一夏の出生とかよくわかっていないので絡めづらかったけど、ようやく絡められそうな予感。
さて、ヘルヘイムの森は地球上に重なるように存在していると、前に説明しただろうか? 今回重要なのは重なっているがゆえに、クラックを自在に行き来できることになったことによるメリットである。
それは、森を経由することで移動の際に障害物や目撃者を減らすことができるようになるのである。
しかし……今の状態の英には関係のないことであったが。
「……ああぁ…………」
思えば、戦いの連続。今回も数こそ少ないが犠牲者は出てしまった。しかもISに対して有効な攻撃手段を持っていることも知られてしまっただろう。精神的に戦闘不能にしようと思ったら、まさかスイカロックシードの強力なエネルギーによってISに対して結構なダメージを与えられるとは思わなかった。
大きさや火力の違いから、他のアームズだと苦戦するだろうが……これは将来的に大丈夫なのだろうか? いろいろ早まった気がする。なんというか、ものすごくブルーな気分だった。
「……落ち込んでいても、何も解決しない。まずはホテルに戻らないと…………ああでも、先生にどうやって説明すれば? どうすっかなぁ……」
なんかもう今日は本当に厄日だ。ヘルヘイムの森には入れるようになったが、その代りにしては代償は大きすぎた。
とりあえず、ホテルに戻るのは急いだ方が良いと、再びサクラハリケーンを発進させる。
◇◇◇◇◇
なんとか、ホテルに戻って……ただいまトイレの中です。どうやって戻るかとかいろいろ考えていたが、僕がいなくなっていることでなんか騒ぎになっていたらヤバいし、自然にもどれるかなぁ?
とりあえず、みんながどうしているか確認しよう……どうやら、各自部屋に待機しているらしいけど、みんなで歩いている……しかも、各々自由行動っぽい感覚みたいだし、これならごまかせる――
「さて、説明してもらうわよ」
「あはは、黙秘権は?」
「あるわけないでしょ」
先生に見つかりました。そりゃそうだよね、この人に見られているよね、変身しているところ。
ドナドナが聞こえてきそうな引きずられていく……一応、臨時の保健室として使っている一室へ運ばれて椅子に座らせる。
「……で、アレは何?」
「何と言われても…………えっと、まず今どういう状況なのかききたいんですが……」
「……はぁ、いいわよ。まあホテル内に待機ってことになったわ。仮面ライダーがやってきて、あの怪物を倒したと報道があった後は修学旅行も続行で決まったし、特に何事もないわよ……あ、夕ご飯は終わったからね」
ガッデム!
「それで、あなたが仮面ライダー……ってことでいいのよね?」
「まぁ、そういう風に呼ばれていますね、世間じゃ」
「……そもそもあの怪物はなんなの?」
「インベスって呼ばれている、突然変異体。元々は普通に存在している地球上の生物。それが、ヘルヘイムの森って呼ばれている場所の果実を食べることで、ああなる」
「大体、都市伝説通りってことね」
「都市伝説自体流したのは僕ですしねー」
「ちょっ!? ……ああもう、あなたが勝手に外出したから他の先生方にどう説明しようかと思って聞いてみれば……なんでそんなに詳しいのよっ」
「……ある意味、家族の問題ですからね」
そう、果実の研究には父と伯父が関わっていた。そして、そもそも母から受け継いだ腕輪もなにか関係があった。ある意味では僕の家族の問題でもあるのだ。
「子供なんだから、それこそ大人に相談するとか、政府に連絡するとか考えなかったの?」
「……それじゃあ意味がないんです。第一、子供のいうことを大人が素直に信じますか? 僕はそう思えない。子供の意見ってのは封殺されやすい。それが真実であっても。先生にも、あの時なんで信じなかったんだっていう苦い経験ありませんか?」
「うっ……たしかにあるけど…………」
「それが答えです。第一、これは僕が自分で選んだことです。だったら、大人だとか子供だとかそんなくだらない理由は最初からないんですよ。もうすでに犠牲者は出ている。僕にはあの怪物を何とかできる力があって、大本をたたけば止まる可能性がある。戦うか、戦わないかなんて一番最初に通った道です。だから、誰かに僕の正体をバラすつもりなら覚悟してください。何の覚悟もなしに、一人の人間の未来を奪うなんてことはしないでほしいんです」
「……はぁ、人付き合いができて、周りからも結構頼られているからこそ、篠ノ之さん以上にたちが悪いわよ、君」
「自覚はありますよ。少なくとも高校は卒業しておきたいのでマジでバラされるとホームレス生活を強いられますよ、僕」
「……そして、自分の人生が終わるからって理由で脅す人なんて生まれて初めて見たわよ」
「でしょうね。あと、僕らの町ってインベスの出現率世界一位ですから僕がいなくなると、リアルバイオハザードの幕開けですよ。インベスに傷つけられると、体を植物が侵食してゆっくりと死にますし、最悪自分もインベスになる可能性もありますから。果実を見ると異常な食欲に襲われて食べちゃいますし」
「むしろ私が引っ越したいわよッ」
それはごもっともだが、知ってしまったのが運の尽き。この人が生徒たちを放っておいて一人で逃げられるような人ではないことも知っているのだ。
とりあえず、僕以上に厄日だった先生である。
◇◇◇◇◇
結局、その後は奈良の観光など残りのスケジュールをとくにアクシデントもなく進行した。ただ、一つ問題があったとすれば……ものすごく機嫌の悪い人がいたことだろう。
「……」
「束、いつまでむくれているつもりだ」
「だって、あの変な鎧が私の作ったISを倒しているんだよ!? しかもあの怪物はなに!? なんで私のISのシールドや絶対防御を貫いているんだよッ、もう絶対防御じゃないじゃんッ」
「もともと、死なない程度にダメージを与えることは可能だったから絶対でもなかったがな」
「ムキーッ!」
これ、仮面ライダーが僕だって知られたら篠ノ之に殺されるんじゃないだろうか? 私のISをいじめたなー! とか言われて。
いやぁさすがにないよな。ないよね?
