あと、前回箒さんについてやはりというか、辛辣なコメントが多くて……とりあえず、精神状態がヤバい時にまともな思考回路は無いのです。というわけで少々ご容赦願いたい……私自身昔いろいろあったから…………なぜか自分が辛くなっていて……タイプが違うはずなのになんでだろうなぁ……
嫌な空気を感じる――しかし、この肌が焼けるような感覚の原因を対処するのが先か……
「潜入とか、隠密関係ならやっぱ得意なんだな――田中? それともシャドウって呼ぶべきか?」
こそこそと隠れているようだけど、今更君ら程度には不覚を取らないわけで――後ろに回し蹴りを入れる。
案の定すでに変身済みか。
「――ッ、病み上がりにしては……元気そうじゃない」
「そっちこそ、オーバーロードにはなれなかった――怖がって逃げたのか?」
「うるさいよ……君に何がわかるって言うんだ……」
ドングリの鎧をまとった男。ドリアンの鎧をまとった……オカマ?
まあどっちでもいいか。
「ここでぶっ潰す。体力がまだ戻っていないから無茶はできないんだよ――加減もできないけど」
「だったらここでお前を倒して――自分の力を証明する!」
「待ちなさい――アイツは本気よッ」
タックルを仕掛けてくるが――無双セイバーを鎧の隙間に差し込んで、上に投げ飛ばす!
「――な!?」
「体力は戻っていないけど――だからこそ、こういう技術を磨くことが出来た。体力を戻すのに組手とかやりまくったからな――今更お前程度に負けるわけがない!」
一回。ブレードを叩くことで背中のブースターが一気に解放されるのと同時に、右足にエネルギーが充填される。本当、これは久々だけど……
「とりあえず、寝てろ!」
「――――ア」
クルクルと、身体を回転させた彼は――そのまま木にぶつかって変身が解除された。
そういえば限界以上のダメージを喰らうと変身解除されるんだっけ……っていうかロックシードが煙噴いているし……我ながら恐ろしい。
「……」
「あら? てっきり仇討とか、なんか言い出すかと思ったんだけど……冷静だね工藤先生」
「その名前はよしてちょうだい。コードネームのデンジャーでいいわ」
「そう……それで、何が目的とか聞いても……教えてくれるわけないか」
「ええ。当たり前――と言いたいところだけど。半分は達成したから良いわ。ある生徒を狙ってきたってところかしらね――あとは、インベスの素体に使えそうな体や心を持っている素材さがしってところかしらね」
「――――やっぱ容赦しない」
「それでいいわ――こっちも本気を出せるもの」
僕はハーモニクスカノンと無双セイバーを連結し、デンジャーは新たなロックシードを取り出す――見たことない果実だけど……あれは一体?
【サンショウ!】
サンショウって、山椒? ランクは低いと思ったが――前の大怪我からアームズを見ただけでランクがどの程度かわかるようになった。なんというか、ヘルヘイムの力の放つオーラのようなものを感じるのだ。
――あのアームズはヤバい。確実にランクAを越えている!?
【サンショウアームズ! ドクターポイズン!】
色は赤黒い。小さな粒粒がたくさんついたような鎧は――見ていて気味が悪い。
手には波打った長剣、フランベルジェを持っている。
「流石に、手加減できないわよ――アタクシ、もう我慢できない――うふ、うふふふふふふ」
「なんつーか、知り合いの変態を思い出す――お前の方がキモイけどな!」
お互いの振り上げた剣はぶつかり合い――つばぜり合いの形になる。
(――!? おかしい、いくらなんでもハーモニクスカノンの方が重いんだぞ!? なんで力が競り合っているんだ!? いやこれは……)
「うふふ、これこそサンショウアームズの特徴――音声でわかるでしょ?」
「毒――でもノロシアームズはちんけな毒なんて…………」
「これは普通の毒じゃないわ。ロックシード側にバグすら起こさせる力を持っているの。機械だろうと人だろうとバグという名の毒で侵す。それが、このアームズよ!」
「……」
ちょっと、マズいよな…………
束にああいった手前、無茶はするべきじゃないんだけど……こいつらをそのままにしておく方がまずいし――ちょっとだけ、限界まで頑張りますか。
ブレードを二回たたき、オーレの音声が発動したのを確認して――武器を放り投げる。
「なっ――!? あなた、正気!?」
「ああ! ノロシオーレで、鎧だけじゃなく全身にエネルギーをいきわたらせて一時的に限界能力を解放した。どういう意味かわかるか?」
「――――ま、まさか……」
「たしかにだんだんと体が重くなっていたさ。だけどな――そんなもの、上から塗りつぶせばどうってことはない!」
「だ、だけどそれじゃただでさえ病み上がりの体には……」
「そんなもの、血みどろになって倒れるよりずっとマシだろ! しばらくは動けなくなるだろうけど……二、三日程度些細なことだ――それじゃあ、覚悟してもらうぞ!」
右腕を振り上げ――相手の武器に叩きつける。相手もオーレを発動させてきたことでノイズが頭の中に流れ込むが――左腕も武器にぶつける!
