EP143.夏がくる
臨海学校が近いわけで、水着とか色々と必要になるわけである。色々とトラブルや事件も多かったIS学園だが、最近はみんな落ち着きを取り戻していて――
「やっぱり新しい水着ほしいよねー」
「だよねー、まあ去年のも悪くはないんだけど」
「ああ!? 去年の水着が入らないよ!?」
「こっちも……買い替えかなぁ」
「リコリンも……胸がきつくなって」
「「「裏切り者には死を!」」」
「びゃあああ!?」
――落ち着き?
「しかし、明るくなっているというのはいいことだよな」
「一夏さん、目の前の光景から目をそらさないでくださいな……ですけど水着ですか…………これはチャンスですわね。厳選しなくては」
「嫁よ、何故皆は水着を買おうしているのだ? 学校指定のものがあるではないか」
「ラウラ、一般常識をもうちょっと学ぼうな……」
「ラウラさん――シャルロットさん、あとはがんばってください」
「なんで僕!? じゃなくて私だった……って、それよりもなんで私に頼むのさ」
「ルームメイトのよしみで頑張ってください。あとタッグマッチでもコンビではなかったではないですか」
「そうだぞ。他のみんなよりも知った仲だろ」
「自分たちが面倒だからってそれは酷くいかな!?」
「そもそもシャルロットさんも水着が必要なのではなくて?」
「――あ」
「適材適所だ。俺はちょっと食堂のおばちゃんたちと尋常に勝負したいから忙しいし」
「わたくしもオルコット家の仕事がいくつか溜まっておりますので」
「まって、セシリアは分かるけど一夏のはいったい何なの?」
「今日こそは勝って見せる――俺の料理で」
「トーナメントの時よりも目が真剣なんだけど」
「ぐっ――やはり長い間練習していた鈴さんが料理に置いては有利。わたくしではまだ一歩及びません」
え、一歩? それどころか一光年ぐらいの距離が――
「げふ」
「一夏さん、口にはお気をつけくださいませ」
「は、はい……」
そんなわけで迎えた休日。結構な数の生徒が水着を買いに出かけている中、俺は食堂で決戦の日を迎えていた。白熱する勝負。互いに一歩も引かない。味、見た目、食感、その全てにおいて上回るのだ――そんな気迫の料理対決だったが、一緒に買い物に行こうと誘いに来た鈴の作った酢豚により敗北するのであった。
「ま、負けた……」
「お嬢ちゃん、ここまでの腕とは相当な修練を積んだね……」
「ごめん、この空気がよくわからない」
「流石だぜ鈴……この酢豚にはまだ勝つことができない。だが、次こそは必ず!」
「あたしゃ、もう年だと向上心をなくしていたのかねぇ……まだまだ若い子には負けないよ!」
「だからこの空気はいったい何なのよ!」
◇◇◇◇◇
「ほんとにもう、なんか画風が変わるぐらいに真剣になっているかと思えば……バカじゃないの?」
「ははは……すまん」
色々とストレスが溜まっていたんだ。思うように料理が作れなくてさ。IS学園では食堂があるため自分で料理を作る機会が少ない。そのため、俺の趣味の一つがなかなかできなくて……特訓も多かったし。
「まったく、ほら今日はいい天気なんだから外に行くわよ」
「わかったよ――あ」
「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
若い男女が、青空の下二人で――なんて考えてしまったが……そういう意図がない――わけでもないんだろうなぁ……結局、鈴の気持ちを知ってしまったのはフライングだった。お互いがギクシャクしないで済んでいるだけでも良かったと思うべきなのだが……俺は、相変わらず答えが出せないまま。
いや本当は……
「一夏? どうしたのよ思い悩んだ顔をして……」
「なんでもない。ほら、買い物に行くんだろ」
そう言って手を差し出すと……少し顔を赤くして、鈴が掴んできてくれた。うん、やってみてあれだけど恥ずかしいなコレ。とりあえず、ショッピングモール――は誰かと遭遇するだろうから他のところに行こう。
