん、変なこと聞いた――――あれ? 生徒会長は?」
「さぁ? そこら辺をほっつき歩いているんじゃないの? あの変態は」
「辛辣!? え、簪ってそういうキャラだっけか!?」
いったい生徒会長と何があったんだ? 知りたいような、知りたく無いような……
「そういえば俺入学式には出てないから生徒会長って見たことないんだよな」
そんな一言を言ったら、どこからか何か崩れる音が響いてきた。え、何事?
簪も腹を押さえて笑っているし……そんなおかしなこと言ったか?
「ふ、ふふ……それは予想外。いい気味」
「本当、何があったんだよ……」
「別に。ただ、人の趣味とか交友関係に口出したり、プライベートに口出したり、後ろをこそこそつけてきたり、私の尊敬する人を侮辱するような人ってだけだから」
「そ、そこまでの人なのか?」
なんだろう、どこからか泣き声が聞こえてくんだけど……簪さんがここまで黒いのは正直落ち着かない。
「ふふ、一度もあったことないくせにあんなこと言うんだから……そもそもタイミングがあそこまで合わないのもある意味運命なのかも。種割れしちゃう?」
「簪ー帰ってこーい……だめだ、トリップしてやがる」
美少女なのに、頭に残念が付く筆頭だからなぁ……代表候補生で、IS整備だけじゃなくてある程度独学で組み立てもできるし、色々とスペック高いのに――なんかそれを台無しにすることがたまにあるからなぁ……俺もいまだによくわからない。
「……そうだ、英さんの怪我ってどうなったか知ってる?」
「もうちょっと早く聞こうぜそれ……連絡とかはないし、携帯もつながらないんだよな…………フロンとはたまにメールしているし、元気にやっているみたいだけど、やっぱ忙しいらしい」
「そう、だよね…………ヒーローって、辛いのかな」
「そりゃ辛いだろ――でも、自分がやりたいことを貫いているってことだと、俺は思うぜ」
「自分のやりたいこと……」
簪がなぜいきなりそんなことを言い出したのかは分からないが、俺に言えることなんてそれぐらいだ。
何か悩みがあるのだろう。具体的な解決策も出せないし、簪も直接聞かない時点でそもそも具体的な解決策を望んでいるわけではない。
「たださ、前に聞いたことがあるんだ……背中にみんながいるから戦えるって」
「みんな……」
「大切な誰かとか、そういう、な。あと――隣に大切な人がいるのなら、どこまでも強くなれるとかきざなことも言っていたよ……らしいっちゃらしいんだろうけど、ありゃ惚気だな」
「なんとなくわかる――でも、それは別にそういう意味じゃなくてもいいんじゃないかな――たとえば相棒?」
「ああ、そうだな……」
相棒か……弾の奴は今頃どうしているのやら。
トーナメントが終わったら、鈴も一緒に会いに行ってみるかな。いや、みんなも連れて行ってみるってのも面白そうだな――なんか弾に殴られる予感もするんだが。
「簪さんには、そういう相手っているのか?」
「……やっぱり、本音かな。小さいころからずっと一緒で――色々支えてもらったから……迷惑もかけられたけど」
「そういうもんだと思うぜ――ヒーローだって、一人じゃないんだから……あんまり悩み過ぎるなよ」
「…………ありがと」
◇◇◇◇◇
一方その頃、弾はというと――
「はなしてお兄! 一夏さんが、一夏さんがあの女に食べられちゃう!!」
「待つんだ妹よ! さすがに鈴がそんなことするとは思えない!!」
――暴走していた妹を止めていた。
「分かってないッ! 一夏さんから送られてきた写真を見ただけでわかるのッ! 鈴さんは――一段階上に成長しているッ! だからこそ止めなくてはいけないッ!」
「だからってIS学園だぞ!? 普通に門前払いだわ!!」
「千冬さんにたのめば行けます――サークル仲間として!」
「それ初耳なんだけど!? え、どういうこと!?」
「さあ、勝負服の出番よ!」
「――やめろおおおおおお!?」
蘭が取り出したのは、赤系の魔法少女の衣装。色々な意味で危険である。というか忌みたい。
あの姉弟は色々なものを感染させてしまうとでもいうのか、そんな戦慄は間違いではないのだろう。
「はなして! 突撃しなきゃいけないのッ! ヒーローならあの泥棒猫を止めて!」
「個人的にはお前の方が泥棒猫のポジションだと思うんだけど!?」
というかヒーロー言うなと叫びたい。
しかし昼も過ぎて客がまばらなこの時間に止めてくれるような猛者はいない。
子連れの夫婦が食事しているぐらいだし――って……
「なんでいるんだ有名人ッ」
「そりゃ普通にご飯食べに来ただけだよ。あと、ついでに例の物を見に。一夏君ももっと早く報告してくれればいいのに……というわけでドライバー借りるよー」
「はーい、接続開始ー……ビンゴだよ、いじっても壊れないタイプのやつだった」
「たー」
「やっぱりいくつかそういうタイプのがあるとは思ったが……運が良かった。おかげで僕たちも戦極ドライバーの量産にこぎつけそうだ」
「ふっふっふー、あとだんだんのデータも取っておいて、アレ作っておこうかなぁ」
「そうだなぁ……今後必要になるかもしれないしなぁ」
「いいから手伝ってくださいよ!」
「車イスでどうしろと?」
「データとってるから無理」
「むりー」
「そこの幼女には頼んでいません!」
