仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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山なしオチなし。次回へのつなぎとか色々あったのです。


EP147.天才との邂逅

 他の生徒たちも束さんたちが来ていることに驚くものの、千冬姉の友達というのは有名な話だし、俺の白式の開発が誰だったのかを思い出して彼女らは各々の作業に戻ってゆく。

 ま、山田先生が前に言ったスーパーに出没したとか、バカ夫婦とかその辺の話もあるからな……現に変な登場の仕方をしているし。

 

「まったく、早く本題に入れ」

「はいはい――それじゃあ、まずは空をご覧あれ!」

 

 空? そう思って空を見上げると――空中から銀色に輝く謎の物体が降ってきた。地面に落ちると思ったその直前でゆっくりと減速し、地面から数センチ浮いた位置で制止するけど……PIC? ってことはこれはISなのか……でも鉄の塊みたいな……

 

「とりあえず、コンテナを開こうか」

「ってコンテナなのかよ!?」

「そうだぞ一夏君。新開発した物資運搬用のコンテナでな、スレイプニルから射出している」

「……じゃあ外装はISじゃないんだ」

「ああ外装はな」

 

 そう、外装は……中から現れたのは、紅いIS。形状は白式をより鋭角にした感じだろうか? 細かいプレートのようなパーツで構成されているのが特徴的。

 しかし、なんていうか各所にへんなパーツが取り付けてあるんだけど……

 

「新開発の第四世代型IS、紅椿だよー」

「だ、第四世代!? 各国がまだ第三世代までの開発しかできていないのにですか!?」

 

 シャルが驚いている通り、まだ他の国や企業では第三世代までの開発しかできていない。いや、していないと言った方が正しいか。

 

「シャルロット、それは違うのよ……たしかあんたが転校してくる前に授業で話だけしたことだし教科書にも載っていないんだけどね、世代ってのは定義された条件によって決まるのよ」

「定義された条件?」

「そうだ。実のところ性能さえ気にしなければどの国も第四世代のISを作れるのだ」

「え――」

 

 第一世代はISの完成。第二世代はパッケージによる後付けができるようにしたこと。第三世代がイメージインターフェイスを用いた装備。そして第四世代が単体で運用可能な万能機。

 ここら辺の話は教科書に載っていないため、シャルが知らなくても無理は無いよな……というか、ラウラは知っていたのかよ。

 

「資料を見れば気が付くことだ。ただ、だからと言ってISの開発ができるわけではないがな」

「ま、そりゃそうだ……そろそろ本題にいくか。束さん、そのISは?」

 

 まさかとは思うんだが……箒がここにいることを考えると一つしかないだろう。

 

「うん。箒ちゃんのISだよ」

「やっぱり……一つ聞きますけど、最大スペックは?」

「現行トップさ! まあリミッターをこれでもかってかけているし防御モードしか使えないけど」

 

 まあそれもそうだよな。英さんが補足説明してくれたが――束の妹である箒は狙われやすい立場にいるため自衛のためにISを持たせることになったらしい。

 テロとかもあったし、箒も怪我したしな……別件で。

 

「――――なんですか、それは」

「ほ、箒ちゃん?」

「いえ何でもないです…………」

 

 思わず言葉が出た。そんな感じだったが――箒はそれから一言も言葉を出すことはなかった。ただ、紅椿に乗ったとき……少しその顔に微笑みが見えたのは気のせいだろうか? 何か、背筋が寒くなるような――

 

「データは入力したけど、おおむね問題ないね。不具合があったらまっちゃんとかに頼んでね」

「なんですかまっちゃんって……さっきのよりはいいですけど」

「まだ根に持ってる……これでもあげるから許して」

「別に根に持っているってわけじゃ――って何ですかこれ!?」

「何って……学生時代の想い出」

「なんで写真に撮っているんですか!?」

「大切な想い出だよ!?」

「だとしてもこれはおかしいでしょう!?」

 

 白熱する二人。箒も微妙な顔で――いや、なんか怖い顔してる。だからどうしたんだよ……何か話しかけた方が良いんだろうか――しかし、それを英さんに止められてしまう。

 

「あんまり、口出すな」

「でも……」

「これは箒が自分で気が付かないといけない問題だ。自分から変わらなくちゃ――何も答えてくれない。それを実感しないと、ダメなんだよ」

「……」

 

 辛そうに。唇をかみながら英さんは俺を引き留める。一体何があったのかはわからないが……箒の為を思ってくれているのは分かった。だからこそ、俺もそれ以上は何も言わない。

 ちなみに――山田先生に渡されたのは彼女がミスコンで優勝したときの写真らしい。うん、そんなこともありましたね……

 

「じゃあ、みんなIS出してー」

「え!? 篠ノ之博士が見てくださるのですか!?」

「今回はそのためでもあるから。特にそこの二人は白式のデータを使ったみたいだし」

「そういえば……」

「たしかに。開発元でも手が出しにくいって言っていたのよね……」

「ですが、我々もよろしいのですか?」

「うん。そうだよね……」

「…………ところでみんな、私のこと忘れていない?」

 

