仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

132 / 193
鈴ちゃんとの戦闘。
そして――


EP132.ぶつかり合う者たち

 ついにやってきたクラス代表トーナメント。どんな運命のいたずらなのか、俺と鈴は――第一試合でぶつかることとなってしまった。

 観客は既に満員。特訓に付き合ってくれたということで、セシリアのみが千冬姉たちもいるピットにいる。

 

『一夏さん、準備はよろしいですか?』

「ああ……織斑先生、そろそろゲートを開いてください」

『わかった――とりあえず、頑張れよ』

「はい!」

 

 ゲートが開き、少しの間をおいてから明るい――日光に照らされたアリーナに降り立つ。ほぼ同時に、鈴も降り立って戦闘準備は完了という風体だ。

 その瞳には勝つこと以外考えていないぞって闘志が宿っていて……こりゃ、強敵だな。

 

「一夏、最後に聞くけど……約束の意味は分かったんでしょうね?」

「……すまん、まだわかってねぇんだ…………」

「ハァ……ま、あんたのことだから仕方がないとは思うけど――正直、加減できないわよ」

「それこそしてもらう必要はない。全力で来てくれ……あと、一つ良いか?」

「なによ」

「賭けを一つしようぜ――俺が勝ったら約束の意味を教えてもらう……鈴が勝ったらなんでも言うことを一つ聞く。それでどうだ?」

「……上等!」

 

 鈴のモチベーションがかなり向上するため――できれば使わない方がいいんだろう。それでも、俺たちにはその約束の方が重要なんだ――クラス代表としては勝つことを目指すべき。しかし、今日ばかりは私情を優先させたい。

 

「知らないまま、わからないままにしておくことなんか――できないもんな!」

「だったら、その行動で示しなさい――それがあんたっていう男でしょ!」

「分かってんなら――覚悟しろよ! 本気の俺の力を!」

「そっちこそ――この一年で磨いたあたしの力、括目しなさい!」

 

 ――バトルスタート。その音声と同時に、俺たちは激突した。

 雪片と青龍刀、火花を散らせながら互いの力は――拮抗。それもそのはず。筋力そのものでパワーが決まるわけではないのだ。しかし、俺にだって負けられない理由はある。

 

「――おおおお!!」

「生憎だけど――その動きは分かってんのよ!!」

 

 青龍刀が二つ。連結されて――後ろに突き付けてきた。鈴は前を向いたままだが俺の行動を予測してのこと。俺も繊月加速で鈴の背後に回ったが……それも分かっているんだよ!

 ガキンッ――という音と共に、青龍刀はなにか硬いものに捕まってしまい、動かなくなる。さすがの鈴も慌てたのか後ろを向いたが――

 

「なっ――!? 盾で防御して、挟んだ――(しまった、展開装甲である程度形を変えられるってことは、それではさんで変わり身みたいに使って――)――キャア!?」

「繊月加速が連続で使えないわけじゃないんだ! 零落白夜なら一気に削れる! あと数撃で俺の勝ちだぞ!」

「ぐっ――それでもあんただって油断し過ぎよ!」

「え――――おぐぅ!?」

 

 しま――衝撃砲!? 不可視の弾丸は、事前に弾道を予測していればかわせるのだが、こんな至近距離じゃ避けようがない……いったん距離をとって、呼吸を整え――なに!?

 

「砲弾加速! 瞬時加速の応用を考えているのはあんただけじゃないのよ!」

「なるほど、衝撃砲を利用した加速――だけど直線過ぎる!」

「当たり前――これはあたし自身が、砲弾なんだから!!」

 

 最初の激突よりも大きな音が鳴り響いた。砂煙が巻き上がり、アリーナは見えづらくなっていることだろう――俺と鈴のシールドエネルギーは共に残り少なく、あと一撃でも食らえば危険。

 正直、鈴を相手にするとお互いの手の内が読め過ぎていて――短期決戦にしかならない。

 

「――うおおおお!!」

「このぉおおお!!」

 

 拳と刀が互いに迫る。たしか、甲龍の拳には小型の衝撃砲がついていたはずだ――かわさなければ負ける。しかし、どうやって? ISの補助により思考が加速していくが……案が思いつかない。

 繊月加速では再び斬られるか、開いている方の手で衝撃砲を喰らう。もしくは、背中のスラスターを使われるか? 何にせよ、一歩足りない。

 真っ向からのぶつかり合い。接近戦型がゆえの捨身の戦い。それゆえに、お互いが行えるアクションはあと一つぐらいだ。

 

(――――今やらないで、いつやるんだよ!)

