仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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昨日は界放祭でしたね。まあ、これ書いているの行く前なんですけど。

というわけで、IS5巻も中盤。飛ばしていきますよ!


EP162.乙女の矜持

 糸にからめとられながら、鈴たちはこの状況から逆転する手を考えていた。

 ISを纏っているからこそ、プライベートチャンネルにより意思疎通ができるからこそ。

 

「どうするよ、セシリア……」

「そうですわね、どうにかしてシャルロットさんを助けないことには――あの眼が厄介ですわね」

 

 おそらくは通常見ることの出来ないものも見ることができるのだろう。紫外線や、他にも何かが見えている可能性がある。そうすると、鈴の不可視攻撃はあまり意味をなさないかもしれない。

 自分もうかつな行動をすれば――

 

「で、どうするのよ」

「……………あと、一分耐えられますか?」

「わかったわ……失敗したら容赦しないわよ」

「ふふ、ありがとうございます――なら、防御力にすべて注ぎ込みますわよ!」

 

 エネルギーを防御に回し、二人ともじっと耐える。相手は笑いながら、楽しむかのように殴ってくるだけだ。油断しているからこそ、こちらのチャンスは必ず生まれる。

 ならば、じっと耐えるのみ。

 

(だとしても、ウザったい――痛いし、乙女の顔を何だと思っているのよコイツは……)

 

 一夏は無事なのか、他のみんなもどうなったのか――気になることはいくらでもあるが、今は目の前の敵をどうにかしないことには何も言えない。

 だったら、ここはセシリアを信じるだけだ。

 

「今ですわ!」

「よしきたっ!! エネルギー全開!!」

「なっ!? 人質が――――うお!?」

 

 地面から、ビットが飛び出した。少しずつ地面を削りながら進んでいたビットがシャルロットを助けるためについに飛び出したのだ!

 その隙を狙い、鈴が肉薄する。

 

「まずはあたしの顔の分!」

「ぐほっ!?」

「次はセシリアの分!!」

「アガッ!?」

「最後に――――シャルロットの分!!!!」

 

 掌底。ただ、それだけを放ったはずなのに、オータムの体にはとてつもない衝撃が与えられていた。

 

(しょ、衝撃砲か!? だとしても――この威力は!?)

 

 まるで、ISが操縦者の心に応えているかのようではないか。

 オータムにとって、それは認められないことだ。認めてはならないことだ。

 

(ふざけんなよ、こんなガキどもが――このオータム様を、上回るなんて――――アっちゃならネェんだよ!!)

 

 奇声と、奇怪な音。体からまるで歯車がかみ合わないかのような嫌な音が鳴り響いたかと思えば、オータムの体はさらに変わってゆく。

 より強大に。より、邪悪に。

 

「――――テメェラ、潰す」

「な――――きゃあああ!?」

「鈴さん!? この――いい加減にしてください!」

 

 足元を狙い、何度も攻撃を命中させるが……セシリアの攻撃など意にも解さないというようにオータムの動きは止まらない。

 その腕を横なぎに振るい、セシリアを吹き飛ばした。

 

「きゃ!? この――鈴さん、空中から狙いますわよ!」

「わかった!」

 

 シャルロットを連れながらでは戦いにくいが、セシリアの場合はビットが使えるため彼女を抱えたまま戦闘が可能だ。どこかに彼女を置ける場所を探さなければいけないが……ISをまだ纏ったままなのが幸いだろうか。

 上から何度も攻撃しているものの、効果があるようには見えない。

 

「硬すぎるでしょ!!」

「ここまで、酷いとは……ッ!?」

 

 とっさに、シャルロットを投げ飛ばした。

 鈴が何をしているんだと、叫ぼうとしたときそれは起こった。

 

「ちまちま、狙うのも面倒だな――お前ら、ここからは狩りの時間だ」

 

 糸が、自分たちの後ろにあった。ネット状のそれは、蜘蛛の巣。

 まさかと思う暇もなく、二人はその巣にからめとられて、蜘蛛の巣のドームの上部にとらわれてしまう。

 

「油断したッ!」

「硬すぎますわ……万事休す、でしょうか」

「簡単にあきらめてんじゃないわよ! まだ手はある――絶対に!」

 

 しかし、非常にもオーバーロードはその巣を伝って彼女たちの下へとやってきた。

 表情は分からないが、ニタニタと嫌らしい笑いをこぼしていることだろう。

 

「ひひひ、さてと――まずはどっちから殺してやろうか」

「本当、どうしましょうか……」

「衝撃砲も動かないし…………動いてよ! 動きなさいよ、甲龍!」

 

 いくら力を込めても、動くことはない。そして、二人の首をその魔手が押さえつけた。

 

