仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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IS1巻はこれにて終了。
あと、公開初日で映画見に行ってきました。


EP134.戦い終って

 三つの光が収まった時――そこに佇んていたのは圧倒的な存在感。

 形態以降時に起こる特有の放電現象が、余計に際立たせている。ゆっくりと上昇し――それぞれが行動を開始した。白式は、先陣を切って突き進む。右手の雪片弐型を解放し、極大の刃で教師たちが食い止めていたISたちを――薙ぎ払って見せたのだ。

 

「うおおおおお!!」

 

 零落白夜も使わずに、全てを蹴散らす。それでも後方の機体は攻撃をかわせる。それ故に、隙をついて突入してくるが――それもかなわない。

 

「はあああ!!」

 

 鈴がその穴を埋めるからだ。衝撃砲がその形を変形させて、加速に特化した形状へと移行する。白式とバイパスをつないだ際のデータにより、展開装甲の情報を得たことで生み出された可変装甲とも言うべきシステム。いくつかの形状に変形することで状況に応じた性能を発揮する力。

 近接特化モードにより、一夏が対処しきれない穴を埋めてゆく。見た目には掌底を放っているだけだが――その全てに衝撃砲を応用した小型の重力レンズによる威力強化が行われている。

 

「でりゃあああ!!」

 

 両手を突き出し――轟音と共に空気の奔流が放たれる。巻き込まれ、ISたちは空を舞う木の葉のように吹き飛ばされてしまう。

 

「ば、化け物……」

「ひるむな! 所詮は子供、形態移行したばかりの相手に――ガァ!?」

「ひ、光が迫って――なんでかわせないのよ!?」

「曲がってる――そんな、この状況でフレキシブルを可能としたというの!?」

 

 セシリアが、12機のビットとライフルから放つ13本の光は自在に折れ曲がり、必ず命中する。

 時には束となり、時には網となり、空に舞う者どもを蹴散らしていく。

 それでも落としきれないのは――後ろに控えている狙撃隊。

 

「はなてぇ!!」

 

 ミサイル、ビーム、銃弾、エトセトラ。あらゆる遠距離武器が放たれるが――それも無意味なものに終わった。

 

「――やらせねよ」

 

 一夏が、白式に装着されていたプレートを解放する。その全ては――元は白夜と呼ばれていた盾であった。

 バイパスをつないだことにより、ブルーティアーズのビット機能を学習。それにより、シールドビットとも呼ぶべき機能を獲得したのだ。

 宙に舞い、放たれた攻撃を防ぎきってみせる。それに唖然したのは、敵か、味方か……いずれにせよ戦局は大きく動いた。

 

「おのれぇええええ!!」

「――お前が誰だとか、なんで俺を狙うのかは知らないが……」

「貴様さえ、貴様さえいなければ私は――」

「……俺の大事なものに手を出すのなら、容赦はしない!」

「――この恨み、必ずお前の命をもって晴らす!」

 

 白き騎士と、黒とも紫ともつかない蝶は、互いの武器を持ってぶつかる――されど、サイレント・ゼフィルスはビーム系武装を積んだ機体。性能が格段に上がった白式相手では、いくら操縦者の技能が高くても分が悪い。それに、頭に血が上った状態では――

 

「ハアア!!」

「ア――」

 

 ――勝てる通りなど、無い。

 

「雪羅、起動!」

 

 少女を蹴りあげて――集団の中へ突っ込ませる。それと同時に左腕に光が集まってゆくが、亡国機業ものんきにやられるような者たちではない。各々が回避行動、もしくは迎撃に移ろうとするが、不可視の砲弾と光の網がその行動を封じてしまう。

 

「あらあら――逃がしませんわよ、絶対にね」

「往生際が悪いのよ――一夏、これも使いなさい!」

 

 鈴が展開したのは、重力レンズ。その意図をしっかりと受け止めた一夏はにやりと笑い、準備が完了した。

 

「いくぜ――発射!」

 

 左手から放たれた光、荷電粒子砲はまっすぐと突き進み重力レンズにぶつかった瞬間、拡散した。

 本来ならまっすぐ進むために当たる範囲は限られていただろう。だが、重力レンズがそれを変える。照射範囲が広がってしまったことで――すべてのものが逃げきれずにその光の奔流に飲みこまれた。

 

「これで、終わりだ…………ッ!?」

 

 一夏の言葉通り、IS部隊は全滅した――だが、その背後にとんでもないものが控えていたのだ。

 

「なに、あれ……」

「巨大な……何か」

 