道中は会話も弾み、楽しいと思える一時だったが――おそらく鈴は、俺が鈴の気持ちに気が付いている、もしくは知っていることに気が付いているのだろう。会話の中で、それっぽい反応がちらほらとあったのだが……鈴もあえてその話題を避けている。
今その話をしてもお互いが気を使うだけなのだ。長い付き合いだからこそ分かる。ずっとこのままというわけにもいかないのだろうけど、無理やりに答えを出すよりかはいいだろう。
(まあ長くとも今年中に答えを出さないとなぁ……ラウラの件もあるし、下手に行動すると厄介なことになりそうなのがまた……)
と、そこで見つけたのは総合スーパー。昔は鳩のマークだったアレである。ここなら水着もあるだろうが……
「やっぱ専門の店とかに行った方がいいか?」
「……ふふふ、むしろ周りは敵だらけの場所に誰が行くか」
「あっ――すまん」
「素直に謝られると逆にむかつくのよ! っていうか箒といいセシリアといいシャルロットといいなんであんなにデカいのよ! 乳なんて脂肪の塊よ! それなのにそれなのに……」
「…………」
「……羨ましいのよ」
「そ、そんなにか」
「胸のいらない女子なんていないわッ! 口では肩が凝りそうで嫌だとか言っていてもちょっと揺さぶればすぐに本心をさらけ出すわよッ!」
そっか……もう貧乳とか言ってからかうのはやめておこう。
「うう、身体鍛えても……減るのはいつも胸から…………責任とんなさいよ」
「なんでだよ!? むしろ、それ前にも聞いたぞ! ほら、鈴が漏らし――びぶるちゃ!?」
「だから不用意な発言に気をつけなさいとなんど言ったらわかるのかしら」
「ず、ずびばぜん」
だからって思いっきり殴らなくてもいいと思う。
まあ普通に水着はここで買うらしいが……最近はこういうところでも品揃えは結構豊富らしい。俺としては、フライパンとか見に行きたいんだが……
「今度は天津飯でも作ろうかしら」
「すみません、心を折らないでください――っていうかなんでそこまでうまくなっているんだよ」
「あれよ、食べてもらいたい人に作って――――ごめん、今の聞かなかったことにして」
「お、おう」
その後、しばらく無言で水着を買うことになるが――正直目のやり場に困った。自分では気にしている割には無いわけではないんだよなぁ――いかん、邪念が……
結局色々と恥ずかしくなって最後はよく覚えていないが――鈴が買った水着は俺が一番目線を向けてしまっていた物とだけ言っておこう。
「それじゃあ、適当にお昼でも食べて――ッ」
「どうしたのよ一夏? なんかとんでもないものを見つけたような顔をして……え」
俺が見ていたのは、玩具売場。そこに――なんか見覚えのある宇宙船のブロック状おもちゃが存在していた。
それは俺も実際に飛び立つところをこの目で見たものだった。乗組員のほとんどが知り合いという感じのアレであった。近々また会うんだろうなぁと思っているあの人たちの乗っている船だった。
「なんでスレイプニルがLEG〇になっているのよ!?」
「俺が知るか! っていうかなんであるの!?」
色々な意味でビックリだわ! いや、英さんならやりかねん。あの人結構ふざけるときはとことんふざけるし……で、束さんも悪乗りして百花さんも動き出して交渉を進め出して――いかん、可能じゃないか……
「今度聞いてみるわ……いや、よく考えたら実際に飛んでいる宇宙船なんだから知名度は高いし、ありえなくはないのか……」
「あたしも良く知らないけど、あれって何しているところなのかしらね……特殊実験施設だってのは聞いているけど」
「まあ、俺も詳しいところは知らないが……普段は鈴の言う通り研究機関としての活動がメインだって本人に聞いた覚えがある。機密じゃない部分ぐらいしか聞いていないが、スペースデブリを回収して再利用しているとか」
「へぇ……じゃあさ、あそこにいるのは誰?」
「誰って……そりゃ、デート中の英さんと束さんだろ――なんでいるんだよ!?」
あ、おかまいなくじゃなくてなんでいるの!? え、臨海学校におじゃまするからその時のための水着選び? だとしても忙しいんじゃなかったんですか!?
