しかしすぐに終わるでしょう。正直描写しておきたい部分を書いてすぐに終わりそうで……
短くてあと1~2話で4巻は終わります。
EP154.つかずはなれず
学校に帰ってきた俺たちを待っていたのは――普通に授業やテストと言った日常だった。うん、期末試験があったの忘れてたよ――俺だけでなく、クラスの中で青い顔をしていた人は結構いたと思う。
リコリンが一番ヤバい顔をしていたけど……のほほんさんも笑顔だけど冷汗が凄かった。
鈴は入学のために全力を出し尽くしたと言っていたので、期末は自信がなかったらしくセシリアやシャルを講師にみんなで勉強会ということになったりした。セシリアは理論派過ぎて教えるのには向いていないことが判明したわけだけど……ISの訓練は実際に動かしてやっていたから気にしている余裕なかったから気が付かなかったし。
そんな日常だけど――箒はずっと静かなままだった。
試験の結果に関わらず、夏休みは補習があるらしい。独断行動と、みんなを危険にさらしたということで夏休みカットだそうだ。俺なら死ねる。
「うーむ、そんなこんなでもう夏休みか……」
「なに遠い目をしているのよ」
「いや、時間がたつのは速いなって」
「そうだけどさ」
そう。もう夏休みなのだ。箒は前述の通りだし、セシリアは一時帰国。シャルとラウラは学園に残っているらしいが、部活の強化合宿をするらしい。ただ、料理部と茶道部の強化合宿って何をするんだろうか?
シャルが料理部なのはいいんだが……ラウラが茶道部に入ったのは意外だった――と思っていたんだが、千冬姉が顧問だった。うん、千冬姉が茶道部顧問って方がびっくりだよオイ。てっきりアニメ研究部とかそんな感じの部活の顧問だと思っていたのだが……
箒は安定の剣道部。ただ、あまり出ていないらしくなぜか俺に伝言が来た。簪も安定の仮面ライダー同好会……しかも部長だった。
っていうか作ったのか!? 作ったのか!?
「あんた、何面白い顔をしているのよ……」
「いや簪の部活を思い出してな」
「ああ……バレたらご神体に祭り上げられるんじゃない?」
「やめてくれ! さすがにそれは恥ずかしすぎるぞ!?」
「っていうか簪って中の人知っているでしょうが」
「そうなんだけどな……それでもアレなんだぞ」
「あの情熱をもっと他のことに――いや、好きなものだからこそよね」
「そうだな」
鈴はラクロス部。セシリアはテニス部だっけか。
のほほんさんは意外にも生徒会だし、あとは……リコリンがよくわからない以外はだいたい普通の部活なんだよな。本当、リコリンだけは謎である。
ちなみに俺は……料理部に入ろうとしてシャルに止められた。解せぬ。
「本気過ぎて部活のレベルじゃないからよ」
「そこまで言うか!?」
「そこまで言うレベルよ。むしろ料理学校目指していなかったのが不思議なぐらい」
「そ、そこまでなのか……いや、なんか将来の仕事にするにはどうにもしっくりこなくてさ……」
「ふーん。なんかやりたいこと無いの?」
「特に思いつかないんだよなぁ……」
元々行こうと思っていた藍越学園では就職を目指すつもりだったのだが――そもそも就職したいとだけ考えていて、何かをやりたいとは考えたことがなかったのだ。
「なんていうか、いざ自分が何をやりたいんだって考えたら……」
「何をしたいのかわからなくなったと。まあ、この年ならそういう人も多いし、大学行ってから考えるってのも多いとは思うんだけどねー。それにしたって、頑張ってどこの大学に行くとか考えるんだろうけど」
「そうなんだよなぁ……」
「ま、難しいことは後にして――いまはパフェ食べに行きましょ!」
「奢るのは俺だけどな……」
先日というか、臨海学校の時の約束の通りに駅前のパフェを奢ることになったのだが……これでも俺は結構緊張している。
鈴のことを好きだと自覚してから――こういう風に男女が二人で出かける状況を恥ずかしがらないわけがないのだ。まるでデートじゃないか……
(いや本当、どうしたらいいんだよ!? こういう時にこそ先人の知恵――――ダメだ、俺の周りで恋愛経験のある人が少なすぎるッ)
唯一まともな話が聞けそうなのは英さんぐらいだぞ!? 我毛さんあたりならどうだ? いや、結婚はしているけどまともな恋愛経験はなさそうだ。
千冬姉にそんな話は無いだろうし、真耶さんも……そういえば昔、真耶さんが成人した記念で家で千冬姉と飲んでいた時に男性経験がないって言っていたっけ……今もという保証はないが…………うん、地雷っぽいからやめておくか。
ならばクラスメイト――むしろ話が広まってしまうからダメだな。っていうかIS学園の知り合いじゃダメだ。
(そうだ――――蘭なら…………真耶さん以上の地雷な気がするからやめておこう)
猛獣というか、インベスの群れの中に生身で突っ込んでいくぐらいの危険を感じたけど……気のせいだよな?
