仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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ようやく原作ヒロインが全員登場。マジ長かった。
そして地味に前にはった伏線をようやく回収できる。


EP136.転校生は貴公子?

 鈴に話しかけようとすると、この前のことが頭をよぎってうまくしゃべれなくなる日々が続いております。さすがにこのままじゃマズイなとは思うのだが、俺の直感が誰かに相談することをよしとしていないし……弾はIS学園にいないし、流石に何でもかんでも相談するのもダメだよな。うん。

 そもそも鈴は俺があの時起きていたことを知らないんだし、下手に話すのもまずいよなぁ……

 

「ハァ……」

「おりむー、どうしたのー?」

「いやさぁ……恋って何だろうなって」

「――え゛」

「まってくれのほほんさん。俺何か変なこと言ったのか!?」

「……」

「おねがい、無言はやめてくれ」

 

 え、おれが恋とか言い出すとおかしいの? っていうか魚の鯉だよねって違うからね。恋愛の恋だから――まってくれ、本気で怖がっている顔しないでくれ頼むから。

 俺ってそういうこと言っちゃいけないのかよ……

 ちょっとブルーになっていたが、クラスの暗い雰囲気は若干払拭された。相次ぐ転校で暗くなっていたからよかったよかった。

 

「まったく、織斑君は突拍子もないことを……でも相手は誰よ」

「まさか――このリコリン!?」

「「「「「それはない」」」」」

「みんなひどい!? っていうか織斑君まで!?」

「ごめん、流石にちょっと……」

「うわああああん! ぐれてやるからー!!」

 

 あ、行っちゃった……まあいいや。

 

「織斑君って結構鬼畜?」

「違うからね!?」

「でも実際、恋とか言い出すってことは相手がいるってことだし……」

 

 いや、そうだけどそうじゃないから。俺の方からってわけじゃなくてその……

 どうしよう。うっかり口が滑ってとんでもないことを言ってしまったらしい。これはそれ以上の何かが起きてくれないと噂が尾ひれツキまくって――クソッ、どうしてこうなったんだ! あ、俺のせいか。

 

「さあさあ、誰がお相手なのかはいちゃいなよYOU」

「屈してなるものか!」

「ふふふ、いつまでそんな減らず口が叩けるか見ものよのう」

「さあいい加減にはいちゃいなさいよー!」

 

 と、そんな風に悪ふざけしていた時だった。

 おもむろに立ち上がったのは――ポニーテールが今日も決まっている箒さん。なんか物々しい雰囲気だが……

 

「お前らもうすぐ織斑先生も来るのだから静かにしろ」

「あーそっか……そうだよねー」

「ありがとう篠ノ之さん!」

「ふん――それに、誰が相手なのかなど決まりきったことではないか」

 

 ――ッ、まさか箒には気がつかれて……いないな。なんか目がキラキラ輝いているけど、あんなに自信満々なときって昔からすっとんきょなことを考えているときだからなぁ……っていうか、セシリアはともかくあの時の一件は箒が知る由もないんだから、気が付くことはあり得ない――ん? セシリア?

 

「――ッ」

(うおう!? なんかものすごく恐ろしい眼光をしていらっしゃる!?)

 

 一体この状況はなんなのか……みんなも修羅場? 修羅場なのって騒ぎ立てないでくれ……色々恐ろしい。

 っていうか弾が言っていたようにマジで背中さされるの俺? いやだよそんな展開――と、そこである意味救世主が現れた。ドアが開いて、身長の低い教師が現れた瞬間、俺たちは示し合わせたかのように一瞬で自分の席に着席することに成功したのだ。だれだって、自分の命は惜しい。

 

「あれ? みなさん立っていませんでしたか?」

「「「「「何のことですか山田先生」」」」」

「? まあ、ちゃんと着席していることはいいことですね!」

「……山田先生は人が良い。まあ、コイツのように爆走していないだけマシだがな」

「ぐおおおお!? リコリンの頭はヤワっこいんですぅ!? 織斑先生のアイアンクローマジ死ねる!」

「むしろ束でさえ悶絶するのにお前はなぜ喋れるのか小一時間問い詰めたいんだが……」

「え、やったね! リコリン篠ノ之博士を越えたよ――うごおあああああああああ!?」

「黙れ」

「はい黙ります。だからそれ以上はらめぇええええええ!?」

 

 哀れなとも思うが、自業自得ということで誰も擁護しない。

 と、席に投げ飛ばされてリコリンは沈黙した。口からなんか出てるけど気にしちゃいけないんだろうな。

 

「さて、出席をとるぞ」

「今ここで起こったことを無視したらいけないと思うんですけど。普通に体罰ですよ?」

「山田先生――ここで日本の法律は適用されない」

「……」

 