 

 身体を回転させて、瞬時加速を行う――螺旋を描く形でエネルギーを取り込み――体を揺らして一気に不安定な放出を行う。

 

「――なっ!?」

「――――朧月加速」

 

 身体がぶれるように、霧に紛れるように見えなくなる。俺自身うまく動けなくて攻撃に転じるのは難しいが――鈴の攻撃をかわすことには成功した。

 そして、最後の一撃を――決める、その一瞬前であった。空から赤い光が降ってきたと思ったら、何かが割れる音が鳴り響いたのは。

 

「キャア!?」

「鈴!!」

 

 思わず鈴を抱き留めて、飛び退いてしまった――しかし、その判断は正しかったのだろう。

 客席の上にシャッターの様な障壁が展開されて、通信も阻害されているのかノイズが走り始める。ライトが瞬いたかと思ったら、全て電源が切れるし――先ほどまでたっていた場所に、爆発も起きた。

 

「いったい、何が起きてんだよ……」

「い、一夏!? ちょ、いつまで抱きしめてんのよ!」

「あ――わりい!」

「……も、もうちょっとやってもらえば…………」

「鈴?」

「なんでもない! ――そうよ、今はそうじゃなくて、さっきの爆発……」

 

 煙が晴れると――そこには……白色の巨体と、普通の人間のサイズの人影。だけど――その姿は前に英さんに見せてもらったことのある、要注意人物。

 

「……仮面、ライダー?」

「久々にその名前を聞いたよ――ああ、妬ましい名前だ」

 

 ドングリアームズを纏った男がそこにいた。

 傍らには巨大なインベス――イエティインベスを従えて。

 

「どうも、テロリストです。君らに恨みがあるかないかで言ったら少しあるけど――とりあえず死んでくれ」

 

 ◇◇◇◇◇

 

 どうして私は見ていることしかできないのか――一夏が連れ去らわれたときもそうだ。結局一夏を助けたのは英たちで、私には何もできなかった。

 今もテロリストがそこにいるというのに、私には何もできない。

 

「くそっ――山田先生! 防壁の突破はどこまで進んでいる!?」

「ダメです! 情報戦特化のISを複数台使われているみたいで、時間がかかります」

「世代外のISか……」

 

 一般的に知られているISとは設計思想が違うため、世代外のISと呼ばれているIS群。スレイプニルやグラニ、アメリカなどが所有してる潜水艦ISや、土木作業用ISなどの特殊なISの総称。今回使われてしまった情報戦特化もその類。

 

「三年の精鋭たちは?」

「いま対処していますが――無理です」

「更識は?」

「一般生徒の避難誘導で手いっぱいみたいですね……パニックを起こした子も多いみたいですし」

「……どうするべきか…………」

「織斑先生、わたくしだけでも突入はできないのですか?」

「無理だ。防壁のレベルが最大まで設定されている上に、閉じ込められてしまった――せめて通信だけでも回復できれば……」

「でしたら、わたくしのブルーティアーズを使います。通信と映像だけなら、なんとかなるかもしれません」

「……わかった。山田先生、アシストを頼みます」

「は、はい!」

 

 ほどなくして、映像が表示されて――――一夏が、ISもつけずに巨大な怪物の目前にいた。

 

「――い、一夏!?」

 

 だが、一夏は――私の想像を超えて成長していた。もう、私が守る側ではなく守られる側に近くなっていることを、この時初めて知った。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「一夏はどうしたのだろうか――一瞬見えた、あの怪物……」

 

 叱咤激励でもしてやろう。そうだ、そうすれば一夏も私を見てくれる。そんな馬鹿な考えが浮かぶほどには、箒もパニックになっていた。

 されど、それを止めたのは――いつもの冷静な声。

 

『ここで動くのは得策ではないわぁ……ここで変なアクションをしたら、もらえる専用機ももらえなくなる』

「ああ、そうだった――それに一夏を信じなくてどうするのだ」

『まあそれでもいいわけなんだけどねぇ……とりあえず、周りのみんなを止めないと怪我人が出るわよー』

「……怪我人が出るのはまずいな。それに、みんなを落ち着かせれば一夏に褒められるかもしれん」

 

 そうだ。それがいい。

 結局のところ――箒の歪みに気が付く者は誰もいなかった。その歪みは結果的に、バカな行動を抑えたのだから。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「テロリストが、何の用だよ――って言っても聞こえないか」

「一夏、どうするって――言っても聞かないか」

「ああ……それより、鈴…………残りのエネルギーは?」

「ほとんどない……なんで、足手まといになっちゃうかな…………強くなるために、鍛えたのに」

 

 ……鈴が落ち込んでいると、調子が出ない。やっぱ、隣りで笑っていた方がこいつらしいし、俺も元気が出る。

 だからこそ俺は――エネルギーバイパスを甲龍と白式の間に構築し、全ての残量エネルギーを鈴に譲渡した。

 