本来は宇宙にいるべきというか、忙しいはずの英と束、ベビーカーに乗せられたリリーはなぜか食事しながらパソコンにドライバーを接続して兄妹の争いを観戦していた。
「アイツらだってドライバーの改造とかしているんだから、いくつかそのために作られたものや、特殊な事情で自爆装置を組み込んでいないものがあるとは思っていたが……本当に偶然って怖いわ」
「いっくんの友達なだけはあるよねー……はい、データとりおわったから返すね」
「はやっ!?」
「今のうちに――ぴゃん!?」
「とりあえず、鎮静剤撃っておいたから少しの間は落ち着くだろ」
「ら、蘭!? 大丈夫なんですかこれ!?」
「平気平気。暴徒鎮圧用ほどじゃないし、少しの間ぼーっとしているだけだから」
「……一応、信用はしますけど…………それで、今日来たのって……食事とドライバーのことですか?」
「まあ君のことも見ておきたかったってのはあるかなぁ。一応先輩としてね」
英が自分のドライバーを取り出し、弾に見せる――自分のとは違って、かなり使い込まれたそれは今までの戦いを物語っている。傷だらけで、塗装も剥げており、何度も修復された形跡が印象深い。
「もう10年も使っているからなぁ……今更他の使う気にはなれないけど」
「そんなにですか……俺も数年使っていますけど、正直そこまで頑張れるかって言われると……」
「それでいいんだよ。元々大した理由もなしに戦い始めた僕だからこそ言うよ――あまり、この力に慣れない方が良い。もっとも、今年中には原因を絶つつもりだけどね」
「原因、ですか?」
「インベスを生み出してしまう原因というか、まあ……ヘルヘイムなんてものを構成している要素かな。今の世界が不安定なバランスの上に成り立っているのは分かったから――その後どうするかなんだよなぁ……」
弾には何の話かよくわからないが、どうも悩みに悩んで案が浮かばないらしい。頭を抱えてあーでもない、こーでもないと唸っている。
「いっそのこと燃やし尽くす」
「それこそバランスが壊れる。っていうか鍵の製作もしないといけないし……完成するか微妙だけど」
「こっちも同じく。どうするかなぁ……箒ちゃんの自衛用に作ったアレの調整とリミッターの設定とかもあるし」
「なんか、色々大変なんすね」
「大人になると色々あるんだよ……ただがむしゃらに突っ走っていたあの頃が懐かしい…………ハァ」
「世知辛い世の中だからね……束さん的には社交界とか二度と行きたくない」
「うー……ねむー」
「リリーはそろそろおねむの時間かな。それにしても体も大きくなって……」
「もうベビーカーは卒業するべきか否か……次の会議の議題に出すか。スレイプニル乗組員が次に全員集まるのって、いつだっけ?」
「えっとね、来週の水曜日だね」
「それでいいのかあんた等は!? え、アットホームなな職場なの? それでいいのかエリート集団」
弾は困惑するしかなかった……もう好きにしてくれと。
とりあえずテレビでも見ようかと思ったら――驚くべき話がそこに。
「あーそういえばあの国のお姫様、日本人の少年を婿に迎え入れるとか言って……若いのに苦労しているね」
「綺麗なドレスだねー」
「ぴかぴかー」
「……か、数馬ぁあああ!?」
親友の一人が、そこにいた――っていうか昨日普通に遊んだんだぞ!? 驚いていると――なんか全身タイツの女性三人組が数馬を簀巻きにし、連れ去って行って――あっという間にいなくなった。
というか、リアルタイムなのかよコレ……実はドッキリとかではないよな、とあたりを見回すが――そんなわけがない。英たちがスレイプニルに確認を取っているらしく――なんか顔を青くした。
「やばいな――僕ら厄介なテロリスト相手にも戦ったりしているんだけどさ、今回の三人組が該当して今から行ってこいって言われたわ」
「危険度は低いから適当に注意勧告だけでもしてくれって……人使い荒いんだから」
「ねむねむ」
「リリーも眠そうだし、デキれば帰りたいところだけど」
「仕方がないかぁ……情報だと、この三人らしいけど」
チラッとみた弾であったが――中学時代から数馬に好意をよせていて、高校もついてきた三人であった。うん、やっぱりこいつらか。っていうか一体何が起こっているのかもうわけがわからない。
「それじゃあ、はい料金。おいしかったぞ――蓮さん、ありがとでしたー」
「またきますねー」
「ねー」
「はーい、またねー」
「……もうどうでもいいや」
「――ふぁ!? ここはだれ? わたしはどこ?」
この時の弾はまだ知らなかった。
数馬がこのあとインベスとか世界の運命とか全く関係のないところで、色々と世界規模の面白ストーリーに巻き込まれていくことなど。それに自分が関わることは――ほとんどない。
ただ一つ言えるのは――自分だって彼女は欲しいがあそこまで面倒なのは勘弁ということである。
「そういうわけで、一夏についてはしばらく我慢しなさい。また今度来るから」
「そ、そんなぁ!?」
昨日今日と、自室のリフォームをすると言われてなんかあれよあれよという間にことが進み、正直小説かけるか微妙だった今日この頃。なんか日課になっているのでやめるにやめられず、普通に更新しているミーって何なんだろう。
というわけで、次回はついに一夏と鈴が激突します。