仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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プロットを見つつ、どういう展開を行うかを悩んでいたり。
完結まであとどれくらいかなぁ……200話前後で終るとは思いますが。


EP175.吠える者

 鈴の向かった先は中国。山奥にあるそこは――彼女の思っているような光景ではなかった。

 ボロボロになってはいるが、数年前までは誰かが住んでいたと思われる廃屋。

 少し見て回ったが、特におかしいところは見えない……

 

「なんでこんなところが、歪みが一番ひどいポイントなのかしらね……ある種の聖地みたいな場所って聞いていたのに……」

 

 見つけたものと言えば、よくわからない言語で書かれた巻物のみ。まるで落書きの様な文字だが何かの手掛かりになるのではないかと鈴は甲龍の格納領域にしまった。

 しかし、いくら警戒したところで初級やたまに上級インベスが現れるものの、オーバーロードの気配がしない。おかげで鈴は少々手持無沙汰である。

 

「まったく、なんでこんなに待たなきゃいけないのかしらねぇ……」

「しかし、凰さんにはもしもの時のために待機してもらわねば」

「……まあ、そうなんだけどさ」

 

 それでもオーバーロードが来ないのはどういうことなのか……他の場所に現れたのかとも思ったが、その様子もない。とりあえずしばらく待ってみるが……鬼気迫っている割にはのどかな雰囲気が漂っているではないか。

 気を張る必要もないのではないか――そんな考えがよぎるほどには。

 

「確かに、こう平和ですと少し手を抜いてもいいんじゃないかと思ってしまいますよね」

「作業は自動進行でも問題ないですよー。護衛についてきたゴーレムもいますから、それほど問題にはならないですー」

「そうかー、なら少し休憩するかー」

 

 なら、あたしも少し休むかなーと腰を下ろそうとして――――鈴は自分の頬をはたく。

 

「――ッ」

「どうしたんですかー? いきなり自分の顔を叩いたりしてー……顔が仮面でわかりませんけどー」

「ええい! ふぬけるな! シャキッとしなさい! さっさと持ち場に戻る!!」

「ぶーぶー」

(ああもう! 私としたことが油断したわ! もう既に、敵はここにいる……この場合は…………)

 

 右手に手を当てて――甲龍のセンサーのみを起動させる。一夏の白式のデータから限定的にではあるがISを変身中にでも起動できるプログラムが積まれたのだ。

 そのおかげで、甲龍のセンサーを発動できる。さらに、衝撃砲のデータからこの場に何がいるのかを察知できる。そのため――鈴にはここに潜り込んだ敵を発見することが可能。

 

「そこっ!!」

「――La」

「なんつーか、オーバーロードって割にはなんか妙な見た目だけど……」

 

 一言でいうのなら、蛹の状態で内部でこんがらかってしまったらこんな風になるのではないか。

 普通、羽は背中から生えるだろう。しかし、そいつは体中のいたるところから生えている。そのため、最初からそういう服を着ているのではないかとも思うが……明らかに人間とは異なる見た目をしているのも事実。

 

「オーバーロード……能力は、幻覚――っていうより、快楽神経を刺激する類の何か、ってところかしら」

「La、La」

「しゃべらないのならそれもいいわよ……でも、生憎とあたしはそんなに甘くないから」

「…………!!」

 

 羽が広がり――一気に加速したそいつは、鈴に迫る。されど、鈴だって伊達に修羅場はくぐってきていない。

 

(この程度なら、負けはしないわよ! 一夏に追いつきたくて、一夏の隣に立ちたくて今まであたしがどれほど鍛えたと思っているのよッ!)

 

 形としては、合気道に近い。敵の攻撃を利用して、その威力を相手に返す。

 腰を落として、攻撃をかわすだけでなく自身の体を回転させて相手の攻撃の威力を利用して、オーバーロードの腹部に一撃いれる。

 

「ハァアアアアア!!」

「ッ!?」

 

 更に、そこに自分の力を上乗せすることでオーバーロードの体を弾き飛ばす。

 だがそれで倒せないのもわかっている――今は、封印作業を止められないようにすることが第一。

 

「あ、あれ? 私たちは――オーバーロード!?」

「気が付いたのね! 早く作業の方に! あたしはアイツを止める!!」

 

 オーバーロードにとびかかり、拳を振り下ろす。ソニックアローを使う手もあるのだが、鈴は肉弾戦の方が得意である。そのため、ソニックアローを――まるでブーメランのように投げていた。

 拳で殴り、上へと飛ばしてクルクルと回転しながら戻ってきたソニックアローにぶつける。

 