何度も、何度も――ひたすらにラッシュを続ける。
「うおおおおおおおおおお!!」
「もっと、インテリじゃなかったかしら!?」
「生憎、元々頭で考えるより先に体を動かすタイプだよ! ごちゃごちゃ難しいこと考えることが増えたから小さくまとまっていたけど――本当はもっと思いっきりがよかったよな! はあああ!」
――ノロシスカッシュ! その音と共に、光輝く脚が放たれた。
「ぶっとべぇええええええ!!」
「あ、あああああああああああああああああああああああ!?」
◇◇◇◇◇
英と別れた束さんは、海辺付近に飛んできていた――そこにいたのは、倒れているかんちゃんと、金髪の子が蹲っているところだった。
それに、あの女は……
「たしか、アンバーだっけか?」
「あら篠ノ之博士じゃないのぉ……お久しぶりぃ」
「インベスになると、見た目変わらないんだね――とっとと本当の姿になれよ。人間体のままでいると少し弱くなるのは知ってるんだぞ」
「ならお言葉に甘えて――うふふ、どう? 前よりも美しくなったと思わないぃ?」
「全然。人間捨ててまで手に入れるものじゃないよ――やっぱ束さんは人のままでいいや」
「……なら、ここで私たちの方が新人類に相応しいと証明してあげるぅ!」
「はぁ、別に新人類とかいらないって――ま、これでも一応ヒーローやっているからさ……とっとと倒させてもらうよ!」
杖を振り上げて――あの女の懐ではなく、一歩横にめがけて振り下ろす。やっぱり、かわすか……感触は空を切るだけだったけど、足音が聞こえる……
耳を澄ませて――あたりには障害物が多い。それに、この二人もいるし……倒すよりも、撃退をメインにした方が得策。手持ちのロックシードからこの状況に適したものをピックアップ。
うん、まずは相手の能力の無力化――いや、人質を取られないようにすること!
【プルーンエナジー!】
杖に装填したプルーンエナジーロックシードの力により、周囲を激流が広がる。
水はあたり全てを包み込み、障害物となっていた鉄の塊やトラップの様なものを流してゆく。同時に、倒れていた二人も一緒に。ISは装備したままだから無事だとは思うけど……あとで回収しなくちゃ。
それに、これで相手の場所は――手に取るようにわかる。
「なっ!? なんて力技!?」
「少ない労力で最善の選択をしたと言ってほしいね……これで姑息な手段は使えないし、王手だと思うけど?」
「ふふふ、甘い。甘いわ――私の進化した幻覚はお嬢ちゃんたちに指摘された弱点も克服可能だってわかったのよ。まだまだ私は進化する。もう――負けない」
分身。あたりの景色が極彩色に。
地面の感触も変わっていく――うーん……能力がどうこうじゃなくてさ。
「君のプロファイリングは終わってるって話。行動パターンを分析すればどう動けばそこから逆算して対処ができるからね――それじゃあ、ダメ押しするか」
取り出したのは、チューリップのロックシード。相手から奪ったものだけど……こいつらに使うにはちょうどいい代物かな。
【マジックオブオズ!】
杖を振ると――あたりの景色が塗り替わってゆく。ごちゃごちゃした幻覚はスッキリとまとまって、まるでお城の中の様な場所に。
景色もはっきりとした色で、うん。やっぱり普通の色彩の方が目に優しいよね。
「なっ――私の幻覚を塗りつぶした!?」
「幻覚を自由に見せるってのはかなり難易度が高いし、束さんもうまくはできない――」
「こ、この!」
アンバーとかいうのが、私を殴ろうとしてくるけど――それは空振り。
こっちが軽くつつくと彼女はまるで殴り飛ばされたかのように吹き飛んでしまう。
「――――ガッ!?」
「軽くつついただけだけど、同時に幻覚による補強をすることで威力そのものをごまかせる」
「この――――だけど、弱い攻撃なんていくら喰らっても!」
何度も避けて、相手から距離をとる。
いくつかロックシードを持て余すけど……そんなに長い時間かけてもいられないからそろそろフィニッシュかな。
「君は幻覚を見せるのに自分がかかりやすすぎるよ――いや、そういうコンプレックスかなにかがあるってことなのかな? だからこういう力に目覚めた」
「ッ――黙れ、お前に……お前に私の何がわかる!」
「分からないよ。性格を分析できてもそういう要因は束さんには理解できない。性格の変化とか、色々と予測のつかないことが起こるのが人間だからね――でも、お前らオーバーロードは分かりやすすぎるんだよ。一度その姿に変化した時点で、なんていうか成長しなくなっちゃった」