一応、勘には従っておくけど。
「もう一夏! 聞いてる?」
「ううぇい!? えっと……」
「本当、どうしたのよ……ま、いいけど」
「鈴?」
「一夏! ほら男ならちゃんと女をエスコートしなきゃだめよ」
そう言って鈴は俺に腕をからませてきて――って、この格好はマズイ。
「えっと、鈴さん? この格好はなんていうか恥ずかしいと言いますかその……」
「ふふん。心配かけさせたんだから、このぐらいいいじゃない」
「それを言われると何も言えない……」
「じゃ、行きましょうか」
だけどな鈴。お前の顔も赤くなっているってことには……野暮だから言わないでおこう。
その後、頼んだパフェがカップルが食べさせあうようなアレでさらに恥ずかしい思いをすることにもなったんだが……正直、俺の恥ずかしさがヤバいからそれ以上は何も言えなかった。
鈴も予想外だったのか恥ずかしがっていたし……ただ一つ言えるとするならば。あーんの破壊力はヤバかったとだけ言っておこう。
◇◇◇◇◇
「…………恥ずかしくて、味がわからなかった」
「あ、あたしも……」
パフェを食べに行くことは決めていたが、他にすることは考えていなかったのでどうしたものかと思う。
さっきのことが恥ずかしくて考える余裕もないんだが……
「――あれ? 一夏に鈴じゃないか! 久しぶりだな!」
「え――――えっと……数馬?」
「あ、ほんとだ」
「ちょ、お前らひどすぎるぞ!?」
御手洗数馬。俺たちの中学時代の友人の一人。弾と俺とで三人つるんでいたけど……そうえいば、会うのは久しぶりだった。
ISを動かしちまった後は中学に行くのは難しかったし、数馬は色々忙しかったみたいだから弾としか連絡取れなかったんだよな……
「しかし、元気そうでよかったよ。ニュースで色々見ていたから心配していたんだぞ」
「ま、まあ見ての通り元気だぞ」
「無茶して心配かけさせるけどね。なんかい心配かけさせるの? ねえ?」
「いや本当マジすいませんでした」
「…………なんか尻に敷かれる夫みたいなことになっているぞ」
「「――――お、夫!?」」
「あれ? 鈴は予想通りなんだが……一夏までそんな反応って…………え?」
「い、いや違うからな!? 全然違うからな!」
「そ、そうよ! 別に違うのよ! 彼氏いない歴イコール年齢なのよ!」
「まだ何も言っていないし、そんなことを暴露されても困るだけ…………うん、何も聞かなかったことにしておくよ。色々と面白そうだけど」
「「面白がるなぁああああ!!」」
なんだか知られてはいけないことを知られたような気がする……自分のことで頭がいっぱいで鈴が何を言っているのか聞き漏らしたけど、鈴も同じようだ。
というか全部わかったような顔しているけど、俺だって知っているんだからな。
「なんか某国のお姫様がどうとか、中学の時の仲良し三人組がどうとかだそうだな」
「ああ、あたしも聞いたわよ。あの子たちから直接……修羅場だそうね」
「――ふっ、俺だってこんなことになるとは思わなかったよ。小さな親切のつもりだったんだ。それなのに、なんでこうなっているんだろうな……」
あれ? 結構特大の地雷踏んだ?
「たしかにモテるようになりたいとは思ったさ! だけどな、修羅場は望んでいないんだよ! 今日だって、捕まりそうになったところを逃げ出して――――スマン、追手の気配を感じたからまた今度な!」
それだけ言い残すと、数馬はどこかへと走り去っていった――数秒後、ドレスをきたいかにもお姫様という感じの人や、鈴の友人たちが現れて数馬が逃げた方向に走り去っていった……挨拶ぐらいしろとも思うが……
「恋する乙女は、一直線かな」
「一夏がそんなこと言うなんて、明日は槍が降るわね」
「ちょ、そこまで言うか!?」
「ふふふ、冗談よ」
そう言って、にこりと笑った彼女の笑顔は――とてもかわいかった。
思わず口が開いて、声が出ないで息の音が頭に響く。
何か言おうとも思うが――うまく言葉にできない。
「どうしたの?」
「可愛いなって――――あ」
「――――ッ!? ななななな、何言ってんのよあんたは!」
ポコポコと叩かれるけど、俺も何を口走っているんだと自己嫌悪に陥ってしまう。
いや、色々とまずいだろ! しかし言ってしまったものは仕方がない。
もう色々時間を置いた方が良いんじゃないかというのも関係ない。ここは勢いに任せて――
「鈴!」
「ひゃ、ひゃい!」
「おおお、俺は――――」
「あれ? 一夏さんに…………鈴さん」
「――うおわああああああ!?」
「ひゃああああ!?」
いきなり話しかけられた!?