「そういえば、あの怪物のことは何かわかったのか束?」
「それが、束さんの解析力をもってしてもよくわからないんだよね。出てくるときに空間がゆがむから、電子機器が誤作動起こすし、困ったものだよ」
「……さすがの天才でも弱点はあるよな」
「ああん? 束さん機嫌悪いから、今ならお星さまになれるキャンペーン実施しちゃうよ?」
「織斑、この前の篠ノ之の国語の点数は?」
「……38点。ギリギリ赤点だったな」
「…………お、覚えてろよぉ! あとちーちゃんの裏切りものぉぉ!」
いきなり立ち上がると、篠ノ之は駆け出して行った……おい、ここ新幹線の中。まぁ、男と女のマークが描かれたパネルが点灯したところを見ると……僕は何も考えなかった。その方が色々とよさそうな気がする。
「まったく、束にも困ったものだな」
「……まあ、いつものことですね」
「しかし、まさかISでも勝てないとは……いったい何なんだ、あの怪物は?」
「インベス。そう呼ばれているよ……まあ僕も知っているのは都市伝説と同じ情報だけどね」
嘘は言っていない。都市伝説流している大元は僕だし。出回っている真実は全部僕発信だしね。
「宇宙人の侵略だとか、地下帝国が攻めてきただとか、あとはどこかの研究施設の実験体が野生化したとか色々憶測が出回っているな。私は新種のUMAに一票だが」
「織斑も結構、そういうの好きだよな……なんだか、うさん臭そうな雑誌買っているところみたぞ」
「…………束と一夏には言わないでくれ」
「あいよ」
凛々しいと言われる織斑だが、その中身は割と天然さんである。あと、いくらやっても家事が改善しないからたまにヘルプで呼び出されたりもした。そのおかげで最近、一夏君になつかれたし……あの時の織斑は怖かった。このブラコンは時々恐ろしい。織斑は家事の才能の欠片もないから、一夏君に色々伝授しよう。あの子は才能がある。おやつにホットケーキを作ってあげたら、レシピを一回で覚えたし……将来は料理人?
「とりあえず、カップラーメンは作れるようになろうな?」
「いきなり何なんだ!? というかさすがの私でもそれぐらいはできるぞ!?」
「うっそだー、ちーちゃん生タイプの即席めん作るのに失敗して――」
「やめろ織斑ッ篠ノ之が顔青くなってる! なんでアイアンクローで人が持ち上がるんだよ!? 宙に足が浮いているのはダメだってッ!」
その後、思わぬ形で保険委員の仕事をすることになった……ちなみに、篠ノ之は助かったが、学校につくまで虫の息だった。まあ、迎えに来ていた妹さんを一目見た瞬間、回復したんだけど。
あと、このシスコンは織斑よりひどかった。なんで妹さんが僕にあいさつしただけでメンチ切るんだよ。
◇◇◇◇◇
翌日の朝。思わず衝動買いしてしまったが、京都土産の木刀で素振りをする。
無双セイバーはどのアームズでも標準装備されているし、この前ヒマワリロックシードをブレードで切ると無双セイバーだけでも展開できることが分かった。アームズを装着するときってどうしても隙ができるから緊急時に便利、かもしれない。
まあ、その場合純粋な身体能力が必要なので、こうして素振りを始めた次第だ。
「これは本格的に、篠ノ之のところの道場に……いや、ドライバーとか色々見つかるとまずいな。やっぱり我流かなぁ……この辺他に道場もないし、どうするかなぁ……」
汗もだらだらと出てきたところで、いったん止める。そういえば、スイカアームズの戦闘データをまとめるの忘れていたな。アレ、一度使うとエネルギー充填に時間がかかるからなかなか試運転できないからこそ、戦闘データはかなり貴重である。エネルギー面での問題を改善できれば、IS相手にも戦えるだろうし……そもそも戦わないのが一番なのだが。
その前に、シャワーを浴びて汗を流してから部屋に戻ってパソコンを立ち上げる。研究所で手に入れた機材でパソコンとドライバーを接続し、データを呼び出す。戦闘データを読み込んで、駆動系の不具合がないか確認したり、モード変形のバグを取り除く。これなら、ジャイロモードも問題なく使えそうだ。
ふと、前に手に入れたエナジーロックシードを取り出す。相変わらず、機能停止している状態。読み込もうにも、それすらできない状態だし……どうしたものか。
まあそれは帰ってきてからでいいだろう。ちょうどいい具合に修学旅行あとに連休が入った。まあ、翌日はみんな動けないだろうし……ついでにと他の休日もその次に入れられたのである。だからこそ、前から考えていたことが実行できる。
とりあえず、リュックと食糧……は一応持っていくか。あと着替えと、緊急用にいくつかヒマワリロックシードを入れる。
さあ、ついに行く時が来た。
「いざ、ヘルヘイムの森へ!」
ある意味一番被害を受けたのは先生です。保健室は束さんに占領されたり、信じていた主人公はこんな感じ。山田先生的なイメージで書いていたからなぁ……
次回ようやくヘルヘイムの森に突入。