「――――あああああ!」
「ま、完成しちゃうってのはそういうものなのかもね。お前らも形は違えど進化はする。でもさ、それは成長とイコールなのかな?」
女の拳は――束さんに届くことなく、落ちる。まるでわけがわからないと言うように、彼女は蹲って呻きだす――体は痛くないのに、痛みを訴えているかのように。
困惑と、苦痛が同時に頭の中を支配しているのだろう。
「な、なんで……」
「言ったでしょ。威力そのものをごまかせるって。弱い力を強くごまかすことができるのならば――強い力を弱くごまかせる。さて、どこからが現実で、どこまでが幻覚でしたでしょうか?」
「――――ッ」
「流石にこのレベルのことは、相手の行動の先読みや一人一人に合わせた精神パターンからなる絶え間ない幻覚発動を必要とするんだけど……ある意味相性のいい相手だからね。それじゃあ――これで……」
止めを刺そうとした。その瞬間だった。クルクルと回転する手裏剣の様なものが、その行動をじゃましてきた。
「――!?」
「ははは、生憎だけど――彼女を回収しないといけないからね」
その姿は――そうだ、たしか潜入中は田中とか言っていた奴。あんまり記憶にないけど……いや、元々記憶に残りにくい格好をしていたんだろう。
そいつは驚くべき速さでアンバーを回収すると、こちらにいくつもの爆弾を投げつけてくる。
「ああもう! ウザい!」
「ウザくて結構! ああそうだ! 自分の目的、ポジションを忘れていた! 元々こういう役目が自分の仕事だろうが!」
「――くそっ、人間のままだから成長しちゃうってことだよね!」
IS学園に襲撃に来た時は自尊心の塊みたいな感じだったようだけど……何があったのか、今は自分の立ち位置を再確認したうえで、その役目を守っている。
土壇場で成長した? ああもう! 厄介だよ!
「とりあえず!」
くるりと一回転。マントをはためかせて、ハンドルを掴んで一気に押す!
【パンプキンエナジースカッシュ】
マントはどんどん伸びていって――先端が拳の様な形に変形した。
「パンプキンスマッシュ!」
「――甘い!」
一瞬、何をしたのかわからなかった。下に爆弾を落として――その爆風で上に飛ぶことで私の攻撃をかわしたのだ。なんていうか英みたいな無茶を……
「痛いけど――時間切れだ!」
あいつが地面に落ちてきたのと同時に――クラックが開く。インベスが何匹か落ちてくるのと同時に、向こうからボロボロのもう一人のライダー……たしか、担任だったアイツ。
あのオカマ野郎……そいつと共にクラックの向こうに消えてゆき――あとには数体のインベスのみ。
――数秒後、息を切らせながら英が走ってきたけど……やっぱりまだ体力は戻っていないか。
「英……」
「すまん! 体力がまだ戻っていないから逃がしちまった……」
「まあいいよ……とりあえず、こいつらを片付けてから!」
「ああ――ちゃっちゃと終わらせて作戦本部に戻るぞ」
二人合わせて、周囲のインベスを薙ぎ払ってゆく。どうやら適当に呼び出したからか、それほど強くもなくすぐに終わったが……なんていうか、不完全燃焼。
英と二人、すぐに戻ってみれば――モニターに映し出されていたのは……ボロボロの鈴ちゃん、ラウラ、セッシー、そしてなぜか箒ちゃんがそこにいて――
「いっくん……」
言葉にしなくてもわかる。ああ、いっくんは……嫌な想像が頭の中で駆け巡る。体から力が抜けて倒れそうになるが……横から支えられる。
隣りに彼がいた。その眼は諦めどころか――期待を抱いている。
「倒れることなんで出来ないよな。こんなに、色々背負っていて――お前が転べば悲しむ人たちがいるんだ。だったら、倒れたままなんて――そんなことできるわけがないだろ。なあ、一夏」
その次の瞬間。海から、光は天に登った。
いつもは31日は更新しないのですが、今年はキリのいいところというか、次回まで書きたいので31日は更新します。
しかし、元日は更新しない予定。ついに年を越しちゃうわけですね……あと30話で半年ですよ半年。
私自身ここまで長く続くとは思わなかったですし、ここまで書き続けられるとは思いませんでした。しかし、もう3巻も終了間近。
あとどれくらいかかるかわかりませんが、完結目指して頑張ります。
最後に一言。
ガンダムブレイカー2面白いね!