 人型であるようにも見えるが――あまりにも巨大すぎていったい何なのかわからない。ただ一つ言えることは、そいつがクラックを開いたことだ。

 いや、クラックの向こう側にそいつがいる。その謎の巨体が両手を使って、内側から引き裂くように巨大なクラックを開いているのだ。まるで、袋の中を覗き込むように。

 

『――オオ、オオオ!』

 

 響くようで、それほど大きくない不思議な声があたりに聞こえたかと思った次の瞬間――ISたちがクラックに吸い込まれてゆく。

 一夏たちは飛ばされぬように機体を制御するものの――風圧でバランスが取れなくなっただけで実際は吸い込まれていなかった。ただ、亡国機業の関係者すべてがその時にいなくなっていたことだけは、間違いなかったが。

 

「……いったい、何だっていうんだよ」

「さあね……なんか、きな臭くなってきたけど…………正直、今日のところは撃退出来たってことでいいんじゃないかしら?」

「そうですわね。一夏さん、鈴さんお疲れさまでしたわ――一夏さん?」

「え――一夏!?」

 

 二人が叫び声をあげたとき――一夏が、ふらふらと体を揺らして……ゆっくりと意識を失いながら地面へと落ちていった。幸い、ISは解除されなかったので怪我もなかったが、彼の意識はゆっくりと落ちてゆくのだった。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 まったくもって度し難い。

 貴重なISコアが学園のほうにわたってしまうところであったではないか……

 シャドウの奴……IS学園に潜入というのはいいのだが別に先遣隊として送ったわけではないというのに…………やはり、潜入捜査やその道の才能を持っているくせに、自尊心が高くて不安定過ぎる。

 うまくいけばIS学園を落し、全てを掌握するための足掛かりとなったであろうに……忌々しき仮面ライダーめ……その意思は受け継がれているということか……

 

「首領様、シャドウもバカというわけではないようでして――このようなデータを持ち帰ってきました」

「……見せろ」

「こちらに」

 

 秘書より受け取ったタブレット端末を見るに――なるほど。すでに姫は覚醒段階に入っているか。しかしまだ不安定。計画の要とするには厳しいか?

 わが手に黄金の果実の力を集め――欠片を固体化させてみたが……ふむ。

 

「やはり、ことを起こすのは夏が過ぎてからにしよう。それまでは分析を続ける。チャンスと思しきことがあれば、意見をとおしてくれ」

「かしこまりました。通達しておきます」

 

 となれば私も動かねばなるまいな……手より小さなヘビを3匹ほど生み出し、放つ。

 彼らが目的のものを見つけてくれればよし。でなくとも、計画は1年もしないうちに完遂されるであろう。

 

「我が悲願もようやく達成されるのだ……」

 

 完全なる黄金の果実と世界をこの手に――私こそが、この世界の神となるのだ。

 白衣を翻し――ドライバーに手をかけ、ブレードを叩く。

 

【ゴールデンアームズ! 黄金の果実】

 

 身体に装着されるのは、黄金の鎧。

 湧き起こる力を的石この姿こそ――私の本来の姿。

 戦極博士の知識と頭脳を持ち、黄金の果実の力を合わせ持つことで、全てを凌駕した。

 今までの分身はよくやってくれた……唯一の懸念であった銀の果実の脅威も解析が完了したことだし……そろそろ、私自身もうごくとするかな。

 

「ははははははは! 仮面ライダー諸君、最終楽章までもうすぐだ――精々あがくが良い!」

 

 ◇◇◇◇◇

 

 映像が見える。これは、昔の記憶?

 夕暮れの校舎で、俺と鈴が教室に残っていた。

 

『ねえ、一夏……あたしの料理がおいしくなったら、その時は…………あたしの作った酢豚、毎日食べてくれる?』

 

 そうだ。こんな約束だったっけ……おごってくれるわけじゃなくて、食べてくれるか聞いていたんだよな……あれ? でも、それって――

 答えを浮かべる前に、俺の意識は急速に浮上していった。

 ここは更衣室か? ……過去の記憶も気になるが――それよりも今はアリーナでのことが気になる。やはりことの顛末を知らないことには考えもまとまらない。だけど、身体が動かねぇ……

 

(思ったより無茶し過ぎたのか? 鈴との戦いの上に、一度撃たれているしなぁ……それであの戦闘だから無理もないか。そりゃそうだ)

 

 身体は動かないのに、意識ははっきりとしているのも変な感じだが……薄目を開けてロッカーが見えるけど、ほとんど目が明かなくて状況がよくわからない。ただ、頭に柔らかいものが当たっているのは分かるんだが……枕?