せっかく、言えそうだったのにと思ったら――――見慣れた赤い髪に、この近くでは有名なお嬢様学校の制服。正直、定食屋の娘にはミスマッチなのではとも思うのだが、彼女の場合は似合っているだろう。
そう、五反田蘭がそこにいたのである。
「ら、蘭! このタイミングであんた……わざとなんじゃ…………」
「何がですか? でも、阻止できて良かったです。どうも、面白くないことになりそうで……」
蘭が怖いんだが……あれ? なんだろう、なんか既視感を感じるぞ。
しかし俺としても残念なようなほっとしたような……いや、まだ早かったということなのだろう。うん。
(一夏の方から言ってくれそうだったのに、せっかくのチャンスを……うう、蘭のバカ…………一夏の方から言ってくるときは邪魔をしない約束だったじゃない! あたしも逆の立場だったら思わず邪魔しちゃいそうだけど、でもでもでもでも――そろそろ覚悟っていうか、受け入れる準備はできたっていうのに……ああでも、約束のこと言わないといけないし、それは恥ずかしいし……もうどうすればいいのよ)
なんだろう? 鈴が色々と顔色を変えてアレコレ考えているみたいだが……まずは目の前の私不機嫌です! って感じの蘭をなだめないとダメだろうか?
弾になんか言われそうだし、なだめた方が良いんだろうなぁ……
「えっと、蘭……そういえば生徒会長なんだってな。仕事の帰りか?」
「ええまあ。夏休み中の部活動の報告とか聞かないといけませんし。おかげでくたくたですけどね……ところで一夏さんは何部に入っているんですか? やっぱり料理部ですか?」
「ああ俺か? 俺はだな――」
みんなの部活のことを考えていたけど、俺の部活については話題に出さなかったな……
いまもみんなに疑問に思われている俺の部活だけど、蘭も同じような反応をするのだろうか?
「――俺は、盆栽部だ」
「え゛」
「なんでみんな、そんな反応なんだよ……」
「趣味がじじくさいのよ。なによ盆栽部って…………ちょっと覗いてみたけど、ものすごく静かっていうか、静かな老後を過ごしている人たちの集まりみたいになっていたわよ」
「そんな静かな空気と盆栽を楽しむ部活だ。日々の疲れた心が癒される」
「…………あとで癒しを届けてあげるわよ」
癒し? いったい何のことだろうか……
しかし、蘭が驚きから再起動を果たしたときにはなんか遠い目をして、疲れているんですねと励まされた。解せぬ……いいじゃないか盆栽。
「なにがいけないんだろうか?」
「っていうか同好会じゃなくて部活として認められるってどういうことよ…………」
「ちなみに顧問は轡木さんな」
「あの人先生だっけか!?」
「IS学園の部活動は、教師じゃなくても顧問になれるぞ。一般とは色々違う部分あるから」
「そういえばそうだったわね……」
「…………IS学園って楽しいですか?」
「楽しいこともあるが、やっぱ色々と大変だな。俺は普通の学校の方が良いと思うぞ」
「ま、一応軍隊の訓練みたいなことしているし……筋肉がつくわよ」
「あ、あははは……私、受けようと思っていましたけどやめます」
「待ちなさい。あたしの話を聞いてやめようとしたでしょ。筋肉が嫌でやめようとしたでしょ!!」
その後、興奮した鈴を落ち着かせるのに苦労したが――こういう、何でもない日常はとてもありがたいものなのだろう。こういう日々を守るためだけでも戦える。そう思える一日だった。
ちなみに、その後届けられた癒しなのだが……
「ど、どうよ一夏」
「…………いいんじゃないでしょうか」
いわゆるひざまくらであった。うん、癒されるよ。癒されるんだけど俺が部活に求めているのはこういうのじゃなくてもっと静かな……いや、癒されるんだけどね。
それと、筋肉がつくどころかちょうどいい柔らかさだったことをここに追記しておく。
そろそろタグに一夏×鈴をついかするべきかな?
そしてついに登場、御手洗数馬。資料が少ないので割と適当ですが。
最近、自分が好きになるアニメって最後に盛大な告白というか、そんな感じのシーンがあるものが多いことに気が付いた。
瀬戸の花嫁とかGガンとか。
NARUTO、THELASTとかドストライクだった。
瀬戸の花嫁、一挙放送してくれないかなぁ……