「い、一夏!?」

「援護は任せたぞ――鈴」

「……うん!」

 

 その瞳に決意が戻ってくる――それでこそ、俺のもう一人の相棒だぜ。隣で戦うって言ったのは鈴なんだからな、自分で言ったことはちゃんと守れよ――まあ、俺が言えたことじゃないんだろうけど。

 しかし簪に教わっていて良かったぜ……この裏技。

 

「おやおやおやぁ? 作戦会議は終了かな? ま、それでもこのイエティインベスに勝てるわけはないんだけどさ!」

「ガアアアア!!」

「それでも念には念を入れさせてもらうよ――!」

 

【カキアームズ! 幻影ボマー!】

 

 オレンジ色の鎧――それは、忍者を彷彿とさせるものだった。

 カキのヘタのような手裏剣と、カキの実の形をした――音声からして、爆弾か?

 

「ランクはドングリよりも上――亡国機業としても、以前殺し損ねた君をいい加減始末したかったんだよね……Mには怒られるだろうけど、色々と厄介な君は放っておけない。危険分子は即刻排除だよ」

「勝手な言い分だな――俺は、あの時みたいなことはもうたくさんだ! それでも俺だけならいい。でもなぁ……俺の大切なものに手を出すって言うのなら、容赦はしない!」

 

 その時の俺は気が付いていなかったが――千冬姉のいるピットからのアクセスで、一台のカメラが復帰した。そして、この光景を見られたことを――まあ、知っていても止まらなかっただろうけどな。

 

「変身!」

 

 空に開かれるクラック。緑色の塊が俺に装着され――久々になる俺の変身がここに完了した。

 

【メロンアームズ! 天下御免!】

 

 右手には無双セイバーを。左手にはメロンディフェンダーを。

 巷じゃ仮面ライダー斬月なんて言われているけど――俺はそこまでカッコつけるつもりはない。

 

「ただ、全力で叩き潰す! 英さんに引き渡して、一網打尽にしてやるよ!」

「出来るモノなら――やってみやがれぇええ!!」

「ガアアア!」

「――あたしがいること、忘れないでよね!!」

 

 衝撃砲。空気の塊を放つということは――インベスにもそれは有効。

 

「ゴガ!?」

「最近のISのインベス対策なめんな! あたしの甲龍なら、足止めぐらいわけないのよ! 一夏、さっさと決めるわよ!」

「ああ!!」

 

 爆弾が投げつけられるが――俺はその全てを盾ではじき、カキの鎧をまとった男に迫る。

 

「――なに!? 年季が違うはずなのに、どうしてこうもあっさりと――」

「悪いが――逃げ腰のお前が勝てるわけがないんだよ!」

「――アガッ!?」

 

 シールドバッシュ。一撃だけでアリーナの壁に激突した男は――あっさりと意識を失った。

 鈴がひきつけてくれている間に――イエティインベスとやらを何とかしないと……

 

「ガアア!」

「こ――の!」

「鈴! 下がって援護!」

「わかったわ! 一夏こそしくじらないでよ!」

 

 ああ――と返事しようとしたが、冷気が俺を襲ってしまう。

 驚くのもつかの間――体中に、痛みが走る。

 

「ぐ――――だけど、負けられるか!」

 

 ブレードを3回たたき、上に飛び上る。冷気が俺を襲おうと口を開いて――そこに無双セイバーを投げ込んだ。

 

「ギアアアア!?」

「鈴――撃て!!」

「いっけぇえええええ!!」

 

 放たれた衝撃砲を――俺はメロンディフェンダーで受け止める。この盾だって――エネルギー吸収の力がある。

 

【メロンスパーキング!】

 

 遅れて聞こえてきた音声と共に、盾にエネルギーが充填され――一気に増幅。

 電撃がほとばしり、光り輝き始めたそれは――巨大な剣にも見えた。

 

「うおおおおおお!!」

 

 身体をひねりながら、縦に一閃。真っ二つに分断されたイエティインベスは――爆発共にこの世を去った。

 そうして、俺はこの戦いに勝利したわけだが――そう話はうまくいくはずもない。

 

「――――あ、がああ!?」

「一夏!?」

 

 空から降ってきた光の槍。それが俺を貫いて――変身が解除されてしまう。

 薄っすらと残る意識で見たのは――黒に近い紫色の、巨大な蝶であった。

 




そんなわけでグリドン久々の登場。オリジナルアームズを引っ提げて。

じつのところ、原作入ってからの展開は少しプロットを書き直しています。まあ、大幅な変更というわけでもないので、更新に苦労するほどではないのですが。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。