「La!?」

「まともにしゃべれないのか――それとも、しゃべる気がないのかは知らないけど……どうする? あんたじゃあたしには勝てないわよ……スカッシュもスパーキングも使っていないのにあんた、ボロボロじゃない」

「――ッ」

「どうする? おとなしく帰るのなら見逃してもいいけど……」

「La、Ba、I、Qa、Do」

「人の言語ですらないわね……かろうじて音は聞こえるけど…………」

「ッ!!」

 

 怒った? 彼、いや胸部があったところを見ると女性。何かのコンプレックスがあってオーバーロードになったということなのだろうか……そのコンプレックスを刺激したとするのならば……

 

「あほらしい……いくつか何のコンプレックスでそんな風になっちゃったのか予想はつくけどさ、そんな風になってまですることじゃないでしょッ!!」

 

 今度は、容赦しなかった。

 

【ピーチエナジースパーキング!】

 

 足ではなく、拳に。

 凝縮するようにエネルギーを拳にのみ纏わせて――その一撃を叩き込む。

 

「――――!?」

「頭、冷やしなさいッ!!」

 

 爆発することさえ許さずに、その一撃を炸裂させた。

 踏み込みと両手の動きの連動による威力の増幅。寸勁と呼ばれているものに近いだろうか。

 そのまま吹き飛ばされた彼女は、木に激突してぐったりと横たわるのみ。

 

「……ふぅ…………」

「……」

「何に不満があるのか知らないけどさ、そんなになってまですることなの?」

「…………」

「あたしたちだって、無理に戦いたいわけじゃない……ねえ、もうやり直すことはできないの?」

「――――Fu」

 

 やはりその音は聞こえない。しかし、鈴の差し出した手を見た彼女は――何を思ったのか、自分の胸に手を当てて、力を込めた。

 

「ちょ!? 何しているのよ!?」

「――――By」

「え――――――」

 

 最後に、意味のあるような声が聞こえた。いや、彼女と近づいたとでも言えばいいのだろうか……だが、すぐに空気に溶けるように消えてしまい――それを確かめることはできなくなってしまう。

 

「なんだっていうのよ……なんで、うれしそうな声で消えていくのよ…………」

 

 あるいは、最後に欲しいものが手に入ったのか。

 考えてみれば、オーバーロードにも感情は存在している。ありえない話ではなかった。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 ここはギアナ高地。

 まだインベスの影も見えないため、一夏はあたりの探索をしていた。

 

「森と崖と、他には特に何もない場所だよな……川はあるな。うん」

 

 それと、目の前には研究所だったと思しき場所。

 

「ここが英さんの言っていた……ロックシード誕生の地。黄金の果実が見つかった場所か…………特に何もないんだなぁ……いくつかロックシードが落ちていたけど」

 

 不用心だなぁとは思いつつ、いくつか回収する。昔は見つからなかったのに、なんで今見つかるのか。

 まあ、そこまで危険なロックシードは無いみたいだし、良かったというべきなのか、不用心だと起こるべきなのか……本当のところは、試作品などを盗まれないように保管していたのが、壁の老朽などで表に出てきただけである。しかも、エネルギー反応を隠す素材で。

 一夏には知る由もないが。

 

「一応持って帰るか……通常のロックシードばかりだし、使わないけどそのままにもしておけないよなぁ……」

 

 他にもいろいろ調べてみたものの、特にめぼしいものは無い。

 なにか重要な情報とかが眠っているかとも思ったのだが……ここまで何もないとは。

 

「なんだかなぁ……」

「織斑君! オーバーロードの反応です!!」

「なに!? それじゃあすぐに――――え」

 

 オーバーロード?

 疑問には思ったが、時間は無かった。

 すぐに現場に向かうと、封印作業を妨害するかのように獣人のようなオーバーロードが襲ってきていた。トルーパー部隊が食い止めてはいるが、そのスピードは瞬時加速の度重なる仕様で、目が速いものを捕えやすくなっている一夏にでさえ目で追うのがやっとだ。

 

(てっきり、箒が来るかと思っていたのに、なんでオーバーロード!? みんなの方もオーバーロードが来ているみたいだし……箒はどこにも行っていないのか!?)

 

 それでも、今はこいつを倒さないといけない。

 正直、速すぎて対処できないレベルだが……

 

「やるしか、ないだろ!」

「GAAAAA!!」

「つーか、しゃべれよ!」

 

 オーバーロードは人の人格をなくしていないんじゃなかったのか。そう疑問に思うが――通常のインベスよりかは圧倒的に強い。

 

「クソッ!」

「GURUUU! GA! GA!」

 

 一瞬で、背後に回り込まれてしまう。

 体をひねって、攻撃をいなすものの何度もその爪に切り裂かれる。

 

(装甲の薄くなったメロンエナジーじゃ、厳しいぞ!? いっそのこと、戦極に取り換えて――――あれ? メロンエナジーでも防げている?)