「デスマーチは終わったよいっくん」
「たまには休暇を出さないと僕ら死にますから……ふふふ、下手なブラック企業よりもブラックだから」
「だめだ、完全に壊れている……」
「ああそうそう、一夏君やこの資料をあげよう」
「なんですか藪から棒に――って、そっかシャルの」
彼女の家庭環境に疑問を覚えたから、なんとなく電話で聞いてみたのだが……忙しそうだったので後回しにしたんだっけか……
ちなみに、あだ名で呼んでいるのはシャルルとシャルロットのどちらで呼べば混乱するためにあだ名で呼ぶことになったのである。
「そこに書いてある通り――割とどこにでもあるありふれた話ってやつだよ。いやぁ。IS学園には家族に関して色々苦労はしている子が多いね――僕も含めて、そういう悲劇や苦労は割とありふれたものなんだけどな」
「それは……」
「すまん、気にしないでくれ――それじゃあ、また臨海学校の時に会おう。あと、白式の整備とかもするからなー」
「体には気をつけろよいっくん! それと……やっぱ男の子の方から言うべきだと思うよ束さんは」
「ッ――ゲホッゲホッ!? なに言い出すんですか束さん!」
「まあ、無理にとは言わないけどねー……それと、箒ちゃんの様子は?」
「あー怪我したのは……知ってますよね」
「うん。一応、箒ちゃんの保護者の名義は束さんだからね。来年からは変わると思うけど」
「来年からは?」
「ま、計画が成功したらかなぁ……そしたらスレイプニル船員も一端解体して、色々と考えないと……」
なんだろう……なんか知らぬ間に色々と進んでいるみたいな…………
「ところでいっくん、ちーちゃんのその……計画ってどの程度進行しているか知ってる?」
「け、計画?」
「もしかして知らない?」
「そもそも何の話なのか……」
「そっか、でも気を付けてね――ちーちゃんは、全ISスーツを魔法少女の衣装にするつもりだから」
「――――は」
「ブホッ――――ちょ、何考えてんのよ千冬さん!?」
「りんりん良いリアクションだね」
「りんりん言うなぁあああ!! いくら大天才とはいえ言っていいことと悪いことがあるわぁああ!!」
「ちょ、落ち着け!」
急いで羽交い絞めにするが――なんてパワーだ!? そういや、鈴は昔いじめられていたからなぁ……
「な、なんかごめんね……とりあえず気を付けてね」
「ああうん――あ、そういやもう既に被害者が一人いたな」
「え!? も、もう?」
「ああ――ラウラって奴なんだけど……どうしたんだ束さん!?」
「気にしないでくれ。帰ったらなんて説明すればいいのか思い悩んでいるだけだから」
「は、はあ……」
「とりあえず僕らはもういくけど……最後に一言。IS学園って文化祭があるよね」
「え、ありますけど……ってなんでそのまま言っちゃうんですか!? おーい……ホントに行きやがった」
「なんか嵐の様な感じだったわね……なんで文化祭の話?」
「さぁ……そういや昔、千冬姉たちのやっているものを見に行ったことがあるんだよなぁ……英さんが女装させられたり、山田先生がミスコンで連続優勝したり――あと、千冬姉が魔法少女の格好をしたり――――あ」
「――――すぐに帰って止めるわよ!」
「ああわかった! なんか嫌な予感がするんだ!」
急いで学園に戻った俺たちを待ち受けていたのは――紅白の最後を飾るつもりなのかと言わんばかりの魔法少女の衣装である。というかもはや魔法少女すらないだろ!?
色々と迷走していた千冬姉に説教をすることになったし……あと、水着を自作していたのだが、ピンクのフリフリはやめてください。家族のことも考えてくれマジで。
というわけでデート回は鈴さんが手にしてしまいました。色々と関係性が変わっているために起こったバタフライエフェクトとでも思ってください。
あと、色々ネタに走り過ぎたな。
斬月とバロンの新アームズの情報が出回りましたね……色々とツッコミどころが多いような気もしますが。
あと、新ライダーがさらに二人追加。うん、時間がある時に番外編でいつか書くことにします。
俺、バイトしてバトスピ界放祭にいくんだ……