 ――あ、簪…………えっと、スマン。

 

「いんだ。どうせ私なんて……影が薄い存在。お姉ちゃんの後ろに隠れるぐらいキャラが薄い存在なんだよ」

「えっと簪のお姉さんって……今代の楯無だっけ?」

「あたしはIS学園の生徒会長をしているって聞いたわよ」

「そのような話を聞いたような覚えがありますが……正直、入学式でしかあったことがありません」

「俺は一度も見たことが無いような……あるような? あれ? あったっけ?」

「あたしは……やばい、あまり思い出せない」

「わたくしもです……メガネはかけていなかったと思うのですが」

「私は見たことないなぁ……」

「資料でだけなら」

「更識姉か……ある意味問題児だな」

「悪い子ではないんですけど……」

「っていうか高校生だったの!? 僕初めて知ったんだけど……てっきり同年代かと」

「そういえば英はあったことが無かったよね」

 

 簪の機嫌はとたんによくなった――鬱屈しているなぁ……姉が自分より影が薄いんじゃないかと思ったとたんに機嫌がよくなったぞ……

 まあとりあえず俺たちは何も言わずにISを展開する。うん、さっきのことは忘れよう。

 

「いっくんが男の子だからか、白式のフラグメントマップは変な成長をしているね」

「それ、けなしてます?」

「ううん……うん、問題はないよ。で、それが雪羅――二次移行した結果獲得した武装だね」

「はい……でも荷電粒子砲なんてどこから覚えたのか」

「あー…………気にしなくてもいいと思うよ!」

「知ってるだろ。なんでこうなったか知っているだろ」

「……さて、次は鈴たんの方に行くね」

「おい」

 

 マジで行ったよ……英さん、結局原因は?

 

「最高機密」

「ええぇ……そんな」

「まあいいじゃないか――とりあえず、追加パッチ当てておくな」

 

 英さんが取り出した機械を白式に取り付けると――すぐにデータが表示されて視界が少し変化する。

 

「えっと、これは?」

「白式には射撃武器用のインターフェイスが未搭載だからな。コアの性格上無理なんだけど、ある程度ロックオンして補助してくれる機能を付けた――ほら、ロボゲームとかのロックオンみたいなあれだ」

「ああなるほど……」

 

 確かにそれは便利だ。これで命中率も……

 

「それじゃあ次は鈴ちゃんだな」

「うーん……なんていうか、わかりやすいというかなんていうか――白式の補助のために進化したって言うか」

「…………ノーコメントで」

 

 俺も反応に困るので、あまり滅多なことは言わないでください――なんかセシリアが怖いんですけど。

 

「可変装甲か……展開装甲のデータを基に、いくつかあらかじめ決めたパターンだけに変形する機能……重力レンズの使用率が高い……面白い進化だね。十分三次移行可能だよ」

「本当ですか!?」

「まあ、時間と経験がいるけど……サポートじゃなくて単独での運用をもっと考えた方が良いかも」

「そっか、単独で……」

 

 おお高評価……あの、俺には淡白すぎやしませんか?

 

「いっくんだってもちろん驚いているよ。雪羅だけなら予想の範疇だけど――シールドビットには驚いたよ。英の取り付けた白夜をそんな形に進化させるんだから。でも、使い方はもっと多いはずだよ」

「使い方……」

「もっと頭を柔らかくね」

 

 柔らかくと言われても……うーん…………盾以外の使い方とか? でもそれって……

 俺がうなっていると、次にセシリアのところへ。

 

「セッシーはエロイなぁ」

「なんですかいきなり!? というか、このISスーツ……聞きましたわよ製作秘話」

「――――ちーちゃん何しゃべってるの!?」

「おいおい、何故私がしゃべたっと……」

「英以外でそれ知ってるのはちーちゃんぐらいだ!」

「……いやまあ、私が喋ったんだけどな――今じゃ酒の席での鉄板ネタ――――あべし!?」

 

 ああ!? 千冬姉が甲子園の白球のように飛んでいく!?

