IS5巻の開始です。
ついに会長の登場!
文化祭である。いや、学園祭? どちらでもいいんだが、もうすぐIS学園で行われる行事がそれだ。
もう夏休みも終わり明日から二学期が始まる。今日も訓練を積んでから夕食をみんなで食堂にてとっているわけだが……なんかもう、全員疲れているな。
「なんなんですか、アレは……」
「鬼畜にもほどがあるわよ」
「うむ。シャルロットや簪が機体整備をしなくてはいけないからと都合がいいと思ったが……アレは二人もいてほしいな」
「仕方がないじゃないか。二人は知らないんだから」
今日の訓練で俺は――変身して鈴、セシリア、ラウラと戦っていた。たまに千冬姉に許可貰ってゲネシスドライバーの試運転を行っていたんだけど、今日は戦闘訓練を行っていたのだ。箒も一応事情を知っているし誘ってみたんだが、断られてしまった……なんか最近とっつきにくいんだよな。
そして、訓練というか模擬戦の結果は……俺も予想外だった。今、ISの記録映像を見ながら反省点を探しているんだけど……
「まさか、手も足も出ないなんて……」
「というか一夏さん、射撃は苦手なのではなかったのですか?」
「そうだぞ。なんであんなに簡単に当たっているんだ」
「なんでだろう……弓だから?」
一応ガイドというかアシストみたいのはあったんだけど……綺麗に決まったからな。
しかもIS相手にあそこまでの威力……ライダーじゃISには不利だと聞いていたんだけどなぁ。
「これがエナジーロックシードの性能か」
末恐ろしいな……正直、手に余るような力だけど。
英さんたちが俺に預けたってことは、今後必要になる時が来るということなのだと思う。
だったら、使いこなせるようになっていないとな。
「とりあえず、防御力が落ちた」
「盾がなくなりましたものね。以前よりも攻撃特化……一夏さんにはピッタリじゃありませんか」
「盾も武器みたいに使うことが多かったし、肉を切らせて骨を断つタイプだし」
「嫁は動きが単調だし、接近戦に持ち込むことに気を付けた方が良いだろう。せっかくの弓なのだから距離をとった戦い方も覚えるべきだ」
「そうなんだけどさぁ……なんていうか、距離をとって使うって言うよりもっと乱戦とかで使う感じなんだよ」
威力がヤバいから、そこらの上級インベス相手なら一撃で倒せそうだし。
素でもヤバいのに俺の場合、白式も展開できるから……
「ちょっと白式のデータを見てくれるか?」
「別にいいけど、見せてもいいものなのかしら…………これって」
「これは、また……妙なことになっていますわね」
「リンクシステム?」
「ああ。ゲネシスドライバーとISを文字通りリンクさせるシステムだ。これを使うことで相互にエネルギーのやり取りが可能になる……重要なのは、相互にってところだ」
「…………なるほど、たしかにそれは強力ですわね。恐ろしいほどに」
「え、なに? セシリアは分かったの?」
「むぅ……どういうことなのだ?」
「ロックシードのエネルギーをISに使うのはそれほど大きな変化は起きません。インベス相手にも攻撃が通用するようになるというぐらいですか。例えば、わたくしがドライバーをつけてブルーティアーズを展開したとします。そうすれば、普段は通用しないBT兵器が通用するようになるのです」
「そこはあたしもわかるわよ……あれ?」
「む、まさか……」
「ええ。逆の場合は? 答えは臨海学校の時に一夏さんが行っていましたわね」
「ああ……キックに零落白夜の力が宿っていた。だけど、それは別にキックじゃなくてもいいはずだ」
「矢に零落白夜を乗せて、なんてこともできる……でもそれは」
「エネルギー無効化の力を持った遠距離武装。厄介を通りこして危険すぎるぞ。近接武装だからこそ、力加減が出来ていた物なのに、それができないということは……」
取り扱い注意。使うのはよほどのことがないと何だよな……
試すにしても危険すぎるし。
「まあ、同時使用は負担もデカいし、そこまで融通が利くわけじゃないから、本当に緊急事態にでもならないと使うことはないだろうけど」
「それがわかっているならいいけど、なんであたしたちに言ったのよ」
「それなんだけどさ、甲龍とブルーティアーズは白式とラインをつないだことがあっただろ」
「あったわね、そんなことも……おかげで二次移行出来たんだけど」
「もうずいぶんと前に感じますが、まだ数カ月しかたっていませんのよね」
「それでな、そのラインを通じてロックシードのエネルギーを二人のISにも渡せるみたいなんだ」
「「「……え」」」
そりゃびっくりするよな。俺もびっくりしたよ。
「ちょ、そんなことできるの?」
「できるみたいだ。つーわけで、今度何かがあった時のためにも一応覚えておいてくれ」
「それはいいけど、それだとまた何かあるみたいじゃない」
「そうですわよ。今までの行事で必ず事件があったとはいえ次もそうだとは――」
そのセシリアの一言があった後、俺たちは無言で食事を勧めることにした。誰が何かを言ったわけでもないのに。
なんか次もなにか起きそうだと思ってしまったのだ――そして、それがフラグだったのかもしれない。
◇◇◇◇◇