 

 何かがおかしい。

 奴の攻撃をいなしているし、かわそうとしてもいるが何度も喰らっているのだ。

 しかし、一夏どころかメロンエナジーの鎧にさえ傷がつく様子がない。

 

(こいつ、スピードが速いけど攻撃が軽いのか!? でも、仮にもオーバーロードなんだぞ!? そんなことがありえるのかよ!?)

 

 だけど、よく見たらトルーパー部隊もそれほど大きなダメージを受けた様子がない。

 今のところ、その事実に気が付いているのは一夏だけのようだが……

 

「とりあえず、信じて仕掛けてみますか!」

「GU!?」

 

 下段から、振り上げ。

 アッパーカットのようにソニックアローを振り上げることでその体を捕える。スピードは速い。しかし、攻撃は軽い――ならば、適当にぶつけるように腕を振るうだけで――

 

「GAAAA!?」

「よっしゃ! 成功!!」

 

 ――敵は、吹き飛んでしまう。

 

「――ッ!? KESU! KOROSHITE、KOROSU!!」

「言葉に、なった……しゃべれるのか――――っと、さらに速くなってやがる」

 

 今度は、威力も多少上がっている。

 されど、より直情的だ。

 

【メロンエナジースパーキング!】

 

 体を滑り込ませるようにスライディングし、そのまま手を地面に叩きつけるようにして動かすことで、飛び上がる。下から上への、キック。

 

「でりゃあああああああ!!」

「――ッ!?」

 

 敵も逃れようとするが――ただで逃がすような一夏ではない。格納領域から取り出したメロンロックシードをソニックアローに装填して、狙いをつける。

 

「!?」

「誰も、二つ同時使用ができないなんて言っていないだろッ!!」

 

【メロンチャージ!】

 

 光り輝く矢が、オーバーロードの体を貫いて――その力を奪った。

 

「GA、AA、AAAAAAAAA!?」

 

 直後にその体から黒色のオーラがあふれるように吹き荒れる。

 その衝撃で一夏の体は投げ飛ばされ、変身が解除されてしまうが……決着はついた。

 

「AAAAAA!? NAN、DA――――」

 

 突然、オーバーロードはその動きを止めたかと思えば……膝をつき、ぐったりと横たわってしまう。

 まるで、電池の切れた人形のように。

 

「……死んじまった、のか?」

 

 一夏の問いに答えるかのように、そのオーバーロードは霧のように消えていく……ただ、妙に嫌な胸騒ぎを抱かせるには十分であったが。

 その後、封印作業が完了するまで特になにも起こらなかったが……妙な胸騒ぎは収まることがなかった。

 

(第一、箒がこっちにくるって聞いていたのに――いや、その前提が違っていたのなら、どこに現れる? 俺の方に来なかったのなら……一番、箒とのつながりが深いのは――――あのオーバーロードにしたって、他のインベスとは家色が違うなんてレベルじゃない。黒色のオーバーロードってだけでも不吉だぞ)

 

 よくわからないが黒と言う色になにか嫌な予感を感じたのである。

 そして、箒がここにくるという予測が外れた。

 だったら――自分はどうするべきか。

 

「みなさん、作業は終わりましたか?」

「一応、もう終わりですけど……どうかしましたか?」

「いえ……ちょっと、行くところができました」

「え――――織斑君!?」

「すいません! あまりにもうまくいき過ぎています!」

 

 ノイズが走ったかと思えば、他のみんなの通信も入ってくる。

 

『一夏も、そう思うのね』

「ああ、いくらなんでも敵が弱すぎる!」

『わたくしたちも同意見ですが……それで、どういたしますの?」

「俺はこのまま飛んでいく。同時使用ができる俺なら、飛んでいける距離だ。英さんたちの方に箒が行っている可能性が高いんだよ!」

『なら、あたしも行くわ。ココからなら、それほど遠くない』

『ならばわたくしとラウラさんは空の方へ向かいます。五反田さんは……』

『俺は学園の方へ戻るぜ』

 

 子供と大人のはざまにいた少年少女は、自分で自らがすべきことを選ぶ。

 何が正しいのかはわからなくとも――自ら行動を起こすことはできる。

 




箒ちゃんが出ると思った?
残念、もうちょっと先じゃよ。

と言うわけで、次回ようやく主人公の視点に戻れるのか。



ゴッドイーターもようやく体験版配信が近づいてきましたな。
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