 絶句。しかし千冬姉の言う通りなのである。形式こそ日本の高校だが、通常の法律が適応されるわけではない。色々とやってはいけないことは多いのだが、日本じゃできないことが出来たりもするのだ。

 銃や剣の所持が可能だったりね。

 

「よし、全員いるな――今日は転校生を紹介する。お前たち、入って来い」

 

 この時期に転校生とは珍しい。まあ、出てった人も多かったし学園は生徒を欲しがっているんだろうけど……と、そこで入ってきた二人の生徒をみて俺たちは全員唖然としてしまった。

 一人は小柄で銀髪の髪の少女。どこかクロニクルさんに似ているが、どこか冷えた印象の子だ。だが俺たちはそっちに驚いたわけではない。

 

「フランスより来ました、シャルル・デュノアです。こちらに同じ境遇の人がいるとうかがっているのですが……」

 

 もう一人の方。そちらが問題だったのだ。

 柔らかい印象を受けるが、その見た目は――男。

 俺は一瞬でまずいと判断して耳をふさぎ、次の衝撃に備える。見ると、同じ行動をしているのが三人。箒とのほほんさんとセシリアだ。

 

「「「「「キャアアアアア!?」」」」」

「耳がァアアアアアアア!?」

 

 女子たちの悲鳴が炸裂し、教室を振るわせた。転校生たちも不快な表情を――違う!? 男のほうは苦笑いしているだけだスゲェ!?

 山田先生は目を回して、千冬姉はイラッとしている。うん予想通りだ。あと、さっきの痛々しいほうの悲鳴はリコリンである。タイミング悪く起きてくるなんて……なんて不憫な子。

 

「お前ら静かにしろ! まったく、少しは静かになったかと思ったのだが……まあ静かすぎるよりは元気があった方が良いだろう。では、次」

「……」

「…………挨拶をしろラウラ」

「はい、教官」

 

 教官? その一言を聞いた瞬間、俺の記憶に引っかかるものが一つ。

 たしか、千冬姉はIS学園の教師になる前に……

 もしも俺の考えがあっているのなら、なんか面倒なことになりそうな気がするんだけど……最近こんな事ばっかりじゃね? シャルルだって何かありそうで怖いぞ。

 

「ハァ……ここでは教官ではないし、お前は私の生徒なんだちゃんと織斑先生と呼べ」

「了解しました」

 

 本当に分かっているのだろうか? となりで千冬姉が頭抱えそうだけど……いつもの魔法のステッキでも使えばいいんだ。許可するぞ。だからこれ以上のトラブルは勘弁願いたい。鈴のことだけで頭いっぱいなんだよ。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

「えっと……それだけ、ですか?」

「以上だ」

 

 なんとか会話をつなげようと山田先生が頑張ったが――うん、取り付く島もない。

 しかし、彼女は俺のことを見つけると――その瞳に嫌悪感と怒りを浮かべてつかつかと歩いてくる。

 

「貴様が――」

 

 なんとなく眺めていると、その手を振り上げて――俺は思わず親指を立てて手を上に振り上げてしまった。

 

「――ぴゃう!?」

「あ、すまん。反射的に」

「ぐっ――み、認めるものか! 貴様があの人の弟であることなど決して!」

 

 振り上げた親指は彼女の二の腕にクリーンヒットして変な声を上げさせてしまったが……いきなり殴られそうになったしと自己弁護。しかし、そこにかけられた言葉は明らかに敵意に満ちていた。

 そして注目する視線。ハハッ――またこの視線か。しかし、おかげでさっきの恋発言は有耶無耶になったから良しとしよう。グッジョブである。転校生たち。

 

「まったく……頭が痛い。お前たち、今日は一限から実習だからな。急いでアリーナに集合!」

「「「「「あいあいさー!」」」」」

「残った奴らは元気はあるのだが、どこか変だな……」

「ま、まあいいことじゃないですか。前向きで」

 

 胃袋は前よりダメージがでかいけどな。

 あとで千冬姉に薬届けないと……どうせ自室は腐海なんだろうし。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 他クラスから女子がシャルルをみにやってくるとも思ったのだが、どうやら今はそんな元気もないらしく誰も出てこない。うーん助かったけど、色々と考えさせられるものがある。

 

「なんか静かだね」

「まあ、このまえのことがあったからなぁ……」

「それって例のテロのこと?」

「ああ。っていうかシャルルもよくこんな時期に転校しようと思ったよなぁ……あ、俺のことは普通に一夏って呼んでくれていいからな」

「うん。一夏……まあ、僕の場合は仕方がなかったってこともあるかなぁ」

「そりゃ数少ない男の適正者だしな……シャルルの場合見た目が女っぽいからISに間違えられただけだったりして――なんて……シャルル?」

「な、なにかな一夏!? そ、そんな変なこと言い出すなんてさぁ!」

 

 ……あれ? なんでそんなに動揺していらっしゃるのだ?