「きゃ!?」

「ぐ!?」

「面倒だ――二人とも、いたぶってやる」

 

 直後、暴力の嵐が二人を巻き込んだ。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「お前ら、ここがIS学園だと知っての狼藉か」

「……」

 

 千冬の目の前にいたのは、トルーパー部隊。様々なロックシードで武装した彼らは――千冬にとって、脅威とも感じなかった。

 その場にいた味方は、ラウラのみ。

 

「教官……二人だけで大丈夫でしょうか?」

「愚問だな――こんなザコ、私一人でも大丈夫だ……しかし、背中がガラ空きというのも心もとない。後ろは、頼んだぞ」

「ふふ、わかりました――教官に傷一つつけられると思うなよ。教官の背中はこのラウラ・ボーデヴィッヒが守る!」

 

 ただの強化ブレードを生身で振るう千冬だが、トルーパーたちは手も足も出なかった。隙を見つけて攻撃しようとしても、ラウラがその攻撃を封じてしまう。

 ラウラが千冬の盾として機能している限り、彼女を傷つけることはできない。

 さらに、千冬自身の動きが速すぎるのだ。彼女がISを使わないのは、量産機ではその動きについてこれないから。ワンオフのものでも製作するのは困難。暮桜が使えればいいのだが、まだ解凍は完了していないため千冬は生身で戦わなければいけないのだ。

 

「それでも、お前らごときに遅れをとる私ではないわッ!」

 

 的確に、ドライバーを破壊してゆく。弱点はしっかりと聞いているため、一撃必殺を体現した千冬の動きは生身でトルーパーたちを倒す。

 ラウラも、すぐに相手の特徴や攻撃パターンを分析して行動する。

 

「しかし、目がついていかないな――邪魔な眼帯など、外してしまうか」

「いいのか? その目は……」

「実は最近、実戦で使えないかといろいろ試しておりました――その成果、ここでお見せします!」

 

 移植されたナノマシン。その影響により擬似ハイパーセンサーと化したこの目。いま使わずに、いつ使う!

 以前は体の方が振り回されていたが――今のラウラにはそんなことはあり得ない。

 

「教官、油断していると全部私が貰って行きますよ!」

「このバカ弟子が――私に勝つなど10年早い!!」

 

 ただ一つ、トルーパー達に言えることがある。

 相手が悪かった。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 なんど殴られただろうか。インベス相手では絶対防御の発動が曖昧だ。そのおかげで、二人は予想以上にボロボロになっていた。

 先ほどはそれほどでもなかったから耐えられるかと思ってもいたのだが……

 

(あー……ちょっとまずいわね…………甲龍、あたしを守ってくれてありがとう)

 

 鈴にはなんとなくわかっていた。

 自分がまだ無事なのは、甲龍が守ることに力を注いでくれているからだと。

 

(だけど、あんたが壊されちゃ意味がないのよ……あいつらにあんたが取られたら、コアの初期化をされちゃう――そんなの、絶対いや)

 

 自分の相棒。今日まで、一緒に戦ってきてくれた掛け替えのない相棒だ。

 それはセシリアにしても同じことなんだろう。

 

(いくら、自分の想いを伝えたと言っても――心残りなんて山ほどあるに決まっているでしょう! まだお父様たちに会うのは早いですわ! お願い、ブルーティアーズ……わたくしはまだ戦えます、わたくしのためにダメージをこれ以上肩代わりしないで!)

 

 悲痛ともいえるその叫びは届いたのか。

 されど、最後の一撃を振り下ろそうと――オータムは嗤った。

 

「これで、死ねぇえええええ!!」

 

 もうダメなのか。まだあきらめられない。

 まだ、諦めるわけにはいかない。

 

「「――――!!」」

「な――!? ゴフゥ!?」

 

 二人の体から光があふれた。弱弱しかったが、隙を作るには十分な一撃。

 されど、それだけで二人のISは挙動を止めた。

 

「は、ははは……最後の力ってやつか――――なら、悪あがきしてないでさっさと死にやがれェ!!」

 

 その隙は――確実に二人の運命を変えた。いや、自らつかみ取ったチャンスだ。

 オータムは忘れていた。近くに、まだISが動く彼女がいたことに。

 

「うおおおおおおおおおおおおお!!」

「――――お、お前は!?」

 

 パイルバンカー。レギュレーション範囲内では第二世代どころか第三世代含めても最大威力をたたき出すことも可能な文字通りの必殺武器。

 それを、彼女――シャルロットのISは搭載しているのだ。

 

「いっけぇええええ!!」

「ぐぅううううう!? こ、こんなもので私がとめられるかよぉおおお!!」

 

 巣の外から彼女を狙うように放たれた一撃は――オータムを倒すには至らなかった。

 だからこそ、彼女は勝利を確信した。死にぞこないが、増えただけ――それが間違いだったことをすぐに思い知らされる。

 