さて、時は夏休み終盤に戻る。
ここは生徒会室。IS学園の生徒会長、更識楯無(十七代目)は修羅と対峙していた。
「な、なぜですか織斑先生!」
「ダメなものはダメだと言ったのだ」
「ですがそれでは織斑一夏君の護衛はどうなるんですか!?」
亡国機業の動きも活発化し始めている。父から聞かされていたため、楯無はある程度の事情は知っているのだ。そのため、スレイプニルという組織が動いているおかげで今までの被害は食い止められていた。
しかし、奴らも本格的に動き出している。
先日も一年生たちが狙われたのだ。それでなくともテロ騒ぎや関係は無いだろうがVTシステムの事件のこともある。
「なにより、簪ちゃんがやられているというのにお仕事しなくちゃいけない私の気持ちを考えてくださいよ!」
「黙れシスコン」
「そっちこそブラコンじゃないですか!」
「とりあえず――黙れ」
出席簿アタック。楯無はかわそうとするが――回避不可能だった。なぜか斬撃が三つになっている。
「ちょ――なんで!?」
「元国家代表をなめるな。これでも実戦では通用しない技だぞ」
「そしたら私なんて、大抵の相手には勝てませんよ…………なんですかこの奥義みたいなの」
「音速を超えた世界に慣れれば、出来るようになる。一夏もやろうと思えばできるかもしれんな」
「……え」
「ハッキリ言ってやる。そもそもお前が護衛する必要などないのだ。アイツは、私の予想以上に成長していた……元来、実戦に向いているというのもあるが、多くの戦闘でアイツは成長をし続けている。すぐに私を超えるスピードでな」
「織斑先生が、そこまで言うのですか?」
「ああ。ひいき目に見なくても……アイツは強いよ。力だけでなく、中身もな。むしろお前には篠ノ之の護衛についていてほしいんだが」
「篠ノ之さん? しかし、重要度は織斑君のほうが高いと思うのですが」
「私もそう思うのだが……まあ勘だな」
不確かな。しかし、この人が言うのであればとも思う。
その恰好さえ見なければ、だが。
「…………なんですか、そのピンクのフリフリ」
「ああ、そういえば今日はその話もあったな――――私プロデュースの魔法少女戦隊を文化祭のイベントに出したくてな。ステージの時間調整に来た」
「………………流石に、教師の趣味でそこまでするのは……」
「お前の妹も出るぞ」
「やってみせましょう! ちゃんと準備して見せます!」
更識楯無。彼女はシスコンというなの悪魔に魂を売った少女だった。
その顔は、とても生き生きしていたという。
しかし、彼女らは大事なことを忘れていた。
この場に――委員長的な人物がいたことに。
「お二人とも、いい加減にしてくださいね」
「「――あ」」
「黙って聞いていれば、好き勝手……本当に困ったお人たち」
「えっと、布仏姉……こ、これはだな」
「そ、そうよ……可愛い妹を愛でるのは姉としての当然の務め」
「ちょっと正座していてください」
「「……はい」」
しかし千冬はあきらめない。自分の計画を進めるために――その光景を、面白そうな空気がするというだけの理由でとある少女がのぞいていたことは知らずに。
その少女が、計画に手を貸したとき――ある意味恐ろしい事態が生まれることだろう。
「ふふふふふふ――――あーはっはっはっはっは!」
眼鏡っ子という属性を持っていながら、それを上回る――ウザキャラという属性。
色々と人生を謳歌している彼女はある意味無敵なのかもしれない。
「この祭り――――リコリンの本気というものを見せつけてあげよう!」
ダイナミックに、されどお淑やかに――生徒会室に転がり込んできた彼女を三人は丸い目で見ていたが――やがて再起動を果たしたときには色々と遅かった。
「織斑先生! その話は素晴らしい――しかし足りない!」
「なに?」
「会長、貴女は私と同じで面白いことが好きな匂いがしますが――まだ足りない!」
「なんですって?」
「ふふふ、このリコリンに――――いい考えがある」
虚は思った。あ、これダメなやつだ。
しかし、話はあれよあれよという間に進んでしまう。
「なんだと――そんなことをしてもいいのか!?」
「それでは織斑君が!」
「いいのです――最近無自覚にイチャツキだしたあの男に鉄槌を下すのです!」
プロジェクトシンデレラガールズ。報われぬ恋する乙女たちを輝かせるためのプロジェクト。
ここに魔法少女(24)と、愉快犯生徒会長、みんなのウザキャラのコラボレーションが生まれてしまった。
もはや学園の委員長布仏虚にも留めることはできない。
「……私、当日は入場者のチェックに回りますので」
できることといえば、被害を受けないようにするためにできる限りこいつらから逃げることだった。
ただ一つ言えるのは――一夏たちを見捨てた罪悪感が半端ないことである。
◇◇◇◇◇
新学期。始業式……ざわざわしているのはどこの学校も同じか。
「なんだか千冬姉が妙に怖い顔で俺のことをみていたんだけど」
「最近、残業が多いみたいで会うことが少なかったのにね」
「ですわね……なにがあったことやらー」
「そうだなー」
「だねー」
「……」
あれ? なんで鈴以外の反応が微妙におかしいんだ?