 いやいやいやいや、シャルルは男だろ。動揺する理由なんて――と、そこで前に英さんの言っていた一言が頭をよぎった……『男装の令嬢が襲ってくるかもという気構えで行け!』……え、本当に男装の令嬢じゃないよね?

 

「……と、とりあえず時間もないから早く行くぞ」

 

 ガシッとシャルルの手を取れば、ひゃっという可愛らしい声が……うん俺は何も聞かなかった。

 だから、これは気のせいなんだ。気のせいったら気のせいなんだ。貴重な男がそんな展開なんて……

 

「う、うううッ」

「なんで泣いて――きゃわああああ!?」

「うおおおおおおお!」

 

 ロッカーまで全力ダッシュ。急いで着替えるが、後ろで真っ赤になっているシャルルなんて知らない。

 ひっかるんだよなぁとか呟いたら聞き返してくるシャルルとか知らない。最初からISスーツを中に来ていてごまかしている風なシャルルなんて知らないッたら知らないんだ!

 だから神様――お願いだから嘘だと言ってよ。

 

「ど、どうしたのよ一夏!? なんか疲れているけど!?」

「鈴――俺はもうダメだわ……」

「い、一夏ぁあああ!?」

「何をやっているのだバカ者ども……」

 

 そ、そうだ千冬姉だ! 千冬姉が気が付いていないわけがないんだ!

 だから俺はちょっと聞きたいことがと言ってこっそり話しかけることにした。あまり無駄話をしてはいけないから簡潔に。

 

「なんでシャルルはその……」

「まあ色々と家庭の事情があるようだからな。厄介な生徒を押し付けられたのだ。しかし――新刊のネタになるな。柔な少年との絡み……フフフ」

(ダメだ、目先の欲で気がついちゃいねぇ!?)

 

 っていうか周りは誰も気が付いていないの――あ、一人気が付いていた。

 

(や、山田先生!)

(やっぱりそうですよね! どう見てもそうですよね!?)

(ああ良かった同じ認識を持っている人がいて……っていうかなんでみんな気が付かないんだ!?)

 

 専用機持ちが実習を見てれということで、フランス国家代表候補生のシャルルは専用機持ち。よって実習を手伝う方に回っているのだが女子が群がって――第一印象から決めていましたと手を差し出す始末。

 ああ、俺がおかしいのか? 鈴もシャルルの顔をよく見て気が付いてきたみたいだし……

 

「ねえ一夏……」

「言うな。俺はいま世の中の不条理さを認識しているんだから」

「ふふふ、どうせ何か言っても相手にされませんよ……なんか政治的パワーゲームもありますから」

「どうなってんだろうな……いや、俺も事前の忠告が無かったらここまで確信しませんでしたけど」

「ああハリセン持ってくればよかった……なんで織斑先生が気が付いていないのよ」

「お腐れ様モードだから」

「そうなった先輩は、普段以上にポンコツです」

 

 そうだ――ボーデヴィッヒさんは気が付いて……いるっぽいけど我関せずだな。うんわかってた。っていうか誰か近づいて行ってやれよ。あそこだけ人がいないぞ。

 

「お前たち! ふざけてないで番号順に並べ!」

 

 そんな千冬姉の鶴の一声もあったからすぐに並んだわけだが……シャルルのところの人たち、喜んでいるところ割るけどそいつは……いや何も言うまい。

 ちなみに、セシリアと鈴のところはまあ二次移行した二人だしとそれなりに納得。俺のところはまあ普通に。

 シャルルのところが狂喜乱舞。そして最も悲惨なのが――ボーデヴィッヒさん。あそこだけお通夜である。

 その後は実習も滞りなく進んだ――途中、ISをしゃがませずに解除したために次の人が乗り込めないというトラブルもあったが、俺のシールドビットを使ったので普通に進められた。うん、何事もなくて良かった。

 されど、問題なのは……シャルルが…………

 

「「「なんで女子だってだれも気が付いていないのか」」」

 

 この一点なのである。

 




ここの一夏さんは色々と経験積んでいるので、洞察力も強化。それに加えて英が冗談交じりに言った一言があるので、いきなり気がついちゃいました。
シャルル(自己申告)さんは今後も色々と語ると思うので、気長にお願いいたします。

シャルルには群がったけど、一夏に群がらなかったことに気が付いていた人は割と勘が良いのかもしれない。
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