 

「とりあえずあのバカは放っておくよー」

「あの……篠ノ之博士、織斑先生をあのまま放置してもよろしいのでしょうか?」

「大丈夫大丈夫。そのうち復活するから」

「は、はぁ……」

「とりあえずセッシーのISは……おっふ」

「なんですのその反応は!?」

「うーん、丁寧な感じなんだけど……なんていうか、ある意味きわだっているんだよねぇ……自己進化でこうなったパターンは初めて見たよ」

「そ、そうなんですの?」

「うん。大抵は最初からそういう風に作っているんだけど……この子の場合は、自分から際立った機体になったみたいだね。足も細いし、ビットがスカートみたいにくっ付くなんてのも面白い発想だよ――こうして内部のエネルギーラインを切り替えることでモードを切り替えるのか……」

「あの……目が怖いのですが」

「ああごめんごめん……いっくん同様、ビットの使い方がかなり増えているね」

「使い方ですか……」

「そこは自分で模索してね……応用性が高すぎてこれって答えがないから」

 

 そこまですごいのか……いや、俺も考えないとな。

 そして次に向かったのは――シャル。

 

「いっくんたちと一緒にいることでどのような影響が出るのか見たいからねー、ちゃんと会社の方には許可とっているよ」

「それはいいんですが……」

 

 少し軽く見ただけだが、シャルに関してはすぐに終わった。っていうか、それでいいんですか!?

 

「ラピッドスイッチもあるし、操縦者との相性はいい――逆に良すぎて二次移行しにくいぐらい」

「……そうですか…………いえ、良いんです。わかっていましたから」

「これ、乗ってからどれくらいたつ?」

「もう一年以上は…………」

「やっぱりねぇ……壁は厚いと思うから、頑張ってとしか言えないけど…………アプローチを変えた方が良いよ」

 

 次は……ラウラか。

 

「…………VTシステムの影響はなし。コアも無事だね……ただ、経験値がリセットされたようなものだから……二次移行はさらに遠のいたかな」

「いいのです……レーゲンには悪いですが、それも私が招いた事態。私の弱さが原因なのですから」

「自覚はしていると――うん、いいかな」

「?」

「ううん、こっちの話……とりあえず、問題はないみたいだけどこまめにメンテナンスしてあげてね」

「わかりました……布仏あたりが詳しいだろうか…………」

 

 ラウラに何か言うんじゃないかとも思ったが――そんなこともなくて良かった。しかし、ラウラの方をみて少し考え事をしたような顔をしたのはなぜなのだろうか?

 まあ気にしても仕方がないか……簪の方にくると、今度はかなり難しい顔を……どうしたんだ!?

 

「これは……最近、不摂生なことをしていた?」

「…………ちょっと夜更かしし過ぎました」

「かんちゃんだからアニメとかだと思うけど――コアがもう少しご自愛くださいって言ってるよ」

「――――え」

「最近の不摂生は見て余ります。もう少し規則正しい生活を云々……ゴメン、束さんも耳が痛いからもういうのやめるね――って母ももう少ししっかりした生活を送ってくださいってうるさいよ!」

「ひうっ!?」

「いや、コアの方だから……ハァ、個性的過ぎる」

「束が作ったからだろ」

「だとしてもだよ!」

 

 何だろう……執事? 打鉄弐式のコアって一体……俺と鈴、セシリアのコアの人格はなんとなく覚えているけど……キャラ濃かっただろうか?

 

「あの時のことってあまり覚えていないのよね……」

「わたくしもです……なぜか記憶にもやがかかったように……」

「そうなんだよな――なんでだ?」

 

 そういう仕様なんだろうか? ただ、そこまでキャラが濃いタイプではなかったと思う。

 

「とりあえず、かんちゃんは心構えとかの方が先だよね……ちょっと卑屈なのはいけないよー」

「肝に銘じておきます……」

「それに君のお姉ちゃんだって弱点はたくさんあるんだからね――勝負を持ちかけておいて編み物勝負にすればいいんだよ」

「……でも勝負を受けてくれるでしょうか」

「逃げるの? って聞けば一撃だよ!」

「……試してみます」

 

 そういえば束さんって元々悪巧み系の人だっけ……すっかり忘れていたわ。

 と、そこでずっとだんまりを決め込んでいた箒がついに口を開いた――その場にいた全員が凍りつくような発言と共に。

 

「なんで――なんで、そこまで普通にできるんですか」

「……箒ちゃん?」

「昔は、他人なんかどうでもよいと思っていたじゃないですか――貴女は、そうやって生きてきたのに……いまじゃただのいい人みたいな……一体、何だって言うんですか!?」

「…………人が変わるのが、そんなに不思議なこと?」

「――ッ」

「ねえ、私が怖い?」

「そ、それは……」

「いいよ。怖がっても――箒ちゃんには私を怖がる権利があるし、嫌いになられても仕方がないと思ってる」

「――――ア」

「でもね、たとえ箒ちゃんが私のことを嫌いになっても……私は箒ちゃんのことが…………」

 

 その言葉を紡ぐ前に――教師の一人が駆け込んできて、事態が思わぬ方向に動いてしまったことを知る。

 ああ、なんてタイミングの悪い……

 

「海上に、未確認のISが――こちらに向かってきています!」

 

 悪いことってのは、いつも突然にやってくるんだよな……まったく、嫌になるよな。




色々盛り込んでいるけど、気づいた人はたぶん少ない……毎度分かり難くてすいません。

束さんがやらかさないので福音は出てこないわけですけど――次回に続くということで。
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