なんだろう、とても嫌な予感がする……しかし、今は気にしていても仕方がないだろう。
少ししてから――壇上に一人の生徒が上がってゆくのが見えた。
その見た目は簪にそっくりだが、彼女よりもはきはきした印象をうける――そういえば前に一度見たな。
「中二病先輩だ」
「色々とダメな生徒会長じゃない」
「ああ、残念美人の」
「みんなひどいね」
「私もなぜかアイツは苦手な気がする……なぜだろうか」
「会長……ごめん、フォローできないよー」
のほほんさんもこういっているじゃないか。
っていうか、俺たちの印象は……新聞紙に穴あけてみてくる長コートの女の人(サングラス着用)だから。
他の印象も……
『虚、なんだか風が騒がしいわ――いくわよ、風がやむ前に』
だからな。
「案外、リコリンあたりと話が合うんじゃないか?」
「それに素の千冬さんとも話が合いそうよねー」
「そうだなー」
鈴と二人、アッハッハッハと笑い合う――しかし、誰も笑わない。あれ?
「なんでみんな無反応?」
「い、いえ冗談に思えなかったので」
「ブラックジョークだったのかなぁなんて」
「実際に教官も――むぐぅ!?」
「――ラウラは何を言っているのかなぁ」
あれ? なんだろうこの鬼気迫るシャルの表情。
なんか重大な事実を見落としているような――しかし、そんなことを考えている暇は無くなった。
すぐに会長が話し始めたのだ。
「みなさんの中には私を知らない人もいるかもしれません――この学園の生徒会長、更識楯無です」
その凛としたたたずまいは、見る者を魅了するだろう。
力強く、されど淑やかでもある。
「あまり難しいことは言いません――ただ簡潔に、私から皆さんにこの一言を送ります」
その顔は堂々としていて――なぜか俺の中で嫌な予感を膨らませてゆく。
そして、後ろにスクリーンが出現して、なぜか表示された俺の顔――――オイ。
「学園祭では、各部の出し物対抗による織斑一夏君争奪戦を行います!」
しーんと、静まり返った体育館。会長は爆発の様な声が響くかとも思ったんだろうか? 耳をふさいでいる。しかし、みんなは知っているのだ……俺が盆栽部だっていうこと。割と広まっているのに……
「あの会長……初耳なんですが」
「だってサプライズ企画だもの!」
「それと、織斑君は既に部活動に所属しているので会長の計画は行えません」
「――――え」
「…………ハァ」
のほほんさんのお姉さん、苦労してるんだろうなぁ……
「……えっと、私、こういうときどうしたらいいのかわからないの」
「笑えばいいんじゃないですかねー」
確かに笑うしかないな。乾いた笑いだけど。
しかし、簪が鼻で笑っていたのが妙に印象にのこった……家族なんだからもう少し仲良くすればいいと思うんだけどなぁ……
そんな感じに、俺たちの二学期は始まったのである。
しかし、この作品ではリコリンには及ばないものの、彼女もギャグ側の存在なのです。
シリアスもできるけどね。
そしてついに手を組んでしまったIS学園三人の強者たち。
開放祭に向けてデッキ調整する中で……去年のチャンピオンシップの時のデッキが崩すに崩せない。今更いじるには厳しいものがあるのです。
とりあえず、いろいろ忙しくてブランクがある最新環境に対応できるようにしないと。
ビッグサイトは初めてだなぁ……