「――――あ」

 

 巣が、壊れてゆく。爆発が何度も起きて粉々に砕けていったのだ。それはビルの爆破解体に似ているだろう。アレは爆発を最小限にし、計算された位置で爆発させることで周りへの被害を抑えている。

 シャルロットがやったのはそれに近い。同時に複数の爆発を起こすことで最小の威力で巣を破壊したのだ。

 

「パイルバンカーはこのための目くらまし!?」

「正直、間に合わないと思ったけど――――アウッ!?」

 

 されど、シャルロットは蹴り飛ばされて地面に激突して吹き飛ばされた。もう、意識は飛んだが、その顔には笑みが浮かんでいた。

 自分の中ではどうしたいのか答えは出ていないし、戦うことからも逃げ出したい。だけど、自分にできた友達を見捨てるなんて選択肢は彼女の中にはない。

 

「――ありがとう、シャルロット…………おかげで、アイツを一発殴れるわ」

「ええ、ブルーティアーズもお疲れ様……今はゆっくり休んでいてください」

 

 二人は既にISが解除されていた。ISスーツだけという状況、量子化していたもとの服装に戻る力すらも二人のために使ったのだろう。

 それを見たオータムはどこまでも悪あがきする奴らだと苛立つのみ。自分の優位性は崩せていないのだ。だからとっとと死ねと――そこで、彼女らがISスーツ以外に何かを装着しているのに気が付いた。

 それはベルトの様なもので――――

 

「うそ、だろ」

 

 ――ジューサーを模したものだった。

 

「まったく、いつの間に仕込まれたのかしらね……ねえセシリア」

「本当ですわ。まあ、タイミングとしては臨海学校しかありませんし、いいじゃありませんか――殴るどころか、ボロボロのぼろ雑巾にできるのですから」

「本当よねぇ……それじゃあ、反撃、行くわよ!! 変身!!」

「覚悟は、よろしいですか――まあ覚悟できていなくても容赦はしませんけど! 変身!!」

 

 二人がもっているのはそれぞれ――桃色と黄色のロックシード。それを腰に装着されたそれに装填した。

 半透明な本体に、それぞれのモチーフの果実が輝いている。

 空にクラックが開き――二つの果実が降ってきた。それが装着され、変身が完了してゆく。

 

【ソーダ! ピーチエナジーアームズ!】

【ソーダ! レモンエナジーアームズ!】

 

 鈴は桃色の姿に。セシリアは青色の姿に。それぞれ、変身した。

 その姿は――仮面ライダー。

 

「さあ、覚悟はいいかしら? 小悪党」

「わたくしたちは、覚悟完了ですわよ」

 

 反撃の時はきた。新たな仮面ライダーがここに誕生し、オーバーロードと相対する。

 

「…………ふざけるなよ、なんだっていうんだよそれは――――そんな展開、お呼びじゃないんだよッ!!」

「――――はぁああ!!」

 

 その拳を、受け流すかのように肉薄する。鈴の動きは最小限でありながら、最大の効果を生んでいる。

 中国拳法。鈴は国家代表として訓練を積む中で、生身でも戦えるように習得した技術が今ここで実を結んでいるのだ。相手が大きくても、彼女との肉弾戦は確実にその体にダメージを負わせてゆく。

 

「――ぐご!?」

「これでも、喰らいなさい!!」

 

 一回、ドライバーのハンドルを動かすことでその力を両手に集めてゆく。一夏の訓練に付き合っていたからこそ、彼女はそれで何ができるのか理解していた。

 

【ピーチエナジースカッシュ!】

 

 掌底は同じだ。されど、そのスピードはケタ違い。その一撃はオータムの体に深刻なダメージを与えている。もはや声すら出ない。オータムはぎろりと、睨みつけようとして――もう一人の存在を思い出した。

 

「わたくしもいるんですから――おつりぐらい、貰って行きなさい!」

 

 弓を引いて、狙いを定めている。すでにロックシードはゲネシスドライバーからソニックアローに移されていた。彼女の腕なら、確実に当たる。

 

【レモンエナジー!】

 

 直後、オータムの体を一筋の光が突き抜けた。

 




ついに登場、マリカ&デューク。
鈴とセシリアってのは一夏が斬月にって決めた後に決まりました。

本当、この話を書くまで長かった……


界放祭楽しかったです。
ただ、新形式のバトルといいつつ余計な手間増えただけなんじゃと思ったり。なんとか七勝できたので、ノアたんはゲットできたけど。
界放祭バトルの待機列で、首からデッキをぶら下げていたのは僕だけだったかもしれない……あのストラップつけている人少ないっていうか、いないんだよなぁ……
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