 

「それにしても――一夏が仮面ライダーに変身するとは驚いたが……お前は知っていたのか?」

「はい――あたしが転校する、少し前に」

「そうか……英のやつ、状況を知ったのはイイがドライバーのことは調べるなと言っておくだけで切りおって……次あったら容赦せんぞ」

「は、はは……あんまり無茶言わないであげてくださいよ…………あんな怪物相手に戦っているんでしょうし」

「今はリハビリ中だろうがな。ダイダラボッチインベスか、あそこまでデカいともはや怪獣映画だぞ」

「そうですね……一夏も無茶しちゃって…………」

「その割には嬉しそうな顔しおって――代われ」

「嫌です。いくら千冬さんでもこれは譲れません」

 

 あれ? なんで鈴の声がこんなに近くに聞こえるんだ……なんていうか、真上から聞こえるような…………というか枕ももぞもぞ動いている気がするし、どういうことだろうか?

 

「まったく、怪我人のために保健室が満員でなければよかったのに――ああ妬ましい」

「千冬さん……ブラコン隠す気はあるんですか?」

「知っているお前に隠しても意味がないだろうが」

「ですよね……千冬さんって呼んでも怒らないし」

「今は放課後だからな。知り合いのお姉さんと話しているということで構わない」

「そうですか……まあ、あたしはセシリアにこんなことしているのを見つからなくて良かったですけど」

「まったくだ――あとで一夏が起きてきたら伝えてくれよ、よくやった。おかげで死者はゼロ。怪我人こそいたが大した被害もなくことが済んだとな。それにこいつを返しておいてくれ」

「戦極ドライバー……いいんですか?」

「一夏にしか使えんのだろう? それにな、今回のことで痛感したよ…………私がいつまでも守る立場でいるわけではないとな――だが、教師としてお前らにできることは全力で行う。覚悟しろよ」

「うへぇ……千冬さんらしいけど。あと、趣味もほどほどにしてくださいね。一夏、結構気にしてましたし……蘭まで巻き込んでいるみたいだし」

「……同好の士というのは、世代を超えるんだ」

「ああそうですか」

 

 何だろう。聞いてはいけないような会話が聞こえてきたが…………

 

「私は事後処理があるから、一夏が起きたら飯でも食わせてやってくれ」

「分かってますよ」

 

 それだけ言うと、千冬姉は出ていったけど……人の気配が鈴以外にしないってことは二人っきりなのだろうか? なんだか恥ずかしい気もするんだが……

 

「一夏、聞こえていないだろうから言っちゃうね……あの約束さ、本当は――」

 

 鈴が何を言ったのか、聞こえなかった――なんてことは無い。ただ、俺自身その言葉に相応しい人間なのかと悩んでしまったのだ。

 鈴をちゃんと守れたのか、俺の心の中にずっと残り続けていたあの恐怖が――体を支配している。

 

「でもね一夏……やっぱりあたしは勝負とか約束がうやむやになって良かったなんて思っているんだ」

 

 言葉が出せない。今すぐ、鈴に対して何か言わなければとも思うのだが……体が動かせないのがこんなにもどかしいとは思わなかった。

 

「結局あたしは一夏の隣で戦えるぐらい強くなったのか自信が持てないから。土壇場で二次移行したから良かったものの、そうじゃなかったら足手まといだったよね」

 

 そんなわけない。俺に取っては、支えてくれるだけで十分だ。その一言を出すのがこんなにも困難だなんて……

 

「でも、一夏が頑張ったことは本当だと思うから――これは、ご褒美」

 

 言葉を出そうとする直前。ようやく、何か一言だせるのでは――そう思った時であった。

 鈴の顔が迫り――唇がふさがれた。

 

「ん――――」

 

 時間にして、とても短かっただろう。その事実をうまく呑み込めずに――半ば現実逃避気味に考えたのは……鈴がひざまくらしてくれているということだけだった。

 

「……一夏、大好きだよ…………ずっと前から、そして――これからも」

 

 結局、頭が処理しきれなくて再び意識が落ちたのは、言うまでもない。

 ……明日から、どんな顔して会えばいいのだろうか…………

 




何度も言っている――作者はセカン党だと。
どうする一夏!
作者は色々とテンションがヤバかった。


MOVIE大戦面白かったです。ギャグというか鎧武とドライブの掛け合いが。
なんだかんだで総登場の鎧武でしたが、メガへクスはやっぱそういう種族なのね……設定的にも出せそうだけど、ここに出すなら後日談になるよなぁ…………

プロトドライブについては……うん、だと思った。
確定ではないけど……うん、だと思った。大事なことだから二回ね。
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